菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

何かが溜まって、底が抜ける。  『ガッデム 阿修羅』

2023年06月19日 00時00分41秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2260回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

 

 


『ガッデム 阿修羅』

 

 

 

ある惨たらしい事件で交錯する人々の鬱屈した運命を描き出す社会派サスペンス・ドラマ。

実際の事件をモチーフに描き、台湾で高い評価を得て、話題となった。

アカデミー賞国際長編映画賞の台湾代表作品。

 

出演は、『先に愛した人』のホァン・シェンチョウ、『親愛なる君へ』のモー・ズーイー、ホァン・ペイジァ、パン・ガンダー、ワン・ユーシュエン、ライ・ハオジャ。

監督は、ロウ・イーアン。

 

 

物語。

現代台湾。
18歳の青年ジャン・ウェンは、高校を卒業したら海外留学することを父親に突きつけられていた。
一緒に漫画を描いている親友アーシンはどうにかして留学をやめてほしい。
不良少女リンリンは耳の悪い母と二人暮らしで、貧乏暮らしで、やばいバイトに手を出す。

シャオセンはあるゲームの人気プレーヤーとして活躍していたが、実生活では平凡な公務員だった。
その婚約者ビータは仕事に追われ、2人の間にはすれ違いが生じていた。

記者メイ・ジュンズは、リンリンの住む団地の問題を記事にしようとしていた。

彼らと彼らの周囲を巻き込む大事件が起きる。


脚本:ロウ・イーアン、チェン・シンイン

 

 

 

出演。

ホァン・シェンチョウ (ジャン・ウェン)
パン・ガンダー (アーシン)

モー・ズーイー (メイン・ジュンズ/バイ菌/記者)

ワン・ユーシュエン (リンリン/ゼロ)
ウィニー/チャン・シーイン (リンリンの母)

ホァン・ペイジァ (ビータ)
ライ・ハオジャ (シャオセン/フーシン/シャイン)

ディン・ニン (ウェンのママ)
シ・イーシウ (ウェンのパパ)

ザッカリー・チャン (アーシンの相手)

 

 

スタッフ。

製作:チェン・イエンハン
製作総指揮:ガオ・ジュンティン、シュー・グォルン、ワン・シンホン

撮影:ヤン・フォンミン

編集:Hsiao-Tong Chen、Singing Chen、Yi-an Lou
音楽:Dino Chun、Flow、Chia-Wei Hsu、Chia Ying Tsai

 

 

 

『ガッデム 阿修羅』を鑑賞。
現代台湾、ある事件で交錯する人々の鬱屈した運命を描く社会派サスペンス。
実際の事件を基にフィクションにして映画化。
青春群像劇は歴史的にも台湾と香港と中国映画界が一つ頭抜けている。最近では『青春弑恋』なんてのもあった。その台湾で高い評価を得て、話題となった。アカデミー賞国際長編映画賞の台湾代表作品。
監督はロウ・イーアン。なかなかの凝った演出で若々しさと漫画や動画を差し込む現代性のある縦横無尽な多彩さで、重いドラマに軽やかな味わいと仏教的メッセージを加えている。ささやかなハッピー描写が眩しいが、その晴れをすぐに曇と雨が覆う。
三章立てで、かなり珍しい展開させた脚本はロウ・イーアン、チェン・シンイン。
音の使い方も技ありで、あのパスンパスンの恐ろしさ。音楽もあえてイライラさせたり、ムードを絶妙に味付けする。やばいシーンもけっこうしっかと描写します。そこの見せ方もまたいいのよね。
撮影も、画調は硬めながら、カメラワークは柔らかという、アジアンな味わいがいい。
出演は、『先に愛した人』のホァン・シェンチョウ、『親愛なる君へ』のモー・ズーイー、ホァン・ペイジァ、パン・ガンダー、ワン・ユーシュエン、ライ・ハオジャ。
群像劇なので、それぞれを追うが、それぞれに味のある演技をしている。短いシーンに心情を溢れ出させているのが素晴らしい。裏表があり、章によって、違う面を見せるので、その通し方もお見事。特に注目は、ワン・ユーシュエンとチャン・シーインの母娘。そのリアルな関係の描写は、鉄の綿が押しつぶされるが如し。ホァン・ペイジァとライ・ハオジャのカップルの多面性も実にピリピリしていてよき。脇も脇の警察の動きとかもホントいいのよ。こういう演出観ると、その映画界のリッチさとスタッフキャストがちゃんと映画に向き合ってるんだなと嬉しくなります。
見ていて、息苦しくなるほどのパワーがある。
それに見合う、英語題(『GODDAMNED ASURA』)をそのまま起こした邦題が目に残る。(最初『『阿修羅/アシュラ』だったらしいので、今の邦題は英断ですぜ)
まさかの第三章は、ドンデン返しじゃないけど、胃がひっくり返ります。
檻を出て、檻に戻る犬作。

 

 

 

おまけ。

原題は、『該死的阿修羅』。
『死んでいる阿修羅』。
英語題は、『GODDAMNED ASURA』。

 

阿修羅は、修羅道の意かと。
修羅道は、仏教における六道の一つ。

六道(ろくどう、りくどう、梵: ṣaḍ-gati)
仏教において、衆生がその業の結果として輪廻転生する6種の世界(あるいは境涯)のこと。六趣、六界とも。 gati は「行くこと」「道」が原意で、「道」「趣」と漢訳される。(Wikiより)

修羅道は、阿修羅が住み、終始戦い争うため、苦しみと怒りが絶えない世界。

このタイトルの意味は、「戦いと怒りの世界よ、クソくらえ」、「終わっている、この戦いと怒りの世界」ってとこですかね。

他の五道。
・天道(てんどう、天上道、天界道とも):天人が住まう天上の世界。天人は空を飛ぶことができ、享楽のうちに生涯を過ごす
・人間道(にんげんどう):人間が住む世界。四苦八苦に悩まされる。
・畜生道(ちくしょうどう):鳥・獣・虫など畜生の世界。種類は約34億種で、苦しみを受けて死ぬ。地表の世界。
・餓鬼道(がきどう):餓鬼の世界。食べても食べても飢え続ける腹が出っ張った鬼になる。
・地獄道(じごくどう):罪を償わせるための世界。地下の世界。
修羅道を外して五道とする場合もある。

 

2021年の作品。

 


製作国:台湾
上映時間:114分
映倫:PG12

 

配給:ライツキューブ  
 

 

 

受賞歴。

2021年の金馬映画祭にて、最優秀助演女優賞(ワン・ユーシュエン)を受賞。
2022年の台北映画祭にて、最優秀脚本賞、最優秀助演女優賞 (ワン・ユーシュエン)、最優秀サウンドトラック賞を受賞。

他に、数多くのノミネートを果たしている。

 

 

 

ガッデム阿修羅 : 作品情報 - 映画.com

台湾映画『該死的阿修羅』正式ポスターと予告編発表!: アジアンパラダイス

博客來-該死的阿修羅(藍光BD)

該死的阿修羅GODDAMNED ASURA - ·#角色海報︙#琳琳/ 王渝萱飾· ❍ 吃藥?沒有在吃啦!我只有在賣。  琳琳在片中是位住在即將被都更的舊大廈裡的小太妹,在虛擬世界的遊戲「王者世界」裡,是盜用網美照誘惑國王給予寶物的皇后,而現實生活她是位數學天才。  夜市殺人案當天 ...

 

該死的阿修羅- 維基百科,自由的百科全書

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ネタバレ。

音楽が繰り返しとうるさいので、イライラを表現しているのだろう。
観客を巻き込むか、快適に見せるか。

 

リンリンに母が瓶をぶつけるショットの衝撃。

 

台詞での数字が彼らの追い込まれている感じを表現している。
団地は新しい棟を巡ってもめているし、騙した盗ったお金の額が何度も出てくるし、時間を示す数字も繰り返される。

リンリンはゼロと自分を名乗るし、ウェンは自分の漫画の主人公の名を零にしている。
漫画のタイトルは、『怒れる零(ゼロ)』。

 

ガラスというか隔てるものはシンボルとして出てくる。
画面越し、檻、ショーウィンドウ、屋上の柵、壁やドア……。

 

第三章は、もう一つの世界線を描く。
それでもどこかで悲劇は起こる。
ちょっとしたタイミングの違いで。
だから、そのタイミングを今、乗り越えられている今、あなたの今を讃えよ。

 

 

 

 

 

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