時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

ノーム・チョムスキー、サウジアラビアとイスラム国の関係を指摘

2015-02-18 01:00:49 | リビア・ウクライナ・南米・中東
アメリカの著名な批判者、ノーム・チョムスキー氏が
ISIS(イスラム国)台頭の背景としてアメリカとサウジアラビアの存在を指摘した。

日本では、サウジのテロ支援への批判は封印されている。
酒井啓子氏や池内恵氏らの著名な中東研究者のお墨付きで。

前者は「そういう疑惑もある」でサラっと受け流しているし、
後者は……安倍政権の支持者である時点で、お察しだ。

どこの国でもそうだが、外国研究者というのは、
その国の権力者がキレない範囲内で活動している印象を受ける。


特に我が国の中東、中国、北朝鮮、ロシア研究者は
日本の軍拡や右傾化を食い止めるどころか、それに拍車をかける言説を唱えている。


そういう事情もあり、殊、時事問題にかけては
在野の学者や知識人のほうがキレのある論評をすることが多い気がする。


チョムスキー氏も専門は言語学だが、
その辺の国際政治学者よりも数倍、味のある見解を示す。

もちろん、リビア論を筆頭に異議を唱えたい意見もしばしばあるのだが、
それでも、相対的にはその辺の研究者と違い、タブーを気にせず語っている。


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アメリカの著名な言語学者ノーム・チョムスキー氏が、
「イラクに対するアメリカの制裁や戦争といった政策により、
 イラクの社会情勢が不安定になった」と語りました。


チョムスキー氏は16日月曜、アメリカ・ニューヨークを
本拠地とする政治・文化雑誌ジャコビンのインタビューで、

「アメリカ政府のこのような政策は、イラクでの宗派の対立を煽り、
 その結果テロ組織ISISの発生につながった」と述べています。


また、アメリカがイラクでISISが勢力を拡大する下地を作ったとして非難し、
「2003年のアメリカによるイラク攻撃と占領、
 またそれ以前の対イラク制裁により、イラクは事実上壊滅した」としました。


さらに、
「制裁は、文民社会を破壊し、独裁者に力をつけさせるものであり、
 社会は存続するために独裁者に依拠せざるを得なくなる」と語っています。


チョムスキー氏はまた、
「イラクにおけるアメリカの侵略的な政策により
 各集団や宗派が互いに距離をおき、事態は仲間同士が
 互いの首を斬る状態へと進んでいった」と述べました。


さらに、
「ISISのイデオロギーの根源は、アメリカの一大同盟国であるサウジアラビアにある」
とし、
「サウジアラビアは、一族によるある種の独裁制が支配しており、
 石油という壮大な資源を利用して、自らの思想を地域全体に伝播させている」
としています。

ISISは、この数ヶ月間でアメリカ人3名、
イギリス人2名、日本人2名の人質を殺害し、さらにヨルダン人パイロットの焼殺と、
エジプトのキリスト教の一派であるコプト教徒の処刑の動画を公開しました。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/52217-
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日本の最大石油輸入国であるサウジアラビアに対して
本来、意見をいうべき日本の中東研究者が沈黙あるいは
それに近い態度を取っているなか、同氏の指摘は意義深いと思う。


まぁ、それでもイランラジオでサウジアラビア関連の記事を
検索して読んだほうが、はるかに参考になる情報が得られるのだが。


本記事と合わせて次のイランラジオの記事も読んでいただきたい。

テロとイスラム排斥に対するOICの懸念


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