菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

得たなら! 『エターナルズ』(追記あり)

2021年11月07日 00時00分10秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1964回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

 

『エターナルズ』

 

 

人類の危機を古代超人集団が防ごうとするアクション・アドベンチャー。

MCU第26作目。
フェーズ4の3作目。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』の数か月後で『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』、『シャン・チー』の少し後になるそうです。

 

出演は、『クレイジー・リッチ!』のジェンマ・チェン、10年ぶりのアクション作品となるアンジェリーナ・ジョリー、『 ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』のクメイル・ナンジアニ、『ゲーム・オブ・スローンズ』のリチャード・マッデン、これがハリウッドデビューとなる『新感染 ファイナル・エクスプレス』のマ・ドンソク、サルマ・ハエック。

 

監督は、『ノマドランド』、『ザ・ライダー』のクロエ・ジャオ。

 

 

物語。

宇宙原初生命セレスティアルズに命じられ、知的生命体を捕食者ディヴィアンツから守るために集められた兵士たちエターナルズ。
7000年前、新たな知的生命体が生まれた地球に、エイジャックをリーダーとした10人のエターナルズが送り込まれた。
彼らは現在まで、人類を守り、その進歩の手助けをしてきた。それは神話や多くの物語にちりばめられていった。
かなり前にディヴィアンツはエターナルズの手で滅び、あとはセレスティアルズによって任務が解かれ、帰還するのを待つだけだった。
現在、彼らはそれぞれが地球の暮らしを堪能していた。
セルシは考古学者として地球人の彼氏とともに日々を謳歌しており、ともにいるローティーンの容姿のスプライトはそれをうらやましく見ていた。
だが、そんなセルシたちに滅びたはずのディビアンツが攻撃してくる。

原作:ジャック・カービー 『エターナルズ』
原案:ライアン・フィルポ、マシュー・K・フィルポ
脚本:クロエ・ジャオ、パトリック・バーリー、ライアン・フィルポ、マシュー・K・フィルポ

 

 

出演。

ジェンマ・チャン (セルシ)
リチャード・マッデン (イカリス)
リア・マクヒュー (スプライト)
キット・ハリントン (デイン・ウィットマン)

クメイル・ナンジアニ (キンゴ)
ハーリッシュ・パテル (カルーン/キンゴの付き人)

サルマ・ハエック (エイジャック)

アンジェリーナ・ジョリー (セナ)
マ・ドンソク/ドン・リー (ギルガメッシュ)(※ドン・リーはアメリカ名で国籍もアメリカ。マ・ドンソクは実は芸名)

ブライアン・タイリー・ヘンリー (ファストス)
エッセイ・ダニエル・クロス (ジャック)
ハーズ・スレイマン (ベン)

バリー・キオガン (ドルイグ)
ローレン・リドロフ (マッカリ)

アラン・スコット (パトリック)
ハンナ・ドッド (サンドラ)
アドリア・エスクデロ (ディエゴ)
セバスティアン・キャプティン・ヴィヴァロス (ジャノ)
ゼイン・アル=ラフィーア (少年)

ビル・スカルスガルド (ディヴィアンツの声)

 

 

スタッフ。

製作:ケヴィン・ファイギ、ネイト・ムーア
製作総指揮:ルイス・デスポジート、ヴィクトリア・アロンソ、ケヴィン・デラノイ

撮影:ベン・デイヴィス
視覚効果監修:ステファン・セレッティ
プロダクションデザイン:イヴ・スチュワート
衣装デザイン:サミー・シェルドン・ディファー
編集:クレイグ・ウッド、ディラン・ティチェナー
音楽:ラミン・ジャヴァディ
音楽監修:デイヴ・ジョーダン

 

 

『エターナルズ』を鑑賞。
古代から現在の地球、人類を餌にする敵から超人集団が守るアクションアドベンチャー。
MCU第26作でフェーズ4の3作目。
ある使命により7000年人類を捕食生物ディヴィアンツから守ってきた古代超人戦士集団エターナルズが危機を迎えるという神話感。だが、その様はどこか『水滸伝』や『封神演義』的な匂いもしている、いわば西洋武侠SF神話。『シャン・チー』ともその点でどこか通ずるところも。
でも、一言で言えば、超特大豪華な戦隊ものです。『古代戦隊エターナルズ』です。戦隊二つ分です。男5人と女5人だし。
監督はアカデミー賞受賞『ノマドランド』のクロエ・ジャオで、実は日本アニメのファンで、MCUのファンでもあったそう。だからこそ、あまり絡まないこの原作を選んだのかも。好きすぎるとと絡みたくないってあるよね。今作も日本アニメの影響がバシバシにあります。
シナリオはなめらかですが山も谷も低め。要素がちょっと足りない。ほぼラブストーリー。しかも、複雑な二つの関係が全体を覆う。それでも、テーマがずどんと大きく入れてある上に、作家性はセナにがっつり。
ジェンマ・チャンが主役。クメイル・ナンジアニとハーリッシュ・パテルがスパイス。見所はリア・マクヒューなんだけど、エネルギー量が少ない。マ・ドンソク、アンジェリーナ・ジョリーは端ですが、見せ場たっぷり。マ・ドンソクのワンパンぶりはハリウッド映画なんだと思うと感動します。
ただ全体的にシチュエーションはあるけど芝居の見どころは薄め。長く生きてるから薄くなるという設定を活かした可能性もあります。
叙事詩的かつ静謐さを10人で分け合ったためか、ちょっと熱が低い。ここがなぁ、いや、これもこれで嫌いじゃないけど、熱いっぽい感じで熱くないので、少し距離ができる。これ、たぶん音のせいもあります。
だけど画には満足。あの光と色。MCUでも至高の美しい撮影。撮影監督はベン・デイヴィスですが、 オペレーターにクロエ・ジャオの眼ジョシュア・ジェームズ・リチャーズが入っています。
美術も凝りまくりで、スーツだけでもずっと見てられるほど。
アクションも悪くないです。動きに吊られた感がないのも注目。
『DUNE デューン/砂の惑星』、『コヴェナント』と並べて見ると色々見えてきます。
この神話感はややDCEUっぽい、逆に、この熱の低さは珍しいかけ合わせ。これはこれでありです。女性監督が増えるとこういう新しい感覚も増えていきそう。楽しみだわ。
でも、なんといっても長くて広くて高いです。7000年に惑星クラスの出来事ですもの。こりゃ、巨大スクリーンに合います。フルIMAXで見たのだけど、これ通常スクリーンだとどう見えるんだろうか。
そうか、神話と鉱物と植物系モチーフの戦隊ものなんだな。
光でもデザインでも歴史でもラブでもツタのように繋がっていく線作。

 

 

 

おまけ。

原題は、『ETERNALS』。
『エターナルズ』。


2021年の作品。



製作国:アメリカ
上映時間:156分

 

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

 

 

 

〇マーベルMCU:フェーズ4として発表された作品一覧

『ブラック・ウィドウ』(映画)
『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(映画)
『エターナルズ』(映画)
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(映画)

『ワンダヴィジョン』(連続ドラマ)
『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』(連続ドラマ)
『ロキ』(連続ドラマ) (※シーズン2待機中)
『ホークアイ』(連続ドラマ)

『ホワット・イフ...?』(アニメシリーズ)(※シーズン2待機中)


〇映像発表前の待機作。

『ドクター・ストレンジ:イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス』(原題)(映画)
『ソー:ラブ・アンド・サンダー』(原題)(映画)
『ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエバー』(原題)(映画)
『ザ・マーベルズ』(原題)(映画)
『アントマン・アンド・ワスプ:クワントゥマニア』(原題)(映画)
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3』(原題)(映画)
『ファンタスティック・フォー』(原題)(映画)
『ブレイド』(原題)(映画)
『キャプテン・アメリカ4』(仮題)(映画)

『アイアンハート』(原題)(連続ドラマ)
『アーマーウォーズ』(原題)(連続ドラマ)
『シークレット・インベージョン』(原題)(連続ドラマ)
『ムーンナイト』(原題)(連続ドラマ)
『シー・ハルク』(原題)(連続ドラマ)

『アイアムグルート』(原題)(アニメシリーズ)

 

〇予測される作品。
『デッドプール3』(仮題)(映画)
『シャン・チー2』(仮題)(映画)
『エターナルズ2』(仮題)(映画)
『アベンジャーズ5』(仮題)(映画)
『X-MEN』(仮題)(映画)

 

 

 

IMAXカメラが一部で使用されており、フルIMAXで見ると、約1時間ほど画角が広がる。
一部は16mmエクタクロームフィルム(Kodak Ektachrome 100D 7294)でも撮影されている。(スーパー16フォーマットで仕上げ)
MCUで初の2K(1080p)変換ではなく4K(2160p)でマスターが作られている。

画面サイズ。
1.43:1は7分。
1.91:1は67分。
2.39:1は82分

あと、海外では3D上映もあるのね。

 

聴覚障害者の女優ローレン・リドロフが演じるマッカリは、MCUの最初の聴覚障害者のスーパーヒーロー。『サウンド・オブ・メタル』にも出てます。

 

 

 

 

 

 

 

ややネタバレ。

プライムは英語だと強めなのね。
トランスフォーマーもプライムだったしね。

プライムセレスティアルズはアリシャム。
プライムエターナルズがエイジャック。

 

 

ジェンマ・チャンは『キャプテン・マーベル』でミネルバ役としても出ている。

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ。

テナ、イカリス、セルシ、マッカリ、ファストスは、ギリシャの神アテナ、イカルス、キルケー、マーキュリー、ヘファイストス(ヘパイストス)にちなんで、キンゴは金剛神から、ギルガメッシュはメソポタミア神話の英雄譚『ギルガメシュ叙事詩』の半神半人のギルガメッシュ王から。
ティアマットはウミヘビのすがとぉしか怪物の名前からですね。

 

ファストスは、MCU初の同性愛のスーパーヒーロー。(マーベル系作品では『デッドプール2』にいます)
ベン役の方は、実際にカミングアウトしており、レバノン出身のユダヤ人という込み入った出自を持つ方。

 

キンゴ主演・監督の『シャドウハンター3』。『1』と『2』はヒットしたのね。

 

知的生命体のエネルギー=コズミックエネルギーは人口に比例する。
サノスの生命体半分計画はセレスティアルズ・ティアマット覚醒抑制のためのものでもあったと思われる。
実際、地球は指パッチンする頃に、セレスティアル・ティアマットが覚醒するタイミングだったので、数日後には地球は崩壊していた。
あの指パッチンのおかげで覚醒できなかったと言える。

クロエ・ジャオは『ブラック・ウィドウ』の監督をオファーされていた。
のちに『エターナルズ』はどうかとオファーをされる。
まだ、『ノマドランド』は完成していなかった。

クロエ・ジャオは愛車にAKIRAとつけるほどのアニメ好きで、『幽遊白書』の鞍馬ファンだそう。
今作でもセレスティアルズ・ティアマットは『新世紀エヴァンゲリオン』の巨大綾波やリリスへのオマージュではないかと思われる。
映像的には、『エイリアン:コヴェナント』を参考にしたそうです。
セナの動きには、香港系武侠映画のなめらかさ、光撃系にはアニメの動きが入っている。強くするには溜めるとか。
キンゴの攻撃はまんま霊銃だしね。(参考にしているとインタビューでも言ってるそうです)
セレスティアルズ・ティアマットが残り続けるって、『シンゴジラ』っぽいよね。
治癒能力があるやつがいなくなるってのは、『ジョジョ』っぽい。(『ジョジョ』だと最終決戦でよくそうなる)
コーン酒は『君の名は。』ネタを入れたのかどうか。

ただ、『2001年宇宙の旅』を思わせるシーン(ドーモが地球に現れる黒い板モノリス風に登場)もあったり、ドルイグが意識を操作したときに目が白くなるのは、よくある表現で『スカイライン』でもやってましたね。

武侠長期片思いものと言えば、『楽園の瑕』も参考にしたんじゃないのかな。
そういやまだ終極版見てないや。

珍しく、セックスシーンがある。
だが、彼らが生命体ではないので、子供がつくれないということを暗に示しているのかもしれない。

 

クメイル・ナンジアニはパキスタン系なので、インド映画俳優役はどう思ってるんだろう? まぁ、エターナルズは人類じゃないし、枠を取っ払えるという良さはあるか。
そもそも、キンゴは原作では日本の時代劇俳優だったりする。日本人がカンフースターになれるし、韓国俳優が侍役になるのも可能性の拡大だ。
でも、今の日本は時代劇文化は衰退してるからなぁ。(『エターナルズ』の原作は70年代後半に誕生)
ダンスシーンも大したダンスじゃないのがなぁ。

キンゴがパキスタン系になったりするのは今の邦画界から言えば、しょうがないけど、アジア系が3人入った上で、日系が入らないのが、今の日本のエンターテインメントの弱さを示してもいるよね。

だって、広島の核爆弾で人間を見限り、これは過ちだったと謝罪するシーンがあるのにだよ。
アニメファンを公言する中国系の監督なのにだよ。
ジェンマ・チェンは中国系イギリス人。
マ・ドンソクは韓国系アメリカ人。(アメリカでジムのトレーナーやっており、ミュージカル俳優としてデビュー)
クメイル・ナンジアニはパキスタン系。
あと、サルマ・ハエックはメキシコ系。

『シャン・チー』と続けて、アジア系が主役の超大作が作られたと言える。
この2作にメインで日系は出ていない。
もちろん、『エンドゲーム』に日本のシーンがあり、真田広之がアクションを披露をしてはいるし、『マイティ・ソー』では浅野忠信が出てはいるけどね。
メインのヒーローはいない。

 

残念なことに、あれだけ敵になると思われた吸収ディヴィアンツ(クロという名前らしい)はあっけなくセナにやられてしまう。しかも、能力を分け与えられる。
しかし、彼らはどうやって増えるのだろう?
その生態を書けてないのがなぁ。
あれだけ戦ってきて敵の研究をしなかったのか。
レーダーみたいなのはあったけど、あれは生命活動をとらえていて、冬眠を察知できないのか。
デヴィアンツが滅びたのが、500年前なのか5世紀頃なのかよくわからなかった。字幕に出ているのと本当にあってる?
で、そんな前に倒しているのにセレスティアルズと連絡取れるのになんか変だなと誰も思わないのね。まだディヴィアンツがいるんじゃないかとか、またやってくる可能性があるから見張るとか。とりあえず地球に来たのは全滅させたから、次に来るかどうかに備えようということなのか。
エイジャックにセレスティアルズの命令は待てといってるからで数百年待てるのは人口生命体だからか。
まぁ、エイジャックとイカリスは真の目的を知っていたけどさ。
マッカリとか、定期的に調べに行かせないのかね。
彼らは人間の話をするのだが、人間代表がデインとカルーンとジャックとベンであんまり機能していないのがなぁ。身内だけなんだもの。(人間なので身内びいきはあるけど)
もちろん、歴史描写とそれぞれのところを訪問するたびにその生活で都市、少数民族、田舎、結婚生活のバラエティ、エターナルズ自身がそういう配置になっていることで人類を見せてはいるけど、実際はアジアの描写は薄かったり、当たり前の生活(仕事、クラブ、食事など)がエターナルズが人類をなぞっているのだろう。しかし、結局エターナルズにしか見えない。彼らがどうして人間と違うかを見せないと。
これは実は今作は関係やキャラへの愛情ばかりで設定の中にしかなくて、前提の設定への愛情ディヴィアンツやエターナルズ、セレスティアルズそのものへの愛情が薄い。
それはシナリオの構造に出てしまっている。
敵であるディヴィアンツの存在がちょっとした障害に過ぎず、なぜこんなに強いのかとエイジャックの死とセレスティアルズの目的を明かす場所が一緒なのよね。吸収ヴィアンツを殺すのに仲間を集める理由をもうちょっと強めないと目的のための手段になってしまう。吸収ディヴィアンツがエイジャックの力を仲間に分け与えた時、もう一人話せるディヴィアンツが生まれるだけでよかった。そして、傷を治し、お互いの目的を確かめ合うようにうなづき合う。これだけで、伝わるものは多くなったはずだ。
それが2チームに分かれて、セルシとセナ&ギルガメッシュを襲う。ロンドンでセルシは人型の吸収ディヴィアンツが現れ、傷ついた仲間を引き上げて撤収する。
で、あれはなんだというところで仲間集め開始。エイジャックのと子rに行くと死んでいる。
どうやら、エイジャックの能力を奪われたことがわかる。また一人吸収されたら、圧倒的脅威になることを見せる。そして、これはそのままのちのユニマインドの説明にもつながる。
キンゴの後で、セナとギルガメッシュのところに行くと同じように撤退させたことを話せばよい。だが、セナの病気のせいで、連絡を取れなかったとする。
ドルイグのところでの戦闘は、二人のディヴィアンツがいることでインフィニティウォーでの惑星でのサノス戦にサノスの仲間がいる感じなったはずだ。
そこでどうにかディヴィアンツを一人倒せば、残った吸収ディヴィアンツの孤独がより見せられる。
孤独のセナ対孤独の吸収ディヴィアンツの戦いはさらに意味を持つことになる。
吸収ディヴィアンツがユニマインドに協力してもよかったはずだ。知恵を持ったのだから。セレスティアルズが協力するよりも。
ただ、美しい地球の風景を見せられて地球は亡くさないでとは思う。
これはけっこう重要だったと思うなぁ。人間を守ってきたようで、すでに刷り込まれていた感情のズレみたいな感じに見えたのよね。
セナの症状をイカリスやエイジャックは恐れそうな気もするんだけど。どうやら原作ではあの病気は名前もあって、MahdWyry=マハドワイリー、永遠の狂気、エターナルの怒りというらしい。他のメンバーもイカリスがその状態かもと疑わないの?
スプライトは人間に憧れたのか? 成長するだけでよかったのではないか。
ここらが、今作のもっともシナリオが弱い所。
エターナルズは意外とエターナルズにしか興味ないよね。
他にも、ラブストーリーとしてそれぞれの関係(セルシとデインとイカリスとスプライト、セナとギルガメッシュ、ドルイグとマッカリ、ファストスとベン)を描こうとしたことで、6つもの関係があり、その部分で話を広げ過ぎていて冗長さを感じる。
ドクター・ストレンジがこの未曽有の危機を感じ取れないのかと。(もしかすると、デインのくだりは集結中のことで、そちらとかに絡んでいたのかもしれない)
予告編で煽った滅亡まで7日間しかないのを隠すために、イカリスはエイジャックを殺すのだけど、そこがあまりサスペンスになってないのよね。ファストスが急いで、つくらなきゃって困るのはあるけど。セルシで1日目、キンゴとセナとギルガメッシュで2日目、ファストスで3日目、ドルイグで4日目、マッカリで5日目で、準備して6日目、で7日目? 神が世界を作った7日間にかけてあるのだろうけど。まさか『ナウシカ』の火の七日間なのか。
どちらにしろ、あまり効果的ではない。予告編で地球滅d\棒まで7日間を言わなきゃよかった気もするが、それで煽ったんだろうけどさ。
あと、宇宙からの危機を守ってるドクター・ストレンジも地球内部からのは気づきませんでしたってことなのか。
デヴィアンツから人類を守る目的、セレスティアルズ誕生をさせるため、というのをイカリスは従順に守るために行動しているイカリスが正しくもある。
人類側としてはありがとうエイジャック、セルシたちですけどね。


そういえば、ルールを破っても罰がないのよね。
結局、人間を滅ぼすし、記憶を消すからかもしれんけど。
敵対しても許すし。

 

 

エゴはセレスティアルズとなのかどうか……。

ファストスが今回、腕輪(ブレスレット)をつくっていたので、テン・リングス(腕輪)は彼がつくったのか。他の星のエターナルズによるものなのかもしれない。(ファストス製だとデザインの方向が違う気もするが)

ザ・ウォッチは時空をただ見ていただけだが、意外と弱かったので、セレスティアルズより下なのかしら。
出れすてぃあるずがあくまでも一つの世界の神とするなら、時空を渡れるなら、また別の神ってことか。
それを作れる別の神がいる感じはあるが。
一つの宇宙(次元)→多次元→その上?

 

この温度の低さは、デザインから見ても植物的なので、植物系大作の流れが生まれるのかも。

『DUNEデューン』は砂系の乾いた感じ。
映画はどうしても水が重要になり、CGもそちらに力を発揮していったが、ぼちぼちが限界が見えてきた。なので今後はさらに、砂とか粉、煙、霧(雲・蒸気)、破片、群れが主流になりそう。
『ミスト』、『マッドマックス4』、『エンドゲーム』、『DUNEデューン』、『エタナールズ』で確立されてきた。次は、『アバター3』か『4』かな。
水ももちろん、『エバン・オールマイティ』、『パオレーツ・オブ・カリビアン』、『アクアマン』、『シャン・チー』などいろいろ発展しており、『アバター2』は海が舞台なので、そこで革新的表現が生まれるかも。

ただ、『DUNEデューン/砂の惑星』(2021)よりも『ホドロフスキーのDUNE』に似ていたり。

 

MCUにしては、珍しく、西洋映画話法のモチーフを強めに使っている。
機能しているかは別だけど。
それは線。
スーツに光の線、関係性の線、イカリスの光線が涙の線に変わる、ディヴィアンツも線で構成され、ユニマインドはまんま線で繋ぐ、植物も線的に見せる。
逆光で見える光の線もその一つ。
死は線が途切れるわけだ。
それは、ある意味では、光だともいえる。


テンリングスは10の腕輪、エターナルズ10人と来た。
10がMCUでは今後重要な数になるかも。
他の惑星のエターナルズが何かあって、一人一つ腕輪に力を込めて、助けを求めるために知的生命体に贈ったのがテンリングスだったりしてね。

 

キンゴがイカリスを尊敬してるので、最終決戦に参加しないとかの演出が燃えさせてくれないのよね。
あそこは、イカリスを見守って、カルーンが撮影していて、「本当によいのですか?」と問われて、「主役は遅れて登場するものだ」てな感じで参戦するぐらいのことはあってもよかった気がするの。
もしくは、セナのピンチを助けに入るとか。仲間のための復讐者である吸収ディヴィアンツを仲間がいることで倒せるなんてのはどうかしら。

日本のアニメ好きなら、そこの燃えポイントに入れて欲しかったなぁ。
萌えポイントばかりじゃなくて。

 

一応、ディヴィアンツがセレスティアルズの失敗ということでセレスティアルズも完璧ではないということになる。

 

初のDC(スーパーマンとバットマン)ネタが出てきた。アメコミでは出版社の垣根を超えたクロスオーバーもやってるから、それを考えているのかな。
あとスターウォーズネタ(これはスパイダーマンでも出てきたけど)
ディズニーネタ(ピーターパン)が出てきたが、これは原作にも出てきているそうです。(スプライトがピーター・パンのモデル)

 

宇宙規模と地球規模の二つのアベンジャーズ的結集の流れになるのかしら。


海外では評価低いけど、日本だと多神教や連載バトル漫画で見てきた既視感があるので、受け入れやすそう。(娯楽映画としてのシナリオの弱さは絶対的にあるが)
あと、神を扱うといろいろ気を使ってしまうから大変なのかも。
MCUでは、『マイティ・ソー』も評価低いしね。(まぁ、『ダークワールド』はあまり話が面白くないしね)

 

エターナルズは、生体ロボットなのよね。
てことは、記憶消せるってとこが怖いよね。
そこに飲み込まれたイカリス。
最後の太陽に飛び込んでいくのも神話に引きずられる、ある意味で命令に従う性質の流れなのかも。

戦隊ものと書いたけど、その元祖である石ノ森章太郎でいえば、『サイボーグ009』の『神々との闘い編』寄りともいえるなぁ。
今回のアリシェムは一人だし、相手としてはティアマットだから、『エターナルズ:神との闘い編』といったところか。

エターナルズは自分は自由意思のある生命だと思っていたら、みな機械で神のための羊飼いだったと知る。それでも出来がいいから意思はあるけど命令に心は痛むし、葛藤するし、分裂はする。
愛情の濃度もいろいろあるみたい。

セレスティアルズが死ぬのは、『ガーディアン・オブ・ギャラクシー』にセレスティアルズの頭骨が出てきますからね。

 

最後の戦闘のおいら案。
イカリスとスプライトだけでなく、途中でセナが狂気に陥り、ファストスを攻撃してくる。
だが、ドルイグがセナの心を操って、止める。
そこに吸収ディヴィアンツが来て、エターナルズを減らすためにいったんイカリス側につく。ギルガメッシュの声でセナを動かし、ドルイグに傷を負わせる。そこにキンゴが現れ、ドルイグを救う。
セナは吸収ディヴィアンツとキンゴとドルイグを殺そうと近づいてくるが、正気に戻り、吸収ディヴィアンツを殺す。
吸収ディヴィアンツは「俺たちは生きるために食っただけだ」とセレスティアルズと同じであることを言う。
てな感じですかね。

 

元から『エターナルズ2』がないと話はまとまらないと無理とは言われていました。原作が壮大なので。
二部作となるのか三部作となるのか。

現在、セレスティアルズに連れていかれたのは、セルシ、キンゴ、ファストス。(人間となったスプライトは残る)
ドーモで移動中なのは、ドルイグ、セナ、マッカリ。

ポストクレジットシーンに出てきたエロスはサノスの弟で、エターナルズである。(つまり、サノスもエターナルズ)
ピップ(ピップ・ザ・トロール)は従者。
スターフォックスという名でスーパーヒーロー活動を行っている。
ブラックロジャーを倒したと言っていたが、それはなんでしょうね?
エロスはサノスの弟、ってことはエターナルズは生殖機能があるのか?
ユニマインドでできるようになったのか?
それが、セルシの能力と関係してくるのか?

デインの叔父は、ヴィランのブラックナイトで、あの剣はエボニー・ブレイド。
悪魔の呪いのかけられた剣で、人は斬れないけど物は斬れ、使用者に力を与えるが、悪いことに使うと呪いが発動するみたいです。ゆえに「死は褒美」と書いてあった。
魔術絡みなので、ドクター・ストレンジとの絡み多いキャラだそうですよ。
あの剣を引き継いでデインはスーパーヒーローのブラックナイトになる。
スプライトはいるので、デインとスプライトが協力するのか。
最後に声をかけたのは、ブレイドだと発表されました。(マハーシャラ・アリの声ですね)
原作で、ブラックナイトとブレイドは、イギリスのオカルト調査機関MI13のメンバーだそう。
ついに、イギリスを舞台にしたりなど、世界各国のローカルヒーローを盛り上げていくのかも。
『ブラック・ウィドウ』でロシア。
『シャン・チー』が中国。
『ブラック・パンサー』がアフリカ。
で、『ブレイド』でイギリスにするとか。
あと、南米も絶対やるよな。
今回、大地震が起きたこと(『エンドゲーム』でも大きな地震が起きたことが語られている)で、海底が荒れて、海底帝国アトランティスが大変なことになって、ネイモア・ザ・マリナーが出てくるという可能性もありそうです。
実は、『ワカンダ・フォーエバー』に出てくるという噂。(原作でアトランティスはワカンダに攻め入っているそうですよ)

 

 

ちょっと前なら、旅に出ていくところのハッピーエンドで終わらせて(ドーモのところにエロスが来て、え、何が起こったか不明ののままではありそう)、『2』でセレスティアルズが来て、大ピンチにしそうなもんだけど、もはや続きもの、無声映画時代のクリフハンガーも当たり前になっていくのね。
大胆にポストクレジットを変えるというのもあったんじゃないかな。
まずハッピーエンドでエンドクレジットに入る。
最初のキャストのあと、デインとのデートにセレスティアルズが空に浮かび、セルシらを連れていく。デイン驚く。ドーモ内にエロスらが現れ、報告まで。
エンドクレジット後に、デインのエピソード。

 

クロエ・ジャオの作家的テーマは、はみだし者が世界の居場所を見つけるというところがある。
エターナルズも地球で人類からすれば、はみだし者。
そのはみだし者の中で、子供の姿であるスプライト、病気のセナはさらにはみだし者。
じょじょにみなが人間に肩入れしていく中でイカリスははみだし者になる。
そのイカリスに肩入れするキンゴもはみだし者。
もっと言えば、最強捕食者であるはずのディヴィアンツも少数派になればはみだし者となる。

ディヴィアンツが頂点捕食者だと言っておきつつ、セレスティアルズが頂点捕食者でもあったことがわかる。
なぜ、セレスティアルズは自分がつくった機械(植物)生命体に嘘を教える必要があるのか?
長い時間と心の弱さという欠点をもっているからあkもしれないし、そのことでディヴィアンツが馬得たのかもしれないし、やはり反逆者が出ており(サノスやエロスたち、別のエターナルズ)、その対処のためではなかろうか。
実際、病気も、反抗もされるしね。
なにより、その欠点があることに気づいて、ドルイグは人間を人間のままであることを是としたのだろう。

エイジャックたちも、セナと同じように消された多くの記憶を持っているはずだが、ティア的が育たなかったのもあるってことなんだろうな。
10億年に一度と言っていたから、確かビッグバンから130億年ぐらいと言われているので多くても12体ぐらい。(原作だと9体いるらしい)
だから、人間はうまく増えて、今まで一番長く接触し続けたことで、人間への親密さを強く抱いたのかもしれない。

キリスト教徒ではないことも重要。
よくみると、エターナルズはさまざまな宗教の対立にも見える。
クロエ・ジャオは無神教でもある。(アニミズム的である)
今作はもっとも挑戦的ともいえる宗教の多様性も入れこんでいる。
そういう意味では、日本人が入らないものしかたないかも。

集団として、エターナルズでさえも相手を下に見る傾向がある。
エイジャックをリーダーとして見ているので、性別ではないようだが、イカリスは自分をセルシより自分がリーダーに向いておいて、セルシを下に見ている。それは、キンゴがイカリスをボスと呼ぶことにもつながり、それゆえ彼は離脱する。(これにはスプライトの気持ちw汲んでいる部分もあるかもしれない。キンゴはスプライトを尊敬している)
そこにはエゴがあり、なおかつ相手の能力を認めるセナもいる。
そもそもセルシ自身が自分をリーダーの器ではないと思っている。
一部の者はスプライトの容姿で子ども扱いするし、ギルガメッシュの火事姿に違和感を覚えているのも伝わってくる。
ファストスの変わり身の早さもどこかでからかい気味だ。
それがいやでマッカリは一人できままにやっている。
寂しがり屋のドルイグは故郷を守り、相手を尊重(マッカリを一人にするのも、セルシを励ますのも)する。
それは、彼らは人間にとても似ている。(原作では人間もエターナルズもヂヴィアンツも同じ遺伝子からつくられたことになっている)
すなわち、彼らは超人だが人間と変わらない。
これは、超人を人間として描こうとしてきたMCUの基本精神でもある。

親子の話なのはいつものMCUスタイル。

神に神の子が反抗する話でもある。

イカリスがほぼスーパーマンが敵、LGBTやハンディキャップキャラや最後の戦闘に入らない、人間化など、既成概念の刷新がメッセージになっているといえる。
「新しい時代をつくって行くんだ」という意思表示は、巨大娯楽映画でやったことに意味がある。


『エターナルズ』は人類の意識拡大、既成概念をとっぱらって新しい時代をつくって行こうというメッセージが明確で、ニューエイジ思想っぽい。
『DUNE』の原作も当時まさにニューエイジの思想を広げた作品だった。
環境保護や多様性とニューエイジ思想はつながるので、21世紀のニューニューエイジ思想が広まろうとしているのかもしれない。

 

______________________

追記。

指パッチンでエターナルズがなくならないのは、生命体じゃないからだったとしても、さすがにいなくなったかどうかも確認しなかったあのかね?
ただ、エイジャックとイカリスは知っていたのよね。
ということは、セレスティアルズも消えていたのだろうか?

ウォンはテンリングスを追って、シャン・チーのところに現れたよね。
それって、テンリングスの信号をとらえたからよね。
ということは、セルシからアリシェムへの信号はつかまえられなかったのかな?

 

共同脚本のマシュー・K・フィルポのKはカズで日本人のハーフ。
それゆえ、広島のシーンを担当し、あのファストスの後悔のシーンが生まれた。
あのシーンを最後まで本編に残すためにクロエ・ジャオ監督が「本当に戦った」とカズは証言している。
今もアメリカでは、原爆投下正当化論が強い。
ディズニー映画で歴史上の虐殺について言及したのは、稀なことである。

 

『エターナルズ』の映画的多様性とは、現在の世界の映画産業の写し絵。(ネタバレになるが)
つまり、移民の国アメリカのバラエティ、ラテン系の台頭、黒人が生み出したカルチャーの改変、インド映画の血統、韓国映画、中国映画、日本のサブカルチャー、若者文化、大英帝国的価値観の衰退、トラウマと人間化、神を信じるかどう抗うか、敵は己と同起源、爆弾を抱えたまま生きる、そして、その審問は次に持ち越し、答えはいつだって出ない。

 

 

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« つぶやきのまとめ 11/6 | トップ | 決断の結果。 『オキシジェン』 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画(公開映画)」カテゴリの最新記事