で、ロードショーでは、どうでしょう？ 第１０１８回。
「なんか最近面白い映画観た？」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『ドント・ブリーズ』
リメイク版『死霊のはらわた』のフェデ・アルバレス監督が再びサム・ライミ製作の下で撮り上げた戦慄のサスペンス・スリラー。
盲目の老人の家に盗みに入った若者３人が、思わぬ反撃に遭い、逃げ道を塞がれた真っ暗闇の家の中で想像を絶する恐怖に見舞われるさまを緊張感あふれる筆致で描き出す。
出演は、若者３人にリメイク版の『死霊のはらわた』の主演のジェーン・レヴィ、『プリズナーズ』のディラン・ミネット、『イット・フォローズ』のダニエル・ゾヴァット。
彼らを恐怖のどん底に突き落とす盲目の老人に『アバター』の大佐のスティーヴン・ラング。
物語。
長引く不況ですっかり荒廃した街デトロイト。
10代の少女ロッキーは、自堕落な親を見限り、妹を連れてここを出て行こうと考えていた。
そのためにまとまった金を必要としていた彼女と恋人のマニーとその悪友アレックスは妙に節度ある盗みを働き続けていた。
だが、小さな窃盗は数をこなさなければならないため、危険の確率も上がる。
そこに、マニーのおじから、とある強盗話を持ちかけられる。
そのターゲットは、孤独な盲目の老人で、娘を事故で失った彼は、賠償で得た大金を自宅に隠し持っているというのだった。
調べると、住居はデトロイトの荒廃した地区にあり、周囲数ブロックは廃墟のようになっていた。
懸念は、家に老人がいることと番犬だけ。それも眠り薬を入手して、犬も眠らせ、盲目の老人も眠らせる。
さぁ、あとは探すだけ･･･のはずだった。
たった一つの計算違いは、この老人が曲者だったこと･･･。
脚本は、フェデ・アルバレスとロド・サヤゲス。
出演。
ジェーン・レヴィが、ロッキー。
彼女の独特の魅力が出てます。
ディラン・ミネットが、お坊ちゃんのアレックス。
ダニエル・ゾヴァットが、ロッキーの恋人のマニー（字幕だとマネーになってますね。）
スティーヴン・ラングが、盲目の老人。
こういう役、リアルをはみ出したフィクションの魅力を担う役こそ、説得力、技術がいるのです。
スタッフ。
製作は、サム・ライミ、ロブ・タパート、フェデ・アルバレス。
製作総指揮は、ネイサン・カヘイン、ジョー・ドレイク、エリン・ウェスターマン、Ｊ・Ｒ・ヤング、マシュー・ハート。
撮影は、ペドロ・ルケ。
暗闇、狭さの画面に今後流行りそうな方向性を示しています。
プロダクションデザインは、ネイマン・マーシャル。
衣装デザインは、カルロス・ロサリオ。
編集は、エリック・Ｌ・ビーソン、ルイーズ・フォード。
音楽は、ロケ・バニョス。
かなり音楽少な目でこの緊迫感を出しているのは素晴らしい。
コンセプトと音設計がちゃんとしてます。
事情を抱えた若者3人が盲の老人の金を盗みに入るがこの老人が曲者、というソリッド・シチュエーション・サスペンス・スリラー。
21世紀的ミクスチャー作品で、ホラーという宣伝も頷ける。
客より二歩先行ってやるという脚本の肺活量が多い。そこをがっしと引きつける演出が息を止めて、映画深呼吸の出来上がり。
今や最強の悪役俳優の一人スティーヴン・ラングが恐ろしい。
お行儀のよい最悪の狂気を楽しませる手痛い大凶作。
おまけ。
原題は、『DON'T BREATHE』。
『息をするな』ですね。
『ドント・ブリース』か『ドント・ブレス』じゃないの？
シー・ブリーズみたい。
上映時間は、88分。
製作国は、アメリカ。
映倫は、PG12。
あのシーンを子どもに訊かれたら、どう説明するのかね。
キャッチコピーは、「この家から生きて脱出したければ、息をするな・・・」
まぁ、こういうコピーになるよね。
でも、もっとシンプルに、「ここから生きて出たければ、息をするな･･･」でもよかった気もしないでもない。
ネタバレ。
日本公開はタイミングが悪いよね。
なぜって、『ローグ・ワン』で、盲目の最強戦士が出てるから。
盲目対決だもの。
あと、日本だと座頭市を知ってるから、盲目でも侮らないってところもあるかもです。
にしても、あの盲老人は、どうやってあの富豪の娘をさらったんでしょね。
