森出じゅんのハワイ生活

ハワイ在住のライターが、日々のあれこれをつづります。

続・カワイアハオ教会の壁に何が起こったか

2012年08月19日 | 不思議譚


前回、ハワイ最古のカワイアハオ教会の壁に、市バスが突っ込んだ件に関し、「奇怪な事件だった」と書きましたね。もちろん、それはあくまでも事故だったわけですが…。事故全体になんだかミステリアスな雰囲気を感じてしまった私。

というのも、以下のような事情があったからです。

カワイアハオ教会は1842年創設の、ハワイ王朝ゆかりの由緒ある教会です。広い墓地も教会の横手にあるのですが、数年前のこと。墓地と教会の間にあるカフェテリアを取り壊し、17億円以上をかけて、立派なカフェテリアを新築することになりました。

カフェテリアというより、そこでさまざまなクラスを開いたりもしていたので、多目的ホールと言ったほうがいいかもしれません。とにかくそれは、古ぼけたホールで。私もそこで何度か、日曜礼拝の後に、ランチを食べたことがあります。

ところが。更地になったホール跡地から、古い人骨が出土したから、さあ大変! これは19世紀のハワイアンの骨で、どうやらこのホールが建てられる前には、この敷地まで墓地として使われていたことがわかりました。なぜ~か。墓標だけ除去された墓がたくさんあったのかもしれません。

ハワイではこうして建築現場から骨が見つかった場合、まず考古学者が関わった本格調査が行われます。古代の埋葬地については様々な規制があり、埋葬地に建物を建てるとなると、いろいろややこしい問題が発生するからです。極端な場合、計画を変更して建物の位置を移動することもよくあること。たとえばマウイ島の高級ホテル、リッツ・カールトンでも同様の問題が起こり、ホテルは客室タワーの位置変更を余儀なくされたのでした。

ところが、カワイアハオ教会はホールの場所を変更するほどには敷地が広くありませんからね。そのまま同じ場所にホールを建てようとしました。もちろん出土した人骨は丁重に取り除き、ほかの場所に埋葬しなおしたわけですが…。そんな背景から、市民団体がカワイアハオ教会を訴えて工事をストップしようとしたり~。ハワイ大学の学生たちがプラカードを持って抗議運動を展開したり~。昨年来、もろもろきな臭い出来事が教会周辺で起こっていたというわけなのです。

そのため工事は長い間中止されていて。工事現場は幕が張られてすっぽりと隠され、ガードマンが24時間、張り付いているほど。中の様子は見えないようになっているのですが、
(とは言いつつ)この2月、カワイアハオ教会の2階から見下ろすことができた工事現場を、ついパチリと写したのが、冒頭の写真です。

工事はまだまだ地ならしの段階で止まっていましたが、私は見た! 女性スタッフがテントの下、刷毛のようなものを使って、工事現場で何かをハタハタしていたのを…。あれは工事の人ではなくて、考古学者だったのではないかな~。か弱い女性が刷毛でハタハタ、ですからねえ。手にしていたのは何だったのか。それについてはわかりません。

う~ん、やはり現場からはその後もいろいろ、出土しているのかもしれません。ね? そんなこんなで、なんだかきな臭い状況が、教会を取り巻いていると思った次第です。

しかも、ですよ! 2月14日。ハワイ大学の学生40人がドクロの絵を持ってハロウィーンみたいなおどろおどろしい服装で、カワイアハオ教会の壁の前に立ってハワイ語で建築反対のスローガンを唱えるという出来事がありました。新聞でも報道されたので、私もその出来事をよく記憶しています。

そしてその1ヵ月半後の4月2日。市バスが飛び込んでこなごなになったのが、まさにその場所。その、ドクロのサインを持った学生達が立っていた、全く同じ場所だったのです。

もちろん、市バスの事故の際にはそこに誰もいなかったのだし。バスの運転手も何も意図したわけではないのですが、なんだか私は少し、怖くなりました。何が何だかわからないけれど、なんとも奇妙なバスの事故ではないでしょうか?

…この記事を書くにあたり、昨日、カワイアハオ教会を、覗いてきました。相変わらず工事はストップしたまま。やはりガードマンが、退屈そうな様子ではりついておりました。今後の展開が気になるところです…。

コメント (6)
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