時事解説「ディストピア」

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知ってますか?建国記念の日

2014-02-12 23:44:56 | 歴史全般
昨日、2月11日は建国記念の日だった。
憲法記念日などとゴロが似ていることから、この日に
現在の日本国の建国が宣言されたと思う人もいるのではないだろうか?


実のところ、この日は日本が建国された日ではない。
初代天皇ということにされている「神武」が即位した日なのだ。


この21世紀におとぎ話のエピソードを
史実のように扱うというこのセンス!

いやはや、素晴らしいものである。



天皇制を非難あるいは擁護するさいに見落としやすいのが
天皇制批判と天皇批判は全く違う」ということである。

前者は大日本帝国が築き上げ、戦後も継続されている国家システムへの批判であり、
後者はただの個人攻撃である。



天皇制の何が良くないかというと、その絶対性にある。

建国記念の日もまたしかりで、冷静に考えれば歴史的な根拠が
まったくない上に、日本国憲法には宗教の自由が保証されている
はずなのに、一つの宗教にすぎないはずの神道のエピソードを
国が挙げて祝うべきこととしてしまう是非について議論が必要なはずだ。

にも関わらず、天皇ゆかりというただそれだけの理由で
公の議論が暗黙の了解で自粛されている。このように、
天皇という言葉を盾に国家権力が絶対正義とされてしまう。

君が代しかり、靖国しかり、ここが非常に問題なのである。

注意深く見ると、天皇制は天皇の美化という形をとりつつ、
それ以上に天皇の承認を得た国家を一切の過ちを犯さず、
完全なるものとみなし、崇拝と隷従を強制する点にその特徴がある。

虎の威を借りたキツネとでも形容できようか。
神様が治めるこの国が間違っているはずがない。
この国に楯突くことは神を冒涜することだ。こういう理屈である。

このシステムは天皇が人間であることを宣言したことによって、
また国民主権を憲法で認めたことによって多少のダメージを負ったが、
その後、日本国の象徴(つまり、天皇や天皇制を批判する者は
国に叛意を持つ者と同義であることにされる)として維持された。


戦前には御真影といって天皇の写真が大変神聖なものとみなされ、
この写真が飾られている場所を通る際には敬礼をしなければ
ならなかった。現在、御真影は旗や歌といったより記号的なものへと
変化し、これを一種の踏み絵として現政府の忠誠心を試すものとしている。


国家や政府に一切の責任を負わせず、負担を国民に強いるという点で
このシステムは非常に前時代的、非科学的、宗教的なものである。



檀君神話を歴史教科書に載せている韓国でさえ、
檀君を想像上の人物(正確には古代朝鮮に存在した指導者の総称)と
みなしている。歴史と神話を同一視するのは残念ながら日本ぐらいだ。


今日のニュースで安倍総理が自身の靖国参拝や改憲解釈、慰安婦問題
について、現実を見ていないとしか言いようがない発言を行っていたが、
彼の言葉もまた自己陶酔的というか、狂信的なのもまた、この天皇制の
根幹にある「国家や政府は一切悪くない」という強いイデオロギーに
精神を侵されているからであろう。


国家に反省を強いない、
さらにいえば、国家に無反省を強いる点にこそ
最も天皇制の恐ろしい点であり、この絶対王政を
除去することがどれだけ日本の未来に有益なことか……

と私は思うのだが、世間的には天皇=天皇制と考え、
平成天皇の人柄と天皇制の欠陥を混同するために、
天皇制の批判→天皇への侮辱と一発簡易変換され、
なかなか意見を聞かれることはない。

だが、塵も積もればなんとやら、
それは間違っていると叫んだ人間が過去にいたことを
未来の人間に伝えていくことこそが大事なのだと思う。

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