日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

犬猿の仲のイランとイスラエルの将来は

2019年07月17日 08時56分08秒 | 日々雑感
 トランプ大統領は昨年5月、イランとの核合意を破棄すると宣言した。この核合意はオバマ前大統領の努力により2015年に結ばれた歴史的な核合意であった。これによって、イランへの経済制裁が解かれると共に、イランの核開発が制約され、国際原子力機関(IAEA)の厳しい査察を受ける体制となり、万全の策とまで行かなくてもそれなりの効果を上げてきた。

 このオバマ前大統領の方針は欧州各国や中国、ロシアにも受け入れられるものであったが、昔から仲の悪いイスラエルにとって核開発の疑惑は払しょくされない等、米国にとって都合の悪い条件も含まれていた。

 トランプ氏は、この合意ではイランの核開発を止めることはできない最悪の合意だ、と予てから主張していた。そして、ついに昨年5月、イラン核合意の破棄を発表し、経済制裁を再開したのだ。

 この破棄にはトランプ大統領が強力に肩入れするイスラエル政府の政策が関係しているとの話だ。トランプ氏がイスラエルを支援する理由は、ユダヤ教徒である娘婿の影響、ユダヤ教と仲の良いキリスト教系福音派の影響があるのだろうが、氏自身が熱心な宗教家であるとの話は聞いたことが無い。

 そもそもイスラエルとイランは歴史的に仲が悪い。イスラエルは、西暦70年にローマ帝国によって滅ぼされ1948年に再度建国するが、エルサレムは昔々のユダヤ教の聖地との名目で、周辺のイスラム教徒を押しのけて建国した歴史がある。

 一方、イランはペルシャとして紀元前より7世紀半ばまで続いた歴史と誇りのある国であり、宗教はユダヤ教とは相容れないイスラム教である。

 さて、今日のイスラエルは核保有国として国際的にも暗黙の承認を受け、また米国の後ろ盾があることを良いことに現在もパレスチナ地区で着々と領土を拡大している。

 また、トランプ米大統領は2017年12月、イスラエルの首都をテルアビブからエルサレムに移転することを承認し、今年3月には、イスラエルがシリアから奪って占領する中東のゴラン高原についてイスラエルの主権を正式に認める文書に署名する等、イスラエルへの肩入れは異常な位である。

 このイスラエルの横暴をイランを始めとする周辺国家は快く思っていない。長年自分たちの土地だと思っていた所を異教徒が占拠し始めたのだから当然であろう。イスラエルの暴挙を止めるのには核兵器しかないと判断するのは当然であり、核合意後もイランは秘かに核開発を進めていたとのトランプ大統領の指摘は当たっているかも知れない。

 トランプ大統領の核合意破棄があろうとなかろうと、経済封鎖が続こうと続くまいと恐らくイランは核開発を進めるだろう。将来イランが核保有すれば、既に核保有をしているイスラエルとの軍事的な均衡が保たれ、イスラエルの暴走を止められると考えるのは自然だ。

 インドとパキスタンはカシミール地方を巡り長い間武力闘争を続けてきた。この間、両国は核保有国となり、小競り合いは今なお続いているが、大規模衝突にはなっていない。核の抑止力の効果と思われる。

 これと同様にイスラエルとイランは将来核保有国として、緊張の中にありながらも、一定の安定関係が築かれるのではなかろうか。2019.07.17(犬賀 大好-564)


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