長い冬としつこいぐらいの花冷えが終わり、ようやく春らしくなってきたソウル。
冬眠していたクマ(=私)も活動を始めました。
暖かくなったら行ってみたいと思っていたところが2箇所あり、先日、そのうちの一箇所に行ってきました。
その場所とは・・・
「タルトンネ(달동네・月の町)」です。
韓国のドラマや映画を観たことがある人は、「あぁ~!」と思うかもしれません。
ソウルは小さい山が多ので、山の上にも住宅が建てられ、このような町がたくさんできました。
今は再開発のため、ほとんどがアパートに変わってしまい、ソウル市内で残っているタルトンネは数箇所しかありません。
タルトンネの特徴は、急な坂と
狭い道(人が通る道です^^;)、それから
階段です。
200%運動不足の私は、2、3分で息が切れてしまいました。^^;
建物は一階建てか、写真のような2階建+半地下の家が多く、だいたい屋上がついています。
外壁はピョクトル(벽돌・壁石)と呼ばれるレンガのようなものが主流で、他にタイルや
日本の家と構造が似ているものもあります。
タルトンネ(月の町)の名前の由来は、高位置にあるため、月を一番最初に見れるからだとか、電気が通っていなかった時代に、夜になると月しか見るものがなかったためだとか、いろいろあるようです。
名前はちょっと素敵なタルトンネですが、環境は劣悪で、貧しい人たちが住む町と位置づけられています。
高度経済成長の中で、タルトンネはどんどん姿を消していき、その後には、高層アパート(日本でいうマンションや団地のようなもの)が建てられました。
町が新しく、便利になるのはとてもいいことなんですが、このタルトンネはソウルの時代の移り変わりを見ることができる数少ない町なので、その存在はとてもコンクリートの固まりと替えられる物ではないと思っています。
例えば、壁に貼られていた標語。
「こんなものまだあったんだ~!」とアクア夫が驚いていましたが、1970~80年頃のもののようです。
左の標語の意味は「家ごとに儀礼を準則 正しく理解し 実践しよう」。
それから、右の標語がすごいんですよ。
「自首して自由を掴み 申告して自由を守護」と書かれています。
これは北朝鮮のスパイに宛てた標語で、苦労して秘密を探っていくより、自首すれば韓国で自由に生活できるし、北朝鮮の情報を申告すれば、自由は守られますよという意味なんだそうです。
昔の人にとってはただのなんでもない標語かもしれませんが、これからはかなり重要な資料になるでしょうね。
少し前までは汚い町というイメージしかなかったタルトンネ。
最近はその文化的な価値と美しさに目を向ける人たちが増えてきました。
この日もカメラを持った人たちとたくさんすれ違い、中にはぱっと見て外国人とわかる人もいました。
市はタルトンネの保存を考えている感じではありませんが、市民の中にはその重要性を認識している人もいるようで、タルトンネを応援するために、美術を勉強している学生が
こんなかわいい絵を町に描くようになりました。^^
(もちろん許可をもらって)
この家は一年中花が見れるようですね~。(笑)
これはワイヤーを使って作った作品のようです。
こんな派手な家もありました。
時計も絵ですよ。(笑)
始まりはプサンだったかチェジュドだったか忘れてしまいましたが、今は全国に広がっている「タルトンネに芸術を」運動。
でもタルトンネはどんどん消えていきます。
私が行ったこの町も数年後にはなくなる予定です。
「月の町」と書くタルトンネ。
そこから下の繁華街を見下ろすと、韓国の底知れない力を感じることができます。
その力を少しでもいいから、タルトンネの方にも向けてくれたらいいなと思います。^^
応援ありがとうございます。