日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

増税は誰もが反対するがその先にあるもの

2018年06月27日 09時47分59秒 | 日々雑感
 6月15日に公表された新たな財政健全化計画では、基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)を黒字化する目標を従来より5年遅い2025年度に設定するとともに、社会保障費の抑制の目安は高齢化による増加分に相当する伸びにおさめるという抽象的な精神論にとどまった。

 PBの黒字化目標は、これまで何回か先送りされてきたが、2025年目標も極めて楽観的な経済成長を前提にしており、まず達成困難、否不可能と思われる。現在アベノミクスによる異次元金融緩和のお蔭で名目GDP成長率は2018年度2.5%となる見込みであるが、その後更に順調に伸び2020年度は3%、2025年度には3.5%になるとの超楽観的試算に基づいているのだ。

 経済成長は覚束ないのに歳出は確実に膨らむ一方である。高齢化による社会保障費の増加は当然であるが、最近は高等教育の無償化等、将来を担う若者に対する投資額も増えている。

 2018年度の一般会計総額は約98兆円であり、歳出の第1位は社会保障の約33兆円、一方歳入の第1位は税収の約60兆円であるが第2位は新規国債発行による借金の約34兆円である。2025年の財政健全化に向けて歳入を増やさずに、歳出を減らすことが可能であろうか。

 2025年問題とは、2025年には団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者となり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上になるハイパー高齢化社会に関わる諸問題であるが、ここにPB黒字化問題も加わった分けだ。

 厚生労働省の推計によれば、2025年の医療保険給付は総額54兆円と、現在より12兆円以上増える見通しだそうだ。生産人口の減少が進む日本の国力で、激増する超高齢者をとうてい賄える額ではない。

 先の計画では、高齢化に伴う増加分を社会保障費の抑制で凌ごうとのしている。医療行政における無駄の削減や効率化による抑制が望まれるが、サービス低下につながる抑制も当然あるだろう。

 医療行政の無駄とは、例えば処方される薬の多くが未使用のまま捨てられる問題である。このような無駄の削除や医業の効率化でどこまで対処できるか甚だ疑問である。裏には医薬業界などの利権が絡むため、簡単には進まないであろう。

 医療・介護の自己負担の月額上限引き上げ、後期高齢者医療の保険料値上げ、等による収入の増加も見込んでいる。先日、成人健康診断を受けたが、確か去年は無料であったが、今年は500円取られた。知らない間に値上げされる料金は今後どんどん増えるであろう。

 高齢者にとって、医療費は上がる、医療サービスは低下する、年金は下がる等、住み難い時代が待っている。国債発行による子供達への負の遺産は残したくないと思うと、高齢者は姨捨山に行かざるを得ないのか。

 税収を増やしたいが、増税を口にすれば選挙で落選間違いなしと国会議員は目先のことしか考えない。来年10月には、再三延期されてきた消費税の10%化が実施される予定であるが、国会議員の一部からは更に延期すべきとの声もあると言う。ポピュリズムの最たるものである。

 民主党政権時代の2010年、当時の菅直人首相が突然増税を言い出して、国民から猛反発を食らい、党の退潮傾向を強めた。当時財務官僚の口車に乗せられたとの噂であったが、少なくとも財務官僚は現在の不健全財政を予想していたのだろう。現在の財務官僚は、政府の意向を忖度するばかりで、国の将来を心配するより、自分の将来を心配している。

 政府、日銀は異次元金融緩和で物価上昇率2%の達成を目標にしているが、当分達成されそうに無いとのことだ。しかし、逆に物価上昇率2%が達成されるとなると、金融緩和続行の名目が無くなり経済界は慌てるだろうし、高齢者は物価が上がって生活が苦しくなると慌てるだろう。2018.06.27(犬賀 大好ー454)

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