一四一七年、その一冊がすべてを変えた
スティーヴン・グリーンブラット/著
長い間失われていた写本。千年の時を経た十五世紀、再びその姿をあらわした書物は、世界の針路を変えてゆく…。今から二千年前、真実はすでに記されていた。ルネサンスの引き金となった書物とひとりの男との、奇跡の出会いの物語。全米図書賞、ピュリッツァー賞受賞。
ルネッサンス初期のローマ教皇の秘書官 ポッジョ・ブランチョリーニは人文主義者のブックハンターであった。
希少本を求めてヨーロッパ中の修道院などを巡り歩いた。
そして南ドイツの修道院で紀元前50年ごろに古代ローマで書かれたまるでネクロノミコン的な恐るべき本を発見する。
物の本質について ルクレティウス著
エピクロス哲学の科学啓蒙書でありますが...
その内容があまりに...
「宇宙は、宇宙空間を不規則に動きまわる無数の玄師で構成されており、それらが日光の中に漂うほこりのように、衝突し、つながりあい、複雑な構造を形作る。」
「生物は自然選択により進化する。すなわち生存と繁殖に適した種が、すくなくとも一定の期間は、存続する。適していない種は短期間で滅びる。」
「神は存在しない。」
なんか 現在の量子力学(ハイゼンベルクの不確定性原理的な記述も...)やダーウィンの進化論的なのがぞろぞろ書いてあります...
著者は この本が一つのきっかけとなり後のルネッサンス最盛期に向かったのではないかと述べています。
その部分については、よくわかりませんが...
なんといっても15世紀初期の本の世界がすごくサイバーパンク的ですごいです。
当時は印刷機(グーテンベルクの最初の印刷は1439年ごろ)が無かったので、本はすべて手書き。
とてつもなく貴重でありながらアレクサンドリアの図書館のように戦争などによりたやすく失われてしまう...
ローマ教皇の手元にさえ断片的な内容の本しかなかった...
ヨーロッパ辺境の教会の奥深くに封印された古代の希少本を巡るローマ教皇の秘書官の捜索 ♪
発見されてしまったあまりに危険な本 ♪
ローマ教皇のダークな権力争いも加わり、かなり萌えます ♪
で
当然 この本そのものも読んでみたくなって探しましたら...
1961年発行の岩波文庫が図書館にありました ♪
この元本がポッジョが書き写した写本です。
アマゾンで古書が4000円くらいで売られてます...
同じ世界感の本としてはこんな本も ♪
古書の来歴
ジェラルディン・ブルックス/著
500年の時を生き延びた稀代の古書“サラエボ・ハガダー”。それはなぜ造られ、どんな人々の手で守られてきたのか?鑑定をまかされたハンナがその本の中で見つけた白い毛、塩の結晶、ワインの染み、留め金の痕跡、蝶の羽が、15世紀スペイン、17世紀ヴェネチア、19世紀ウィーン、20世紀サラエボで起きた驚くべき苦難の物語を雄弁に語っていく!翻訳ミステリー大賞受賞作。
こちらはミステリなフィクションですが、現在のサラエボに残されていた美しいユダヤ教の手書き本。
戦乱や異端審理などの数々の危機をどのように乗り越えてきたのか...
本に刻まれた代々の所有者の複雑で過酷な人生のスティグマ...
デジタルなデータとは違う、本の持つ凄まじいパワーがガンガン響きます ♪
そんな本のパワー的な世界を味わえるのをもう1冊 ♪
もうすぐ絶滅するという紙の書物について
ウンベルト・エーコ、ジャン=クロード・カリエール/著
紙の本は、電子書籍に駆逐されてしまうのか?書物の歴史が直面している大きな転機について、博覧強記の老練愛書家が縦横無尽に語り合う。
古書蒐集家の憧れ インキュナブラ(1455~1500年の間に印刷された本)を持ってる有名文学者の著者達がひたすら古い本について深く深く語りまくるという本です。
本に対する愛に溢れています ♪