【俺は好きなんだよ】第136回
『ハイ・フィデリティ』(2000)
原題も『HIGH FIDELITY』。『HI-FI(ハイファイ)』の意味。
『高忠実度』『高再現度』って感じです。原音を忠実に再現する度合いが高いこと。“FIDELITY”だけだと、信義という意味。
そういや、エルヴィス・コステロにも同タイトルの曲があったなぁ。
スタッフ。
監督:スティーヴン・フリアーズ
製作:ティム・ビーヴァン/ ラッド・シモンズ
製作総指揮:アラン・グリーンスパン/マイク・ニューウェル
原作:ニック・ホーンビィ
脚本:D・V・デヴィンセンティス/スティーヴ・ピンク/ジョン・キューザック/スコット・ローゼンバーグ
撮影:シーマス・マッガーヴェイ
音楽:ハワード・ショア
歌:エルトン・ジョン
出演。
ジョン・キューザック
ジャック・ブラック
リサ・ボネ
ジョエル・カーター
ジョーン・キューザック
サラ・ギルバート
イーベン・ヤイレ
トッド・ルイーソ
リリ・テイラー
ナターシャ・グレグソン・ワグナー
スージー・キューザック
ディック・キューザック
ブルース・スプリングスティーン(カメオ出演)
キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
クリス・バウアー
アレックス・デザート
物語。
音楽をこよなく愛するロブ・ゴードンは、シカゴで小さな中古レコード・ショップのオーナーをする30代の独身男。
音楽へのこだわりが、あまりに強すぎるためか、店はパッとしていない。
ついにある日、同棲中の彼女のローラが理由も告げずに家を飛び出してしまう。
ゴードンは、自分の失恋トップ5を回想し始める・・・。
原作のイギリスから、アメリカに舞台を移してます。
なので、イギリス系から、ややアメリカよりに音楽の好みも移っているっぽい。
悩み相談を想像のブルース・スプリングスティーンにするあたりとかね。
そういや、『トゥルーロマンス』では、エルヴィス・プレスリーに、『アイデン&ティティ』でボブ・ディランが出てきてたなぁ。
冒頭から、「悲しいからポップ・ミュージックを聴くのか?ポップ・ミュージックを聴くから悲しいのか?」というような、気のきいたセリフのオンパレード。
彼女に新しい彼氏と関係を訊ねて、「まだ寝てないわ」という返答の真意を探るために、バイトのジャック・ブラックに「俺は、まだ『死霊のはらわた2』を観てない」と聞いたら、どういう意味だと思う?」とひねって聞いてしまうとか。
とにかく、全編に、こだわりのナンバーが流れまくります。
それを聞いているだけでも楽しいし、それだけで、主人公への共感度も上がるという上手い仕組みがあります。
ニック・ホーンズビィは、こういう話の達人。
『ぼくのプレミア・ライフ』はサッカー狂の話なんですが、イギリスでも、アメリカ(野球に置き換えられている)でも実写化されています。
ジョン・キューザックのまろやかさとジャック・ブラックの濃さといったでこぼこさが、上手く融合している。
キャスティング、アンサンブルが素晴らしいのです。
物語の中に、自分を見つけた時、その物語は特別になる。
もうね、ある種の男(女)にとっては、痛いほど伝わってしまう物語。
そういうタイプと付き合った方には、勧められないほどに。
だからこそ、勧めたいと思えるんだけどね。