梅雨の庭Ⅱ
亡き父の三回忌法要の為
一人暮らしの子供たちが帰省し
家族揃っての墓参。
雨にも降られず日陰ならひんやりとする、梅雨の小休止。
庭先のアガパンサスが薄紫の首を傾げ、
凛とした容姿で今も慰めてくれる。
49日、一周忌、三回忌と時が経てば心は落ち着き、
少しずつ悲しみも柔らかなものにくるまれていくような気がする。
唐突によみがえる思い出も、
波のように寄せては返し、静かに記憶の砂浜にしみ込んでいく。
あれこれ前準備やら仕度やら、
挨拶に報告にと気忙しく長い一日が過ぎ、ようやく家に落ち着く。
今年最初の月下美人が2輪、ゆっくりと咲きはじめ ていた。
妖艶で秘めやかな香りはいつになくかろやかで、
花びらも心地よげに、夜風にさわさわと揺れていた。(R)