時事解説「ディストピア」

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池上彰氏は都知事選をどう伝えるのか?

2014-02-10 20:14:59 | マスコミ批判
今回の都知事選、立候補者が登録を始める前から
舛添氏と細川氏の二大決戦であるかのようにメディアは報道した。


投票から一夜あけて、さっそく舛添氏が当選して
東京の未来はバラ色とばかりのほめちぎり報道がされている。


その極め付けが池上彰氏のニュース「解説」番組だろう。


率直に書けば、同氏は政府(あるいは官僚の)見解を
とてもわかりやすく説明することに長けており、
これまでも体制に都合のよい内容ばかり伝えて
結果的にそれ以上の情報を模索しようとする意欲を大衆からそいでいた。


例えば、氏は原発問題に関して大事になる前は
欠陥だらけの方策と非難されているプルサーマル計画を
ウラン燃料をリサイクルする妙案として説明していたし、
使用済み核燃料の保管先に六ヶ所村があることは説明しても
その受け入れに対して現地の猛反対があることには触れなかった。

また、福島の事故を受けて全国の原発がいっせいに停止した際にも、
「ただでさえ電力不足なのに原発なしでしのぎ切れるのか」と
 遠まわしに再開せよといった文章を書いていた。

 だが、原発が稼働していた際にも電力が不足していたという
 基本的事実をここでもまた同氏は述べなかった。



他には、『そうだったのか!日本現代史』という著作においても
君が代が国歌として制定された経緯について
さる学校の校長が君が代斉唱に関して、教育委員会と日教組に板挟みにあい
最終的に自殺した事件がきっかけになったと説明する際に、
あたかも校長が日教組の執拗な攻撃を受けて死んだかのような
表現をし、教育委員会がほぼ一日中、護衛と称して校長を
常時見張っていた事実を全く書いていない。書こうともしていない。


池上の説明によると、君が代を歌う教育者を守るために
国が作ったということになるが、実際には、歌いたくないという
教育者に強制し、かつ反抗すれば免職や減給をチラつかせるという
弾圧である。氏は明らかに政府に都合の悪い側面を隠匿している。


で、その池上氏が「歴史を知らないと今がわからない」とのたまって
今夜、戦後史のレクチャーをしてくれるそうだが、これまでの前科を
知れば、どうせ日本政府にとって都合のよい内容になるに違いない。


池上氏は、みんなの党が票数を多く獲得した際にも
同党があたかも民衆の利益を代弁しているかのように説明した。

筆者は最初から渡辺氏が自民党に所属したままでは
権力を掌握できないと踏んで、一旗揚げようと作った政党であり、
政策はたいして自民党と変わらず、むしろより新自由主義的だと判断していた。

案の定、その後は安倍政権の礼賛と追従、それに並ぶ
秘密保護法の支持を行い、結果的に民衆から愛想を尽かされ
分裂、今や縮小の一途を辿るばかりになってしまっている。

ある意味、同党のイメージアップとなる解説を行ったことが
結果的に同党の票数獲得に貢献し、秘密保護法可決の手助けと
なったのだが、この件についても池上氏が特に反省することもない。

わかりやすい説明ほど危険なものはない。

本来、ある問題を解説するには大多数に敵意を抱かれるのを覚悟して
世間の誤解に対して「それは違う」と言わざるを得ない時がある。


当ブログでも、北朝鮮が核を捨てない理由について、
それは独裁政権だからとか危険な国家だからといった単純な話ではなく、
アメリカと韓国による常時の武力威嚇があるからだと説明している。

もちろん、こういう見解は世間にとっては悪以外の何物でもなく、
当ブログも固定客が150弱しかない。大多数にとって読みたくない
文を書いているのだから当然である。だが、読者数を稼ぎたいために
いい加減な内容、大衆が喜びそうなデマをたれ流すのでは本末転倒だ。

池上氏のわかりやすい説明は、単に政府、官僚、自民党、保守派の見解が
いかにもまともなことを言っているかのようにごまかすだけのもので、
はっきり言って害悪以外の何物でもない。こういう情報が闊歩してしまう
点こそ、現代日本が情報統制なり言論弾圧をするまでもなく、自主的に
お上に対して頭を垂れている何よりの証左と言えるだろう。

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