菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

喧嘩少女、拳の力を知る。  『ブルドーザー少女』

2023年08月08日 10時00分45秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2285回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

 


『ブルドーザー少女』

 

 

 

親不孝な不良少女が父の事故の事情で社会と向き合うサスペンス・ドラマ。

 

監督と脚本は、今作がデビューとなる、パク・イウン。

主演は、『殺人鬼から逃げる夜』などのキム・ヘユン。

 

 

物語。

現代韓国。
ヘヨンは10代。
母が死に、重機運転者の父は競馬中毒になるなど壊れ、幼い弟ヨンスの面倒をみて、過ごす。
ヘヨンは高校にも行けず、すさんだ彼女は左腕にタトゥーを入れ、世に拳で対抗しようとした。

それから数年が経ち、父は料理店を開き、真面目に働いていたが、ヘヨンはまた暴力沙汰を起こす。彼女は逮捕され、その罰として、社会奉仕活動と職業訓練を受けることになる。それを彼女は重機の運転を選ぶ。
ある日、父が窃盗車で事故を起こし、意識不明の重体となる。その上、被害者から治療費などを請求されてしまう。
彼女は数日前に金のことで揉めていたことを思い出す。


 

 

出演。

キム・ヘユン    (ヘヨン)

パク・ヒョックォン (ポンジン/ヘヨンの父)
パク・シウ     (へジョク/弟)
オ・マンソク    (チェ・ヨンファン/会長)

キム・ウンソク   (ヨンス/叔父)
ヤン・ソミン    (叔母)
キム・チェリン   (中学生ヘヨン)
ヤン・ジュンミョン (職業訓練校の講師)
ノ・スサンナ    (ウンジン/受付)

カン・ジョンイム  (判事)
チェ・ソンヒ    (学生)
ク・ダソン    (学生)
シン・ヨギョン   (学生)
ソン・ジョンイン  (チャンポン店 学生たち)
キム・ハヨン    (チャンポン店 学生たち)
カン・チョウォン  (チャンポン店 学生たち)
キム・テフン    (チャンポン店 学生たち)
イ・ジョンソク   (チャンポン店 学生たち)
チェ・ソルフィ   (チャンポン店 学生たち)
チェ・ジノ    (チャンポン店 学生たち)
ファン・チャヨン  (病院 収納職員)
オ・ヒョンギョン  (薬剤師)
ヤン・ジュンミョン (講師)
イェソン     (コ・ユソク警衛)
ヤン・ミソン    (ニューヨークバーガー 店長)
ソン・ファリョン  (看護師)
チェ・ソジン    (看護師)
カン・ジョンウ   (キム・イニョン代理)

 

 

スタッフ。

PD:アン・ビョンレ
助監督:イ・ジェホ
撮影:チン・ヒョヌ
照明:イ・チョロ
美術:イ・ヒジョン(スタジオラルラ)
武術:ソン・ウォンジョン(ソウルアクションスクール)

編集:ハン・ヨンギュ、アン・ヒョンゴン (TIMELINE)
音楽:イ・ジュノ (Casker)

 

 

 

『ブルドーザー少女』を鑑賞。
現代韓国、喧嘩っぱやい不良少女が父の事故の事情で社会と向き合うサスペンス・ドラマ
リアル女学生アクション、探偵もの、家族ドラマ、感情爆発反撃といくつかのジャンルを集めたミクスチャー・ドラマ。
それをまとめ上げる、少女の過去と決意の直喩でありメタファーであるタトゥーがすべてに芯を通す。それは、『もののけ姫』のタタリ神の呪いを腕に刻んだアシタカとも通ずる。タトゥーと書くか、入れ墨と書くか、刺青と書くか。見て浮かぶぞぞわがあなたを規定する。
世に拳で挑む少女ヘヨンを、『殺人者の記憶法』のキム・ヘユン。獣ぶりとふてぶてしさよき面構え。父役のパク・ヒョックォンのジャストのダメさのはまりぶり。オ・マンソクのベタながら堂々たる小物悪役ぶりをきっちり。パク・シウの健気さは、まさに韓国子役の質の高さを見せつける。
役者、題材、描写と韓国映画の定番のいい要素がしっかりと組み込まれている。
監督と脚本は、今作がデビューとなる、パク・イウン。きっちり腕でモチーフ演出を通すあたり、なかなか知的な作家である。それに、もう一つあるしね。そして、ゆるく逃げない痛みを描くのが実にいい。
低予算作品ながら、最後のクライマックスはちゃんとタイトル『ブルドーザー少女』から想像され、期待することが起こります。ああ、このシーンが見たかった、ってのが来ます。映画はこうでなくっちゃ。予算は関係ない、画で見せてくれようとすること、送り手がそれに向かっていてくれること、その信用、それが予告や宣伝だけで映画に行く理由になる。
今の韓国映画には、それがあるんです。
苦いです。それは現実の味。中途半端ないい人は出てきません。駄でチープな感傷とは無縁のリアルなハードボイルド。
主人公が腕のタトゥーを隠すたび、そこからはみ出るものを見るたび、画面に抱えたものが溢れ出る。
この映画はずっと叫んでいる。
不器用にしか生きられない。自分を傷つけることでしか愛を見せられない。
力、それは暴力、権力、正義、自己犠牲、姉弟愛、親子愛。
痛みは消える、でも傷は残る、けれど生還の誇りにもなる痕作。




 

おまけ。

原題は、『불도저에 탄 소녀』。
英語題は、『The Girl on a Bulldozer』。
『ブルドーザーに乗った少女』。

 

2022年の作品。

 

製作国:韓国
上映時間:113分
映倫:G

 

配給:アットエンタテインメント

 

受賞歴。

2022年の第58回 大鐘賞映画祭にて、新人監督賞、新人女優賞(キム・ヘユン)を受賞。

 

 

新宿シネマカリテの特集企画<カリコレ2023/カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2023>(2023年7月14日~8月10日、新宿シネマカリテ)上映作品。

 

日本版のキャッチコピーには、ジャンルもの的な角度で客を呼ぼうという意図が見える。確かに、その部分もあるけどね。

ブルドーザー少女 : 作品情報 - 映画.com

韓国映画『ブルドーザー少女 』あらすじ感想と評価解説。キャストのキム・ヘユンが演技力を魅せた“大人になる”ことへの不安と決断に刮目せよ|大阪アジアン映画祭2022見聞録1

ブルドーザーに乗った少女」いつ公開なんじゃろ? : ぐわぐわの韓流まっしぐら~

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ネタバレ。

キム・ヘユンは、26歳ぐらいなので、老けた10代という感じで、やや年齢に混乱する。
入れ墨に、重機の運転、アクションと実際に10代では演じられない役ですしね。

 

モチーフ演出は、ます腕。
腕は、拳、火傷、被害者の怪我、運転三種(重機、車、デリバリー)、料理と包丁、握手、それはそのまま腕で生きていくことを示す。
そして、もう一つ。
入れ墨、

 

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