日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

ロシアの大統領選に国民の真の声が反映されるとよいが

2023年03月01日 09時14分41秒 | 日々雑感
 ロシアとウクライナの戦争はいつ終わるか誰も予想できない。米国を始めNATO諸国はウクライナを絶対負けさせないだろうし、かと言ってロシアを絶対追い詰めないであろう。ロシアは負けそうになると核兵器の使用を辞さないであろうからだ。理想的な出口は引き分けだが、ウクライナ、ロシア双方に納得できる条件が整うとはどうしても思えない。

 そもそもこの戦争はロシアが仕掛けた戦争であり、戦争前の状態に戻すのが最低条件であろうが、プーチン大統領が納得する筈がない。プーチン氏が大統領の座を退けば出口が見えるかもしれないが、そのためにはロシア国民の自覚しかない。現在ロシア国内では激しい報道規制と監視がなされているとのことで、本音を引き出すことが難しいようだ。

 さて、大統領が2月21日、約2時間にわたり国民に向けて年次教書演説した。この演説はプーチン氏を正当化するための決起集会的な催しであり、すべて筋書きに沿った自画自賛の催しであったであろう。その結果、ロシア政府系の「全ロシア世論調査センター」は23日、視聴者の78%が「正直で誠実だ」と感じていると発表した。この演説には政府系機関のアンケートであり、実際どのような形で実施されたか分からないが、目論み通りの結果であり、驚くことは無い。

 また、演説への評価では「完全に肯定的」が45%、「どちらかと言えば肯定的」が36%で、計81%が戦争に前向きだった。ウクライナ侵攻前の21年の年次教書演説では「肯定的」は72%で、今回の結果はその時を上回ったことも筋書き通りであったであろう。

 また各種の露世論調査でも、現在もロシア国民の7割以上がウクライナでの軍事作戦を支持しているそうだ。ただ、より本音が反映されやすい手法で調査した場合、侵攻への支持率は相当低下するとの指摘も出ている他、自身や家族が戦地に送られかねない部分的動員の発動後、国民内にはウクライナとの和平を求める機運が高まったとされる。

 実際、独立系メディアによると、政権側が昨秋に非公式で実施した世論調査で、和平を求める回答者の割合が55%となり、戦闘継続を支持するのは25%に過ぎないとの結果が出たそうだ。政府系の非公式アンケートとはよく分からないが、当局はこのような結果で一層の引き締めを図ったであろう。

 大統領選挙ではプーチン氏以外の選択肢が無いようであり、政治的な混乱を嫌う人々はプーチン氏を選択するであろう。ただ、戦争による死亡者が増え、そのことが世間一般に知れ渡り厭戦気分が高まれば、当局の規制に拘わらず事情は異なるかも知れない、と誰もが考えるのは自然である。ウクライナ国民は、ロシア国民の厭戦気分を期待し、戦争でのロシア兵士の死の増加を期待していても、非難出来ない。2023.03.01(犬賀 大好ー893)