自民党の政治資金に関わる裏金問題で政治刷新本部を創設し、最高顧問に菅前首相と麻生副総裁を就任させたことから岸田首相の本気度が疑われ、岸田政権の浮上どころか一層の沈下を招くだけになろう、と今年1月14日のブログで述べた。
最近の動きをみると一層この感が強くなってきた。2月2日の報道によれば、自民党は派閥による政治資金問題を受け、政治刷新本部に3つの作業部会を設ける方針だそうだ。そこで政治資金規正法等の議論をするのだそうだが、岸田首相は皆の議論の結果を待つつもりのようであり、自らの具体的な方向性を示していない。皆の総意だと言うつもりであろうが、これまで政治資金法をないがしろにしてきた連中の議論の結果からまともな案が出て来る筈が無い。
また、派閥については本来の「政策集団」に生まれ変わるため、カネと人事から完全に決別すると説明し、具体的な方策として・政治資金パーティーの開催を禁止し、・冬と夏に派閥を通じて議員に活動費を配るいわゆる「もち代」と「氷代」を廃止するとともに、・活動を党本部で行うなど支出を抑える工夫をする等の具体案が議論されているようだ。しかし、政治資金パーティの開催を禁止したところで、個人の政治資金収集法までは云々しておらず、抜け穴をちゃんと用意していることは今までと何ら変わらない。
金が絡む事件にリクルート事件や佐川急便事件があり、その反省から全派閥をいったん解消したが、政策・親睦グループとしての存続が認められたため、結局復活し、今日に至っている。政策を議論し、中身を深めていく本来の政策集団は必要であることは認めざるを得ない。しかしその集団も、政策を実現するために党の総裁や強いては国の首相を決める活動と切っても切れない関係にあり、本来の政策集団もカネと人事とは無関係ではおられないのだ。
岸田首相は、派閥が諸悪の根源であるかのように、派閥解消を叫んでいるが、裏金問題とは根本的に異なる。裏金を無くすためにはすべて公にすることであるが、この為には1円から収支をはっきりさせることである。
裏金は政治活動に必要だと言う識者もいる。外国との秘密を扱う場合裏金が必要となることは薄々分かる。しかし、国内の件で裏金を使うとは昔ながらの政治活動を引きずっているに過ぎない。話し合いの中身まで明らかにせよと言う訳ではない。誰とでも正々堂々と話し合えばよいだけだ。政治活動費は1円から明確にするのであれば、「もち代」や「氷代」も正々堂々と使えばよい。それが良いか悪いか選挙民が判断することだ。
政治刷新本部の正体がはっきりしてきた。岸田首相の一応努力しましたのアリバイ作りの一環であり、世間の風邪から身を守る一時的な風よけに過ぎない。今からでも遅くはない、政治刷新本部の責任者に石破元幹事長を招き、リクルート事件や佐川急便事件の後始末が中途半端に終わった結果を検証することから始めてもらえば起死回生となろう。2024.01.07(犬賀 大好ー981)