日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

中国経済の破綻は日本を巻き込む

2024年02月04日 10時00分46秒 | 日々雑感
 中国政府は先週、2023年の国内総生産(GDP)の成長率は名目4.6%、実質5.2%で、実質5%の政府目標を達成したと発表した。片や日本のGDPは実質で1.7%程度、名目で1.8%程度の成長になると見込まれることからすると、GDP5%程度の伸びが本当であればうらやましい限りである。

 しかし、中国のGDP統計は常にデータが改竄されている疑惑が消えない。これは各地方の党幹部が党中央の掲げる成長率目標に合わせようとして数値を操作する為と言われているからである。識者によればGDPに大きく影響する不動産、輸出入、家計消費に関連するデータから判断するとGDP前年比は名目で約3%のマイナスになっておかしくないそうだ。

 さて、先日の新聞記事に、中国の地方で公務員らの給与削減や未払いが生じている、との話があった。中国では土地のほとんどが国有地で、管理する地方政府が不動産会社などに土地の使用権を売ることで利益を得るが、不動産不況による土地収入の減少等で財政が逼迫しているからだそうだ。不動産不況を上回る好景気な産業など聞いた事が無い。

 中国では2021年秋から始まった不動産不況が深刻化し、中国不動産開発大手、恒大集団など大手企業が相次いで経営危機に陥っているそうだ。不動産関連産業はGDPの3分の1を生み出しており、その不況は中国経済全体を揺るがしているようだ。

 香港の高等法院は1月29日、恒大集団の清算を命じた。清算は企業の資産を差し押さえて売却する手続きであり、得られた金は未払い債務の返済に充てられる。しかし、恒大集団の財産はほとんどが中国本土にあり、清算の命令が実行されるかは中国政府次第であり、しかも不動産不況は恒大集団だけではないため、その影響は計りしえない。

 中国政府は不動産不況を支える為、日本円で20兆円余りの新規の国債を発行して、インフラ投資に充てるなど、景気を下支えする対策を打ち出している。2023年10~12月期、中国の債務残高は国内総生産(GDP)対比で286.1%に上昇した。中国専門家の間では、実際の債務残高はそれよりも多い、との見方もあるようだ。

 我が国の借金である国債の発行残高は約1000兆円、地方政府の借金である地方債の発行残高は約200兆円、国と地方を合わせるとその総額は約1200兆円に達する。2022年の世界の政府総債務残高対GDP比に関する国際比較統計・ランキングでは、1位はレバノンの283.20%、2位は日本の260.08%、3位はスーダンの186.25%となっており、ここには中国は登場していないが、2023年の統計には第1位で登場しそうである。

 さて、膨大な人口を抱える中国は日本と同様に少子高齢化問題が顕在化しつつある上、上記のように中国経済は不安定であり、経済破綻が懸念される。しかし、習近平政権は国内に不安要因が増せば、国民の目を外に向けさせようと外交問題を顕在化させるだろう。例えば台湾問題だ。また日本と中国経済の結びつきは既に無くてはならない程大きい。中国の経済破綻は外交問題だけではなく、経済にも大きな影響を与える。2024.02.04(犬賀 大好ー980)


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