行政書士・社会保険労務士 大原事務所

人生も多分半ばを過ぎて始めた士業。ボチボチ、そのくせドタバタ毎日が過ぎていく。

エアコンは使わないぞ

2014-08-06 16:34:18 | 日記・エッセイ・コラム

 暑い日が続く。このところ毎年思う。異常な暑さだと。でも毎年思うのだから、そろそろ異常ではなくなっているのかも知れない。
 息子は夏休み。夜は遊びに出かけ、昼は寝ている。普段は朝から夜遅くまで働いているのだから何をしようと勝手だが、奴が家にいるときは必ず奴の居る部屋のエアコンがフル稼働している。エアコンをかけて、布団をかぶって寝ている。無駄も甚だしい。しかも夜、普段家で寝ている時は、エアコンだけでなく電気まで付けたまま寝ている。それでいて暫く前までは省エネなどとのたまっていたのだからあきれる。さすがに今は言わない。ご都合主義という奴だ。そのあたりは私に似たのかも知れないので非難するつもりはない。ただ、この時期、電気代が異常に高くなるのは非難に値する。
 私といえば相変わらずエアコンは苦手で殆ど使わない。自宅で仕事をしている昼間、本当に暑い日の、本当に暑くなる午後、二時間か三時間程度除湿運転するだけだ。
 一階では無理だろうが、寝室は二階なので、夜は窓を開け、扇風機で風を回して寝ている。部屋の壁やベッドが暑くなっているので、陽が落ちて風が涼しくなったらすぐ窓を開けて扇風機を回す。すると眠る頃には、涼しいとまではいかないが、何とか眠れるくらいにはベッドも部屋も温度が下がっている。
 21年前、息子が生まれて初めての夏、女房はエアコンを使わないと宣言した。何でも赤ん坊は沢山汗をかかせないと汗腺が発達しないので、エアコンばかり使って汗をかかない生活をさせていると、将来体温調節機能が上手く働かなくなることがある、とTVか何かで聞いたという。
 「あなたも協力してね」と言う。
 私はエアコンが嫌いなので問題ない。要はお前次第だろう、と思ったが、勿論そんなことは言わない。もろ手を挙げて賛成した。
 夏真っ盛りより少し前、それでも十分暑い日が続く季節。会社から帰ると(その頃はまだサラリーマンだった)女房も赤ん坊も真っ赤な顔をして、汗まみれ。それでも赤ん坊は異常無し。女房が時々拭いてやるが、びっちりと額に髪を汗でまとわりつかせて、口をムニャムニャ動かしながら、すやすや寝ている。女房は顔は赤いが青息吐息、ぐったりして
 「今夜素麺でいい?」などとのたまう。しかも、ゆでるのは私になりかねない勢いだ。
 そんなことが何日か続いたある日。家に帰ると涼しい。見回すと、エアコンは使っていない。扇風機だけ。窓は開いている。でも涼しいのだ。そうなのだ。
 「お前、エアコン使ってたんだろう。さっきまで」
 「・・・・・・・・・・・・・」
 「アホ!使いたければ使えばいいだろう。お前が勝手に使わないって言っただけで、俺は別にどうでもいい」
 「・・・・・・・・・・・・・・・・」
 「まあ、子供はなるべくエアコンの風が直接あたらないようにして、汗をかかせるのは昼間外で遊んでる時で良いんじゃない?」
 「・・・・・・・・・・・・・・・」
 「第一さっきまでエアコンつけてたんだろ?だって部屋が涼しいもん。折角部屋が冷えてたのに、俺が帰ったからってエアコン止めて窓開けちゃもったいないじゃないか」
 これらの言葉は全て優しく言った。なるべく穏やかに言ったつもりだ。少なくとも責める様な口調ではなかった筈だ。
 なのに女房は怒ったように黙ったまま窓をしめた。不機嫌な様子である。エアコンのスイッチを入れた。リモコンの液晶画面を私の方に向けた。温度は28度に設定してあった。
 ニッと笑う。
 息子は気持ちよさそうに眠っている。すぐに汗はひいた。息子のエアコン好きはこの時始まったのかも知れない。
 その日の夕飯のおかずは焼き肉だった。


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