時事解説「ディストピア」

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アメリカの貧困者数、1960年代のレベルに戻る

2015-02-27 00:34:45 | 国際政治
5000万(識者によっては4500万)のアメリカ人が貧困状態に陥っている。

これは、1960年代のアメリカの貧困者数と同値であり、
よその国を人権侵害の独裁国家と大口を叩くアメリカそのものが、
独裁国家の総人口よりも多くの人間の生存権を脅かしていることが最近の調査でわかってきた。


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フランスの研究機関が、
アメリカは先進国の中で、貧困者の数が最も多い国だとしました。

この研究機関は、2011年、アメリカは貧困者の割合が17.1%で、
先進国の中でワースト1、ギリシャがワースト2だったという調査結果を発表しました。



世界最大の経済大国であり、多くの富豪が暮らすアメリカの貧困者の数の発表は、
常にアメリカ政府にとって不名誉の源となっています。


ジョンソン政権が貧困に対する戦いを開始した1960年代から現在まで、
アメリカ社会の貧困を撲滅するための数多くの努力が行われてきました。

こうした中、公式統計が示しているように、
2009年アメリカの貧困者の数は1960年代のレベルに戻り、
半世紀の努力がほぼ無駄に終わったことを示しました。



アメリカの貧困ラインは4人家族で年収2万3850ドル(約360万)となっています。

アメリカ人の多くが25歳から75歳までの間で、数年間貧困の辛い時期を経験するといわれています。


この貧困は、有色人種や子ども、
片親の家庭において特に深刻です。



2011年には1600万人のアメリカ人の子どもが政府や福祉機関による食糧支援を受けて生活していました。


ユニセフも、2013年、アメリカは先進国の中で
二番目に貧困の子どもを多く抱える国だと発表しています。



アメリカにおける貧困拡大には、様々な理由があります。

まず、アメリカの資本主義体制において、
不平等が広がっており、社会進化論によれば、貧困者などの弱者は死を宣告されています。


こうした中、政府は貧困撲滅に向け十分な資金を有してもいなければ、
富裕層はその税金を貧困者に当てようともしていません。




このため毎年、様々な形でアメリカの富豪の税金の免除率が拡大され、
政府は福祉計画のために十分な資金源を確保できずにでいます。


アメリカの貧困拡大のこの他の要因は、同国の政府が、
国内外の治安・軍事計画に莫大な予算を当てていることです。



この15年だけで、アメリカ政府は
1兆ドルの資金をアフガニスタンやイラクの戦争に費やしています。



もしこの半分の額を財政支援や新たな雇用の創出に投じていたら、
数十万人の市民が貧困ライン以下の生活を抜け出していたでしょう。



この80年で最大の金融危機が発生するという2007年に、
財政管理を誤ったため、アメリカの貧困問題は拡大しました。


この危機は大規模な失業と住宅の差し押さえを引き起こした一方で、
福祉計画を継続するための政府の財政を失わせました。


この2年、政府の財政問題により、失業保険の受給期間が減らされただけでなく、
食料クーポンを受けることのできる人も減少しました。


最終的に、一部の福祉計画の規範のない実行は、アメリカ市民の一部を怠けさせ、
失業者や麻薬中毒者、ホームレス、社会的責任の欠如した人々の間で貧困を広めました。


いずれにせよ、世界の経済の指導者をうたい、複数の富豪が暮らすアメリカにとって、
4500万人の貧困者は不名誉の源であり、貧困者と富裕層の格差が加速すれば、
アメリカの社会的な危機は拡大することになると予想されています。

http://japanese.irib.ir/news/commentaries/item/52035
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アメリカは福祉費を各自治体が自力で調達しなくてはいけないので、
ニューヨークのように財源がある自治体以外では、必然的にNPOの活動に依存するしかない。


レーニンは「国家とは階級支配の機関なのだ」というテーゼを掲げたが、
まったくその通りで、大多数の市民を犠牲にすることで富裕層を保護するシステムになっている。



これだけ非道い有様のアメリカでイタリアやフランスのような暴動が起きないのは、
半世紀異常前から、赤狩りなどで共産的な勢力を排除していることと、
人種主義と民主主義を基軸にし、不満のガス抜きが容易であることが挙げられる。


例えば、イランや中国などの特定のイデオロギーを保護し、
それに反する思想を「政府によって」排除する国家では不満がたまりやすい。

また、敵国から人権侵害と攻撃される要因にもなっている。


だが、アメリカの場合、不満や抗議はいくらでも出来るようになっているので、
暴動よりもネットや書籍、雑誌での言論活動、あるいはデモで怒りが表現されやすいのである。


もっとも、この自由はあくまでアメリカの国家体制が揺らがないレベルの許容であり、
実際、1960年代に黒人の人権復帰運動においては多くの活動家が殺害された。


だが、このような活動家も、多くは「市民によって」殺害されている。

つまり、アメリカは弾圧の姿勢を取らず、
社会の悪感情を利用し保守的な人間を培養することで、民主的に敵を排除している。



その際、歴史的に利用されたイデオロギーが人種主義だった。


つまり、人種主義を表現の自由のもとに放任し、
体制側に都合のよい右翼思想を大衆に植え付けることで、
民主的に各々が政府とは無関係に運動家を攻撃するように仕向けているのだ。


また、自由というイデオロギーを絶対視させることで、
社会全体の権利より個人の権利を追求させ、互いに対立させるようにもしている。
(アメリカは世界でも有数の司法社会で有名だ)


英領植民地の恒久化と社会運動家の弾圧に執念を燃やしたチャーチルは
「民主主義は最悪の政治だ。民主主義以外の全ての政治体制を除けばだが」と述べた。


日本ではチャーチルは善人扱いされているので、この言葉も好意的に解釈されているが、
アメリカの様子を見れば、これは政府ではなく国民自らが弾圧の担い手となる点において
最悪の人権侵害システムだが、為政者にとっては、これほどお手軽で楽な支配制度はない
という意味で最適な政治システムであると言っているのだと再釈する必要があるだろう。
(デモクラシーのさらに上をいくシステムを模索しなければならないということだ)


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