【俺は好きなんだよ】第41回
『親愛なる日記』(1993)
原題『CARO DIARIO』、英語題『DEAR DIARY』も日本題と同じ意味。
1994年のカンヌ国際映画祭にて、監督賞を受賞したナンニ・モレッティのごく私的なエッセイ映画。
映画の新しいスタイルを示した映画にもなった。
スタッフ。
監督:ナンニ・モレッティ
製作:アンジェロ・バルバガッロ
ナンニ・モレッティ
ネラ・バンフィ
脚本:ナンニ・モレッティ
撮影:ジュゼッペ・ランチ
音楽:ニコラ・ピオヴァーニ
出演。
ナンニ・モレッティ
ジェニファー・ビールス
アレクサンダー・ロックウェル
カルロ・マッツァクラティ
レナート・カーペンティエリ
アントニオ・ニーウィラー
モニ・オヴァディア
内容。
これまでの“ミケーレ”なる想像上の人物の力借りて、物語ってきたナンニ・モレティが、ついに彼自身として物語りはじめた。
日記への「親愛なる日記よ、この世にはぼくの大好きなことがある!」という語り出しで映画も始まる。
その赤裸々さは、いつもの鋭さではなく柔らかさをもった作品となった。
3つの章で成り立っており、
第一章<ベスパに乗って>:ローマ市内や郊外の、彼のお気に入りの場所をスクーターで回り、J・ビールスに会ったりしながら、パゾリーニの殺された場所に行き着く。
第二章<島めぐり>:脚本を書くのに良い場所を探し、シチリア周辺を旅するが……。諷刺の利いたドラマ。
第三章<医者めぐり>:医者に死の宣告をされた経験と、闘病(闘医者?)がおかしみを交えて語られる。
これは、イタリア映画のネオ・リアリズモの流れと、個人的な題材を巨大な映画に変えたフェリーニの両極端の流れを取り込みつつ流れる川なのだ。
実は、この映画には続編というか、日記の続きが、『ナンニ・モレッティのエイプリル』(1998)という映画になっています。
こっちもいいのよね。
だから、ここからは【俺は好きなんだよ】第43回の『ナンニ・モレッティのエイプリル』(1998)ってことです。
スタッフ。
監督:ナンニ・モレッティ
製作:ナンニ・モレッティ
脚本:ナンニ・モレッティ
撮影:ジュゼッペ・ランチ
美術:マルタ・マッフッチ
出演。
ナンニ・モレッティ
シルヴィオ・オルランド
シルヴィア・ノーノ
ピエトロ・モレッティ
シルヴィア・ボヌッチ
内容。
今度は、1994年の選挙で右派ベルルスコーニが勝利したことから始まるナンニ・モレッティのいつもの政治的な部分が顔を見せる。
左派を支持するナンニは、仏人記者から「あなたは、イタリアの政治の現状をドキュメンタリーとして撮るべきだ」と言われてしまう。
ところが、9年前に「やる気が失せてしまった」という理由で中止した菓子職人のミュージカル映画を再び作ろうと準備し始めるのだが、再び、中止してしまう。
それは、1996年の選挙が近づいているからだった。
政治ドキュメンタリー作りは義務とさえ思うナンニではあったが、妻の妊娠は分かってからは、生まれてくる子どものことで頭がいっぱいで、政治ドキュメンタリーよりも作るべき映画があるのではと思い始めてしまう。
日記という日々の出来事を描きながら、そこに残っていくモノづくりの思想が反映していくという不思議な映画について描かれた映画です。
不思議なことに、この『ナンニ・モレッティのエイプリル』はエソフト化されているのですが、『親愛なる日記』はされていないのです。
観たいんだけどなぁ・・・。
早く出て欲しいなぁ。
死んでから出るとか、待てないよ。
やっぱ、生きてる間じゃなきゃさ。
死んだら、日記もそこで終わりだよ。
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