時事解説「ディストピア」

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本などは所詮は広告

2014-11-23 19:10:59 | 出版・ジャーナリズム論
本というのは、つまるところは自分の意見を世に表明するものである。
ストレートにいえば、売名行為の一種にしか過ぎない。


著者にとっては、売れる・売れないよりも、読まれる・読まれない、
それも「有力作家や知識人、編集者の目にとまり、仕事を紹介される」
のが第一目的なのではと思う。

綿谷りさなど、最年少芥川賞受賞者として一時的に有名になった人でも、
現在、単行本3冊(文庫本6冊)しか世に送り出していない様子をみると、
「有名になったあと、いかにコネを作って仕事をくれるように
 努力するかが大事」なんだなーと思わざるを得ない。


「蹴りたい背中」1冊がどれだけ売れようと、
次回作の執筆を依頼されない限りは全くもって意味がないのである。


加えて、ブック・オフなど古本屋の利用客が不況によって増えているので、
新品ではなく、古本で作品を入手する人も多い。

つまり、読者数=新品購入者+古本購入者+図書館利用客+友人から借りて読む人
であって、本屋で売れたというのは、全読者を知る指標にはならないのである。


で、私などは古本で買って気に入った著者の新作を書店で買ったりするので、
それを考えれば、新品が売れる・売れないは書店や出版社にとっては問題だろうが、
あくまで自分の知名度を上げて、読者数を増やす、知識人や編集者との人脈を作る
ことをメインの目的とする著者にとっては、どうでもいいことなのではないか?
(もちろん、気にする著者もいるとは思うけれど)


加えて、近年、電子書籍サービスが充実しつつあり、
10万もかけずに自分の本を作ることができるようになった。


アマチュアは、紙媒体の出版にこだわるよりもまず、
電子書籍を名刺代わりに作って、100円から300円ぐらいのワンコイン価格で
サイト客や知人に読んでもらったほうがいいのかもしれない。

もちろん、読まれればよかろう程度のレベルで、
それで儲けようと思ってはいけない。あくまでも名刺レベルに留める。


そういうミニコミのお小遣いレベルの一人同人誌に
留めておくのが、出版トラブルを防ぐ何よりの対策なのではないだろうか。

自費出版考・2(現在の論壇・言論状況について)

2014-11-23 18:24:47 | 出版・ジャーナリズム論
冷静に考えれば、プロ(上から下までいるけれど)の編集者が
知恵を絞って売り出した本が売れないのに、一般市民が
いきなり本を出したって売れないのは必至なわけだが、
「とりあえず市場に出せばワンチャンあるかもしれない」という
 心理がやはり働くのだろう。


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共同出版とトラブル増加についての経緯


近年、自費出版でのトラブルが急増している背景には、
文芸社や新風舎、碧天舎などが新聞広告などを利用して
共同出版・協力出版などと称される詐欺的な出版商法を
大々的に展開したことがあります。

ほかにも同様の商形態をとっている出版社は複数あります。


問題とされている共同出版とは、
その契約内容から著者が初版の出版費用の一部
(制作費としている場合が多い)を出資する商業出版といえるものです。

出版社と著者の双方が出版費用を分担し著者には印税を支払う契約ですから、
出版社の顧客は商業出版と同様に本を購入する読者でなければなりません。


ところが、実際には著者に出版費用以上の金額を請求しており(水増し請求)、
出版社はなんら費用負担をしていないと考えられます
(実際に費用を分担している出版社もあり、
その場合は問題があるとは考えていません)。

出版社は費用もリスクも負担せずに自社の商品を制作・販売することができ、
著者と本の購入者の双方から利益を得るという
出版社に一方的に有利な出版形態といえます。

不当な請求によって得た利益は契約書籍の出版以外の経費
(原稿募集の広告や営業費など)に流用されていると考えられます。


一冊も売れなくても利益を得られるシステムであれば、
作品のレベルや内容、ジャンルなどに関わらず、
どんな本にも販売を謳って共同出版を提案することができます。

アマチュアの本の販売は困難であり大半がほとんど売れないことを知りながら、
販売を掲げることで著者の気を引いて契約させる商法といえます。


一部の出版社は多くの著者を獲得するために新聞などに広告を出稿し、
錯誤させるような勧誘、不当な費用請求、杜撰な編集、
コンテスト落選者への勧誘、強引なクレジット契約などを
行なってトラブルの増加につながりました。


こうして規模を拡大した出版社は、会社維持のために
多数の契約数を獲得しなければならなくなり、同業者間の競争が
激化してダンピング、経営悪化につながりました。

碧天舎は経営悪化によって2006年3月に、
また新風舎は悪質な商法への批判と放漫経営による
経営悪化が重なり2008年1月に倒産しました。


費用の分担を謳わず、「自費出版」と称して
これと同様の商形態を取り入れているのが幻冬舎ルネッサンスなどの出版社です。


なお、従来から行なわれている自費出版とは、
出版社(制作サービス会社や印刷会社)が
著者の本の制作を請け負うもので(販売サービスを付加させている場合もある)、
出版社の顧客は本の購読者ではなく著者です(著者が出版者である出版形態)。

すなわち、上述した共同出版などとは契約形態が全く異なります。

本の所有権などが著者にあり、
売上金が著者に支払われる点で上述した共同出版より著者に有利です。

http://nakusukai.exblog.jp/10257593/

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結論からいえば、自分が投資するタイプのものには
手を出しちゃアカンというものなのだろう。


前の記事で私は、本が売れないのは、
著者、ライターのコネクション採用が常態化したために、
質が低下し、無料で閲覧できるアマチュアのサイトと大差がなくなり、
結果、金を出してまで買おうとする人間が減少したためだと指摘した。


実際、『世界』だろうと『正論』だろうと、
いわゆる「論壇」というサークルによって書かれている同人誌のようなものに
なっていて、サークルからお声をかけられなければ入稿は厳しい。

そのサークルのレベルが高ければ、質自体は高い水準を維持できる(1)が、
このコネクションありき(学歴、経歴、教授の推薦ありき)のシステムでは、
一般市民が参加できる余地は全くない。

ブログやホームページ(特にまとめサイト)の隆盛には
こういう疎外されたアマチュアの逆襲とも言えるのではないかと思う(2)。


マスゴミと揶揄される背景にも、
自分たちの意見を聞いてもらえないという不満が根底の部分にあるのでは?


本や雑誌で意見表明をしていくというスタイルはもう古いものなのかもしれない。
完全に市場と古い体質に支配されていて、在野の言葉に耳を傾ける気などない。


藤永茂氏や金光翔氏など、傾聴に値する意見を発信する人間は
いくらでもネット上に見つかるが、彼らの意見は論壇からは極力排除されている。


日本の社会運動を考えると、そういった現状、
例えば、藤永氏のリビア爆撃批判や金氏の岩波批判が
言論から民主的に封殺されているという有様は非常に問題があると思う(※3)。



※1
現在の世界や金曜日の劣化はサークル制度の問題点から目をそむけた結果だと思われる。
北朝鮮問題を見ればおわかりなように、このような反権力をうたう雑誌ですら、
売り上げや読者のバッシングを恐れて、大衆に意見を合わせる面がある。


※2
本人たちがHPに書くだけで満足している部分もあるとは思う。

また、HPの場合、トラックバックやコメントを利用すれば、
広告費ゼロで大量の読者を得ることができる。

かつて、私はそれを利用してランキングサイトで2位になった。
(ここはメモ書きのようなサイトなのでTBも送らないし受け付けていないが)


※3
嫌韓などの低レベルな内容の本については、
「若者からの意見」だとか「有名ブログの著者による」といった
 売り文句で、くだらない本がブロガーや素人に書かれている。

右翼本は結構、そういうの(素人に書かせた本)が多いと思う。

右翼の大物(?)、渡辺昇一すら専門は英語学、つまり歴史学者でもない
ただの爺さんが真実の歴史とやらを本に書いているわけだから。


冷静に考えれば、在日コリアンやアイヌの問題にせよ、
プロが書けば、どうしても左翼的になるのだから、
当然と言えば当然なのかもしれない。


古市や古谷などの自称若者世代のアラサー右翼が跋扈している一方で、
左翼には特にそういうアラサー評論家がいないのも、
敷居の高さは案外、右翼のほうが低いという部分があるのだろう。


私は右翼とは対決する立場にいるが、
やはり既存の左翼(岩波文化人)のエリート主義、閉鎖体制については
本当に問題があると思っているので、この点においては右翼のほうが
民主的だと思っている。