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菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

先行き見えない故郷の道を肩寄せ合って走り行く。 『ミッドナイト・アフター』

2015年11月15日 00時00分45秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第798回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

『ミッドナイト・アフター』

 

 

 

少し前の香港、人々が消失した街で戸惑う17人の男女を描くサスペンス・コメディ・スリラー・ホラー。
 

 

『メイド・イン・ホンコン』、『ドリアン、ドリアン』のフルーツ・チャンが、監督としては、2009年のアメリカ映画『THE JOYUREI 女優霊』以来5年ぶりの長編の新作。

(短編では、2013年に香港でホラー作品『Jing Zhe』を撮っていますが、日本では未公開)

 

監督・製作総指揮は、フルーツ・チャン。

 

 

物語。

17人の客を乗せて夜の香港を走行中の深夜バス。

トンネルを抜けたところで、乗客の一人が自分たち以外のすべての人間が消えてしまったことに気づく。

なんとなく警戒しながら、目的のバス停で降りて、誰もいない街を、家に帰る者、犯罪に走る者、彷徨う者、など、それぞれの意思で行動していくが・・・。

 

原作は、Mr.Pizza。

”香港の2ちゃんねる”と呼ばれる巨大掲示板”香港高登討論區”に掲載された、ハンドルネーム Mr.Pizzaによるネット小説。

  

脚本は、ファイ=ハン・チャンとフルーツ・チャン。

 

 

実力派俳優たちが、一癖も二癖もある登場人物たちを個性豊かに演じている。

群像劇なので、一応、主人公格がいる、という感じ。

 

ウォン・ヤウナムが、金髪の若者ヤウ・チーチ。

こういう若者を主人公に置くのがいいのよね。

 

ジャニス・マンが、仕事をクビになったユキ。

設定的には、日本人のハーフなのかしら? 

 

サイモン・ヤムが、胡散臭いファッ。

作りこみすぎて、ほとんど分かりません。

さすがです。

 

ラム・シューが、ミニバスの運転手シュー。

いつもながら、笑かしてくれます。

 

クララ・ワイが、モック・サウイン。

サム・リーが、ヤク中のモウフェイ。

ティエン・ユーチュイが、コンピューター技術者のシュン。

メロディ・マックが、ラヴィーナ(LV)。

ほかに、チョイ・ティンヤウ、クララ・ウェイ、シン=チュー・リー、など。

 

 

 

スタッフ。 

撮影は、ラム・ワーチュン。

編集は、ティン・サムファ。

 

 

 

現実と映画的記憶をガンガンに盛り込んで、寓話的に現代をえぐりまくっている。
そう、これは、まさかの香港版『アンダーグラウンド』なのだ。
いうなれば、『首都で消失』。
物語のキーとなる曲、デイヴィッド・ボウイの「Space Oddity」。英国のミュージシャンというあたりも重要。

ジャンル映画のスタイルで、こういうズ太い映画がたまに出てきて、度肝を抜かれんだよなぁ。
ハチャメチャな香港映画のテイストまでも、記憶の物語に取り込んで、怒涛のエネルギーに涙が鼻からこぼれてくる、今を生きる不安を描き出す傑作。

 

 

 

おまけ。

原題は、『那夜凌晨,我坐上了旺角開往大埔的紅VAN』(『その夜の早い時間に、私は旺角から大埔まで赤い VAN に乗りました。』)
原作小説と同名のタイトル。

英語題は、『The Midnight After』。(『真夜中過ぎまで』)

 

 

上映時間は、121分。

(124分版もあるようです)

 

製作国は、台湾。

映倫は、R15+。

製作年は、2014年。

 

 

 

 

 

2014年お韓国のプチョンファンタスティック映画祭では審査員賞を受賞。

香港国際映画祭のオープニングを飾り、第27回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門でも上映された。

   

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ミッドナイト・アフター | こぶたのゆう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ。
実は、原作の前半部分のみの映画化というから、なんとか後半も製作して欲しい気もしたり、して欲しくない気もしたり。

 

 

ありとあらゆる終末ネタをブチ込むことで、相対化して、香港という町を映画の記憶で浮かび上がらせる。

恐怖のユキは、ヒントを出して欲しかったかな、とも思ったり。

 

一応、人間消失減少の理由は、死後の世界、平行世界、時空の移動、ゾンビ的人類の消失、病気または放射能の蔓延で避難、国または北朝鮮の陰謀、タイムスリップ、呪いか何らかの邪悪な力、謎の赤い雨、ってとこですかね。
死に方は、融解、土化、燃焼、死斑の出る病気、ゾンビ化、崩壊。

 

東洋最大の映画の都であった香港の記憶がすべて描かれていくかのよう。

これは、失くなってしまったユーゴスラビアの歴史を謎のタイムスリップと過去の事実が映画化されるというメタ化された物語の中に、現在のボスニア=ヘルツェゴビアを描き出した『アンダーグラウンド』と重なる。

『アンダーグラウンド』の最後、ユーゴスラビ半島そのものが陸から切り離されて、先の見えない海へと流されていくように、カースタントで両方から潰されたミニバスは香港の中心の九龍へと向かうのは、逆のベクトルで同じエネルギーを発している。

それは、わざわざ、山への進路を変えてでも。

 

もしかすると、最初のガスマスクは、日本人の同級生ではないかもね。

 

今の香港は、いずれ記憶からも消えていく、歴史からも消えてしまうかもしれない。

その未来の想い出を歌う、最後の文の切なさよ。
さらば、在りし日の香港よ。

 

 

 

 

 

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