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菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

虚構は現実の合わせ鏡。 『Ayneh』(『鏡』(1997)

2025年03月07日 13時25分26秒 | 俺は好きなんだよ!

【俺は好きなんだよ】第1873回

 

『Ayneh』(『鏡』)(1997)

 

 

90年代イランで幼児が一人でバスで帰路につくが、撮影隊を巻き込んだ事件が起きるサスペンス・ドラマ。

 

1997年のロカルノ映画祭で、グランプリを受賞。

 

 

 

物語。

90年代イラン、テヘラン。
小学校一年生の6歳の少女バハランは、左手をケガして、ギプスをして、不自由。
毎日親の車で学校への送り迎えをしてもらっているが、なんでか、今日は、親に急用が出来たらしく、いつまで経っても迎えに来ない。
そこで、バハランはバイクでバス停まで送ってもらい、初めてバスで一人で家へ帰ることにする。
果たして彼女は無事に家にたどり着けるのだろうか。
しかし、そこで事件が発生する。

 

 

監督・脚本は、『これは映画ではない』『人生タクシー』『白い風船』のジャファル・パナヒ。
自身の脚本による長編第2作。(第1作は、師匠のアッバス・キアロスタミ脚本作だった)

 

主演は、ミナ・モハマドカーニ。『白い風船』の主演のアイーダ・モハマダカーニの妹。

 

 

 

映画史に残るチャレンジを行った傑作。
幼児の初の一人での帰宅(学校と家がそこそこ遠い)を描くはじめてのお遣い的趣向のお話なのだが、その先にアッと驚く展開が待っている。
エブラヒム・フルゼシュの児童映画の傑作『鍵』同様、子供の視点に立つことで、ふりかかかる(大人にとっては)些細な出来事を、サスペンスフルな大冒険として描く。
それは、二つの大冒険となっていく。

日本で見るのが非常に難しいのだが、英語字幕版が配信されていたので、英語字幕を無理やり日本語翻訳しながら鑑賞。

驚きの展開とは、物語中盤、突然バハラン役のミナは「もう嫌だ!」と撮影を中断させ、衣裳を脱ぎ、役を降り、バスを降りて、自力で自宅に向かってしまうのだ。
慌てた撮影チームは、彼女を車から撮影し、まだついているピンマイクで音声を拾って、彼女の動向を追い続けるのだ。
つまり、後半は、バハランからミナに戻った少女を追う撮影チームも登場人物となりドキュメンタリー化する。
いや、本当にこれはドキュメンタリーなのか?
そう、これは映画というものの本質を突きつけてくる映画。
パナヒの師匠は、アッバス・キアロスタミで、かr寧も現実と映画が融合する『クローズアップ』というドキュメンタリーで再現ドラマなどがあり、ドキュメンタリーとフィクションの壁を取り払った作品をいくつも作ってきた映画の革命者でもあるが、弟子がそれをさらに推し進めた。
『人生タクシー』ともつながっていく手法となっている。
リモートのピンマイクがつけっぱなしで、カメラは被写体から離れているので、カメラの映像と、離れた場所の音声が載るときのサスペンスがたまりません。
テヘランの町を見る楽しみもある、その生活感も素晴らしい。
これぞ、映画でしかできない映画という一本。

 

 

 

原題:『Ayneh』(『鏡』)
英語題:『The Mirror』(『鏡』)

シネフィルイマジカ放映題は、『鏡の国のミナ』。

 

制作年:1997年
上映時間:90分
製作国:イラン

 

スタッフ。 

監督・脚本・編集:ジャファル・パナヒ

撮影:ファザド・ジャダット
録音:モハンマド・レザ・デルパック、ヤドラ・ナジャフィ
音響:アリ・ノウリ

 

 

出演。

ミナ・モハマドカーニ (バハラン/ミナ)
カザム・モデヒ
ナサール・オムニ


 

Ayneh (1997) Iranian movie poster

The Mirror (1997) - IMDb

IRANIAN MOVIES - YouTube

 

 

 

 

 

 

ネタバレ。

すべて、フィクションで、すべて演出である。
それにより、現実と虚構とはなにかについて、考えてもらうのが狙い。
ミナは、それを離して、理解して、ぜひ出たいと言う意思を持って、出演を本人が決めたとのこと。
彼女は非常に聡明で、姉の映画出演を見て、現場にも行っていて、チームと知り合いだったことも大きいようだ。

 

 

 

 

 

 

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