mitakeつれづれなる抄

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相互乗り入れでも扉の位置は基本変わらない

2016年08月29日 | 鉄道
 先日の東京メトロ銀座線青山一丁目駅での視覚障害者ホーム転落の件で書きましたが、その際に頂いたコメントで、ホーム柵ドア設置を阻むものとして、相互乗り入れで様々な車両が走行することでドア位置が異なるのでは?と頂きました。
 この件について、結論から言うと、基本的にドア位置の問題はクリアできます。

 その理由として、都市の鉄道における相互乗り入れ(地下鉄と郊外鉄道)では、相互乗り入れ協定というものを結びます。
 その協定の中で車両の仕様と要求される性能も明記されています。
 車両の仕様とは、ドア位置も。一両の中でのドアの位置が厳密に定められます。
 つまり、相互乗り入れに使用される車両は、A社でもB局でも全く同じドア位置としています。
 そのためホーム柵ドアを設置しても、ドア位置の問題はクリアできます。
 ただ、車両によってドア開閉の制御機構が違うこともありますので、実際のホーム柵ドア設置では、車両側のドア開閉制御装置の小改造が必要になることがあります。

 この相互乗り入れ協定での他の協議項目は、そもそもの基本的事項である乗り入れ区間。
 A社とB局が互いに乗り入れる場合、A社とB局のどの駅間を運行するのか、また車掌ドアスイッチの取り扱い方を同一にする、相互乗り入れ境界駅では、どの時点で責任分界とするか、車両使用料の清算、運賃清算方など。
 この地元、名古屋市交通局と名鉄(名古屋鉄道)は、交通局の鶴舞線と名鉄犬山線・豊田線と相互乗り入れと、交通局の上飯田線と名鉄小牧線とが相互乗り入れしています。
 前者の場合、乗り入れ区間は、(名鉄)犬山駅~(接続駅)上小田井駅~交通局鶴舞線~(接続駅)赤池駅~(名鉄)豊田市駅となっています。
 鶴舞線と犬山線の相互乗り入れを始めた頃は、大晦日深夜の初詣列車が犬山線も運転し、地下鉄側から(始発駅不詳)犬山遊園駅まで運転されたことがあります。
 これ相互乗り入れ協定で定めた区間から逸脱しています。
 この場合は、交通局鶴舞線からの列車番号情報は、犬山駅でいったん打ち切り、犬山駅で新たな列車番号を付与して、運転したものでした。

 車両使用料とは、A社の車両が相互乗り入れ先のB局線を運転する際は、B局の列車として走行します。しかしながらA社の所属車両。B局はA社から車両を借りている、ということで、B局からA社に借用料を払います。反対にB局の車両もまたA社線を走行しますので、A社もB局に対して借用料を払います。
 この借用料は一車、1km幾らで、算出しますので、互いの相手線走行距離が同じであれば、ほぼ同額ということになります。したがって、実際の現金移動は行われないことに。
 実際にそうでして、乗り入れ運転計画では、互いの線路走行距離が同じようになる様に、ダイヤと車両運用を調整します。

 要求される車両性能は、制御方式には言及が無く、最高速度性能、加速性能、勾配起動性能を満たすかどうかが、問われます。また名古屋市交通局の例ですが、鶴舞線と名鉄豊田線・犬山線との乗り入れでは、相互直通の当初は交通局車両は、サイリスタチョッパ制御という直流に脈流を発生させて直流モータを回す方式、対して名鉄車は従来の抵抗制御方式で、この制御方式が違っていても、35‰(パーミル)勾配で起動できるか、とか所要の加速度を得て、駅間の所要時分を満たせるかどうか、営業運転を前に、名鉄車で地下鉄線内の試運転を何度も行いました。。

 それと、車両使用料ですが、制御方式が同一であれば使用料も同じになるのですが、名鉄車と交通局車では、交通局車は前述のとおりサイリスタチョッパ制御で、電気使用量が少なく、その分、名鉄線での車両使用料が高くなります。
 そのため、車両使用料を相殺するため、本来は名鉄車運用ダイヤに交通局車両を代替で入れて、借用料金額をほぼ同じとするような調整を行っています。こういうのを俗称「清算運用」と呼んでいます。

 この都市の鉄道相互乗り入れの始まりは、今の東京メトロ地下鉄銀座線です。
 銀座線は元々は、東京地下鉄道(株)による浅草駅~新橋駅間の線路と、後からできた東京高速鉄道(株)による新橋駅~渋谷駅間の別々の線でした。
 これを1939年(昭和14年)に新橋駅を介して相互乗り入れを始めました。この時は今のような相互乗り入れ協定などという発想も無く、乗り入れに伴う規定類もほとんど整備されないままで、車両も乗り入れますが、運転士もそのまま乗り入れていました。
 そのため、五島慶太率いる東急系の東京高速鉄道の車両は、モーター出力も大きく、運転士も気合が入って、どんどん走る走る。
 前に東京地下鉄の列車がいると、どんどん追いつこうと走ります。
 もちろんATSなど設置される前の話ですし、幾分脚色されて伝わった話ではありますが。

 なお、銀座線新橋駅、今の新橋駅は東京地下鉄道が設置した駅で、後から出来た東京高速鉄道の新橋駅は、東京地下鉄道新橋駅と隣り合った位置で、別ホームでした。
 今もこの旧東京高速鉄道新橋駅は残っており、銀座線車両の留置線として使われています。
 薄暗い構内は、昭和14年当時のままだそうです。

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4 コメント

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京急 (kisomitake)
2016-09-01 01:42:22
7743さん

コメント、ありがとうございます。
京急と都営地下鉄、京成の三者乗り入れが、相互乗り入れ協定の第一号と伺っています。

列車運行が乱れると、本来有り得ないことが生じることもあり、相互乗り入れ列車には、限定車両を充てねばなりませんが、まれについうっかり、ということがあるようです。

京急の行っとけダイヤは、異常時の現場第一主義のことを指していますが、車両折り返しでうっかり乗り入れ非対応車が入ることには気を付けねばなりません。
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片乗り入れ (kisomitake)
2016-09-01 01:35:00
pontaさん、コメントありがとうございます。
都市の鉄道の相互乗り入れは、日常的に多数の人が利用するもので、基本的な車両仕様は同一にのものにする必要があるので、相互乗り入れ協定に、車両仕様の項目があります。

名鉄からの、たかやま号、後の北アルプス号は、単独の列車で、名鉄から国鉄、さらに富山地鉄への片乗り入れなので、車両仕様に他車と合わせる必要が無く、名鉄仕様のまま乗り入れています。

常滑線は、中部空港開港の際に、ミュースカイを、名古屋~中部空港間を30分で走行しようとしたため、120km/h対応工事が行われ、ロングレールの重軌条化と高速対応の重架線化が行われました。
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Unknown (7743)
2016-08-31 20:32:10
京急がダイヤ乱れで車両のやりくりが出来なくなって(所謂逝っとけダイヤ発動による)、だまって4ドア車を地下鉄路線内に乗り入れさせて(実際には旧1000形に挿入されたサハ770形2両)、後で大変に怒られた上に運輸省からも勧告を受けた事例がありますが・・・例外中の例外事例ですね。
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相互乗り入れ (ponta)
2016-08-31 11:36:45
 相互乗り入れは、ドアの事まで契約条件が有りましたか。
 車両の借り貸しの条件は、名鉄が昔、立山まで三線連絡をしていた時に、知って居ましたが、その当時は当然ドアの事は無かったし知りませんでした。

 別の件ですが、昨日、中部国際空港から名鉄一宮迄乗りましたが、常滑線のロングレール化は進んで居ますね。
国際人が乗るから優先しているのでしょうか。それにしては、案内放送が二か国語ではお粗末です。
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