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菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

サイコパスからのパスをパスできない。 『死刑にいたる病』

2022年05月24日 00時00分58秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2058回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

『死刑にいたる病』

 

 

 

少年少女24人殺しで死刑判決を受けた殺人鬼から大学生が1件の冤罪調査を頼まれるサイコ・サスペンス。

櫛木理宇の同名小説を映画化。

 

主演は、阿部サダヲと『望み』の岡田健史。

 

監督は、『凶悪』、『孤狼の血』の白石和彌。

 

物語。

三流大学に入り、鬱屈した生活を送る筧井雅也は、思いもよらぬ手紙を受け取る。
それは、24人もの少年少女を殺害した稀代の連続殺人鬼の榛村大和からのもので、雅也は中学時代に彼のパン屋兼カフェに通っていたのだった。
死刑の決まった榛村は、ある殺人だけは冤罪ゆえ真犯人を探してくれと彼に頼んでくる。

原作:櫛木理宇 『死刑にいたる病』(ハヤカワ文庫刊)
脚本:高田亮

 

 

出演。

阿部サダヲ (榛村大和)
岡田健史 (筧井雅也)

中山美穂 (筧井衿子)
鈴木卓爾 (筧井和夫)
赤ペン瀧川 (佐村弁護士)

岩田剛典 (髪の長い男)
宮崎優 (加納灯里)
佐藤玲 (根津かおる)
大下ヒロト (クラタ)
吉澤健 (地元の農夫)
音尾琢真 (滝内)
岩井志麻子 (赤ヤッケの女)
コージ・トクダ (相馬)
神岡実希 (小松美咲)
川島鈴遥 (久保井早苗)
大原由暉 (宮下陸)

山時聡真
竹村浩翔
清水らら
梁軍
濱佑太朗
加藤剛
掛裕登
加賀義也
西岡竜吾
松島さや
小倉優花
峰平朔良
木下美優
丸岡恵
建石姫来
桒原百花
千歳ゆず
汐里実栞
橋本乃衣
三原羽衣

阿曽山大噴火/阿曽さん

 

 

 

スタッフ。

製作:藤本款、小坂恵一、和田佳恵
企画・プロデューサー:深瀬和美
プロデューサー:永井拓郎、堀慎太郎
助監督:渡辺圭太

撮影:池田直矢
照明:舘野秀樹

VFXスーパーバイザー:朝倉怜
撮影効果:実原康之

美術:今村力、新田隆之
装飾:多田明日香
ヘアメイク:有路涼子
衣装:高橋さやか

録音:浦田和治
音響効果:柴崎憲治
音楽:大間々昂

編集:加藤ひとみ

 

 

『死刑にいたる病』を鑑賞。
現代日本、少年少女24人殺しで死刑判決を受けた殺人鬼から大学生が1件の冤罪調査を頼まれるサイコ・サスペンス。
櫛木理宇の同名小説を映画化。
依頼異業種探偵もの。ミステリーでありながら、推理は違う方向へミスリードされ、ズレていくことで、大いなる仕掛けが発動する。
韓国映画のノワールを楽しめている方にもオススメ出来る。
監督の白石和彌は、孤狼として韓国映画に戦いを挑んでいる。
内容的には同監督作の『凶悪』に近いが、実話とフィクションでもあるし、描こうとしているものはまるで違うし、演出にそれが如実に表れている。
自分とどう向き合うかを突きつけてくる。
特に、向き合って話す二人、面会室の間を隔てるアクリル壁、二人の男の共同作業の演出は、『終の信託』、『三度目の殺人』、『バクマン。』、『羊と鋼の森』などからの学びがあり、邦画ならではの狭さからの表現を広げている。こういう継承があることが大事よね。自分と打ち合うスカッシュもね。
内容的には、ある黒沢映画の逸品とも似ている。そして、能條純一の強烈なるカルト漫画を思い出した。
阿部サダヲに役が憑依している。あの眼たるや。岡田健史の人を見下しつつ、鬱屈した感じがたまらない。岡田健史の受けといら立ちはなかなか。宮崎優は発見。佐藤玲の埋没と消私ぶり。中山美穂もイイ。脇も物語に必要なものを提出する。
出演者の多くが美男美女であることで、ダークなフィクションが緩和される。そこによって、強く失われるものも浮かび上がる。
足りない優等生の悲しみと切なさ。
グロテスクさの演出は邦画の中でもトップクラス。見所を言いたくないレベルに上げている。そういった部分は別々に撮影するなど特別の配慮をもって行ったそう。
中盤から、やや娯楽に傾いたときに、少々企みが露呈して、テーマで推し進めてきて、動きが緩慢になる。それでも最後の対決は十分の見応えがある。
ある種のチェイスといった健全なる娯楽要素においての届かなさが邦画の弱さであることを示してしてはいる。『さがす』はここを乗り越えようとしていた。なにがそこを分け入るのか、予算なんだろうなぁ。そこにおいては、B級の韓国映画のそれに届かない。『鬼はさまよう』や『暗数殺人』が似ているというのもあるしな。だが、あとは予算だけなんだとも言える質や志がある。撮影と美術がきちんとしているしね。映像的反転もいいしね。特に撮影の池田直矢はよい仕事をしています。
確実に観後感は人の闇に寄り添わせるものだけど。サイコパスからのパスはパスしたいんだけどね。映画なら大歓迎。
アート系よりも、この手のジャンル映画の層の厚さこそ、その国の映画産業の厚さを示すんよ。
そこがこの映画の心地よさだったりする。
サイコホラーがもつ警鐘がジャンジャン鳴っている。
瞳孔の穴に自己承認の沼がある爪作。

 

 

 

おまけ。

2022年の作品。

 

製作国:日本
上映時間:129分
映倫:PG12

 

配給:クロックワークス  


小説は元は、『アンダードッグ』というタイトルで発売されたが、現在のタイトルに改題して再販し、火がついたとのこと。

 

 

グロシーンで未成年俳優の撮影は、本人と実行為や相手キャストを分けて撮影し、CG合成などで同一化したりして、キャストの精神衛生を守ったそう。
成人キャストに関してはその限りではないようですが。

 

死刑にいたる病 - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画

映画『死刑にいたる病』阿部サダヲ×岡田健史×白石和彌で驚愕のサイコサスペンス映画化 - ファッションプレス

映画『死刑にいたる病』公式 on Twitter:

 

 

 

 

ややネタバレ。

でん汁チューハイはおでん汁で割ったもの。

 

Vol.69 #阿部サダヲ さん 役作りの為に観た映画や共演者との話など楽しい話題が盛りだくさん『死刑にいたる病』|新・伊藤さとりと映画な仲間たち
https://www.youtube.com/watch?v=VKAX_rjcjEQ

 

 

 

 

 

ネタバレ。

描こうとした内容は、黒沢清の逸品『キュア』が近い。

榛村は、人に痛みを与えること、支配することを楽しむ。
近所の農夫が助けてしまうだろうと言ったり、弁護士に会いに行くように言い弁護士は手助けし、面会時間を延ばさせたりしていることから、榛村は周囲の人間をことごとく支配する。
相手を掌握するという点で、『翔丸』(1988頃)を思い出した。
『キュア』(1997)も影響受けていた可能性がある。

ただ、そのせいで、加納灯里が操られているな、と二度目の登場で気づき、雨の中の行動で操られているのがわかる。見ていて、ふと、あれがラストだと予想通りになってしまうなぁ、なにか衝撃的なシーンだといいなぁ、と思ったら、そのままだったので、まっすぐ過ぎる、と思ってしまった。
その先まで行っていただきたかった。原作通りなのかもしれないけど。
分かっていて、その上で雅也は彼女と付き合い続けるとか。
母親も完全に支配と操作されていて、夫を殺すとか。世界観を広げると、冷める可能性もあるから、こっちは難しいか。

 

周りにも、榛村のように相手を支配している人物も出てくる。
雅也の父親、滝内が飯をおごらせる、上司が金山一輝をパワハラする、なども同様の行為。
こここそが、この映画の肝。
あなたの周りにもいるはずだ。
あなたは、操られ、支配されていないか?

 

 

 

 

 

 

 

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