で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2156回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』
山深く外と交流の無い国から巨大山に挑む冒険家一家が見る奇想天外の世界の大冒険を描くファンタジー・アニメ。
監督は、『ベイマックス』、『ラーヤと龍の王国』のドン・ホールと『ラーヤと龍の王国』の脚本のクイ・ヌエン。
物語。
外と交流の無い山深い国アヴァロニアは、まだ電気はないが20世紀初期の暮らしをする豊かな国。
偉大な冒険家イェーガー・クエイドは、山越えに長年挑戦していた。
彼とそのチームの十何年の挑戦は前には進むものの、いまだ山の向こうへは行けてなかった。
その間に生まれた息子サーチャーは、ついに15歳になり、父と違う道を探そうとしていた。
ある日、イエェーガーとサーチャーとその母と探検隊のメンバーは、ついに山越えに王手をかける。
脚本は、クイ・ヌエン。
声の出演。(声のキャスト)<日本語吹替版>
サーチャー ・クエイド (ジェイク・ギレンホール)<原田泰造>
イェーガー ・クエイド (デニス・クエイド) <大塚明夫>
イーサン (ジャブーキー・ヤング=ホワイト) <鈴木福>
メリディアン (ガブリエル・ユニオン) <松岡依都美>
カリスト (ルーシー・リュー) <沢海陽子>
パルク大尉 <鹿野真央>
カスピアン <落合福嗣>
ダッフル <本多新也>
ナレーション <茶風林>
スタッフ。
製作:ロイ・コンリ
製作総指揮:ジェニファー・リー
音楽:ヘンリー・ジャックマン
『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』を鑑賞。
近代アヴァロニア、山深く外と交流出来ない国で冒険家一家が山越えに挑むファンタジー・アドベンチャー・アニメ。
冒険家の父の生き方から子は違う道を探し始め、一家がたどり着いた不思議で奇妙なまさにストレンジワールドでさらなる冒険が繰り広げられるのだが、実は、これが地下世界でヒカイrから生物体系から全く違うアニメならではの世界を旅させる。よくある地底に別世界の新しいバージョン。『地底探検』、『センター・オブ・ジ・アース』、『のび太と竜の騎士』などが思い浮かぶと思うが、まさにその世界の旅をさせつつ、実は、『ザ・コア』的な世界を救う展開へと風呂敷を広げていく。その巨大さが、映画ならではの感覚拡大になっていて、自分の体がむくむくと大きくなっていく気さえしてくる。
この虚構世界がいいのよね。独自の植物による光と生態系がうまく絡み合っていてる。
宮崎駿オマージュもけっこうある。地下世界は『ナウシカ』だし、巨大船による冒険は『ラピュタ』と『ハウル』だし。そこら辺は『すずめの戸締り』と見比べてる見る楽しみもあるかと。
『ラーヤと龍の王国』の脚本のクイ・ヌエンと監督のドン・ホール(『ベイマックス』の監督でもある)がコンビで監督を務めている。
『ラーヤ~』でも新しい中華風のファンタジー世界を作り上げたコンビならではの奇妙世界に探検隊としてチームで冒険させる。『ラーヤ~』がバディもので、ライバルの造形が良かったのを今度はライバルもチームにしたチーム戦で、これ映画好きがたまらんやつじゃないっていう旨みもりもり設定になっている。
ドン・ホールは『ベイマックス』でもチーム戦にしていたし、『ベイマックス』は日本とアメリカの融合した世界観だったので、『ラーヤ』と『ベイマックス』の融合という、まっすぐ進化が今作。
そこに父と息子の関係の発展の三世代ものを発展させて、孫に現代性を加えている。アメリカの定番だけど、日本は今、親を描けないからなぁ。
やや思想が先行しているところはあるけど、アニメならではの極端な意見は大人が子供と話し合ういい題材よね。
清濁を合わせのまない極端なのは神話的。
絵本的で、そこを逃れるための特殊なストレンジワールドなんでしょうな。
コミュニケーションの材料としての映画や物語という虚構の力を信じているのだなぁ。
ディズニーはポリコネで批判差もされるけど、どこかで今まで映像世界でつくってきた今までの窮屈な世界を未来に揉みほぐそうという取り組みなんだろう。そのために歪なところもなくはないけども。そうやって無理矢理でも組み込むのは戦いでもある。
配信に肩入れするのも子供たちへの民主化ともとらえられなくもないのよね。
よき部分を拾うなら。
だって、今作の扱い方って、どこかポリコレ組み込みの定番感があるんだもの。
ま、それもまた冒険だ。
そう、生活はすでに冒険なんだ。
奇妙世界でチーム戦。チームって家族、それって世界の最小単位だ。二人じゃ届かぬ山を越えよう。
体の中にある山を越える樹作。
おまけ。
原題は、『STRANGE WORLD』。
『奇妙な世界』。
2022年の作品。
製作国:アメリカ
上映時間:102分
映倫:G
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
はっきりいって、ディズニーは当てに行ってる主力映画以外では、劇場公開への熱意が無くなっているのを感じてしまう。
今作も日本でもアメリカでもヒットしてないどころか、認知さえされていない。
ネタバレ。
地球が丸いと思われる前の亀の上の世界のアイディアを地球によく似た星で、情報をうまく制限して、ミスリードさせた。
あの星には陸もあるのだろうか。
だから、最初の紹介は、実は映画でもテレビでもなく、新聞や雑誌の紹介を、テレビ的に見せているという仕掛けなのよね。
いきなり、電気無しの世界になた場合、25年の蓄積でつくられた生活や病院や消防などの対応はどうなったんだろうか。
数か月分の電気プラントの残りでまぁ、まだ一年くらいはもつのだろうけど、とんでもないことよね。
そもそも、あとひと月であの電気プラントが枯れるから地下に向かったということは、あの時点ではあの巨大生物の中の生態系が電気プラントに勝ってたのよね。
実際は、あの巨大生物が負けそうという状況だったと分かったからしょうがないとしても、大統領には悩んで欲しかったわ。
あと、冒険に出る時点で、代理大統領を立てておくとか。
あの、恋する相手はただ孫が同性愛都市絵m巣だけの登場人物になってるように見えるのもなぁ。
彼を象徴するゲームのカードも落としているし。
せめて、孫にとって彼が世界で、その世界を救うモチベーションとしてのシンボルくらいの扱いはしてもよかったと思うのです。
それを見たおじいちゃんとひと悶着くらいはあって欲しかった。
それこそ、下手なポリコレ対策に見える。
まぁ、あの究極の宇宙船地球号思想提示も、絵本的な世界としては全然ありなんだけどね。