日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

日本における社会の分断は他人事にあらず

2019年08月24日 09時00分13秒 | 日々雑感
 トランプ大統領の登場により米国社会の分断が激しくなっているとの話だが、日本でも社会の分断は既に起きつつある。

 経済のグローバル化は経済格差を助長する。より多くの利益を求める投資家と、より安く良いものを求める消費者の希望が合致し、企業は世界中に生産・販売網を展開して、効率化を追及する。効率化の中には賃金を始めとするコストダウンもあり、そこには富の平等化の考えは毛頭無い。また、国家間に跨る法的な規制も取り締まる機関も無く、暴走状態だ。

 アベノミクスもまた経済格差を広げている。安倍首相は有効求人倍率の高いことを自慢してきたが、実体は非正規労働者の増加であった。総務省の労働力調査によれば、2013年から2018年までの6年間で雇用は380万人増加したが、この内55%は非正規職員だったそうだ。

 その結果、賃金は確実に抑えられ、企業は労働者を必要な時のみ雇えるので大儲けして、内部留保としてたんまり溜め込むが、労働者には還元されていない。トリクルダウン効果を主張していたエコノミストもいたが、今頃はすっかり忘れ別の主張をしていることだろう。

 兎も角、経済発展は経済格差を本質的に助長するが、富の平均化は政治の役目の筈だ。安倍政権も経済弱者の救済の一環として幼児教育から高校教育まで無償化等を実施しているが、焼け石に水であり、格差は広がる一方である。

 富の平等化のためには、儲けたところから税として徴収し弱者に金を回すことである。個人に対する所得税と同様に企業には法人税が課せられる。法人税は仕組みが非常に複雑で素人にはなかなか理解できないが、全体的には上がるどころか下がっている筈だ。

 これは、アベノミクスの一環として企業がグローバル化により世界の企業と競争するためであると説明されるが、企業は大儲けした資金を内部留保と称して蓄えているとの話をよく聞く。本来は、内部留保分を社員に還元するか税として徴収すべきであろうが、国会でも議論された話は聞か無い。

 かつて日本は一億総中流社会と呼ばれていたが、現在世の中、経済格差が広がっており、社会学者で早稲田大学教授の橋本氏は日本の社会を5つの階級に分類出来るとしている。すなわち、①資本家階級、②新中間階級、③正規労働者階級、④旧中間階級、⑤アンダークラスだそうだ。率的には③の階級が35%で一番多いが、非正規労働者を主体とする⑤の階級は15%も占めているのだそうだ。

 一番の問題はこの格差の固定化だ。持てる者は総じて教育機会、就業機会、健康機会等に恵まれており、ますます持てる者という優遇の連鎖の中に置かれ、持たざる者は真逆の劣悪の連鎖に置かれている。すなわち社会の分断が既に進んでいるのだ。

 最近、新聞の投書欄で知った。公立の中学校における成績分布図(横軸に点数、縦軸に人数)を見ると、これまで平均値の中央部分が盛り上がった釣り鐘型であったが、最近中央が一番低い逆釣り鐘型となっているそうだ。

 すなわち中学生が高学力軍と低学力群に二極化しており、経済格差の反映であるとのことだ。社会の分断の弊害は未だ政治問題にはなっていないが、中年の引きこもり等の社会問題として顕在化しており、今後ますます大きくなるだろう。2019.08.24(犬賀 大好-525)


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