時事解説「ディストピア」

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安重根の評価について

2014-02-18 23:37:20 | 日本政治
国内ではもう終わったこととして片づけられているが、
靖国参拝をきっかけとして、日本の国際政治における信用は失墜の一路をたどっている。

中国、韓国などのアジア諸国は言うまでもなく、
ドイツやイギリス、ロシア、アメリカにまで首相の歴史認識が批判された。


かつてのブッシュJr.を彷彿させる光景だ。
自身の幼稚な世界観を信じる余り、現実が見えていない。


イラク戦争はテロとの戦い、民主主義の勝利と喧伝されてはいたが、
ほどなくしてその欺瞞が現地の政情および治安の不安定化によって
露見してしまった。国内では弱者を圧殺する新自由主義経済が採用され、
結果、リーマン・ショックという惨憺たる結果を向かえ、無残に散っていった。


ブッシュが自らの精神的よりどころとして深く信頼したのが
ネオコンと呼ばれる過激なユダヤ人主義者たちだった。


CIAの犬だった岸信介の孫にあたり、国家神道に狂う安倍と
CIAの長官だった父を持ち、ネオコンを崇拝したブッシュ。

両者とも現実を見ず、過激な行動を取り、
国民をリスクの快感に狂わせる詐術をもって支持を集めはするものの、
世界から孤立し自滅するという点において同じ穴の狢であろう。


さて、安部(に代表される現代日本)の国粋主義に対して、
メディアはどのように伝えたのだろうか?

結論からいえば、安倍と親密な間柄の人間のみで
経営陣が構成されるNHKは言うまでもなく、
他の民放でも一連の行為について擁護するばかりだった。


いわく、日本は他国の人間の心を傷つけるつもりなどなく、
不戦の誓いを立てるために参拝したとのこと。


では、次のことはどう説明するつもりだろうか?

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中国東北部のハルビン駅に韓国の義士、
安重根の記念館を開設した報道に、
日本政府は先月、伊藤博文を殺した「テロリスト」として抗議しました



1910年の「韓国併合」の前年に、
初代の韓国統監を務めた伊藤博文が射殺されました。

外交権を奪ったとき、伊藤が「駄々をこねるようなら殺ってしまえ」と
大臣に聞こえるように脅したのは、有名な話。

韓国で安重根は義兵闘争の英雄として扱われています

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-02-18/2014021801_06_0.html
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東京新聞の署名入りコラム(2月17日付)に
「伊藤(博文)が当時の指導者の中では
韓国併合にもっとも消極的だった」という記述がある。

これは日本政府が安重根を伊藤暗殺の「テロリスト」と
言い切ったことへの反論記事として書かれてはいるものの、間違った認識である。

日本では、1909年10月26日、伊藤が安重根にハルビンで
射殺されたのがきっかけで、「韓国併合」の方針がにわかに
決定されたかのような主張がしばしば見られる。

この記事もそうした類の一つであろう。

1905年11月、天皇の親書を携えて朝鮮に乗り込み、
「保護条約」の受け入れを迫ったのは、他でもない伊藤であった。


しかし、高宗は妻である明成皇后を虐殺されたことや
日露戦争中の財政整理問題など、主権侵害をなじり、条約締結を最後まで拒んだ。

すると、伊藤は高宗を脅迫し、朝鮮の大臣1人ひとりに賛否を問い詰め、
あくまで抵抗した首相や大臣らを退け、それ以外はすべて賛成とみなし、
強引に力で調印に持ち込んだ。(中塚明著「近代日本と朝鮮第三版」に詳しい)

こうして日本政府は数千年の歴史と文化を持つ朝鮮の外交権を奪った。
そしてソウルに統監府を置き、朝鮮の内政全般を左右することになったのだ。
初代の統監に就いたのは伊藤自身で、実質的に植民地化を完成させた張本人であった

http://chosonsinbo.com/jp/2014/02/0218ib/
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要するに歴史的にみて、よりテロ的だったのは伊藤のほうであり、
ひいては、明治維新以降の力づくで朝鮮半島を強奪せんとする
大日本帝国の侵略主義政策の一環として韓国は併合されたのである。


このような基本的知識すら認めようとしない国家が
他国を尊重し、不戦の誓いを立てているわけがなかろう。


そもそも、靖国神社は遊就館というアジア侵略戦争を美化する施設が
併設されており、これはヒトラーが正しかったという説明がされている
ヒトラーを神として崇めている施設へ向かい、そこで礼拝しながら
「ユダヤ人さん、すんまっせーん♪」と言っているようなものである。



もっと簡単に言えば、リトルボーイ(広島に落ちた原爆)を
「アメリカ人を日本から守った科学の結晶」とうたった博物館で
「私たちは二度と核を使わない!」と言っているようなものである。
 (それも原爆をわが国に貢献した素晴らしい兵器と絶賛しながら)



「不戦の誓い」というからには、一応、建前としては
 大日本帝国が侵略戦争を行ったことを認めてはいるのである。


 白い烏帽子を黒だと言い張り、それへの「理解」を求めるよりも先に、
 自分の矛盾した行いをただすほうが先であろう。

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