日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

民主主義は極めて効率が悪い!

2018年06月09日 09時40分57秒 | 日々雑感
社会主義あるいは共産主義が資本主義に敗北したのは、人間の自由な発想に基づく自由な経済活動の成功が一番の理由ではないかと思う。この点で、資本主義、自由主義そして民主主義は一体であり、不可分と思われ、1989年冷戦が終了してから、世界的に民主化が進むと信じられた。

そこで、2011年の中東における市民による民主化運動、アラブの春もその現れと思われた。長年にわたる独裁政権が次々に倒れ、市民が政治の主役となる新時代の到来が期待された。

ところが、中東は今、民主化の停滞はもとより、独裁政治の復活や内戦の勃発があり、チュニジア以外の中東の現状は ”春” 以前よりも確実に悪くなっているとのことだ。

そのチュニジアにしても、政体は共和制で大統領制を採用する立憲国家であるが、政治的な混乱は続いているようであり、昔を懐かしがる声もあるとのことだ。

また、シンガポールやカタール、UAE、クウェートなど1人当たりGDPが日本より高い国でも、政治制度は必ずしも民主的ではなく、独裁政治である。経済と民主主義は別物なのだ。

カンボジアのフン・セン首相も、5年ほど前からカラー革命を平和をかき乱す悪事と頻繁に口にするそうだ。カラー革命とは、ウクライナのオレンジ革命、チュニジアのジャスミン革命等、民主化運動の総称とされる。

現在、世界はインターネットの普及により、情報が氾濫し、どんな情報でも世界中にあっという間に広がる。しかし、フェイクニュースの拡散、個人情報の拡散等、負の面も広がっている。IT技術の発展は経済のグローバル化に貢献しているが、一方では個人が勝手に様々な情報を発信し、何が真偽か判断できない混乱状態を招いているのも確かであろう。

そこで国内の混乱を嫌う為政者は情報を制限することが手っ取り早く効果的と判断するのだ。冷戦後、真っ先に破滅すると思われた中国が現在世界第2の経済大国となり、中国式ガバナンスが為政者に魅力的なのだ。その真髄は徹底した言論制限である。

民主主義は、大勢の意見を集約するために時間がかかる等、効率が極めて悪い。この意味で言論制限する独裁者の下では、その意向は上意下達で一方的に素早く伝えることが出来、極めて効率がよい。しかし独裁者は自分の賞味期限を知らないことが最大の欠点となる。

安倍政権下で内閣人事局の設立により、安倍独裁体制が築かれてしまった。各省庁の官僚は日本のためとの思いで入省したのであろうが、やはり人の子で、高級官僚ともなると自分ファーストで上司の意向を忖度し、森友、加計学園問題を引き起こしてしまった。挙句の果て、大阪地検特捜部までも政権の思いを忖度し、関係者を全員不起訴にしてしまった。

日大におけるアメリカンフットボール部における違反事件も、典型的な独裁体制の結果である。独裁体制は短期的には効率よく仕事が捗る。独裁体制は従順に従う大勢の人に支えられる。しかし、反則事件を切っ掛けに世間から非難を浴びて独裁者が躓くと、組織は簡単に崩れる。早急な組織の改編が必要とされるが、それは簡単ではなく、年単位の課題となろう。

森友問題では、安倍首相は国民の納得できるように丁寧に説明すると言いながら、大阪地検の不起訴処分が出てしまい、国民の多くが納得できないまま、幕になりそうだ。独裁体制における組織員はひたすら上に従順で、思考停止に陥っており、この弊害がどのように起きるか想像も出来ないであろう。

ロバスト性とは制御技術の分野で用いられる専門用語であるが、外的要因による変化を内部で阻止する仕組みや性質などを意味する表現である。ロバスト性が高いとは、外乱に対して強いとの意味になる。

独裁体制はある条件下では極めて高効率であるが、ロバスト性は極めて低い。現在、世界の関心事の一つは北朝鮮の非核化問題であり、世界は大きく変化しようとしている。このような世界の変化に官僚諸氏は対応できるであろうか?
2018.06.09(犬賀 大好-449)

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