日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

シェア自転車サービスの先にあるもの

2018年01月24日 09時58分32秒 | 日々雑感
 シェア自転車サービスとは、予め利用の意志を登録しておけば、コンビニなどの駐輪場に置かれた自転車をスマートフォンを利用して開錠し、利用出来る仕組みである。レンタル自転車サービスはこれまでにも観光地等で見かけたが、インターネットの普及により、好みの時に借りられ、必要が無くなった時にどこでも放置できるのが大きな特徴であろう。

 中国において2016年に登場したと思ったら、瞬く間に都市生活に浸透したそうだ。シェア自転車は、町中ですぐに見つけることができ、好きなところに乗って行って、そこで乗り捨てればいい、という便利さで爆発的に広まったのだ。

 これと共に多くの企業が参入し、群雄割拠の大競争が繰り広げられた結果、60社以上の中小企業が倒産し、現在モバイク(Mobike)とオッフォ(Ofo)の2社だけが生き残っているそうだ。中国と言えば、ひと昔前の、自転車通勤の大群を思い出すが、何処にでも乗り捨て可能状態が今でも続いているのであろうか。

 先の両社はネット大手の出資を受けて海外進出を試み世界各国の都市でサービスを展開しているそうだ。モバイクは昨年8月、札幌市でサービスを始めたそうだ。競合のオッフォも日本進出を決めているようだ。

 また、自転車大国オランダの主要都市でもシェア自転車サービスが実施されているようである。しかし、これまでどこでも乗り捨て可能となっていたが、このほどアムステルダム市がその流れに待ったをかけたようだ。同市は2017年の秋から商業目的で公道を駐輪場代わりに利用することは、まかりならぬと発表した。そこで利用者は好きな場所に乗り捨てが出来ないことになり、利便性は著しく損なわれることになるが、今後このサービスはどうなるであろうか。

 さて、我が日本では、中国資本の日本での活躍を指を咥えて見ている訳にはいかないと、昨年暮れ、セブン-イレブン・ジャパン,、フリーマーケットアプリのメルカリ、通信企業のLINEが、相次いでシェア自転車事業に参入する意向を示した。

 進出を目論む各社は、中長距離を公共交通機関で移動し、ラストワンマイルを自転車で移動するような移動方法を提案したいと話し、シェアサービスは世界的に成長が見込めると強調している。

 しかし、乗り捨てられた自転車をそのまま別の人が利用することが出来れば、非常に便利に違いないが、いたる所に自転車が放置されているイメージとなり、それはそれで大きな問題となる。

 従って、放置自転車に対する世論が厳しい日本でこの方式を実現するのは極めて困難と思われる。大都市周辺の駅の近くでは、通勤に使用する自転車が道路に放置され、狭い道路を一層狭くし交通の妨げになり、社会問題化しているとの話はよく聞く。駅周辺の駐輪場の整備がなされない限り、大都市近郊でのシェア自転車の普及はまず期待できないであろう。

 そこで日本におけるシェア自転車サービスは観光地における利用に限定されると思われるが、その狭いマーケットに日本の大手企業が乗り出す理由は、単に自転車のシェアリングだけでなく、その先を考えているからであろう。

 シェア自転車サービスの先にある候補の一つは、空いている月極駐車場や、マンション・アパートの駐車場を利用したいユーザーに提供するパーキングサービスであり、自動車のシェアリングもある。

 いずれもこれまでに無い新しいサービスであり、従来の柵に捕らわれた高齢者には思いもつかないビジネスモデルである。シェア自転車サービスは観光地に限ると断定したが、新たな発想で思いがけない展開の仕方もあるかも知れなし、意外に早く衰退するかも知れない。2018.01.24(犬賀 大好-410)