行政書士・社会保険労務士 大原事務所

人生も多分半ばを過ぎて始めた士業。ボチボチ、そのくせドタバタ毎日が過ぎていく。

芳林堂倒産

2016-02-27 23:15:30 | 出版業界

 東京とその近郊の人以外は知らないと思うが、池袋に本店のあった本屋さんが倒産した。

 以前出版社に勤めていて池袋担当だった頃足繁く通った。古くからの書店は出版社の営業に親切な店が多い。芳林堂さんも例外ではなく、小さな出版社の話もよく聞いてくれた。他の本屋で売れない本でも「売ってみてあげよう」と平台に積んでもらった事も度々ある。古くからのお客さんに本好きが多いのか、そういった本が売れる事が間々あった。

 平成15年くらいからボチボチ出てきた小さな出版社の仕事を馬鹿にするような無愛想な本屋ではなかった。またそんな店員いなかった。そういう本屋の店員は鼻の先であざけるように

 「他で売れたら持ってきて」

 と言ったりした。

 そうすると小出版社としても一寸の虫にも五分の魂である。「他で売れたらお前んとこなんか来ねえよ」と口には出さないが心で叫ぶ。

 池袋本店の上の方の階には「栞」という当時では珍しい書店の中の喫茶店があったと思う。仕事以外でも池袋へ行った時はたまに寄った。付き合いもあり色々な店で本を買ったので一店ではあまり沢山買い物しなかったから良い客ではなかったろうが、落ち着いた良い店で好きだった。

 高田馬場にも支店があった。もう20年以上前、この店には誰だったか作家のお嬢さんが勤めていると聞いた。エスカレーターで上がった三階が入口の珍しい造りだったと思うが記憶がさだかでない。

 所沢の店舗にも行った。以前は津田沼にも店があったと思う。

 もう随分前、問屋さんとの借入金等の都合で財務状態が悪くなったが、本社ビルを売却して債務を整理し持ち直したと聞いた。私はその頃もう出版業界にはいなかった。とりあえず存続するなら良かったと思った。でも先日、前のとは別の本の問屋さんの廃業もあり、とうとう限界を超えたのか。

 前にも書いたが、また一つ出版業界から私の思い出が消える。



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