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時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

慰安婦を否定しながら肯定する意味不明な日本政府について

2014-10-24 00:17:14 | 反共左翼
慰安婦の強制性を認めた河野談話を継承すると言いながら、
慰安婦の強制性について修正を求める安倍政権。



何を言っているのかわからないかもしれないが、実際にそうなのだから何とも言えない。


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日本共産党の山下芳生議員は21日の参院内閣委員会で、
菅義偉官房長官が「慰安婦」問題で日本軍の関与を認めて謝罪を表明した
「河野洋平官房長官談話」(1993年)の継承を口にしながら、
同問題をめぐる国連人権委員会「クマラスワミ報告」の修正を求めている
ことについて真意をただしました。


クマラスワミ報告は、日本軍「慰安婦」を「性奴隷」と位置付け、
日本政府に賠償と謝罪を勧告しています。

日本政府は、朝日新聞が韓国・済州島で女性を強制連行したとする
吉田清治氏の証言を取り消したことを受け、同報告の修正を求めていました。


山下氏は、同報告は「吉田証言」に異議を唱える複数の研究者、
「慰安婦」とされた女性たちへのインタビューなど豊富な資料に基づいていると指摘。

「(『吉田証言』取り消しをもって)報告全体が信頼できないものであるか
のような誤解を招くメッセージを日本政府が発信すべきではない」と追及しました。

菅官房長官は「報告書はわが国の基本的立場やこれまでの取り組みを踏まえていない」
などと開き直りました。同時に「河野談話」については「継承し、見直すことはない」
と答弁しました。


山下氏は、「河野談話」が「慰安所における生活は、強制的な状況の下での
痛ましいものであった」など五つの内容を述べていると指摘。
「ひとたび日本軍『慰安所』に入れば、自由のない生活を強いられ、
強制的に多数の兵士の性の相手をさせられた、性奴隷状態とされた事実は、
動かすことができない」と批判しました。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-10-23/2014102304_01_1.html
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日本軍「慰安婦」問題で「強制連行」を否定した菅義偉(よしひで)官房長官の発言が、
韓国の主要メディアで「安倍内閣の軍慰安婦強制連行否定 『全面戦』の様相」
「21年前の記者会見発言を問題にし強制連行を露骨に否定」(聯合ニュース)
などと一斉に批判され、国際問題になっています。


菅氏の発言は21日の参院内閣委員会での日本共産党・山下芳生書記局長への答弁でした。

菅氏は、「慰安婦」問題で日本軍の関与と強制性を認めて謝罪した
「河野洋平官房長官談話」(1993年)発表の記者会見での河野氏の発言をとらえ、
「会見で河野官房長官は強制連行の事実があったという認識なのかと問われ、
そういう事実があったと、結構ですと述べている。ここがまず大きな問題だ」などと発言。

その上で、「私どもはそこ(強制連行)は否定をして、
政府として日本の名誉・信頼を回復すべく、しっかり訴えていく」と述べました。

これは、3日の衆院予算委で安倍晋三首相が答弁した内容を繰り返したものでした。

これに対し、山下氏は
(強制連行の事実は)他の国の公文書等には記載されたものもある。
日本の裁判で事実認定されている」と反論するとともに、
「問題を強制連行の有無に矮小(わいしょう)化してはだめだ」と指摘。

河野談話を継承するといいながら、日本軍『慰安婦』制度が
性奴隷制度だったとの指摘をいわれなき中傷だとか、不適切な表現などというのは、
二枚舌であって国際社会の信頼を失う
」と厳しく批判しました。

山下氏が批判したように、
安倍内閣として「河野談話」を継承するとしながら、
強制連行の事実を否定するのは全く成り立たない、
二枚舌の論理です。


「河野談話」否定派は、「朝日」が「吉田証言」を取り消したことに乗じて、
「吉田証言」が崩れた以上、「河野談話」も根拠が崩れたと攻撃してきました。

しかし、「河野談話」が「吉田証言」を根拠にしていないことが明らかになり、
菅氏も答弁でそれを認めざるを得なくなりました。菅氏の発言は、そうしたなかで、
「河野談話」そのものでなく、記者会見での河野氏発言を問題にして
「河野談話」を無力化しようというものです。


しかし、山下氏が強調したように、
国際社会は
「慰安所」における
強制使役=性奴隷制
としての「慰安婦」制度を
問題視しているのであり、
「強制連行」だけに矮小化する議論は
通用しません。

「河野談話」無力化をはかるための発言を
繰り返せば繰り返すほど、
安倍内閣は国際的孤立を深め、
女性の人権に冷淡な政権だとして
「日本の名誉」をおとしめるだけになる

のです。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-10-23/2014102301_03_1.html
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実際、ここ最近の慰安婦への安倍政権の態度から、
日本は国際的にかなりイメージが悪くなっていると思う。

これは、原爆投下を肯定する人物がアメリカ大統領になったり、
ホロコーストを美化する人間がドイツ首相になっているようなものなのだから。


ロシアや中国でさえ、スターリンのジェノサイドや文革は否定している。
それなのに、日本ではその逆の道を進んでいる一方であるわけで、
こういう奴らのやり方をぬるいと感じ、ますます過激な行動が
桜井誠をはじめとした右翼テロリストどもが跋扈しているわけだ。


私は「アメリカで黒人差別を当然視している人間を見て、
あなたは合衆国やアメリカ人に良いイメージを抱けますか?

と右翼たちに質問したことがある。



まぁ、当然、質問に答えずに「中国人や朝鮮人に人権はない」
「反日と闘わなければならない」といったコメントが返されてきたわけだが。


安倍にしても石原にしても、自分たちの利益しか見えていないというか、
他人の意見に耳を貸さずに自分のテリトリーで好き放題に暴れているように見える。

お山の大将というか何というか。

国際社会や国内の反対意見に一切耳を傾けず、ひたすら自分たちの暴利を貪っている。
そういう連中にこれといった抵抗をしない市民も市民なわけで、どうしようもない。

日本全体が全力で自爆行為を行おうとしているようなそんな気分だが、
まぁ、やはりここまで日本の政治や市民のレベルが非道くなったのは、
左派も含めたメディアの責任がかなり重いだろう。


実際、岩波も朝日も、吉田証言が問題化する前までは本格的に
慰安婦問題について継続的に現政権の姿勢を批判しては来なかった。

きちんと批判していたのは赤旗と朝鮮新報ぐらいだった。
大事になるまで放置してきた左派系メディアの責任は重大だ。


橋下批判などが典型的だが、彼らは一時的にはネタに飛びつくが、
問題が改善されるまで徹底的に抗戦することがない。



あたご事件などは、その最も悲惨な事例だろう。
そういう話題作りのための批判が結果的にどれほど右傾化に与していることか。

日本の軍国化(それは民主的に推進される)を抑止するためにも、
従来の左翼メディアではない、もう一つのモデルが必要になっている
のではないだろうか?

有田氏らの反ヘイトスピーチ運動は自己満足行為にすぎない

2014-10-16 23:36:16 | 反共左翼
『世界』11月号の特集である反ヘイトスピーチの座談会、
 あらためて読んだが、やはり自己満足の域を出ていないと強く感じた。


特に李信恵氏の在特会・保守速報への起訴を過大評価しているのは「どうもな」と思う。


確かに保守速報への提訴は意味があることだと思う。
この結果、李氏が勝訴すれば、今後の保守メディアへのけん制になるかもしれない。


だが、筆者はこれについては効果はさほど期待できないと思う。

なぜならば、既に大江健三郎氏や本多勝一氏に対して右翼が裁判を持ちかけ、
敗訴したにも関わらず、集団自決や南京事件の事実を認める動きが一向に見られないからだ。

こういった裁判に左派が勝つこと自体には意味があり、
また勝たなければならないことではあるが、右傾化の防止になるかといえば、甚だ疑問である。


また、次のような記事が提訴以降も保守速報でアップされている。


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【吉報】『大嫌韓時代』の第七刷が決定!!!発売3週目で七刷という大反響


『大嫌韓時代』購読を報告される方々に著者として心から御礼申し上げます。
先ほど出版社より第7刷の決定が発表されました。
発売3週目で7刷という大反響に驚かされますが、
それもこれも運動に携わってきた皆さまの献身的な努力あったれば
こその大嫌韓時代の到来だと確信します。

http://hosyusokuhou.jp/archives/40756764.html

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コメント欄は右翼の発言で埋まっており、とてもじゃないが
ネット上での差別発言を防止しているとは思えない。


何度も話しているが、ネット上での差別発言もヘイトスピーチに含まれる
街頭演説だけ防止しても意味がない。
ネットでの歴史歪曲、異民族差別運動が日本の右傾化の要因の一つでもある。


にも関わらず、李氏の提訴を画期的と持ち上げる座談会をみると、
現実には保守速報はその後も極右活動を展開しているという事実を無視している



この座談会のおかしさは、しばき隊や男組といった暴力的な
反ヘイトスピーチ運動に対して何ら反省がみられない点にもある。


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「レイシストしばき隊」と称しているこの集団は、
社会運動を装った詐欺師や、在特会とは別系統の右翼、親日派在日朝鮮・韓国人、
さらにはヤクザそのものにしか見えないような連中が取り仕切っている。

中でもここの代表者である野間易通という男は自身のツイッター上で
頻繁に民族差別発言や日帝の朝鮮植民地支配正当化発言を繰り返し
ており
、他ならぬ在特会に所属していても何ら違和感がないほどだ。


http://kotokotonittei.hatenadiary.jp/entry/2013/08/01/181751
http://kotokotonittei.hatenadiary.jp/entry/2013/08/01/180804

(http://roodevil.blog.shinobi.jp/韓国進歩言論/
ハンギョレのこの日本特派員はどうにかならないのか)

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詳しい説明は上記サイトを参照してほしいが、
右翼たちが盛んに攻撃している代表的な反ヘイトスピーチ団体は、
その歴史観や思想を見る限りでは、従来の左翼とは異なる立場にいる連中だ。



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「俺達は安倍や自民党よりももっと右だ!」

そう考えると納得が行く。仮に本人達が否定したとしても、
傍から見ればどうみてもこいつら安倍と同等かそれ以上の極右だよ。


この手の系列の集団が、
これまでの沖縄の反基地闘争や成田闘争などをブルドーザーで轢き潰すなどと宣言したり
気に入らない人間を平気で公安にチクッてそれを誇らしげに自慢したり、
「ヘイトを街から葬り去る」とか言いながらなぜか総連や民団を攻撃するなど、
どう見ても市民運動としては完全に狂った言動を振りまいているのもそういう事だろう。

言わば北一輝にイカれて2.26事件を起こした皇道派軍人気取りという事だ。
連中に狂的な天皇崇拝者どもが多いのも共通項であろう。

(http://roodevil.blog.shinobi.jp/社会/旧しばき隊(現CRAC)だの
東京デモクラシーだのがなぜか安倍晋三を攻撃する)

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上記サイトの執筆者の意見に付け加えるならば、
有田氏に至っては平時から北朝鮮バッシングに関与しているということ、
慰安婦問題において日本のアジア女性基金に好意的な態度を取っていること、
右翼とはつるむくせに共産党は執拗にバッシングするということが挙げられる。


まさに反共左翼というもので、間接的に右傾化に手を貸しているわけである。

特に北朝鮮に対する発言はすさまじいものがある。以下の議事録を見てみよう。



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御承知のように、北朝鮮の核、ミサイルの開発というのは
特に一九九〇年代後半に向けて行われていき、そして、
その一方で約二千四百万人いる北朝鮮の国民の三百万人が餓死した
というふうに推定されております。

つまり、国民が大変な生活状況、食料事情があるにもかかわらず、
北朝鮮政府は核、ミサイルというものを開発する中で国民が飢えて亡くなっていくという
とんでもないそういう人権状況。

しかも、北朝鮮国内においてはそういうことに対して批判の声を上げることができず、
もしそういう兆しを察知されてしまえば、全国六か所にある政治犯収容所に
今でも二十万人の人たちが捕らわれて、命さえもが危ないような状況で必死で生きている。

そういう北朝鮮の人権感覚、基本的人権の欠如、民主主義の欠如というものが、
やはりこれまで、一九七〇年代以降、日本人に対する拉致問題に対する
人権感覚の全くの無視というところにつながっているというふうに私は考えております。


(中略)


松原大臣が今お話しになったように、
アメリカが非常に厳しいならず者国家という態度を堅持する状況の下で、
当時、拉致被害者の一人である蓮池薫さんも、
どんどんどんどん経済状況が厳しくなっていって、
そしてアメリカとの関係が本当に社会レベルでも、
指導員レベルではなくて一般のレベルでも不安になっていったときに
物事が動いたんではないかというふうに拉致被害者のお一人として評価をされていますから、
そういう意味では、
今後の米韓日が連携した強力な体制の下で
北朝鮮と対していかなければいけない
というのは
前提だというふうに思っております。


http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/180/0081/18004160081003a.html
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「国民が大変な生活状況、食料事情があるにもかかわらず、核、
 ミサイルというものを開発する中で国民が飢えて亡くなっていくという
 とんでもないそういう人権状況」とまで断言するが、実のところ、
 北朝鮮の食糧事情はもう少々複雑であり、有田氏のように断言できるものではない。


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「北朝鮮は食糧難」というのが日本では常識のように語られることが多い。
だが、北朝鮮の穀物生産は回復傾向にあり、食糧自給率も100%に近いレベルにあるようだ。


その根拠の一つが、国連食糧農業機関(FAO)と世界食糧計画(WFP)が
毎年発表している「北朝鮮の作況および食糧安保評価特別報告書」
(Special Report: Crop and Food Security Assessment Mission to the DPRK)だ。


これは、両機関の担当者が北朝鮮を訪問して多くの農場に足を運び、
北朝鮮の農業省の資料などを照会して作成するもので、2013年11月に、
2012年の収穫分と2013年春の収穫分(2012年11月~2013年10月まで)
を予想してデータを発表している。


最新の「2013・14年度の報告書」で見てみよう。
2013年度の北朝鮮の食糧生産量は503万トン。
一方、食糧需要量は537万トンで、不足分は34万トンとなっている。
食糧生産量には、家庭菜園などでの栽培や傾斜地での栽培分も含んでいる。

不足分で見ていくと、2010・11年度(11~10月)は86.7万トン、
2011・12年度は73.9万トン、2012・13年度は50.7万トンとなっており、
不足分が徐々に減少していることがわかる。

生産量も、10・11年度は425万トン、11・12年度は445万トン、
12・13年度は484万トンと増加。FAOとWFPは今年の生産量を526万トンと推定している。

一方、一橋大学の文浩一(ムン・ホイル)氏は、
『朝鮮農業の今』(社協ブックレット、2014年6月)の中で、
朝鮮社会科学院経済研究所の李基成(リ・ギソン)教授から聞いた話として、
2013年(1~12月)の穀物生産高は562万4000トン、
前年比32万6000トン増加したと記している。

なお、2013年9月には前出の李教授が東洋経済のインタビューで、
2012年度の穀物生産量を529万8000トンと答えている。


ほかにも米国農務省が発表する統計などを見ると、
統計を発表する主体によって差はあるものの、おおよそ9万~39万トンが
不足しているというのが、北朝鮮の食糧生産の実態のようだ。
足りない分は輸入や人道目的の援助物質で補充しているという。

http://news.infoseek.co.jp/article/toyokeizai_20140731_44155

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他にも、批判すれば即収容所行きという発言もあるが、
これも専門家の意見と異なる。



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北朝鮮において党、政、軍の高官が解任される場合、
韓国のメディアはおおよそ「粛清」と報道するが、
粛清の性格によって大きく三つのパターンに分類できる。


まず死亡、あるいは病気などの非政治的理由で
これ以上公職を行えない場合だ。脳出血で倒れた
ウ・ドンチュク国家安全保衛部第1副部長が代表例だ。
「名誉退職」の場合も、このパターンに当てはまる。

次に、政治的理由で解任された後に再起できないケースだ
2005年に公金横領容疑で解任されたチョン・ハチョル
宣伝担当秘書、11年にスパイ容疑で銃殺されたとされる
リュ・ギョン国家安全保衛部副部長などがそれに当たる。


三つ目に、政策執行の過程で、あるいは事業遂行の過程での
失敗で一次的に解任され、再教養(革命化)を経て
再び現職に復帰するケースだ
。崔竜海総政治局長、
朴奉珠総理、李光根朝鮮合営投資委員会委員長など、
多くの労働党と内閣の幹部は一度は再教養課程を
経験したケースが多い。11年に解任されたチュ・サンソン
人民保安部長も2年ぶりに復帰し、今年7月の
戦勝節記念行事にその姿を表している。

http://plaza.rakuten.co.jp/tsuruwonya/diary/201312100000/

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有田氏の言い分に沿えば、崔竜海、朴奉珠、李光根などは
収容所に送られたはずなのだが……現実はご覧の通りだ。


極めつけに、アメリカの強硬姿勢に屈したという意見を取り上げて、
米韓日の協力体制を取れと無責任に話しているが、
その帰結が最近、問題視されている集団的自衛権の容認である。


協力体制というのは、つまるところ軍事同盟の強化だ。
それを知ってか知らずか、有田氏は推奨するのである。



ちなみに、彼と同じく北朝鮮バッシングの先鋒であり、
北朝鮮の「人権問題」の専門家(笑)である小川和久氏は、
集団的自衛権の容認について、以下のようなコメントを残している。


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今回の集団的自衛権の行使容認については、
安倍内閣、特に安倍(晋三)首相がリーダーシップを発揮したということを高く評価します。

戦略の要諦を踏まえて動いたということも、過去のリーダーにはない動きでした。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/41265

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イラクやアフガン、リビア、シリアなど
アメリカが空爆やテロ支援をする国に限って、
なぜか都合よく人権問題が浮上する
という意味を知っていてほしい。


サウジアラビアやウクライナ(キエフ)の人権蹂躙は
まったく無視されているにも関わらず・・・・・・だ。


要するに、侵略の口実として人権問題が作られるのである。
小川氏は確信犯であるだろうが、有田氏は何を考え走狗となっているのだろうか。


北朝鮮が強力な集権体制を敷き、その結果、人権が侵されている。
それは確かだと思う。むしろ侵されていない国は地球上に存在しないはずだ。


だが、その攻撃の仕方が不正確な情報に基づき、
侵略国を正当化させるものであるならば、それは大いに問題だ。

実際、日本の北朝鮮報道は、報道というよりプロパガンダであり、
結果的に軍国化と民族差別を助長させている。


有田氏はその急先鋒であるにも関わらず、
自らの行為を全く反省していないばかりか、
自分が代表的な反レイシストであるかのように演技をしている。



その結果、彼の男組やしばき隊擁護・賛美発言がネトウヨに注目され、
左翼とは,しょせんこの程度よと人種差別に抗う人間すべてのイメージを
悪くさせている。この責任を取る気配は一向に感じられない。



このように、ヘイトスピーチに反対する人間で雑誌に登場しているのには
ろくでもない(あえてこう断言させてもらおう)奴らばかりなのに、
岩波も金曜日も特にその問題点について指摘しない。


こういう点が近年の左の右傾化に寄与しているような気がする。
いずれにしても、このようなカスみたいな軟弱な反対論では、
強固なナショナリズムに対して立ちうちできないだろう。


繰り返し説くが、中途半端なNoは最も強いYesなのだ。
こういう右翼が勝てる反対者ほど心強い応援者はいない。

なぜならば、雑魚レベルの反対者のおかげで、
形式的には民主的に反民主的な独裁が実行されるからである。


こういう点について考えれば、今月の世界の座談会は、
ある意味、非常に悪質な内容だったとも言えるだろう。

中公新書からの新刊 横手慎二『スターリン』

2014-08-03 21:53:55 | 反共左翼
シリアやウクライナなど、国際紛争においてロシアが米英の敵対者として
君臨している今、ロシア理解のために満を持して登場したような気がする。


その辺のソ連史の本よりもよっぽど読む価値がある。悲しいことに。

本書の特徴は「スターリンの見直し」を念頭にして書かれたことである。


日本のスターリン評価は彼を悪魔化して説明するものしかなく、
そのような歴史解釈は日系アメリカ人を収容所に連行したり、
原爆を落としたルーズベルトやトルーマン、そしてナチスをソ連の当て馬に
利用しようとしたチャーチルなどの悪漢を相対的に天使化することに他ならない。


…などと書くと「いや、彼らも良いことをしたよ?」と反論する人がいるだろう。
まさにそこが問題で、実はロシアでもスターリンの評価は分かれていて、
政府としてはスターリンを批判しているのだが、他方でソ連の近代化や
第二次世界大戦の勝利に大きく寄与した人物として評価する者もいる。

実は今、空爆を受けているウクライナ南東部では
スターリンは民主主義の伝道者としてヒーローになっている。

では彼らはスターリン主義者と俗に呼ばれる乱暴者かといえば、
全く逆で、代表制や自治権の確保、そしてネオナチへの抗議をしているのである。


要するに同地では、スターリンは、地方の意向を無視して
国内を植民地化しようとする強圧政権に抗議するための、
反ナチスと民主主義の象徴として機能されているわけだ。



これは私にとっても、かなり意外なことだったが、
スターリン時代のソ連というのを単純に地獄絵図として
描く歴史叙述は「欧米や国内の反対者(現在の東欧・ロシアの権力者)
中心のものではないか」という疑問に応えるものだった。

この本の筆者もまた、スターリン評価は見直しの余地があることを
指摘し、ソ連時代をもう一度読み直している。


ただし、構想の割には、どちらかといえば、先行研究を
なぞっただけのような気もして、そこが残念と言えば残念だが、
発想としては大変意欲的な作品で、著者の今後の研究の発展に期待したい。



私は「独裁というのは民主的に行われる」という考えを、
ここしばらくのウクライナに関連する欧米のネオナチ政権へ対する民主的な支援と、
安倍政権の国民の排外主義を煽った上での軍拡推進から経験的に感じており、
従来の「スターリンは自由がない地獄の世界を築き上げた」という説明には
激しい疑問を抱いている。


つまり、スターリン時代のソ連は、「そこそこ」民衆が主体的に
活躍できる場が約束されており、「そこそこ」自由があったのではないかと。


現に、ナチス研究では国民が積極的にナチスに協力していたこと、
日本史研究でも国民が積極的に天皇と軍隊を支持し肯定していたという解釈が
すでにあり、これはスターリン政権においても通じるように思われる。

(ホロコーストや三光作戦、ユダヤ人や朝鮮人への人種差別を
 ほかならぬ民衆が積極的に関与し協力していたという事実。
 これはスターリン時代の粛清にも通じるのではないか?)


戦前の日本がジョージ・オーウェルが描くような自由が全くない
灰色の社会だったかと言えば、そんなことはないのは自明である。

確かにその社会では共産党や社会主義者のような国内の反対者を
拷問にかけたり、あるいは無実の罪を着せて処刑したりしているが、
それでもほとんどの日本人には「ある程度の」自由があったのである。


問題の本質は、その「ある程度」や「そこそこの」自由を与えて
飼殺しにし、それに異を唱える者を物理的あるいは社会的に抹殺する
システムであり、実はこのシステムは現在の欧米や日本などの
民主主義国家で当然であるかのように存在するということだ。



現在はより巧妙で、戦争に反対する自由はあっても、
戦争を終わらせる権利を民衆は持っていない。


国内の人種差別に反対する自由はあっても、
国内の人種差別を戒める法律を民衆は作れない。


口をパクパク動かすだけの自由を与えられ、
仮に国家や社会に逆らう行為を行えば(例えば君が代を歌わなければ)
国民失格とみなされ、実際に排除されている。


こういう社会をスターリン時代の社会とは別物だと印象付けるような
愚かな行為を研究者も喜々として加担していたような疑念が拭えない。

というのも、ソ連研究は無色透明の歴史家というよりは、
反共主義的な政治学者や国内外の共産党勢力を攻撃することで
自らの正当性を主張する新旧左翼によって、行われてきた経緯があるからだ。
国内や国外の政治情勢に左右されやすい分野なのである。

そうであるからこそ、今こそ改めて、多角的にソ連を読み直すことが必要だ。
今回取り上げた中公新書の横手慎二氏の著作はその一助になるはずである。

最後に、同書の紹介文を抜粋して筆を置こうと思う。


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「非道の独裁者」――日本人の多くが抱くスターリンのイメージだろう。
一九二〇年代末にソ連の指導的地位を固めて以降、
農業集団化や大粛清により大量の死者を出し、晩年は猜疑心から側近を次々逮捕させた。
だが、それでも彼を評価するロシア人が今なお多いのはなぜか。

ソ連崩壊後の新史料をもとに、グルジアに生まれ、
革命家として頭角を現し、最高指導者としてヒトラーやアメリカと渡りあった生涯をたどる。


http://www.chuko.co.jp/shinsho/2014/07/102274.html
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・追記

ちなみに、ジョージ・オーウェルの作品は冷戦が開始された直後に評価され始め、
彼自身もイギリスのインドやシンガポール、南アフリカなどの植民地国に対する
横暴な政策よりも、よその国(ソ連)の批判に情熱を燃やし続けた人間だった。

よくある転向者の一人で、日本で言うならば有田芳生氏のような
共産党や北朝鮮を悪魔化する言説を流布して排外主義を助長させておきながら、
いざ国内でヘイト・スピーチが活発化すると反対姿勢を取る無責任な人間だった。

なにせ、結核に苦しみながらも書き続けたのは自国の政治的経済的侵略の批判や
反省ではなく、「イギリスが共産主義国になるとこんな地獄になりますよ」とでも
言いたげなソ連批判の小説(『1984年』)だったのである。

現代で例えるならば、アメリカの小説家が自分は左翼だと言いながら、
アフガン派兵への批判を全く行わずにアサド政権を非難しているようなものである。

つまり、やってることは少しも偉くない。
そのへんの平凡な自称左翼運動家と大差ないのである。


もし彼が、幸徳秋水や小林多喜二のように自国の帝国主義政策を
激烈に批判し、そのために国家権力によって処刑されたり惨殺されたりしたのであれば、
私も彼を勇気ある人間と称賛したいのだが、悲しいことにそんな事実は存在しない。


彼自身がこうまで高い評価を受け続けているのは、冷戦が開始され、
敵国を悪魔化するためのプロパガンダが求められたという時代の流れに救われた面が大きい。


実際、『動物農場』や『1984年』は政治色の強い作品で、
これが仮にソ連や中国の人間がアメリカやイギリスを批判するために
書かれたものであったならば、誰も見向きもしないまま終わったであろう。


今でも彼を異常に評価する人間がいるのだが、
私は彼がソ連を悪魔化することによって相対的に自国を弁護するという
姑息な行為がどうも目について、とてもじゃないが礼賛する気になれない。


この種の一見、反対者のようでいて、実は権力者が飼いならせるレベルの
抗議しか行わず、結果的に体制に支持する人間が跋扈している現在、
オーウェルは模倣すべきテーゼではなく、克服すべきアンチ・テーゼだ。


スターリンの評価も彼の影響が大きく、このスターリンに全責任を転嫁し、
民衆の協力を軽視する個人主義的歴史観の開祖の一人であると言ってもよい。


・追追記

ちなみに『動物農場』では大衆は支配者である豚の言葉に唯々諾々と従う
愚昧でありながらも人間味のある集団として描かれている。

気立ては良いのだが頭が悪い集団として被搾取者を描く手法は、
黒人やアフリカの先住民族を心は豊かだが知能は劣っている人間として描き、
保護や憐憫の対象としてしか見ようとしない欧米の知識人がえてして陥った
家父長主義(劣った人間を導いてやるという独善的行為)でよく見られるものである。


その代表的な作品として『アンクル・トムの小屋』が挙げられるだろう。

この作品の主要人物であるアンクル・トムは敬虔なクリスチャンではあるが、
白人に対して全く抵抗しようとしない非常に白人にとって都合の良い黒人であり、
出版された当初こそ奴隷解放の小説として注目されていたが、
今ではアンクル・トムという言葉は白人に迎合する黒人の蔑称になっている。


この小説を読む人間も稀有であろう。こういう一見、良心的な小説の根底にある
独善的・植民地主義的・人種主義的思想を批判的に解釈する運動が、
なぜかオーウェル研究になると全くと言って良いほどない。


これもまた、現代世界は未だに冷戦が継続中であり、中東や中央アジア、
アフリカ、東北アジア、南米、ロシアなどの非欧米主義的政治を行っている
地域をイデオロギーの面から攻撃するための道具が必要とされているためであろう。

左右の枠は超えなくても良い。超えないほうがいい。

2014-06-22 16:43:15 | 反共左翼
「日本の右傾化」と半ば記号化した言葉をたまに見かけますが、
 今の日本は正確にいえば、本来は左翼だった人間が、あるいは
 左翼を標ぼうしている人間が、「左右の枠を超えて」という美名の下、
 静かに、こっそりと右傾化している
わけで、この種の問題から逃れて
 単にネトウヨやヘイトスピーチを叩いているだけではいけないでしょう。


その原因を辿ると、やはり私は戦前の反共主義と天皇制を国是とする
大日本帝国の社会システムに到達するんですよね。

いずれのイデオロギーからも日本の主要な左翼は脱しきれず、
結果、国内の共産党を封じ込める格好のカモとして動かされた。
(それも本人たちは自発的にやる気満々で行動した)

それが冷戦が終結し、本格的に革命の気配が消滅した結果、
用済みとなり、社会党の解体、社民党の衰退、
あわせて主流左翼の徐々の撤退と転向が起きたと思うわけです。


今の北朝鮮問題しかり、ウクライナしかり、リビアしかり、
本来対立するはずの左翼が右翼と一緒になって騒いでいる。


これでは、衰退するのは言うまでもないでしょう。


さて、2002年、ちょうど拉致問題が発覚する前後の話ですが、
日本では小泉政権による有事関連三法案に対する学者・研究者共同アピール
というものがありました。いわゆる軍拡への反対運動です。
http://www.jca.apc.org/~kenpoweb/emerge_law/list060602.html


その署名者のリストを見ますと、吉見義明先生や渡辺治先生などの
有名な方が列を並べている一方で、「これは…」と唸らずにはいられない
方もいたりするわけです。特に中国や北朝鮮をあからさまに罵倒し、
いかにこれらの国家が地獄であるかを力説しているような方が。


つまり、日頃、日本の軍拡ばかりでなく他国との衝突、あるいは
大衆に他国への憎悪を掻き立てる発言をしている人間が
反戦運動に参加しているということ。



これは、総連や朝鮮学校を悪魔の巣窟のように話しておきながら、
いざ国内で彼らに対する常軌を逸したヘイト運動が始まると、
急いで火消しに走る辛淑玉氏や有田芳夫氏とそっくりな構図。


そして、この反戦メッセージから12年後の今、
もしかすると集団的自衛権が容認されるかも
しれない危機に陥っている。



これを単に大衆の右傾化とかナショナリズムの台頭とかいう言葉で
ごまかすことはできません。明らかに我々の側に問題があった。


「左右の枠を超えて」「中道左派「リベラル」などという妥協案ではなくて、
より明確に保守勢に対しての対決姿勢をとるべきでした。

私はレフトだぞと言うべきだった。

今では左と右とが協力して事にあたっている。
本質的な反対者が希有な存在になりつつあります。


先日、河野洋平氏が村山談話の軽視に対して苦言を漏らしたようですが、
これぐらいは自民党のハト派の方でも言えるのであり、
左翼はその上を行かなければならない
のです。

ところが、現状をみると、日本の左翼は、
ますますハト派の自民党員と同じレベルの見解しか言えなくなってきている。

とすれば、何も左翼に与するメリットなどないのであり、
大衆が中道左派、中道右派、中道リベラルの立場から、
長年、政治を担当してきて安心感があるという理由から
自民党に投票するのは責められないでしょう。

そう、責めることができない。これが怖いのです。

ウクライナ軍の市民弾圧を無視する加藤哲郎氏

2014-06-01 00:20:51 | 反共左翼

若者がウクライナ軍の市民への砲撃に反対している今、
永続民主主義革命を主張している加藤哲郎氏は何を話しているのでしょう?

http://www.ff.iij4u.or.jp/~katote/another.html

上の記事を読んでも、同氏が世界中の平和を望んでいることは確かです。
ウクライナについても、きっと言及しているはず。そう思ってサイトを覗いてみました。



あった!あったぞ!!
ウクライナ問題に言及していたぞ!!!



というわけで、同氏の文章を以下に抜粋します。


------------------------------------------------------
連休はロシアでしたので、やや長めの紀行文にします。
5月1日のメーデーは、モスクワで迎えました。

クリミア自治共和国のウクライナ離脱、ロシア連邦編入に発して、
ウクライナ情勢は緊迫し
、米国・EUがロシアに対する限定的経済制裁に入り、
4月末に予定されていた日ロ外相会談は延期になりましたが、
私たちの文化交流は、何とか実現できました。


~中略~


5月1日のメーデーに、ソ連崩壊後初めて、
クレムリンの赤の広場で労働者の行進が行われたのは事実です。

新聞報道では10万人とのことですが、
それはソ連時代の労働者階級の示威とは、似て非なるものでした。

主たる参加者は選ばれた労働組合員で、
広場の出入りには厳重な警戒線がしかれ、通行証を持った人々のみの参加です。

私たち旅行者は、近づくこともできません。


そこで掲げられたプラカードも、賃上げを求めるものもあったそうですが、
大半は「クリミアはロシアのもの」「ウクライナのロシア人を護れ」といった
愛国のスローガンと、国際社会に堂々と立ち向かう強い指導者「プーチン万歳!」です。

警備の厳しい赤の広場に入れず、旧インツーリスト・ホテル
(昔は日本人の定宿だったのに、今では超高級外資系ホテル!)前にいたとき、
20人ほどの横断幕を掲げたグループがデモしてきたので眺めていると、
警察の武装部隊が素早く取り囲んで、リーダー二人を装甲車の中に引きずり込みました。

二人は「ウクライナ万歳」と叫んでいました。

つまり、ウクライナの緊迫した情勢の中での官製メーデーで、
「ロシア万歳」以外は許されない、ナショナリズムの労働者動員でした。

http://www.ff.iij4u.or.jp/~katote/Home.shtml
-----------------------------------------------------------


うん。まったく言及してないね!

ネオナチの「ネ」すらない。



ウクライナで何が起きているのかぐらい、世界中を飛び回っている
彼なら、容易に知ることができるはずなのですが、いったい何故?


ちなみに、ウクライナの状況を伝えているラジオ局「ロシアの声」の存在を
加藤氏は知っているのですが……なんで無視してるの?


私たちは、イラクやリビアの惨状を止めることはできませんでしたが、
ウクライナ南東部、ドネツクやルガンスク、ハリコフ、オデッサ、
そしてクリミアの危機については今、止めることができるんです。

国際社会がウクライナ軍は直ちに撤退せよ、
両陣営は話あいで解決せよと圧力をかければ、それは可能なんです。




それをなぜ彼はやらないのでしょう。


市民運動家でもあるのに。




そのかわりに彼が行っているのはロシアへ対する批判です。


奇しくも、歴史的に60年代以降ソ連と不和の仲である
日本共産党(加藤氏の宿敵)と同じ立場。



それしかないのかあんたら?
ロシアを叩ければ他はどうでもいいのか



まぁ、好意的に解釈すると、確かにロシアも国益に基づいて
今回のウクライナ問題に着手しているのは確かです。


けれども、実際には会場に近づくこともできず様子を見ていないのに、
「官製デモ」と切り捨てるのはいかがなものでしょうか?


同じ理屈でドンバスの炭鉱労働者やドネツクの学生の反戦運動も、
テロリスト公認の作られたデモとして片づけられますよね。

実際に、そうやって無視しているのが欧米メディアなのだけれども、
仮にも「もう一つの世界」を作ろうとしているんでしょう?

それでいいのかなぁ・・・



http://rt.com/news/156160-gas-rally-donetsk-ukraine/
ちなみに、メーデー当日のドネツクのデモの光景はこんな感じ。

加藤氏はロシアからレーニンの影響が消えつつあることに
どこかホッとしているようですが、これなんか見たら卒倒するんじゃないでしょうか?


彼に言わせればこれも官制デモなのかな?


ちなみに、この当日、ドネツクの検察庁の前では
抗議運動を行っていた市民に催涙弾が投げ込まれました

http://rt.com/news/156160-gas-rally-donetsk-ukraine/


他方で、地方の活動家がこれに反撃して同施設を攻撃、
占拠しましたから、一概に他方が悪いというわけではありません。


いずれにせよ、ロシアの反キエフ派は、このような事態を熟知しています。
百歩譲って「官制デモ」とみなしても、反対派は彼らの意思で参加している。
強制ではないのです。そのことを無視してほしくはない。


申し訳ないのですが、加藤氏のレポートからは、
いつぞやの中国の反日デモに対して盛んに唱えられた
「中国当局の官制デモ!悪いのは中国!日本じゃない!」という
メッセージを思い起こすんですよね。極めて独善的で欺瞞的な言葉を。



その甲斐あって、尖閣諸島の国有化という強硬的な手段への反省は行われませんでした。

同様に、加藤氏の発言からは「悪いのは全てロシアで、キエフは正しい」
という意図しか伝わってこないんですよね…厳しい意見かもしれませんが。


結局、反共左翼の悪い癖、なんでもかんでも共産批判がメインになり、
本質へ目を向けることがなくなってしまうという致命的な弱点が
露わになった報告文だったなぁと感じてなりませんでした。


おそらく、加藤氏は南東部でキエフ軍が何をしているのかを
知ってもなお、同政権を応援するでしょう。

彼にとっては、共産主義の撲滅がメインの目的ですから。
まるでソ連のけん制のためにナチスを容認していた英仏のよう。
実に人道的です。これぞ永続的民主主義革命です。ハラショー。

封印される蟹工船

2014-05-23 00:15:43 | 反共左翼
前記事で、わずか1年のみ勤務した和田英の日記の内容を強調し、
その後の女工哀史に代表される製糸工場における女性労働者の
搾取労働を隠ぺいするのはいかがなものかと提言しました。

その際、現にこういう隠ぺい主義史観のせいで、
女工哀史=虚偽の歴史というイメージが巷で流布されており、
それは大日本帝国時代の経済発展について学ぶのを妨げているし、
あまつさえ小林多喜二の『蟹工船』まで否定する動きまで出たとも書きました。


私は、この手の日本が好きすぎて都合の悪い事実を隠ぺいする動きを
激しく嫌悪しているのですが、どうも先の蟹工船については種本があるようです。
著者である宇佐美昇三氏は元NHKの社員で、その後教授を勤めていたのだそうな。

http://www.gaifu.co.jp/books/ISBN978-4-7736-3705-2.html


発刊した出版社のブログで書評が掲載されているので、
それを読めばより内容がわかるはず。

http://gaifusha.blogspot.jp/2013/07/blog-post_26.html


評者によれば、「中立」らしいのですが、はなはだ疑問です。
試しに紹介文を読んでみましょう。

-----------------------------------------------------
蟹工船は地獄船だったのか!? 

世界初の工船蟹漁業は大正期日本の帆船上で誕生し、
効率的な漁獲・製造方法を生み出して日本の輸出を支えた。

敗戦後占領期を経て輸出を再開した蟹缶詰は
その後20年間にわたって外貨獲得の主要品目だった
-----------------------------------------------------

この紹介文からも、日本凶徒お得意の
「我が国の~業は世界でもトップレベルの~」という
面白みのないお国自慢の内容しか想像できません。


日本の発展の陰で大勢の人間が犠牲になっていることを訴えたのが
『蟹工船』なのですから、宇佐美氏の著書は、
多喜二の意図を大きく裏切る内容ではないかと危惧しますし、何よりも
こういう本は、水産業界の負の歴史を隠ぺいする以外に役に立つものでもないでしょう。



この本の問題点は、現代の自動車業界を考えれば、すぐにわかると思います。


2009年の大不況の際、自動車業界が即座に大量解雇を行い、
多くの人間が寒空の下、放り出されることになりました。

この愚行を行ったトヨタなどは、以前から
奴隷的な労働を強いていることが指摘されていました。

その最も有名なルポが鎌田慧氏の『自動車絶望工場』でしょう。
同書は、トヨタの労働者を使い捨てにする経営の実態を
季節工として勤務していた著者が暴露したものであり、
戦後日本のノンフィクションとして古典的な作品です。


トヨタは近年も、ベトナムや中国からの研修生に対して
過酷な労働を強制したことが批判されています。
(詳しくは『トヨタの足元で』を参照のこと)


日本に限ったことではありませんが、国家の経済発展は、
その裏で泣いている人がいるから成り立つということを
知るべきだと私は思います。犠牲無くして発展はない。


さて、この自動車業界の歴史を宇佐美氏のように書くとこうなるでしょう。

-------------------------------------------------------
トヨタは絶望工場だったのか!? 

世界初のジャスト・イン・タイムを採用したトヨタ生産方式は
昭和期日本の工場で誕生し、効率的な自動車生産を生み出して日本の輸出を支えた。

敗戦後占領期を経て輸出を再開した自動車は
その後約70年間にわたって外貨獲得の主要品目である

--------------------------------------------------------

実際には、トヨタでは過労死や労災も多々発生しており、
それを訴える手段が基本的にはない(労組が御用組合)、
なによりもトヨタが大企業であるため、同社からの
広告料をあてにするたいていの出版社が批判をためらい、
告発がタブー視されているという有様なのですが、
宇佐美方式の史観では、この点が軽視されてしまいます。


事実、宇佐美氏の著書では、
「航海法は適用されない工船説は誤り」という章がありますが、
これなどは蟹工船の過酷な労働をごまかす典型的なペテンです。


実際には乗組員は「臨時乗客」として扱われており、
乗客だから工場法が適用されず、臨時だから航海法も適用されない
という工員でもなく乗客でもないという法的に保護されない立場で
働いていました。これを否定するというのは、暴挙だと思います。


『蟹工船』という作品そのものへ対するイメージの低下と、
日本の水産業界の負の歴史を隠匿し美化するという点において。


http://ameblo.jp/genten-nippon/entry-11589980786.html

実際に、彼の本を参考に、右翼の中には『蟹工船』という
作品そのものを否定する動きも出てきています。


あまり他人のブログを晒すのは好まないのですが、
この保守の方などはその典型的な例と言えるでしょう。


日本の右傾化に貢献しているという実態に対して
宇佐美氏はどうお考えなのでしょうか?



この本を凱風社という左翼系出版が出版したのがポイントです。
実は、最近の日本の左翼の中には
小林多喜二の作品を否定したがる動きが見られます。


北海道に住んでおきながらアイヌ史もやらずに、
代わりにアイヌに対する共産党の政策を酷評している今西一氏も、
『蟹工船』を一応評価しながら、「同作品はアイヌ人などのマイノリティ
が描かれていない」と批判しています。要するに、共産党が嫌いな連中が
共産党の党員であった作家の作品すら坊主憎けりゃなんとやらで
否定しているといった有様です(ロシア文学にも通じる現象である)。


そういう行為が結果的に大日本帝国の歴史の美化に努めているのですが、
それに気付かずに安倍政権の軍拡政策や歴史歪曲に対して
「けしからん!」「ゆるせぬ!」と文句を言っているのが現状です。


まるでテロリストに武器を売っておきながら、
いざ事件が起きると「テロは犯罪だ!」と糾弾しているかのよう



宇佐美氏の歴史の描き方は、最近、流行している
「すべての日本兵が残虐ではなかった!」という全体を無視して
一部の美談を拡大して描くあのやり方とそっくりです。


これは、
蟹工船の歴史は日本の帝国主義の歴史と表裏一体だった
と主張する井本三夫氏の著作
『蟹工船から見た日本近代史』と対極的なとらえ方だと言えるでしょう。


日本の戦争を批判的に考える割には、、
日本社会の歴史を美化する人間が相当いるのは問題だ
と私は思います。



なぜなら、日本社会の発展は、その裏側の搾取、
国内外の弱者へ対する差別と抑圧のもと成り立っているのですから。
(一応、言っておくと、それは近代社会の発展でもある。
 日本だけでなく、アメリカやイギリスでもまた同様です)


この種のステルス右翼史観を左翼系の出版社が売っているというのが
今の出版事情であり、そういう密かに敵を応援する行為が
社会的にどれだけの損害を与えるかは言うまでもありません。

中道という言葉の欺瞞性について

2014-05-02 00:38:55 | 反共左翼
よそのブログのコメント欄に書いたものを修正して貼り付けます。

中道という一見、客観的で中立性を保持しているような立場は、
その実、自らの右傾化を誤魔化しているものにすぎないと私は思います。

それを、端的に述べたつもりです。


-----------------------------------------------------------
そもそも、在日コリアンの方にとって最も重大な関心事であるだろう
北朝鮮問題に関して言えば、右も左も大差ない主張をしているのが現状であり、
この件に関しては中立的な意見は存在しないはずです。

私自身は、

①「北朝鮮の脅威」を口実に日本の軍拡が推進されていること、

②北朝鮮の民衆の生命と人権を守るといいながら、いわゆる人権団体が
 朝鮮学校を経済的に圧迫しようと(その帰結としての廃校を)画策していること、

③第一、「人権」や「民主化」といった言葉で相手を攻撃する運動は、
 過去のアメリカ・アフリカ大陸の人間に対して行った
 ヨーロッパ人のキリスト教化運動と同質のものであり、

④実際に、人権蹂躙をネタに米・英・仏といった
 元(私に言わせれば現役の)帝国主義国が中東やアフリカ諸国に軍事介入し、
 「民主化」(事実上の保護国化、傀儡政権の誕生)させていること、

⑤「悪の枢軸」と名指しされたいずれの国家もアメリカの脅威と制裁を受けており、
  最悪の場合、文字通り国を滅ぼされている(リビアとイラク)こと


などから、日米のような大国の横暴に手を貸すかのような行為、
すなわち、悪の枢軸国と呼ばれる国家が確かに悪であると保証する研究や運動、
ここで言うならば、北朝鮮バッシングには否定的な立場にいます。

日本の知識人たちは、右も左も…というよりは右と左が協力して
北朝鮮および総連や朝鮮学校を徹底的に攻撃しているような気がしてなりません。


今日のヘイト・スピーチの背景には、
「北朝鮮が地獄そのものだ」と吹聴して回った知識人の行動があるはずなのですが、
これに対して反省する気配があるどころか、こういう争いの発端を招いた人物が
ヘイト・スピーチに反対する中心になって運動が展開されているわけです。


そういうこともあり、「右も左もない」といった言葉は、右も左も右傾化している今、
「より左に位置する」という決意表明として使われない限り、
自己正当化の役割を果たしていないんじゃないかと思うわけです。

------------------------------------------------------------------

小保方晴子氏は荒このみ氏や加藤哲郎氏よりも有害か?

2014-04-30 00:07:56 | 反共左翼
「あらゆる必要な手段を用いて行われる便乗商法」というタイトルで、
 マルコムXとバラク・オバマの間に思想上の連続性があるという
 珍説を唱えた荒このみ氏への批判記事がある。


http://hakuainotebook.blog38.fc2.com/blog-entry-22.html

『マルコムX―人権への闘い』という本が岩波新書から2009年に出版された。
 終章の最後の三つの小見出しに至っては「オバマの心に響いたマルコムXの言葉」
「オバマの複眼的思考」「地球市民の連帯を望むマルコムXとオバマ」などと題され、
 あたかもオバマとマルコムXが同じ側に立つ人間であるかのように書かれている。


しかしながら、その後のオバマの行動、すなわち、

米軍基地に対する沖縄住民への冷淡な態度、
アフガン・パキスタンへの増兵(無人戦闘機による民間人殺害)、
グアンタナモ強制収容所の閉鎖に対する曖昧な態度、
リビアの爆撃・文字通りの消滅、
シリアへの爆撃未遂、
ウクライナ国内へのネオナチの支援、
アメリカに有利なTPP締結の強要、
フィリピン・日本と協力しての軍拡

などなど、やってることだけ列挙すると、
ブッシュと大して変わらないのでは?と怪しみたくなるほどだ。

日本でもオバマ旋風が吹き荒れた時期に出版されたので、
便乗したのではと思えてならない。仮にも日本の知の番人とも言える
岩波書店から、こんな便乗商法をマルコムX研究者が行うのは、
日本の研究者の信用を著しく貶めるものだと言えよう。


また、前記事でも「結局、アメリカの利益になることしか言っていない」
と批判した加藤哲郎氏が出版した岩波全書の『日本の社会主義』でも、


-------------------------------------------------------------
『日本の社会主義ーー原爆反対・原発推進の論理』では、
(1)労働力を摩滅・破壊する放射線被曝労働の不可避、
(2)絶対安全はありえない巨大なリスクを持つ装置産業で、
人間の完全制御はありえない、
(3)10万年後も残される「未来への暴力」としての核廃棄物、

をあげて「核と人類は共存できない」と主張しました。

地震列島の日本国民全体が当事者であるのみならず、
地球と文明そのものが危機にさらされている、という意味です。

その観点から20世紀日本の平和運動・社会主義を見直し、
「原子力は、日本の社会主義のアキレス腱だった」と結論づけました

(2014年4月15日の日誌より)
-------------------------------------------------------------

と書いているが、ここでも国際原子力機関(IAEA)に代表される
アメリカをはじめとする先進諸国の核戦略という視点が抜け落ちている。


換言すれば、原子力問題で必ず言及しなければならない
先進国による核の独占、政治利用という問題を度外視されており、
あたかも問題が日本だけの問題(日本の政治変革だけで解決できる
問題)だと錯覚させる危険性を孕んでいる(というか、そうでしかない)。


歴史的には、先進諸国の核戦略という大きなプランがあり、
そのプランに従った形で日本の原発が推進されているのだから、
脱原発を掲げたって、アメリカなどの大国の意向に対して
ノーを叩きつけなければ、反核も脱原発も難しいだろう。

こういう肝心な問題、本当に戦うべき敵を見えなくさせるのは、
非常に問題がある行為ではないだろうか?


加えて、同氏は日本共産党が80年代に原子力の平和利用を主張したことを
「日本が社会主義国化したあとにも核を温存させるためだった」という
珍説をとなえているが、当の共産党は現在の原発推進が日米の核戦略に
従った形で行われており、核の放棄を行わなければ原子力の平和利用は
できないと、当時、出版物を通して主張している。

正直、震災以降、急に原発をネタにして
正義は我にありと称する知識人が増えたが、
加藤氏本人も、震災以前には軽く言及する程度で、
自身の研究で原子力と戦後の左翼運動の関連性を指摘したことはなかった。

これもまた、立派な便乗商法である。



はっきり言って、日本の社会主義の妨げになったのは、
戦後の冷戦構造の中で戦うことを強いられたこと、
反共主義と容共主義との対立だったことは明白である。


冷戦という大きな構造の中で、制限がかけられた中で
行動せざるを得なかったことが、結果的に容共左翼と反共左翼
という二種類の潮流を生ませて、連携が取れないまま潰し合ってしまった。

これが最大の原因である。

しかも、反共左翼が主流になる、すなわち、
天皇制と比肩する大日本帝国の国是、反共主義を受け継ぐ形で
日本の左翼運動が展開されていったのも見逃せない。

ここでいう反共とは「反・日本共産党」であり、
不思議なことに、彼らは共産党を否定する一方で、
マルクス主義や、日本共産党と対立するソ連・中国、
北朝鮮と連携をとるなどの矛盾した行動を行っていた。


「日本の社会主義のアキレスけんは原子力」などという言葉は、
 当時の文化大革命や学生運動を支持した反共左翼の責任を
 はぐらかしてしまう危険なものだと言えよう。

また、議会制民主主義を維持したままでの選挙による革命を唱えた
日本共産党と、直接の武力行為を通じての革命を実行した新左翼の
間の対立は、決して原子力ではなく、革命の手段を巡るものだった。

安田講堂事件の中心人物であるにも関わらず、
この点をうまーくごまかしているのは、何ともいえないものがある。


「核と人類は共存できない」、
「原子力は、日本の社会主義のアキレス腱だった」という、
 人類の問題、原子力の問題として片付けようとする姿勢は、
「誰が核を推進しているのか」「なぜ推進させるのか」といった
 主体者や構造をはぐらかす性質を持つものであり、非常に問題だ。


疑うものは、このようにして考えてみればよい。

「ミサイルと人類は共存できない」、
「ロケットは、日本の社会主義のアキレス腱だった」

軍事目的に転用できるからといって、
ロケットの容認が軍拡に拍車をかけただなんて暴論だし、
ミサイルと人類が共存できないのは常識の範疇であり、
問題なのは「どこの国が」「なぜ作るのか」である。

実際には、加藤氏は核を容認するか否かで敵・味方を判別しており、
北朝鮮やキューバ、ベネズエラといった悪の枢軸+αに対して
核保有を認めるというただそれだけの理由で否定的な態度をとっている。

これがアメリカにとって都合のよい態度であることは言うまでもない。



以上、両氏の行動を俯瞰してみると、
バラク・オバマの個人崇拝や、先進諸国の核戦略の度外視といった
重大かつ致命的なミスを犯していることに気づかされる。


これは、日本の左翼運動、社会改革運動、あるいは
それを目指すであろう青年運動化を育てるにおいて害悪であるとしか言えない。

実際に、彼らが掲げる正義は、アメリカの戦略を妨害しない範囲のものだ。
本当に必要なのは、その範囲を飛び出て毅然と立ち向かう正義なのだが…

これに比べれば、個人的なミスで論文に誤りを作った小保方晴子など、
人畜無害の女性である。そもそも、この論文が載った科学雑誌、
ネイチャーのレフリー(論文を審査する人)や、共同研究の同僚、
理研の上司などのチェックの不備が招いたことであり、
小保方氏本人よりも、そういう論文を載せた他の連中の責任のほうが重大だ。


私は、小保方氏に対して非常に同情している人間の一人だ。
今回の騒動では、下手をすれば小保方氏が手違いではなく、
意図的に論文の資料をねつ造したことにされてしまう。

もし、そのような事実が公式の見解になってしまえば、
小保方氏の研究者生活はお終いだ。結婚していればまだマシだが、
そうでないならば、転職するしかない。安定した職業に就ける保証もない。


弱冠30歳の女性が日本でも一流の研究所で活躍している。
これは本当に素晴らしいことで、バックアップすべきことだが、
共同研究であるにも関わらず、全責任を若手の研究者に転嫁して、
今後の人生まで潰してしまいかねない事態を皆、面白がって見ている。

悪趣味としか言いようがないではないか。

こういう若手を潰される一方で、上の連中が珍説を唱えて
ふんぞり返っている限り、理系のみならず、文系の研究者も
優秀な人材を自らの手で葬ってしまっているといっても過言ではないだろう。

加藤哲郎氏は、ウクライナ問題になぜ沈黙するのだろうか

2014-04-29 22:35:39 | 反共左翼
加藤哲郎氏のネチズン・カレッジを久々に閲覧しましたが、
ロシアに滞在(おそらく研究目的)しているにも関わらず、
ウクライナ問題に対して何も語らないのは不思議でなりません。


何度も言及しましたが、現在のウクライナは、EUやアメリカに支援され、
ネオ・ナチが政権の中枢に君臨している異常事態になっています。

各地では自警団も結成されていますが、彼らの中には
ナチス・ドイツのシンボルであるカギ十字に×マークをした
旗を掲げている者もおり、こういった人たちの動きがNHKをはじめとした
日本のメディアでは一切、取り上げられないままロシアが批判されているわけです。


この批判者のなかには共産党もいます。
もともと、共産党とロシアは非常に仲が悪いので、
今回のような態度は容易に想像がつきました。逆を言えば、
共産党が何だかんだで冷戦から抜けきれないまま今に至るということです。


だとすれば、日本共産党を否定している加藤氏は
必ずや、日本共産党はロシアを批判しているが、
実際には、簡単にロシアを否定できる問題ではないと
それこそ、声を大にして叫ぶはずだと思っていたのです。


ところが、サイトを見る限りでは二ヶ月前から騒がれている事件であるにも
関わらず、一切のノーコメントの状態です。これは不思議でなりません。


正直、共産主義国研究の泰斗であり、市民運動にも積極的に参加し、
講演を精力的に行っている加藤教授が語ってくれたほうが、
私のような名もなき草の根の小僧が弱小ブログで書くよりも説得力があるのですが…


これは先生が普段から熱をこめて批判している共産党の言動にも
ケチをつけられる絶好の機会でもあるのですけれどねぇ……


加えて、日本国内では「ロシアの声」や「ロシアNow」、「ロシア・トゥデイ」
などの海外メディアのサイトでしか向こうの側に立った情報が得られないのが実情です。


ロシア本国で、同問題がどのように語られているのかを紹介するだけでも、
私たちの国際政治に関する間隔を磨く格好の材料になるはずです。
(まぁ、加藤教授に限らず、ロシア政治研究者は向こうの
 政府批判者と仲良くなっているのが常ですが…)


これをなぜ行わないのか・・・
その理由は定かではありませんが、結局のところ、
彼の沈黙はアメリカの公式見解を支持していることになるでしょう。
(日本国内では、アメリカ側の情報・意見ばかり氾濫しており、
 それらに異議を唱えないのは、黙認と同義の行為であるため)


結局、アメリカに都合のよい態度をとっている。

北朝鮮への極右と協力してまでの非難活動や、アラブの春の礼賛など、
ことごとくアメリカの利益を侵害しない限りでの人権運動を行っている
加藤教授ですが、現在でも世界各国を巡り、資料収集と研究者との交流を重ね、
その辺の椅子に座っているだけの名ばかり研究者よりもよっぽど働いている、
そんな研究者の鏡とも言える方が、なぜこのような裏切りを平然と行うのか。

私には理解できないことです。

「裏切り」と表現しましたが、おそらく教授にとっては、
 ものすごく筋が通った行動なのだと思います。

 また、こういう行動をとってしまうのは彼に限ったことではなく、
 戦後の主流左翼全体に見られる重大な欠陥だと思われます。


しかしながら、実のところ、この種の欠陥を抱えた左翼、
反対のポーズをとりながら、その実、支持をしている左翼、
「ノー」と言いながら「ゴー」のサインを指で作る左翼は、
海外のみならず日本における社会発展の上でも非常に問題があるでしょう。

中国による商船三井の船舶差し押さえに対する天児慧氏のコメントについて

2014-04-21 22:56:38 | 反共左翼
人民網の記事より。

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上海海事法院(裁判所)は有効な判決を執行するために、
関連規定に基づき、今月19日に浙江省◆(「山偏」に「乘」)
泗馬跡山港で被告人の日本の海運大手・商船三井の船舶を押収した。

新華社が伝えた。


原告の陳震さん、陳春さんらは1988年12月30日、
日本海運株式会社(商船三井の前身の一つ)を被告に、
定期チャーター船の契約に不備があること、権利の侵害があることを理由として、
上海海事法院に損害賠償を求める訴訟を提起した。
未払いだった第二次世界大戦中の「順豊号」と「
新太平号」のリース料金の支払いと経済的損失の補填も求めた。

同法院は公開の審理を行い、2007年12月7日に法律に基づいて判決を下し、
被告の商船三井に賠償金、「順豊号」と「新太平号」のリース料金、
営業損失の補填、船舶の受けた損害の補償、発生した利息などとして、
総額約30億円の支払いを命じた

中華人民共和国上海市高級人民法院(高裁に相当)は
10年8月6日、一審の判決を支持する判決を出した

同年12月23日には、中華人民共和国最高人民法院(最高裁に相当)が
被告の再審請求を退け、判決が確定した。

この案件は対外的な商事案件だ。
判決が有効になると、原告側は法律の規定に基づき、
上海海事法院に強制執行の申請を提出し、
被告に判決で確定した支払い・賠償の義務を履行すること、
法律に基づいて延滞期間の利息を支払うことを求めた。

同法院は11年12月28日、法律に基づいて商船三井に「執行通知書」を送付。
これより先に当事者の間で和解に向けた話し合いが何度か行われたが、
和解には至らなかった。このため同法院は法律に基づいて、
商船三井の船舶を差し押さえた。

商船三井が義務の履行を拒絶すれば、
同法院は法律に基づいて押収した船舶を処分することになる。

http://j.people.com.cn/94476/8604665.html

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安倍政権のここ数日の靖国参拝はスルーする一方で、
中国のすることなら、どんな些細なことでも
目ざとく発見し、事を荒げようとする正義のメディア・知識人。

NHKでは、「何十年も前の話を今さら持ち出しおって」と
文句タラタラの報道をしていました。

ここで気になったのは、専門家のコメントとして
中国研究者の天児慧氏がNHKの主張に
同調するような意見を述べていた
ことです。


「日中の経済関係に支障をきたす恐れがある」
「昔の話を持ち出して差し押さえるのは道理に合わない」

こういう趣旨の発言を行っていました。
当のNHKのニュースサイトには、次のような記述もあります。

中国では、戦時中に日本に強制連行され過酷な労働をさせられたとして、
中国人の元労働者や遺族が日本企業を相手に損害賠償を求める訴訟が相次いでいます。

今回の差し押さえによって、中国での戦後賠償に関連する裁判で、
今後、原告側が勝訴した場合、日本企業の中国国内にある資産が
差し押さえられる可能性も出てきたとして、議論を呼ぶことになりそうです。

(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140420/k10013885491000.html)


要するに、今回の判決は、中国人強制連行という
大日本帝国の戦争犯罪の責任の取り方とリンクする問題
なのですが、
これを天児氏は無視したということになります。


仮に編集でカットされたならば、
今後、中国を一方的に非難する見解であるかのように報道されたことについて
抗議するなり、改めて自身の見解を述べるなりするべきでしょう。


少なくとも、現段階では天児氏のコメントは、
「戦時の事件なんぞ持ち出すな」
「経済が大事なら、余計なことをしゃべるな」

という内容で、要するに「黙ってろ」と発言しています


これが、三流タレントや作家の言葉ならいざ知らず、
同氏は1989年には第1回アジア・太平洋賞特別賞を受賞し、
1999年から2001年までアジア政経学会理事長を務め、
現在、日本国際フォーラム政策委員も務める超一流の政治学者です。



間違いなく、中国政治研究の権威としてご活躍されている方です。
そういう方が、こういう発言をしてしまうということが
どれほど恐ろしいことか、よくわかっていない人が多いのではないでしょうか?


ある意味、安倍や田母神が中国を批判しても、
あまり効果はないのです。彼らは極右なのですから。

極端な考えを持っている根っからの中国嫌いが
中国を批判しても、これは脅威には当たらない。
ある意味、極右としては当然とるだろう行動なのですから。

問題なのは、中国を専門としている研究者が
このような中国バッシングの動きに同調して
援護射撃をしてしまうことです。


本来、一連の動きに「待った」をかけるべき人間が、
「おおいにやるべし」と支持してしまう。これは本当に危険な兆候です。

反戦論者が例外的に武力介入を認めるほうが
よっぽど大衆に参戦を納得させるのに効果があるように、
中国研究者が事件の本質を隠匿し、日本政府に有利になる発言をするのは
平和団体や人権運動家を納得させるのに、この上なく効き目があるでしょう。


実はイラク戦争の折にも、似たようなことを
酒井啓子教授をはじめとした中東研究者が行っていました。
(フセイン政権を徹底的に非難する著作を開戦間近に出版していた。
 これは悪しき独裁政権を粉砕するというアメリカの正義を
 正当化させるにあたって非常に都合のよいことであった。)


こういう中立を装いながら、日本政府に有利な言葉ばかりを
述べ、遠まわしに中国のほうが悪いという見解が広がるように促す。


非常に悪質な行為だと私は思います。


しかしまぁ、天児氏といい、酒井氏といい、加藤哲郎氏といい、
北岡伸一氏といい、政治学者はなぜ政府に都合のよい見解ばかり語るのでしょうか


一応、前者3名は一般的に左翼のジャンルに属し、
岩波書店から本を書いていますが、やってることは
北岡氏のような保守系の政治学者と大差ありません。


むしろ、前述したように、市民への説得、プロパガンダということを
考えれば、彼ら左派系学者のほうが政府に協力しているとも言えるでしょう。


私は戦後の主流左翼(岩波・社会党系列の人間)を「反共左翼」と称して、

①日本政府の反共政策にかなった形を超えられなかったこと、

②それが結果的に国内の共産党陣営を攻撃する形で利用されたこと、

本人たちも、その役目に嬉々として応えたこと

④結果として冷戦終結後、用済みとなり切り捨てられたことで
 主流左翼が急速に縮小、消滅の危機にあること

を指摘し、その問題性について説いています。


天児氏もまた、ちまたでは、尖閣諸島について
「反日的な」発言をした「売国奴」という悪評を得ているようです。

岩波新書から本を出されていることからも、
同氏は良心的な学者としての評価が名高いものと思われます。
実際、次のようなインタビュー記事からは
冷静な分析力を有する方だと感じられます。
(http://iwj.co.jp/wj/open/archives/101507)

しかし、このような人物が結果としては体制に貢献しているのもまた事実です。
領土問題にしても、基本的には日本の国益に沿った形での見解であることは見逃せません。

にも関わらず、左右どちらの陣営もこの事実にはあまり気づいていないようです。
右は売国奴と罵り、左は彼を良心的と讃えています。


右がそうなのはともかくとして、左が誰彼かまわず、
敵も味方もわからずに突っ走っているのは、問題があると言って良いでしょう。

何とかすべきことですが、まぁ・・・何ともならないでしょう。


・追記

こういう方々の外国研究というのは、どれほど信頼できるものなのか…
まぁ、仮にも研究者ですから一切のでたらめは述べていないと思いますが、
どうも穴があるような気はしなくもないです。