で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2269回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『探偵マーロウ』
探偵が謎の女性から死んだ愛人を探して欲しいと依頼されるハードボイルド・ミステリー。
レイモンド・チャンドラーの名作『ロング・グッドバイ』の公認続編として、ジョン・バンヴィルがベンジャミン・ブラック名義で発表した小説『黒い瞳のブロンド』を映画化。
私立探偵フィリップ・マーロウにリーアム・ニーソン。
共演は、ダイアン・クルーガー、ジェシカ・ラング、ダニー・ヒューストン、アラン・カミング。
監督は、『モナリザ』、『クライング・ゲーム』のニール・ジョーダン。
物語。
1939年、ロサンジェルス。
ある日、中年の後期をとなった私立探偵フィリップ・マーロウの事務所にブロンド美女のクレアが現れ、“突然姿を消した愛人を探してほしい”と依頼する。
早速調査を開始したマーロウは、映画業界で働いていたその男が、すでにひき逃げ事故で殺されていた事実を突き止める。
しかし、クレアはその報告を受け入れない。
彼女は死んだ男を探して欲しいと言うのだ。
そんなマーロウの前に、やがてハリウッドの闇が大きく立ちはだかる。
原作:ベンジャミン・ブラック 『黒い瞳のブロンド』(早川書房刊)
脚本:ウィリアム・モナハン、ニール・ジョーダン
出演。
リーアム・ニーソン (フィリップ・マーロウ)
ダイアン・クルーガー (クレア・キャヴェンディッシュ)
ジェシカ・ラング (ドロシー・クインキャノン)
アドウェール・アキノエ=アグバエ (セドリック)
イアン・ハート (ジョー・グリーン)
コルム・ミーニイ (バーニー・オールズ)
ダニエラ・メルキオール (リン・ピーターソン)
フランソワ・アルノー (ニコ・ピーターソン)
ショーナ・カースレイク
ダニー・ヒューストン (フロイド・ハドソン)
アラン・カミング (ルー・ヘンドリックス)
スタッフ。
製作:アラン・モロニー、ゲイリー・レヴィンソン、マーク・ファサーノ、ビリー・ハインズ、フィリップ・キム、パトリック・ヒブラー、ヴィクター・ハディダ、コレッテ・アギラルキャスティング:ダニエル・ハバード
撮影:シャビ・ヒメネス
プロダクションデザイン:ジョン・ビアード
衣装デザイン:ベッツィ・ハイマン
編集:ミック・マホン
音楽:デヴィッド・ホームズ
『探偵マーロウ』を鑑賞。
30年代アメリカ、探偵が謎の女から死んだ愛人探しを依頼されるハードボイルド・ミステリー。
レイモンド・チャンドラーの死後、ベンジャミン・ブラックが公認で書いた小説『黒い瞳のブロンド』の実写映画化。
しっかり、捜査をして行き、情報と人間関係のミステリー展開が好き者の楽しみ。
チャンドラーの原作と考えると年齢が上げられ(今作の原作よりも上げられている)て、中年の終わりを迎えた足で稼ぐ元刑事の探偵が支配階級の闇に踏み込んでいく。
何度も映画化された私立探偵フィリップ・マーロウをリーアム・ニーソン。
リーアム・ニーソンがやったことで、肉体派になって、ややフィリップ・マーロウ感は薄れた。だが、あえて、続きという発想で考えると、体を鍛えたのかという別の物語を想像する。
その空気感のつくり方がさすがのスター力。
ダイアン・クルーガーのファム・ファタールの先に踏み込む熟女の生々しさ、ジェシカ・ラングの老女のささくれの臭み。平行線をたどる母娘の恐ろしさ。アラン・カミングの優男のギャングの怖さが際立つ。
監督はニール・ジョーダンで、職人仕事。
スペインとアイルランドでセットを当時のアメリカのセットを組んだから出たであろう濃縮された雰囲気がよい。
『バビロン』の裏の裏。当時のハリウッドの病み。
フィルムノワールの黒さをストーリーに組みこんでいて、後半の黒さとどんでん返しに、定番ながら、グッとくる。この後半を見るための定番といえる。
インディ・ジョーンズのおゆなエルダーアクションなはずだが、リーアム・ニーソンなので、腕力が先立つ。
80年代のドラマのアクション化したジャンルの佳作を見たような気分。こういう定番感は好みです。
権力のしっぽを追う車作。
おまけ。
原題は、『MARLOWE』。
『マーロウ』。
2022年の作品。
製作国:アイルランド / スペイン / フランス
上映時間:109分
映倫:PG12
配給:STAR CHANNEL MOVIES
ややネタバレ。
原作の『黒い瞳のブロンド』は、『長いお別れ』の続編という形で書かれている。