物部の森

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日記風に書いてます。

【書籍】勃発!エネルギー資源争奪戦

2009年01月13日 | Weblog
 『勃発!エネルギー資源争奪戦』(ダイヤモンド社・編)を読む。

 今後のエネルギー資源の動向について、①石油・天然ガスを始めとする化石燃料のマーケット状況、②地球温暖化問題、③それを受けて追い風に進む原子力(ウラン)の動向、④日本のエネルギー安全保障の理想と実現、と大きく四つに分けて世界各国の最新事情がレポートされている。
 興味深かったのは、開発途上の資源保有諸国による天然資源に対する支配権拡大の主張とそれを実現するための諸活動、いわゆる「資源ナショナリズム」についての記述。「資源ナショナリズム」の“死角”といえるのが、それを主張する各国が実際のところ技術力が不足している点である。資源ナショナリズムの旗のもと外資(先進国)を締め出し、エネルギー事業を国有化したまではよいが、資源の発掘については既存の技術でしか対応できず、結果ビジネス効率を落とし早晩立ち行かなくなるというのである。
 例えばボリビアはベネズエラと歩調を合わせて2006年にガス産業を国営化したが、技術や投資のノウハウをも持たないため、その結果ガス生産量が落ちてしまい、そこに目を付けたガスプロムが投資しようとしている(らしい)。
 裏返せばわが国が技術力、具体的にはエネルギーの確保に関連するノウハウを有すれば、「資源はあるが技術力がないため採掘できない」という国に対して必要な技術を提供しWIN-WINの関係を構築することができる。日本が「エネルギー安全保障の実現」のため、今後活路を見出すのはこの方向性なのであろう。そしてそのためには民間企業と政府が一体となり、一層外交レベルでベクトルを合わせていかなければならない。
 内容は平易だが、普段職場で専門誌や業界新聞などにはなかなかマメに目が通せておらず、このような書籍で業界の動向について短時間でアウトラインが掴めるのはありがたい。
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