太陽光発電の販売業者では、よく利回りで収益性を評価していることが多いです。逆に、IRRを示している業者はかなり稀ですね。
本来ならば、購入資産が毎年棄損していくため、IRRで評価すべきとは思うのですが計算が少し面倒だし、そもそもIRRを理解している人も少ないので、利回りでの表記となってしまうのでしょう。
そこで、実際に、利回りとIRRとでどれほど数値に差が生じるのか計算してみました。
条件としては次の通りです。
- 太陽光発電システム一式(税込):2400万円(土地代:250万円込み)・・・①
- メンテナンス費(税込):21.6万円/年
- 臨時的な維持費(税込)
- 5年目:10.8万円(消耗品交換)
- 10年目:64.8万円(パワコンオーバーホールおよび消耗品交換)
- 15年目:10.8万円(消耗品交換)
- 事業終了時:32.4万円(パネル撤去・破棄費用)
- 消費税:8%
- 売電単価(税抜):40円
- 20年で事業終了
- 20年後に買値と同じ250万円で土地売却
- 償却資産税を考慮
- 土地に対する固定資産税は考慮せず
- 年間予想発電量:70,000 kWh
- パネル効率の低下:毎年1%
上記をもとにシミュレーションを行うと、以下のようになります。
- 初年度売電額(税込):3,024,000円・・・②
- 売電総額(税込):54,734,400円・・・③
- メンテナンスおよび臨時的な維持費の総額:5,508,000円・・・④
- 償却資産税総額:1,825,234円・・・⑤
- 実質的な売電収入(=③ - ④ - ⑤):47,401,166円・・・⑥
- 累積収支:25,901,166円・・・⑦
上記より
- 初年度表面利回り(= ②÷①) :12.6%
- 表面利回り(= ③÷20÷①) :10.9%
- 実質利回り(= ⑦÷20÷①) : 9.9%
一方、IRRは毎年の実質的な収入から計算すると、IRR: 8.2%
利回りの計算方法の違いで3%弱、さらにIRRとの違いは1.7%~4.4%もの違いが生じます。
これだけの差が生じるので、収益性の判断には注意が必要ですね。