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菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

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いい映画とは? 価値ある映画とは? 『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』

2025年03月23日 14時29分26秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2427回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

 

『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』

 

 

 

絵の中の世界に飛び込んだドラえもんとのび太たちが、不思議な絵のやってきた場所を探る冒険に出るアドベンチャー・アニメ。

TVアニメシリーズ『ドラえもん』の長編映画44作目。『映画ドラえもん』シリーズの45周年記念作品。

 

 

物語。

数十億円の価値があるもののどこから来たか不明の絵画が発見されたというニュースが世間を賑わしていた。
のび太は、パパをモデルに、夏休みの宿題である絵を描いていたが、どうにもうまく描けない。
画家志望だったパパは「上手いだけが、いい絵じゃないよ」というものの、下手な画では笑われてしまうと思うのだった。
ふてくされていたのび太の上に突然、不思議な形の絵が落ちてくる。
ひみつ道具[はいりこみライト]を使い、その絵の中に入り、絵がどこから来たのかを探っていたら、変わった眼の色の少女クレアと出会う。
のび太たちは、彼女の頼みを受けて、彼女の故郷である<アートリア公国>を目指す。

 

監督は、『映画ドラえもん のび太の新魔界大冒険 7人の魔法使い』の寺本幸代。
脚本は、テレビアニメシリーズ『ドラえもん』の脚本を数多く手がけ、映画版はこれが初参加となる伊藤公志。

レギュラーキャストに加え、和多田美咲、種崎敦美、久野美咲。
ゲストに、俳優の鈴鹿央士、タレントの藤本美貴、お笑いコンビ<サンドウィッチマン>の二人。

主題歌は、あいみょんが手がけた。

 

 

おいら、映画の原初の記憶が、映画『ドラえもん のび太の宇宙開拓史』なのです。
その前にも5歳で友達と二人きりで<東映まんが祭り>を映画館で見て補導されたり(当時その映画館は幼児無料だったんです)したのですが、記憶がまるでないものでね。(同年1981年の『ドラえもん ぼく、桃太郎のなんなのさ』(長編映画『21エモン 宇宙へいらっしゃい』の併映作品)は連れて行ってもらえなかったことをいまだにちょっと恨んでいたり。見たかったのは『21エモン』の方ですが)
実は、誕生日3月なんどえ『ドラえもん』の映画を見に行くのが誕生日プレゼントだったのですね。
藤子作品の実写化を夢見るも、実現はまだしていないのですが、企画を持ち込んだ縁で、うっすらと<映画ドラえもん>のお仕事を藤子プロとしたことがあったりします。
というわけで、<映画ドラえもん>はほとんど映画館で見てます。自分による誕生日プレゼントという感じの恒例行事として。
前置きが長くなりました。
今作は、かなり<映画ドラえもん>を研究しており、シリーズの一本として、よくできています。
最近のレギュラーシリーズを描いている脚本家の伊藤公志の初の映画脚本として素晴らしい仕事をしています。
<映画ドラえもん>をほぼ全部見てきた点から、<映画ドラえもん>は世界パターンが6つあります。
1,過去(恐竜時代、昔の中国など)
2,実際に存在する世界(南極、アフリカなど)
3,宇宙(重力が弱い星、動物星など)
4,架空世界(海底の国、地下の竜人世界など)
5,道具でつくった世界(ゲーム世界、魔法世界など)
6,未来(未来図書館、巨大乗り物など)
そして、この複合パターンが王道になりつつありますが、今作は5と2と1の3つ複合型にし、道具の力を前提していないのとしているのが混ざる珍しいパターンになっています。
この道具の力を前提にすると、実はかなり丁寧にやらないと物理法則が分からなくなることがあるんですよね。海底世界にいるためには道具の力で気圧の深い水中の法則に従うはずだが、そこは微妙にぼかされる。今作もそれがちょっとありますが、それを逆にうまく取り入れている。これも珍しい。
今作は、もともと絵であるドラえもんが絵の中に入ると劇中でメタ認知が起きる。つまり、ドラえもんたちを高次元存在して、劇中の二次元世界を相互に異次元認知し合う。
しかし、劇外の現実世界の観客側は、劇中の絵もドラえもんたちも絵であると知っているので、そこの差異を細かく判別できない。(劇内では、絵の質により、表現され方が違うことにより、分からないことになっている)
今作は、対比がうまく配置されている。
途中の困難では現実的な権力による文化の危機と生命の危機が描かれるが、クライマックスの危機はあえてフィクションの危機にして、物語を見る子供たちへの配慮がある。
フィクションと現実の対比が映画全体にある。
それは、テーマの価値のある絵画といい絵画は違うという点でも示されている。
タイトルの「絵世界」も「絵」と「世界」の二つの対比があるともとれる。テーマに「創造の絵画世界」と「評価の絵画世界」があるしね。
この対比による要素を入れながら、どんどん展開し褪せていく。
これ、子供を飽きさせまいと、道具もどんどん使って、どんどん展開していくのよね。それはかなり珍しい始まり方からもわかる。そこに、
その上、ドラえもん的なものを使った伏線が張られており、それが気持ちよく回収されていく。
そして、今作は、これまでのドラえもんの歴史、特に漫画の設定を取り入れているのもよいのです。(前作『のび太の地球交響楽』はアニメ表現は良かったのに、この点で非常に気になったのよね)
パパの画家志望とか、かつての道具の応用とかね。
今作では、アニメ的な面白さは動きの方ではなく、パロディと色によって表現されている。
アニメーションは命を与えるという意味がある。
なにより、誰かが誰かを思う、その思いの力を具現化しているところがいい。
なにしろ、悪の思いさえ具現化する。
アニメの強い力はなんにでも命を与えられること。
今作は、そのアニメの根源とも向き合っている。
何がアニメに命を与えるのか、と。
それは何か。
今作のつくり手は、子供たちへのそれを今作に塗り込めた。
それは誇らしい仕事だったろう。
それをこめること。
それがこもること。
「あい」の次には「いい」がくる一本。



 

製作年:2025年
製作国:日本
上映時間:105分
映倫:G

 

スタッフ。

監督:寺本幸代
原作:藤子・F・不二雄
脚本:伊藤公志
キャラクターデザイン:山下晃
美術監督:友澤優帆
主題歌/挿入歌:あいみょん 『スケッチ』/『君の夢を聞きながら、僕は笑えるアイデアを!』

配給:東宝

 

 

声の出演。

ドラえもん  (水田わさび)
のび太  (大原めぐみ)
しずか  (かかずゆみ)
ジャイアン  (木村昴)
スネ夫  (関智一)

クレア  (和多田美咲)
マイロ  (種崎敦美)
チャイ  (久野美咲)
パル  (鈴鹿央士)
アートリア王妃  (藤本美貴)
アートリア王  (伊達みきお(サンドウィッチマン))
美術評論家 (富澤たけし(サンドウィッチマン))

 

 

映画ドラえもん のび太の絵世界物語|

映画ドラえもん のび太の絵世界物語のフォトギャラリー画像(11/12)|MOVIE WALKER PRESS 映画

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