サイエンス好きな男の日記

気が向いたときに、個人的なメモの感覚で書いているブログです。

太陽光発電ビジネス(モデル構築)

2013-04-12 16:17:23 | 太陽光発電

太陽光発電が投資対象としてみたときにどれほどのうまみがあるのか
定量的に調べました。

インターネットでは、太陽光発電は8年から10年くらいで元が取れ、後はすべて
利益となるため、絶対得だ! とか 経産省では利益が6-7%程度出るように
売電価格が設定されているため、やれば必ずもうかる、といった記事が
あちこちにありますね。

また、実際、太陽光発電パネルと土地をセットにした分譲タイプの太陽光発電システムや、
太陽光発電ファンドなどもいくつかあります。

しかし、利益が出なければ最初から投資対象として検討しないわけで、
予想収益がプラスになるのは必須条件です。

太陽光発電への投資の是非は、存在する様々なリスクを考慮しつつ
太陽光発電の予想利回りと他の投資商品とを比べることで初めて結論が
導けると思います。


以下では、次の手順に従って、太陽光発電ビジネスを分析します。

(1) モデル構築 
  条件を設定し基本モデルを構築します。そして、1例について収益を計算します。

(2) パラメータ分析と実質利回りの評価
  ローンの有無や年間予測発電量、売電単価による収益への影響を調べ、それらの実質利回りを計算します。

(3) 他の投資商品との比較
  太陽光発電ビジネスは投資対象としてすぐれているのかいないのかを、実質利回りとの
  比較から検証します。



(1) モデル構築 

[制約条件]
■投資物件
・太陽光発電事業
 太陽光発電パネル(49kw)と土地(200坪)を1区画として販売。
 販売価格:2,000万円(税込)

■ソーラーローン
・対象:太陽光発電パネル一式(2,000万円) ※運用管理費は含めず
・15年固定金利 2.65%
・元利均等返済
・頭金の額は複数のパターンを設定

■運用保守費
・パワーコンディショナー(9台):10年目に修理。50万円。(内訳:5万円/台*9台+作業費(5万円))
・予備費(補償対象外機器の修理やパネル洗浄):5年、10年、15年に各10万円計上
・メンテナンス費用(異常検知や現地調査):12万円/年
・システム物損補償延長:10年目に20万円

■保証
・モジュール保証:25年(10年で90%、20年で80%の保証)
・システム保証:10年(対象は、パワーコンディショナ、接続箱、ケーブルなど)
・システム物損補償:20年(10年目に延長)
 * 火災、落雷、破裂、爆風、風、霰、雪災
 * 高潮・洪水・土砂崩れなどの水災
 * 建物外部からの物体の飛来・衝突(いたずらによる投石なども含む)
※ 地震・噴火による損害は含まれない

■20年後の撤去費用
・100万円(土地・発電パネルを無償譲渡し、発電パネルなどの撤去などの原状回復費用込み)

■売電単価・売電期間および事業実施期間
・期間:20年
・売電単価:42円/kwh 

■設置
・広大な敷地に太陽パネルが敷き詰められた状態

■償却資産
・減価償却:定率法
 太陽光パネルの償却期間は17年なので減価率は0.127
・前年中の新規取得資産:半年償却
・評価額の最低限度額:取得価額の5%
・課税標準特定の適用:取得後3年分に対して 2/3


市役所からもらった償却資産申告の手引きなどを確認すると、
「固定資産税は、土地や家屋のほかに償却資産(事業用資産)についても課税の対象となります。」
とあり、窓口で太陽光発電事業を説明して確認しても、固定資産税がかかるといった説明でした。

ここで言っている「事業用資産」とは、法人や個人事業主だけを対象としているわけではなく、何らかの
収益(この場合は売電による雑所得)を得ることを目的とした資産という意味であり、個人であっても
対象となります。

ある太陽光パネル販売会社は、固定資産税はかからないが、償却資産税はかかるといっています。

どうも、固定資産税という言葉を市役所のように広くとらえるか、償却資産と区別するのかによって
言い方が変わっているだけかもしれません。いずれにしても、今回の例のように、土地の上に架台を設置し、
その上にパネルを乗せるといった場合には税金がかかってくることは確かです。


なお、建築後に後付けで屋根に取り付けるタイプの太陽光発電については、固定資産税はかからない、と
いった記事もよく見かけます。それは、本当に税金がかからないのか、やはり償却資産税はかかるのか、については
よくわかりませんが、業者の言うことをうのみにせず、市役所などで個別に確認することが必要と思います。

よく太陽光発電の収益シミュレーションで、メンテナンス費用や固定資産税を考慮していないものが
ありますが、危険ですね。あとから後悔しないようにしないと…。


[前提条件]
■投資者
個人(法人や個人事業主ではない)とします。所得税の税率が20%となる課税所得者とします。

■所得税
・売電収入から必要経費(ローン金利や償却額、運用保守費)を差し引いた所得に
対して一律20%を適用

■太陽光発電パネルの性能低下率
・性能低下率:1%/年 → 年間予測発電量が年1%の割合で減少していく、ということ。

[パラメータ]
■年間予測発電量
・年間予測発電量:
 51,000kwh, 54,000kwh, 57,000kwh, 60,000kwh
・ローン頭金
 なし、100万円、500万円、1,000万円、2,000万円(ローンなし)

以上の条件を元に、20年後までの収支をできる限り正確にシミュレートしました。

以下の試算では、次のパラメータとしています。
・年間予測発電量57,000kwh
・頭金 0円
※ すべて1万円未満は切り捨てとしているため、最後の桁は計算が合いません。

売電収入:4333
発電システム一式:▲2000
運用保守費:▲450
ローン金利返済:▲449
償却資産税:▲169
所得税:▲281
------------
収益:982

単位:万円

つまり、頭金0円でも20年後には982万円が手元に残る、ということになります。
年ごとの収支をみても、多くの場合は、ローンや所得税による支払よりも収入が上回ります。
したがって、頭金 0 円であれば、契約手続きを結ぶと、後は、毎年お金がたまっていくことに
なります。

毎年の収支を積算したグラフは以下です。
横軸:運用年数
縦軸:積算収支



・ローンを払いつつも最終的な収支はほとんどプラスなので右肩上がりです。
・しかし、太陽光発電パネルの性能劣化により、やや伸びが鈍化しています。
・10年目はパワコンやシステム物損補償延長の加入などの運用保守費用が他の年よりも多いため
収支はマイナスとなり、積算収支は減少します。
・10年から15年までは収支はほぼ0ですが、それ以降はローンが完済するため、急激に伸びます。
・20年目は太陽光発電システムの撤去費用の支払いのため、積算収支の勾配はやや減少します。


なお、想定されるリスクとしては以下があります。

・補償対象外の災害(地震・噴火、戦争、暴動に起因する故障
・補償対象外の付属機器の故障
・大規模な気候変動による日照時間の低下
・売電単価は20年間保証されているが、全量買取は本当に20年間継続されるのか
・補償対象修理に伴う一時的な発電停止などによる稼働率の低下


また、以下の疑問が生まれます。

疑問:なぜ、頭金が 0 円(何もお金を出さない)のに、お金が増えていくのか。
答え:運用利回りがローン金利よりも高いためです。    売電収入から税金や運用保守費を除いた額が、ローンの支払いよりも多いため。


疑問:なぜ、ローン金利は比較的低いのか。
答え:ソーラーローンは一般に通常のローン金利よりも低金利です。太陽光発電は儲かるので、
お金を貸すほうも安心して貸せるから、金利が低いのでしょう。
また、売電収入が高いのは、売電単価が高いからです。これは、太陽光発電を普及するために
あえて高めに設定し、事業者が儲かるように配慮しているためです。

したがって、損はしないでしょう。しかし、問題は、得をするといってもどれほど得をするのか、
他の投資商品と比べて本当に得なのかはもっと検証が必要です。


次に続く・・・

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ふるさと納税の特産品がお米の市町村

2013-04-09 21:25:49 | 資産運用
2012年はふるさと納税を行いました。

我が家はお米を買わずにふるさと納税で済まそうという思いで、ふるさと納税の特産品として
お米が貰える地域を探しました。

以下に2012年12月時点で1万円の寄付で比較的多くのお米を
貰える地域は次の通りでした。(もしかしたら漏れがあるかもしれません)


★米 10kg よりも多い市町村

埼玉県幸手市 特選幸手のコシヒカリ(新米) 13.5kg


★米 10kg の市町村

広島県三原市 ヒノヒカリ 10kg
三重県玉城町 お米10kg と季節野菜セット
島根県安来市 安来のお米「こりゃう米」10kg
兵庫県淡路市 淡路島のキヌヒカリ10kg
山形県山辺町 はえぬき10kg
山形県中山町 はえぬき10kg
山形県金山町 つや姫5kg 2セット
奈良県田原本町 農協のお米ひのひかり10kg
宮崎県綾町 綾産米ひのひかり10kg



また、5000円の寄付で5kg のお米が貰える地域は次の通りでした。

★米 5kg の市町村

山形県新庄市 新庄産米 5kg
山形県庄内町 つや姫5kg
奈良県田原本町 農協のお米ひのひかり5kg


2013年もぜひふるさと納税をやってみたいですね。
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AQUSHに対する分析と戦略

2013-04-07 15:50:15 | 匿名組合
久しぶりに記事を投稿します。

ソーシャルレンディングではこれまで maneo で運用していましたが、成立するのが早くて
参加する機会を逃してしまうこともあり、AQUSHにも参戦することにしました。

AQUSHはその運用開始から注目していましたが、maneoの初期のころのように個人を
対象としたローンであったため、貸し倒れの情報がある程度収集できるまで待っていた、
ということもあります。

収集した情報をもとに AQUSH に対する戦略(ちょっと大げさですが)を検討した結果、
以下の方針にします。

・グレード AA および A のみ。B, C, D には出資しない。
・金利は 7 - 9 % 程度


用いた情報は以下の通りです。
①AQUSHグレード毎の貸付実行の割合
②AQUSHグレードにおける金利毎の貸付実行の割合
③運用利率
④AQUSHグレード毎の貸し倒れ率

①と②はAQUSH年間データ(2010年から2012年)、④は問い合わせました。

①と②から約定利率がわかります。また、営業報酬は常に1.5%です。

以上から

     初年度 2年目 3年目
約定利率:9.18% 8.94% 7.86%
営業報酬:1.50% 1.50% 1.50%
運用利率:7.7% 5.4% 4.3%
貸倒  :0% 2.0% 2.1%

上記の"貸倒"は、約定利率 - 営業報酬 - 運用利率 から求めました。
つまり、貸し倒れによって、運用利回りがどの程度低下したか、を示します。
初年度は、まだ貸し出しを開始したばかりであり、遅延はあったとしても
貸し倒れまでは行かなかったのでしょう。ようやく運用ターンである3年を
経過して貸し倒れの影響が見えてきた感じです。

また、2年目と3年目で運用利率が下がったのは、4%のASAXローンが
開始されたためだと、AQUSH年間データにも説明があります。2年目で
運用利率が下がったことについてはAQUSH年間データには触れていませんが、
貸し倒れの影響だといいづらかったのかもしれません。


次に、AQUSHグレードごとの影響を検討します。

④AQUSHグレード毎の貸し倒れ率 は、2012年3月の時点では、
AA: 0%, A: 0%, B: 1.27%, C: 1.27%, D: 0.42% とのことでした。
(金額ベースか件数ベースかはわかりませんが、どちらも大差は
ないので、金額ベースと仮定します。)

①AQUSHグレード毎の貸付実行の割合 から各グレード毎の貸倒率が計算できます。
その結果、

AA A B C D
約定利率:6.54% 6.99% 7.74% 9.34% 9.87%
営業報酬:1.50% 1.50% 1.50% 1.50% 1.50%
期待運用:5.04% 5.49% 6.24% 7.84% 8.37%
貸倒利率: 0% 0% 5.71% 7.51% 3.01%
実質運用:5.04% 5.49% 0.53% 0.33% 5.36%

※ 期待運用 = 約定利率 - 営業報酬
※ 実質運用 = 期待運用 - 貸倒利率
※ 貸倒利率 = ④AQUSHグレード毎の貸し倒れ率 / ①AQUSHグレード毎の貸付実行の割合

となります。

AQUSHが開示している予測貸倒率は、
0.8%, 1.6%, 3.2%, 6.4%, 8.0% ですので、グレードCだけが予測よりも悪い状況です。
グレードDは3.01%であり、BやCよりも低いのは意外でした。

上記はあくまで平均ですので、上記の貸倒率の実績を加味してBやCにも
投資するという考えもありますが、AAやAよりも高くなくては意味がないとすると、
約定利率はBでは13%以上、Cでは15%以上にもなり、ほとんど不可能でしょう。
BやCに投資するくらいなら、まだグレードDのほうがいいですね。
それでも13%以上でないとうまみが少ない。

したがって、結論としては、AAおよびAのみへの投資とすべきでしょう。
約定利率は他の投資先やAQUSHへの投資リスクとの兼ね合いで決まりますが、
私は約定利率は少なくとも7%はほしいと思っています。


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