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時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

人質事件と共産党批判()

2015-02-02 00:10:52 | 反共左翼
後藤氏の安否が懸念される中、
共産党は同事件に対する政権批判は控えよという態度を取った。


このことが平和主義者(笑)たちにとってはご不満だったらしい。

歴史の岐路で国民を見捨てるのか、日本共産党
http://moriyama-law.cocolog-nifty.com/machiben/
2015/01/post-74bb.html#_ga=1.108251138.1201116076.1414571938


「イスラム国」池内ツイート削除事件
志位共産党委員長まで乗せられた挙国一致と大政翼賛会化

http://blogos.com/article/104334/

どうも彼らは、まだ結果がわからない(後藤氏との交渉中の)時期に、
外野に「安倍、責任取れぇーーー!!!」と騒いでほしかったようだ。



しかし、よく考えてみれば、
何も共産党は集団的自衛権を容認せよとか、
9条を改正して今後、同事件が起きた場合、
自衛隊を派遣、作戦を開始せよといった言葉は一度も発していない。




実際に、共産党は赤旗でも安倍政権の中東政策を
継続的に批判していた政党でもある。


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2014年8月30日(土)
首相 大企業引き連れ のべ445社・団体 1245人
武器・原発 外遊で売り込み



安倍晋三首相は2012年12月の就任以来23回の外遊で、
のべ54カ国を訪問し、その多くで大企業関係者を引き連れて
日本企業の商品を売り込む「トップセールス」を展開してきました。

日本共産党の佐々木憲昭衆院議員の調べによると、
安倍首相の外遊に同行した大企業関係者は、のべ445社・団体の1245人に上ります。


~中略~

佐々木衆院議員の話 


安倍首相は、国民に大増税、福祉切り捨て、
物価高を押しつけながら、
多国籍大企業のために世界中を駆け回っています。

その目的は、武器、原発、
大型開発の輸出、対日投資の要請などです。

海外では平和と安全を脅かし、
国内では大企業に「世界一稼ぎやすい国」を提供する。

こんな「トップセールス」では、
内外の怒りを買うだけです。


http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-08-30/2014083001_01_1.html
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2015年1月19日(月)

安倍首相自ら売り込み
エジプト大統領と会談
企業幹部引き連れ



約30社の企業幹部を引き連れエジプトを訪問した安倍晋三首相は
17日、首都カイロの大統領府でシシ大統領と会談しました。

首相はその後の共同会見で
「新生エジプトと新たな1ページを開くことができた」とし、
両国の「経済関係発展」に胸を張りました。



安倍首相は、「活力に満ち安定した中東地域を築くには
エジプトが安定、繁栄し地域の希望の星となるべき」だと持ち上げ、
同国の電力網整備や国際空港拡張のために約430億円の円借款を供与すると表明しました。


同時に、「スエズ運河地域開発計画などの
国家的プロジェクトに日本企業が参画できるよう、
政府としても積極的に後押ししていきたい」と強調し、
トップセールスぶりを示しました。



シシ大統領も、「日本からの投資がさらに促進されるようお願いしたい」
「大規模プロジェクトへの参加をすすめていただきたい」と述べました。



エジプトでは2013年7月に当時国防相だった
シシ氏を中心とする軍がモルシ前大統領を解任して以降、
「デモ規制法」の制定などによる民主主義と
人権抑圧の傾向が強まっています。

しかし、安倍首相の口から
この問題で懸念を表す言葉は出ませんでした。


http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2015-01-19/2015011902_05_1.html
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人質事件勃発の前日の記事においても、共産党は
安倍政権が相も変わらず、企業の幹部を引き連れ、
軍事政権の人権抑圧の傾向へ懸念もせず、
セールスに明け暮れていることを批判している。



こういうビジネス優先の(というより大企業のパトロンになっている)
あり方に対して批判してきた政党を、一言、政権擁護した瞬間に
「国民を見捨てる」とか「弱腰」と批判するのはいかがなものだろうか?



サッカーの試合があるとする。

あなたは2回戦の最中に初戦の敗北の責任を取れと
監督に要求することが正しい行為だと思うだろうか?



人質事件に失敗した今、共産党が自民党をフォローし、
一切の責任を問わないのならば、確かにそれは批判されてしかるべきだろう。


だが、あの時点では事件は終わっていないのであり、
そこまで憤慨すべき態度だったかと言われると少々、疑問である。


繰り返すが、共産党はテロ対策のための軍事費増加に賛意したり、
海外への自衛隊派遣に賛同したわけではない。


人質事件が未解決のいま、批判は控えるべしと言っただけである。

これを、イコール国民を見捨てた、
テロとの戦いの容認とみなすのは飛躍した解釈ではないだろうか?




本来なら、こんな内ゲバのような発言は無視するのだが、
ちと気になるのが、岩月浩二氏のコメント。


同氏は『TPP黒い条約』という本の共著者なのだが、
何を隠そう、この編著者は原発推進論者の中野剛志だったりする。


この方は、2011年の原発事故の直後ですら、
反対運動をサヨクの工作と決め付けていた、なかなかの論者である。


他にも、共著者の中には
『中国人国家ニッポンの誕生―移民栄えて国滅ぶ』を共著した
関岡英之氏がいるが、この本は、あの極右の西尾幹二が編者である。



さて、岩月氏の理屈に従えば、
右翼とつるんでしまうご自身に対しても
裏切り者のレッテルを貼らなければなるまい。




逆を言えば、たまたま意見が一致したからと言って、
どうして歴史改竄者のお仲間や強烈な原発推進者とつるまにゃならんのだ?


と言いたい。


それこそ、TPPに反対する左翼など共産党も含めて多くいるのだから、
彼らと一緒に本を書くべきではないか。わざわざチョイスする意味がわからない。


少なくとも私は中野や関口に印税を渡す片棒を担ぎたくはない。
同氏には、そのような発想が全く浮かばないのだろうか?



これがフリーのジャーナリストなら、生活もあり仕方なかろうとは思うが、
本人は弁護士として活動されているのだから、金に困りやむをえずというわけではあるまい。


彼のような本質が反共のために、場合によっては
簡単に右翼とつるんでしまう左翼
のことを私は反共左翼と称している。



私は、こういう目的のために右翼とつるむ連中については基本的には信用していない。

まぁ、それはともかく、事件は最悪の結末を迎えた。

この件について、文句の一言も言えないのであれば、
確かに共産党には批判される点があるだろう。

(一応、書いておくが、ウクライナ問題やフランステロ事件を
 はじめとして、私は結構共産党に批判をしている。
 だが、それをもって、直ちに同党の全否定はしない)


とはいえ、仮に共産党が事件の解決後、直ちに同事件に対する
自民党への責任追及をした場合、平和主義者たちは自身の見解について
何か修正をするのだろうか?私はしないと思う(今までもそうだったし)。

ネトウヨジジィ・筆坂秀世に問う

2014-12-17 00:16:37 | 反共左翼
今、パパッと調べたところ、筆坂は何とあの「やしきたかじん」の右翼番組に出て、
民主党は共産党よりも極左といういい加減なデマを飛ばしていたらしい。


野田を始めとした保守派がいるからこその民主党であり、
尖閣にせよ消費税にせよ、市民をして「まるで自民党のようだ」と
評価せしめたあの政党を共産党よりも極左ですと煽るこの爺さんは、
どこまで面の皮が厚いのだろう。自分の欲のためなら極右とつるむ糞野郎だ。



さて、極右の笹川良一の形見ともいえる建造物の管理団体の
理事長にまでなり、極右発言を連発しているかの馬鹿野郎、
こんなことまで言っていたらしい。


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・「誤用」を認めた本多勝一氏

 今週の「週刊新潮」(2014年9月25日号)に
「『本多勝一』が“誤用”を認めた『南京事件』捏造写真」
というグラビア記事が掲載されている。


写真は、中国で笑顔の日本兵と一緒に、少年、少女、女性や老婆が歩いて橋を渡るものだ。
この写真が掲載された『アサヒグラフ』(1937年11月10日号)のキャプションには、
「我が兵士に護られて野良仕事よりへかへる日の丸の女子供の群れ」とある。


ところが本多勝一氏の著書『中国の日本軍』では、同じ写真が使われていながら、
そのキャプションには、「婦女子を狩り集めて連れて行く
日本兵たち。強姦や輪姦は7、8歳の幼女から、70歳を越えた老女にまで及んだ」とある。


写真を見れば一目瞭然だが、みんな笑顔で歩いている。

強制連行だの、強姦や輪姦など思いもよらないものだ。
これが南京事件の根拠になっていたというのだから驚くほかない。


『週刊新潮』によれば本多氏は「誤用」を認めたようだが、
誤用などという代物ではない。悪質極まるでっち上げ、捏造そのものだ。


これがかつての朝日新聞のスター記者である。

私なども、若い頃にはよく読んだものだ。
要するに日本軍への悪口雑言は何でもありというのが、
朝日や本多氏の立場だということだ。


なぜ日本に、日本人に、もっと誇りを持てないのか。
日本を貶めて何が嬉しいのか。朝日新聞や共産党、社民党、進歩派を
自認する人々に言いたいのは、このことだ。

http://awabi.2ch.sc/test/read.cgi/news4plus/1411420715/
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南京大虐殺は兵士たちの陣中日記や軍命を記した公文書や
役人の文書、当時南京にいた外国人のメモなどを主とした
文献資料によって、はっきりと存在が確認されている史実である。


ついでに言えば、マギー・フィルムという決定的な映像史料もあり、
極右がどう言おうとも、この事件を否定することは不可能だ。


大体この事件は他ならぬ共産党が熱をこめて証明したものであり、
下里正樹氏の『隠された連隊史』などは、その典型的なルポで、
いまだにこの本は閲覧する価値があると私は思う。


つまり、筆坂氏は元党員である同氏が知っているはずの事実を
隠蔽して、南京事件否定論を推し進めているわけである。

どこまで人間が腐ったヤツなんだろうか。


問題の本多氏の著書は1973年のものだが、その後、彼は改めて
この問題を調査し、『南京への道』というルポを89年に発表している。

このルポは同じく南京事件の研究者である故藤原彰教授にも評価されたものである。
同書に関して筆坂は実証的研究により論駁していない(出来る筈もないが)。


『中国の日本軍』は日中戦争がテーマであり、南京事件は
 その中の1つのエピソードとして記されているだけにすぎない。

つまり、氏の主張を否定したいならば、
『南京への道』や『天皇の軍隊』などのより新しい著作への言及が必要だろう。


にも関わらず、筆坂はブラック企業を単なるサービス残業を強いる企業と
独断で意味を捻じ曲げ、集中攻撃する共産党は悪と罵倒したように
(実際には過労死の危険性が高い長時間労働を正社員最低100人、
 バイト数百人に強いる、労働搾取が著しい企業をブラック企業と
 呼んでいる)、南京の証拠は写真1枚だと決めつけて、嘘をでっちあげる
共産や社民、朝日(要するに左翼全般なんだろう)は日本に誇りを持たないのか
と脅すような口調で、ラリった発言をしている。


こういう1万の資料のうちの1つを否定することで、
事実を証拠づける残りの9999の資料をすべて無視しようとするのは
小林よりのりや渡辺昇一などの極右が好んで使う極右ならではの戦法である。

史実をそのまま伝えることが日本の誇りを傷つけると解釈する態度もそう。

もはや筆坂が極右であることを誰もが認めざるを得ないだろう。


さて、ここで筆坂の質問に答えるとしよう。

「なぜ日本に、日本人に、もっと誇りを持てないのか」とあるが、これには
 お前みたいなのがいるからだとしか言いようがない。


筆坂のように平然と嘘をつき、人を欺き、
アジア諸国からの日本の信用を失わせ、生存している被害者を
二重三重に傷つける根っからの悪党を嫌っているだけだ。


こういう奴らはオレ=日本、日本人と思いあがって、
「オレの意見に逆らうことは日本に逆らうことだ、反日だ」という
 無茶苦茶な意見を述べてくる。そういう頭のおかしい奴らが
 模範的日本人を自称し、気取っているからこそ、私は連中を全く信用できないのだ。


筆坂は前々からおかしな奴だと思っていたが、
ここまで強烈に左から右へと転向したくせに、自分は堕落していないと言い張っている。


こいつが今やっているのは、過去の自分の完全否定ではないか。
自分自身すら嘘をついてヘラヘラ笑ってやがる傍観主義者。


今回の選挙の評価も、とりあえず与党も野党もこきおろしていた。
自分はもう二度と政治家に戻れないその憂さを、
右翼に取り入り、旧友たちを攻撃することで晴らしている。


逆にこちらから問いたい。

おまえは恥ずかしくないのか。
今の自分に対して。

負け惜しみしか言えない筆坂英世

2014-12-16 22:57:57 | 反共左翼
共産党が反与党の受け皿になるとは、誰が予想しえただろうか?

近年の共産党の健闘ぶりをみると、そう思わざるを得ない。
同党バッシングに勤しんでいる反共元左翼・現極右は何を思うのだろうか…



今でこそ、何とか政党としてのメンツを保っているが、
2000年代前半の共産党は今とは逆に大幅に議席を減らして苦戦していた。

この時期に、比例から当選した人物に筆坂秀世という男がいた。

かつては小林多喜二を尊敬した青年で、高校卒業後に就職、
25歳の頃、務めていた銀行を退職、共産党議員の秘書となる。

その後、1995年に参議院議員となり、共産党のナンバー4と呼ばれてもいたが、
2期目にセクハラ事件を起こし、責任を取って除名された。



その後、彼が熱心な共産党信者から反共主義者へと転向し、
よりによって、あの産経新聞に改憲論を載せるまでに堕落したのは
知っているが、その後は極右になり下がった元党員程度の認識しかなかった。


そんな彼が共産党の躍進に対して負け惜しみを言っていることを、
同じく、2015年共産党解散説がいよいよ怪しくなってきて、
いつも以上に頭がおかしくなっているキンピーちゃんが紹介していた。


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先にも述べたように共産党は、「自共対決」を旗印にした。

確かに、あらゆる問題で、
自民党に政策的に対決しているのは共産党だけかもしれない。

それが一定の共感を呼んだことも事実であろう。


私の知人で自ら「保守リベラル」という女性も、
「安倍も、海江田も嫌いだし、比例は共産党に入れようかと思っている」
「知人の奥様方も比例は共産党と言う人が多いよ」と語っていた。

ご主人は、著名な大企業の幹部をしていた女性である。
それが「比例は共産党」と言うのだから、いかに他の野党が信頼を失っているかである。


しかし、それは共産党の政策や党の理念を支持したからでは決してない。
そんなことを吟味して投票している国民は少ない。

志位委員長は、最終日に
「共産党の躍進で消費税増税を中止に追い込もうではありませんか」
と訴えたそうだが、これに共感するほど国民は馬鹿ではない。

十数議席でそんなことが実現するなどとは、露とも思っていない。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/42454?page=4
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掲げる政策や党の理念を吟味して投票する国民は少ないと
思いっきり有権者を馬鹿にしている人間が、
「これに共感するほど国民は馬鹿ではない」とコメントする不思議。


都合のよいときだけ国民を湛えないでほしい。


要するに筆坂は、

共産党シンパ→共産党の政策や理念を吟味しない馬鹿
それ以外→共産党の詐術に騙されない賢い人間

と言いたいのである。


こういう自分の都合に合わせて、国民を持ち上げたり下げたりするタイプは
非道く問題だ。共産党は、筆坂を追放して本当に正解だったと思う。


「十数議席でそんなことが実現するなどとは、露とも思っていない」という
 意味不明な言葉には絶句した。「増税を食い止めるには議席が足りないから
 もっと議席を増やすために今度の選挙はよろしくお願いします」という話ではないのか?


例えばの話だが、今回の選挙で70議席を共産党が自民党から奪ったとしよう。

この場合、民主党と合わせて140議席になり、
また与党の議席数を3分の2以下に食い止めたことになる。

十分、自民への反撃になるわけだ。
結果としては、ここまで劇的に議席は増えなかったわけだが、
仮に民主と共産がそれぞれもっと議席を増やせば、強行採決は止めることが出来たのである。



それを、衆院解散前の共産党が8議席だったからという理屈で
実現は無理と意味不明すぎる判断をして投票せず、結果的に
自民党に強行採決をする権利を与えてしまったとするならば、

そっちの有権者のほうがヤバいのではないだろうか?



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もっと言えば、こんな無責任なスローガンはない。
消費税が5%から8%に上げることに、共産党は反対したはずだ。

それがわずか8カ月で早くも8%への増税を是認して、
10%にはするな、と言っているだけなのだ。

なぜ「5%に戻せ」、あるいは「消費税をなくしましょう」と言わないのか。

「消費税をなくす会」まで作っている共産党が、現実には消費税を是認しているのである。

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共産党は「消費税にたよらない別の道」として具体的な方法を提案している。
これは文字通りに読めば、どういう意味なのか筆坂はわからないのだろうか?



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要するに、まともに政党の体を成しているのが、
自民党と共産党、あるいは公明党ぐらいしかないからだ。

第三極の体たらくを見れば誰でもそう思う。

自民党が嫌な人にとって、共産党しかなかったのである。

かつて社会党が社民党になり没落した際も、
行き場を失った革新支持票が共産党に集まり、大躍進した。

だがそれは長続きしなかった。
今回も2年前の民主党没落や第三極の自壊に助けられたに過ぎない。

共産党への前向きの支持ではないのだ。

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筆坂は、共産党の票=自民党の反対票と決め付けたいために、
民主党のほうが小選挙区で票を稼いでいるという事実を指摘できていない。


共産党は2000年以来、久しぶりに20以上の議席を得られた。
筆坂が首になった2003年は、衆院20→9議席、参院15→5議席と共産党が大敗していた時期で、
この貴重な5議席に党のはからいで入れてもらったくせに、セクハラで自滅した筆坂。

自分が去った後に堂々と復活したのを見て「どうせ今だけだ」と負け惜しみを言う筆坂。


なんというクズ。人間性の低い人物なのだろう。



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同じ轍を踏まないためにも、共産党は大きな変化を遂げなければならない。

その鍵となるのは、真剣に政権政党になることを検討することである。


そのためには、まず唯我独尊の態度を改め、
自らが先頭に立って野党を糾合するぐらいの度量をもつことである。

十数議席の獲得で欣喜雀躍しているようでは、革命政党の名が泣くと言うものだ。


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前述したが、2000年前半は共産党が本当に苦労した時期だった。
その後、苦労に苦労を重ねてようやく元の数に戻すことができた。


その嬉しさは本人たちにしかわからないものがあるだろう。

それを、「十数議席の獲得で欣喜雀躍しているようでは、
革命政党の名が泣くと言うものだ」と鼻で笑う筆坂こそ唯我独尊極まれりだ。


大体、そんな偉そうなことを言うなら、てめぇがナンバー4と
言われていた時期に100議席以上獲得させりゃ良かったじゃねぇかよ
と声を大にして言いたい。


昔の仲間にツバを吐きかけ、「オレ最高!オレ正義!」と図に乗る筆坂。


筆坂が右傾化していたのは知っていたが、彼が書いた他の記事を読むと、
「日中戦争で日本は中国に負けていない」とかパール判事の日本無罪論を
根拠に東京裁判を批判したりとか、言ってることがネトウヨとまったく同じで、
嫉妬や恨みというものは、人間をここまで腐らせるのかと驚きあきれてしまう。


共産党を殺すためならいくらでも嘘をつけるのか、この亡八は。


ちなみに、彼は戦後最大の極右の一人、
故・笹川良一氏が建てた「望郷の塔」という建造物の理事長に離党後、就任している。


正真正銘の反共主義者の笹川良一が建てた塔を保護するのである。
いわば、自分たちの敵(かたき)が建てた塔をお守りしているわけだ。

「笹川さま!あなたが建てた塔は私が守っていきますぞ!
 どうぞ天国で見守っていてくだされ!」


アホか

こいつにプライドはないのか



この選挙に限らず、筆坂は共産党がブラック企業批判で受賞したことを指して
「「しんぶん赤旗」は「ブッラク企業連続追及」キャンペーンが
  日本ジャーナリスト会議(JCJ)からJCJ賞を授与したことを大いに自慢している。

  だが「ブラック企業」とは何なのか。サービス残業など労働法規を
  蹂躙している会社のことか。こう言ってはなんだが、
  私が都市銀行に勤務している時、サービス残業は当たり前であった。
  おそらくほとんどの企業でそうであったろう。
  今でもおそらくそう変わりはないはずだ。」

と意図的にブラック企業の定義を捻じ曲げて、
特定の企業だけ狙い撃ちにするのはいかがなものかとほざいている。


では、共産党はブラック企業をどのように批判しているのか。
次の記事を読んでみよう。


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労働基準法にもとづき残業時間を労使で取り決めた
「三六(さぶろく)協定」では、一般社員は最長で月80時間(年6回)、
年750時間まで残業させられるとされています。

アルバイト店員は月60時間(年6回)、年630時間までです。


ところが、「過労死ライン」とされる月80時間残業を超えて、
月100時間以上も残業している人が、一般社員でしばしば100人を超え、
アルバイト店員では常に数百人いる状況だったと報告。


サービス残業の存在も指摘し、労働時間はもっと長かったと推測しています。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik14/2014-08-27/2014082701_07_1.html

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サービス残業どころか、
過労死ラインを超える人間が
正社員で最低100人、バイトで数百人だったのである。

これを批判しないなら、かえって問題があるだろう。



サービス残業程度の軽い問題だと意図的に問題を矮小化し、
特定の企業を弱い者いじめしているかのようにデタラメをほざく筆坂。


まったく同じ理屈を右翼が述べていたのを思い出す。
そう、筆坂など今や右翼よりも右翼な極右野郎なのだが、
本人には自覚がないらしい。

安倍政権の改憲・軍拡・歴史改竄批判を指して
「軍国主義復活の動きを推進している」と評価しているのだが、
これを「日本は軍国主義が復活しているのか?」と否定する人間が
自分は右傾化していないと本気で思っているようだ。

私が筆坂氏を見て思うのは、この男は石原や橋下よりも面の皮が厚くて
ネトウヨよりも妄想癖が激しい人物なのだなということだ。


ネトウヨはよく、慰安婦には証拠がないという。
そこで私は、史料が読めるサイトを紹介してやったのだが、
それでも彼らは持論を変えなかった。筆坂はそれに似ている。


自分が堕落したのを指摘されても、逆に相手を嘲笑し、
自分が勝ったことにしている。共産党がどんどん躍進していっても、
それは反対票にすぎないと現実を見ようとしない。こういう奴に限って、
いざ共産党の議席が減ると「やはり(ニヤリ)」とほくそ笑むのである。


こんなネトウヨ野郎が一時期、権力を握っていたのは、
本当に共産党の消し去りたい過去の一つだと思う。

こいつを追っ払ったのは実に英断だった。
改めて、当時クビにした不破氏や志位氏を評価したい。


在特会、裁判で完全敗北

2014-12-12 00:11:01 | 反共左翼
京都の朝鮮学校に対するヘイト・スピーチを巡った裁判において、
この度、学校側が完全勝利し、同校への1200万の補償と学校周辺の街宣が禁じられた。


日本人から金を不当に奪っていると言っておきながら、
1200万円を支払わなければならなくなった差別団体。

人を笑わせるのが実にうまい連中である。



しかし、今回のこと、そう喜んでもいられない。
今回の判決は、結果的に在日コリアンへの差別を助長させることにもなる。


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ヘイトスピーチ賠償確定 
朝鮮学校「日本の良心に感謝」


大久保貴裕、阿部峻介


確定した7月の大阪高裁判決によると、在特会員らは
2009年12月~10年3月、同校周辺で3回演説。

「犯罪者に教育された子ども」「朝鮮半島へ帰れ」などと訴えた。
高裁判決は「児童が人種差別という不条理な行為で多大な精神的被害を受けた」と認めた。


会見には、演説時に長女が幼稚園の年長だった
保護者の金秀煥(キムスファン)さん(38)も参加。

「ヘイトスピーチはいけない、という社会風土がつくられてほしい」と語った。

長女が小学生だった朴貞任(パクチョンイム)さん(46)は
日本の良心が私たちの民族を守ってくれた。感謝です」と喜んだ。
http://www.asahi.com/articles/ASGDB527TGDBPTIL014.html

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案の定、誇り高い自称日本人代表は発狂しているが、
上の文章から読み取れるのは「日本人と朝鮮人との間で起きた美談」である。


「日本人の中にも良心はいるんですよ~」

「良心的な日本人がコリアンを守ってくれたんですよ~」


こういう意図がミエミエで、実際には
無償教育対象からの朝鮮学校の除外や補助金打ち切り、
各記念碑における強制連行の叙述の削除を主とする各自治体の歴史改竄、
総連や北朝鮮に対する異常とも言える虚偽の報道に対する無批判な姿勢、
その他諸々の差別は消えないばかりか朝日新聞も加担しているという事実を無視している。


朝鮮新報の記事と比較してみよう。


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一、二審判決によると、在特会会員らは2009年12月~10年3月、
同学園が運営する京都市の朝鮮学校の周辺で3回にわたり、拡声器で
「朝鮮学校を日本からたたき出せ」「朝鮮人を保健所で処分しろ」などと発言。

その様子を撮影した動画をインターネット上で公開した。


一審京都地裁は「在日朝鮮人への差別意識を世間に訴える意図があり、
人種差別撤廃条約で禁じられた人種差別に当たる」と判断し、違法性を認めた。


二審大阪高裁も、同条約上の人種差別に当たると認定。
「表現の自由によって保護される範囲を超えているのは明らかだ」などと指摘し、
在特会側の控訴を棄却した。


また、控訴審は、学校法人京都朝鮮学園には
「在日朝鮮人の民族教育を行う…人格的価値」があるとし、

1953年認可以来の歴史と、学校数約120校・生徒数約1万2千人の規模をもって展開する
「民族教育…を実施する場として社会的評価」が形成されてきたのに、

その侵害行為によってその「存在意義、適格性」等の評価が傷つけられ、

さらに、「本件学校の教育環境」のみならず
「我が国で在日朝鮮人の民族教育を行う社会環境」も損なわれた
ことを理由として



高額賠償を命じていた。

http://chosonsinbo.com/jp/2014/12/1210ib/
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つまり、今回の判決は、朝鮮学校および民族教育の存在意義を認め、
「朝鮮学校が民族教育を行う権利を阻害する行為を否定した」
という点で、非常に画期的だったのである。





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〈ニュースの窓〉高まる「無償化」適用世論
舞台は法廷へ、国連委へと




今年も各地で朝鮮学校に対する
「高校無償化」制度適用を求める運動が活発に繰り広げられた。
しかしながら、適用は先送りされている。

そもそも「無償化」制度とはどんな制度なのか、
運動はどの段階にあるのか、今一度振り返ってみる。


制度施行の経緯


「無償化」は、2009年9月に発足した民主党・鳩山政権のマニフェストの目玉の一つであった。

この制度は、高等学校で学習する機会の均等化を図ることが目的で、
1条校だけでなく、専修学校や各種学校の外国人学校も対象とされた。

すなわち、日本の学校の生徒と同じように
外国人学校に通う生徒たちにも経済支援制度が適用され、
当然、朝鮮学校もそこに含まれるはずであった。


しかし、2010年2月、当時の拉致担当相が文科相に
「拉致問題が進展しない状況」を理由に朝鮮学校を対象から
外すよう要請したことが明らかになり、問題が複雑化。

結局、朝鮮学校だけが対象から外されたまま、「無償化」制度は2010年4月から施行された。


朝鮮学校に関して同年5月、文科省の諮問機関として検討会議を発足させ、
8月には会議の報告を発表。「外交上の配慮によって判断するのではなく、
教育上の観点から客観的に判断する」とした。にもかかわらず、
同年11月に朝鮮半島で起きた延坪島砲撃事件を口実に、菅首相が審査手続きの停止を指示。

11年8月、菅首相は辞任の前日に審査手続きの再開を指示したものの、審査は進まなかった。



12年12月に発足した第2次安倍政権は、省令を改悪(13年2月)し、
朝鮮学校を「無償化」適用対象として指定するための根拠とされていた条項を削除。


朝鮮学校をこの制度から完全に締め出してしまった。

そして、適用のためのたたかいは法廷へと移った。

13年1月の大阪、愛知を皮切りに、広島、九州、東京の5カ所で、
生徒・卒業生、学園などが原告となり訴訟を起こした。裁判は今も続けられている。


「日本社会の問題」

「無償化」除外問題は、日本政府当局が朝・日関係や
朝鮮半島情勢などに絡む政治問題を教育の場にまで持ち込み、
朝鮮学校生徒だけを差別するという極めて露骨で重大な人権侵害として、
国際的にも非難を浴びている


8月の国連・人種差別撤廃委員会では
「無償化」および補助金問題が取り上げられ、その実施を促した。


南朝鮮でも批判の声が上がっている。

11月に来日した市民団体の代表らは、
南朝鮮で集めた1万1043人分の署名を文科省に提出し、厳重に抗議した。

先の国連委でも言及されたように、
日本はヘイトスピーチ問題など様々な人権問題を抱えている。


日本国内では同胞のみならず、日本市民らもヘイトスピーチや
「無償化」問題を「日本社会の問題」と捉え、デモや集会など様々な形態で懸念と抗議、
反対の声を上げている。また、「第16回日朝教育シンポジウム」(11月8日)、
「日朝友好促進東京議員連絡会年末講演会」(12月2日)などの集会では、
「無償化」問題が主要議題として扱われている。

今年4月、「無償化」法が改定され、
名称は変更されたものの、差別の構造には何の変化もない。

制度の趣旨や人権の見地からしても、朝鮮学校だけが除外されるのは明らかにおかしい。
日本の司法の判断に大きな注目が集まっている。(姜)

http://chosonsinbo.com/jp/2014/12/sinbo-j_141208-3/

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よく考えてほしい。

イスラエルがガザ地区を爆撃したことを理由に、
ユダヤ人学校だけ補助金が打ち切られているとしたら、
私たち日本人はどう思うだろうか?




こういう事態にむけての解決が全く進展していないにも関わらず、
正義の日本人がコリアンを守ったという美談で表現するのは、
小さな問題の解決をもって、大きな問題を隠す卑劣な工作とも言えよう。


また、「民族教育が法的に認められた」ことを意図的に書かないのは、
ヘイト・スピーチは駄目だが無償化排除はOKと暗に言っているようなものである。


本来なら、これを起点に各地の自治体による差別政策&歴史改竄を
非難する記事を、できればシリーズ連載しなければならないのに、
「良かったね、チャンチャン♪」で終わらせかねない報道なのである。


先日、私は朝日新聞社は左翼じゃないと言ったが、
正確には反共左翼に属する連中は、肝心の事実を隠し、
表面的な反対姿勢をとることで、結果的には問題の解決を遠ざけている。


こういう中途半端な左翼の存在は、
ある意味、在特会のような差別団体よりも性質が悪い。


後者は日本にもアメリカの黒人差別と同様の人種差別が存在することを
嫌でもわからせてくれるが、前者はその差別の激しさを隠してしまうからだ。


岩波書店『世界』に掲載された池上彰の反ヘイト・スピーチ記事も
相当、狂った内容で、同氏は正常な倫理観を持っているのかと疑いたくなるものだが、
朝日もなかなかどうして、かなりのクォリティを誇っている。


問題は、こういう有様を論壇で発言権を得ている知識人が
まったく言及しようとしないことだろう。日本は『痴の権力』によって支配されている。

日本の右傾化について

2014-12-11 23:43:16 | 反共左翼
現在、白宗元氏の『検証 朝鮮戦争』とブルース・カミングス氏の『朝鮮戦争論』を読んでいる。

どちらも非常にスリリングな内容で読み応えがあるが、
特に白氏の著作は、北朝鮮の南侵論の根拠となる史料を丁寧に批判し、
開戦時の状況が未だに定かではないことを指摘しており、
この戦争に関する研究が未だに途上であることを感じさせる。


例えば、北朝鮮がスターリンに唆されて開戦した根拠の1つである
フルシチョフの回想録が、実は回想録ではなく、過去の発言を
アメリカのメディアが編集したものであったこと、その内容も矛盾点が多く、
史料として活用するには、やや力不足であることを「暴露」している。


ここで「暴露」とカギカッコ付きで表現したのは、
それだけ専門家であるはずの学者がこの点について無視していることを皮肉りたいからだ。


実際、朝鮮戦争については、極力、アメリカ(国連)の侵略性を
緩和させようとしているのではないかと思わせる記述が多い。


例えば、和田春樹氏の『これだけは知っておきたい 日本と朝鮮の100年史』だが、
同書では、一応、アメリカ側の批判もしているが、実は国連軍の日本への駐留を認め、
朝鮮有事の際には日本から出撃する権利を保障する国連軍地位協定が現在も有効であり、

横田、座間、横須賀、佐世保、嘉手納、ホワイト・ビーチ、そして普天間の七基地が
国連軍の基地でもあり、国連軍の旗が掲げられ、イギリスやオーストラリアなどの
朝鮮戦争参戦国の軍が日本政府との協議なしに自由に出入りしている
という
肝心の事実が記されていない


白氏は国連軍地位協定について
これらの事実は、朝鮮戦争は日本でもまだ終わっていないことを示している。
 停戦協定が平和協定に転換され朝鮮に平和が訪れない限り、
 朝鮮戦争はいつまでもこのような形で日本に不安な影を落としているのである。

とコメントしている。



和田氏の
「日本人は朝鮮戦争における朝鮮半島の人々の苦しみ、悲しみに無関心で、
 その戦争からもっぱら利益を得ました。

 それでも日本がその戦争に主体的に戦争に参加しなかったのはよかったことだと考え、
 将来をめざして、隣国の平和のために何ができるかを考え抜くことが必要だと思います」
というコメントと白氏のそれを読み比べてほしい。


他方は、日本の米軍基地が未だに存在する理由の一つには、
朝鮮戦争時に結ばれた協定が法的効力を未だに保っているからだと指摘し、
日本の平和(軍縮、米軍撤退)には朝鮮の平和(終戦条約の締結)が必要だと述べ、

もう他方では、日本は確かに朝鮮人に無関心で利益を得たが、
「それでも」主体的に参戦しなかったことは良かったと評価し、
隣国の平和のために何ができるかを考えることが必要だと結論付けている。


どちらが、より具体的で深刻な問題点を指摘しているかは言うまでもない。


そもそも、和田氏は朝鮮戦争が過去の惨事であるかのように述べ、
現在も継続中の問題なのだという白氏とは対照的な受け取り方をしている。


残念ながら、和田氏が朝鮮戦争を過去の教訓として矮小化し、
そのついでに「日本は悪いこともしたが良いこともした」という
右翼お得意の責任逃れを行っているのは明白だ。



白氏は朝鮮大学の歴史学者であり、総連の中央副議長を歴任した人間で、
和田氏は東京大学の名誉教授であり、ソ連史・北朝鮮史の権威で有名な社会運動家でもある。


客観的に見れば、和田氏のほうが実績も社会的地位もあるはずなのに、
両者が述べる見解になぜ、かくも大きな落差があるのだろうか?


悪の巣窟である総連の元・中央副議長のほうが
東大名誉教授でソ連史・北朝鮮史の権威、ヘイト・スピーチにも反対姿勢を取る
「良心的な」市民運動家よりも遥かに優れた意見を述べ、
後者が結果的に読者が日本に現存する問題点に気づきづらくさせるのは何故なのか?


結論から述べると、両者の違いは容共か反共かという点にある。


先日述べた白鳥事件有罪説が日本の左翼によって展開されていること、
慰安婦問題についても、向こうの右翼的言説を朝日新聞社が広めていることも
結局は現在の日本の右傾化は左翼の反共化であることを示している。


加藤哲郎などが典型的な例だが、日本の左翼は普段は平和主義を標榜し、
当たり障りのない正義を述べているが、いざ中国や北朝鮮、ロシアや中東、
南米、アフリカといった(欧米にとっては)左派系政権に関しては、
右翼と全くといって良いほど同じ見地に立ち、攻撃している。


北朝鮮打倒のために慰安婦問題は妥協して日本と協力関係を築けと
叫ぶ自称中立派の韓国人や、東北アジアに平和をと言いながら、
北朝鮮が常時米韓から軍事的圧力を受けていることを無視したり、
場合によっては「北の妄言」と一蹴する日本人もいる。

アベノミクスに反対しながら、その最も有力な反対政党として
近年成長している共産党に悪印象を持たせる言説を唱えたり、
イラク戦争に反対しながら、同じ理屈でアメリカがアフリカ、
ロシア、東欧に干渉すると、これは民主化運動の一環だと称賛する左翼。

彼らに共通しているのが、
アメリカ型の民主主義の絶対崇拝とコミュニスムの絶対否定である。

実際には、コミュニスムは地域ごとにその形態を変える多様なもので、
北朝鮮の主体思想と日本の科学的社会主義は全く異なるイデオロギーで
あることは明白なのだが、全てを単一のイメージで定義している。

人はそれを偏見と呼ぶ。

結果として、「民主化」のために地方の「独裁」を打倒することが
絶対正義のように主張されたり、そのためには右翼と共通の見解を
好んで主張したりする。「アラブの春」礼賛や北朝鮮バッシングはその典型例だ。

ISISやアル・カイダ、在特会やネトウヨは
一連の反共主義の産物でもあるのだが、彼らは元凶を作っておきながら、
いざ異常事態が発生すると、全てを右翼のせいにして雲隠れしてしまう。


今の左翼メディアは昔なら右翼と呼ばれた人間を講師として招いて、
「これが日本の良心的な意見です」と偽の紹介文を添え彼らの権威化に協力し、
結果的には右傾化に貢献する言説を垂れ流している。


特に左派系の代表格として君臨している岩波書店など、
先日、私がこっぴどく批判した佐藤優氏と池上彰氏に
積極的に原稿を依頼しているトンデモ出版社になっている。

これはアフガンやイラク、リビアに未だに米軍を送りこみ
現地の住民を殺害させているオバマを平和論者と紹介し、
彼にブッシュやマケインなどの超タカ派の批判をさせているようなものだ。


簡単に言えば、10万殺した人間が100万殺した人間を批判しているようなもの。

これは相対的に10万人を殺害したという事実を軽視・無視させることにつながる。




先日、ゲッペルス(ナチスの高官)の日記を用いて、
カチンの森事件(ソ連の代表的な虐殺事件の一つ)に論駁した本が
三省堂から出版されたが、朝鮮戦争といい、カチンの森事件といい、
欧米やソ連でも未だに論争中の話題であるにも関わらず、
なぜか共産党を非難する側だけを翻訳・紹介している。


無論、そうでない本もあるが、圧倒的に流通量が少ない。

この傾向が特に顕著なのが中国に関する本で、
同国の「功罪」を述べているのは大西広教授ぐらいのもので、
他は「罪」のほうだけ重点的に説明している。これが結果的に、
国内の中国や中国人へ対する差別意識、その口実としてねつ造される
歴史改竄工作を助長させているのだが、研究者も出版社も特に自覚していない。


岩波書店、白水社、日本評論社、同時代社、花伝社、社会評論社、
社会批評社、七つの森書館、みすず書房、御茶ノ水書房、筑摩書房。

パッと頭に浮かんできた左派系出版社だけでも、
これだけいるわけだが、こいつらのやってることは、

ガソリンを垂れ流しながら「火の用心~~!」と叫んでいる人間が、
いざ放火魔がこれ幸いと火をつけると憤慨・激昂するようなものだ。


傍から見れば狂人かと思われるに違いない。

今思えば、党内に歴史改竄工作員を抱えながら
東アジアの平和と歴史問題の解決、慰安婦への補償を考えていた民主党の
代表的な支持基盤が労働組合だったことも一連の現象の一環だったのかもしれない。


こういう現象は前々からあった。
文壇を見ても共産党系の作家は市場においてもマイノリティで、
大江健三郎や野間宏、大岡昇平や安部公房のほうが有名で評価されている。

「日本」文学史でも、プロレタリア文学は軽視・無視されている。

こういうコミュニスムの無視・軽視・反感が冷戦終結後、
加速化した結果、今日の驚くほどの右傾化になっているように思えてならない。


こういう中途半端な左翼、反共左翼の特徴としては、
一見、対立しているようで実は裏では右翼と共闘していたり、
問題の本質を隠した反対論を唱え、読者がより深い考察を行うことを
妨害することが挙げられる。言ってみれば、影の協力者とでも言うべき存在。


こういうのが前面に出て、右翼の反対者の代表を気取っているのだから、
結果的にどうなるかは目に見えてくるし、現にそうなっている。


マルクス流に言えば、彼らもブルジョア化して、
雑誌や単行本、放送といった場における発言権を独占している。


そのため、マイノリティはネットか自費出版で応じなければならない。

これが歪んだ形で噴出したのがネット右翼で、言説自体は極右のそれなのだが、
彼らは既存の右翼メディアを手ぬるいと判断し、より過激で差別的な発言を述べ、
言論におけるシェアを極右一色で埋めようと努力している。


そういう意味では、ネット右翼は左右問わず、商売敵であって、
文春と岩波がどちらも彼らを非難しているのは偶然ではない。


90年代以降、一部を除きコミュニスムは強く左翼に否定されるようになったが、
それは自身の右傾化(転向・保守化)を隠ぺいするためのものだったのではないだろうか?

あるいは自分たちが言論において権力を掌握したからこそ、
それを瓦解させかねない言説に目を瞑るようになったのではないだろうか?

久々に大型書店で新品購入(ただの日記です)

2014-12-09 23:46:59 | 反共左翼
久々に大型書店に行ってきた。

目的はウェンディ・ブラウンの『寛容の帝国』だったのだが、
アメリカ外交の本だと思ったら、リベラリズム批判の本だったので購入をやめ、
政治・外交・歴史・時事の棚を物色、いろいろあって朝鮮戦争の本を買った。


ブルース・カミングスの『朝鮮戦争論』。非常に面白い。
白宗元氏の『検証 朝鮮戦争』と一緒に読むつもりだ。



ところで、北朝鮮のコーナーにも行ってきたが、
あと数年で北朝鮮は自壊するだとか、金正恩政権の経済は今後悪化するとか、
今見ると、ことごとく外しまくってる本ばっかり売っていて、唖然としてしまった。


しかも、そういう本に限って、我が国の専門家が推薦している始末。
まったくもって悲しくなってくる。

こういういい加減な本を作っているのは右翼に限ったことではなく、
むしろ左翼にも相当数いるというのが何とも言えない。


北朝鮮に限らず、戦後の左翼は反共を暗黙の掟としていたのではないか、
特に冷戦終結後はその姿勢が顕著ではないかと思われてならない。


例えば、日本評論社の元社長が日本評論社から出した『私記 白鳥事件』。
(要するに、自費出版の類だと思われる)


生前、無実を訴え続けた故・村上国治氏を勝手に有罪断定して、
「共産党に無実を強要された悲劇の英雄」といった褒めてんのか
 けなしてんのかよくわからない評価がされている。


死んでからも反共左翼どもに政治的に利用される村上氏。

白鳥事件は村上氏が死んでから有罪説が唱えられ始めた事件で、
「死人に口なし」という言葉を地で行くキャンペーンがされている。


話すたびに証言内容が大幅に変わる高安氏の言葉が最大の根拠だったり、
事件の最大の論点である唯一の証拠である銃弾がねつ造されたものだった
という肝心の部分に触れようとすらしなかったりと、どうも頂けない部分が多い。


朝鮮戦争、白鳥戦争、北朝鮮。慰安婦。領土・歴史問題。

いずれのジャンルでも、いい加減な本が
ほかならぬ左翼を自称する人間によって書かれている事例が散見される。



というのも、いずれも共産主義が絡んだ問題であり、
例えば、慰安婦では、日本と揉めるより協力して北朝鮮をぶっ潰すのが先と
日本側の歴史改竄工作に「和解派」を気取りながらあえて協力する輩も多い。

こういう奴らは自分が左翼であるかのようにふるまう傾向がある。

韓国の朴裕河は言うまでもないが、アジア助成金の関係者(和田や大沼)たちは、
自分たちで原因を作った(少なくとも右翼の差別を正当化する言説を流布した)
にも関わらず慰安婦やヘイト・スピーチについて憂いでいる演技をしている。



こういう保守派以上に卑劣で狭量なスタンスを
どうにかして変えないと、左翼は右翼に本当に呑まれる気がする。

(とういのも主義主張は反共保守と大差ないから。
 現に、白鳥事件にせよ、慰安婦にせよ、朝鮮戦争にせよ、
 この話題に対する反共左翼の言説は、「なぜか」(厭味である)
 極右に好まれて引用・利用されるきらいがある。)

プレ書評 白宗元『検証 朝鮮戦争』

2014-12-07 00:35:06 | 反共左翼
-‐追記-‐

筆者はこの「プレ」書評を書いた時点では白氏の著作を手に入れていない。
近々、古本が届くはずなので、その後、気合いを入れて一気読みして、
改めて本格的な記事を書くつもりだが、今回は朝鮮新報の白氏の投稿記事と
和田春樹氏の『これだけは知っておきたい 日本と朝鮮の100年史』を参考に、
朝鮮戦争をめぐる言説について文句を書いている。

‐‐追記終わり--


言論で見られる右翼の特徴として「現実無視」がある。

先の安倍の「雇用が増えて賃金も上がった」という戯言もそうだが、
歴史問題にしても、既に史実が実証されているのに証拠がないと言い張っている。


ただ、この「現実無視」というものは、何も右翼に限った話ではなく、
特定の問題に対する左翼の姿勢にも通じるものじゃないかと思う。


福岡弁護士会の書評コーナー
「検証 朝鮮戦争」
http://www.fben.jp/bookcolumn/2014/03/post_3908.html

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この本は1950年6月25日、韓国軍が攻撃を開始し北進したのが
朝鮮戦争の始まりだとしています。明らかに歴史的事実に反します。

ただ、そのことを除けば、朝鮮戦争の前夜の状況を詳しく紹介していて、なるほどと思わせます。

~中略~

北朝鮮の金正恩の暴走は心配ですが、日本人も考えるべきことは多々あります。
決して他人事(ひとごと)ではありません。

------------------------------------------------------

朝鮮戦争の歴史書として有名なものとして次のものが挙げられる。

・ブルース・カミングス『朝鮮戦争の起源』

・ギャバン・マコーマック『侵略の舞台裏』

・和田春樹氏の『朝鮮戦争』


前者2冊はアメリカの戦争責任にも言及した良書なのだが、
冷戦時代に書かれた本ということもあり、古い情報をもとに書かれている。



冷戦が終結し、ほぼ全ての左翼が転向し、反共主義に陥ったのだが、
カミングスとマコーマックも例にもれず、その後の著作では
「最初の勢いはどこへやら」と思わざるを得ない論を展開している。

--追記-‐

昨日、大型書店へ行き、カミングスの最新作を買ってきたが、
今までのカミングスへの評価は改めなければならないと思った。

非常に面白く、読み応えがある。

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恐らく、福岡在住であろうレビュアーの方は
きちんと先行研究を読んだ上で、同書を読んでいるのだと思う。


だが、『明らかに反する』というと、やや疑問が残る。


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戦争勃発を伝える情報として重要なのは現地駐在大使の報告である。

南朝鮮駐在米国大使ムチオの1950年6月25日早朝の開戦に関する緊急第一報は、
「その一部が確認されているところの韓国軍報告によれば、
北朝鮮軍が今朝韓国に侵入した」というものであった。

すなわち、開戦情報は南朝鮮軍によるもので、
米国軍事顧問団も米国大使館も事態を確認したものではない。

そもそも「韓国軍の報告」自体がどの程度信頼できるものなのか問題であるが、
それすらも「一部の確認」といった極めて曖昧な内容になっている。

米国政府はこのような不確かな情報を確認する措置を何一つ取らず、
まるで待っていたかのように直ちに戦争介入の行動を取った。

ムチオの開戦第一報が国務省に届くのは、
米国東部標準時間で6月24日午後9時30分であるが、
大統領の指示で国連米国代理代表グロスが
国連事務総長トルクブ・リを訪ねるのは翌25日の早暁3時である。


草木も眠る丑三つ時という異常な時刻に事務総長を
叩き起こしたグロスは「米国の緊急要請」だとして安保理事会の招集を性急に要求した。

安保理は即刻招集され、6月25日には常任理事国のソ連の参加なしに
国連憲章に違反した不法な「北朝鮮侵略者」決議が採択された。


安保理には紛争を平和的に解決するために、
当事者双方を国連に招請して事情を聞く規定がある。

安保理は当然、朝鮮民主主義人民共和国の代表を
招請しその言い分を聞くべきである。しかし米国の反対で、
6月25日の安保理には南側代表だけが呼ばれて北側非難の演説をし、
北側代表は参加させない不公平が公然と行われた。

http://chosonsinbo.com/jp/2012/07/0705mh-3/

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和田春樹氏はスターリンとキム・イルソンとの電報を通して、
スターリンが開戦を許可したので戦争を起こしたと主張している。

確かに資料ではそうなっているので、キム・イルソンが
どのみち、北朝鮮が開戦に向けて準備していたのは確実だと思う。


だが、和田氏は肝心の開戦時の状況の検討が疎かになっていて、
「キム・イルソンがヤル気だったから、攻撃を仕掛けたのは北朝鮮なのだ」
というちょっと雑じゃないかなと思わせる内容になっている。


もちろん、これが今の朝鮮戦争研究の最先端だと言われれば、
「はい、そうですか」と言わざるを得ないのだが、白宋元氏が
述べるように、開戦情報は南朝鮮軍によるものであり、
また異常とも云えるほどの迅速な対応、そして安保理の原則を
破った『北朝鮮侵略説決議』(第一報の翌日に採択された)を知る限り、
最低でも今か今かと米韓が準備して待っていたのは確実だろうし、
ベトナム戦争やイラク戦争のようにアメリカは歴史的に
事件を捏造して開戦する傾向があるので、まだ決定事項と
まではいかないのではと思う。


そういうわけなので、「明らかな間違い」というよりは、
正確には「そういう説もある」程度のものだと思われる。


私としては、和田氏があの悪名高いアジア女性基金の主導者だったこと、
そして白氏が述べたような記述を自著で省略しているあたりから、
どうもこの人は政治的な理由で事実を取捨選択して記述するような気がして、
あくまで同氏の主張は「説の一つ」であり、まだ不確定事項だと思っている。


まぁ、どちらが先かというよりも、この戦争にはベトナム以前からの
アメリカ侵略主義の特徴がよく表れていることが重要で、その点の
指摘が足りないのが、一応アメリカ研究者の自分としては釈然としない。

(ナチス・ドイツによるヨーロッパ侵略の前哨戦であるスペイン戦争を
 スターリン叩きにしか意義を見出さないことにも通じる。

 特に、戦争中、英仏が共に事実上、ナチスを応援したのは、
 戦後の両国の植民地戦争を考えるに非常に重要だと思うのだが)


また、レビュアーの「北朝鮮の金正恩の暴走は心配」という記述も、
近年の北朝鮮の外交スタイルについて無知であることを伺わせる。


端的にいえば、近年の北朝鮮の外交は多極外交であり、
なるべく多くの国と友好関係を結び、経済発展を目指すというものだ。

特に、このレビュアーが書評を書いた今年の春は、
むしろ暴走していたのはアメリカと韓国のほうで、
北朝鮮は逆に対話を促していたのである。

ちなみに、日朝対談が成立したのも、この北朝鮮の軟化が大きな原因になっている。

つぶさに見れば、北朝鮮がジョンウン政権になってから、
スマートというか、前とは違う国づくりをしているのはよくわかるはずなのだが、
いつまで経っても90年代の北朝鮮、つまり国家としてボロボロだった時期を
基準にして語っている。これは非常に問題のある姿勢だと思う。


今の北朝鮮が武力でなく経済力に重きを置いていることは
誰でもわかるはずなのだが、反共左翼は気付かない。

これもまた、反共主義の弊害の一つなのではと思う。

反共左翼の慰安婦論を斬る

2014-11-20 21:16:14 | 反共左翼
前記事で述べたように『共産党、最近おかしくないですか?」というサイトがある。

サイト主のエガリテ氏は元党員だったらしく、略歴の個所ではこう書いている。


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学生時代からの共産党員。就職後も含めて活動暦は10数年ぐらい。
最近まで共産党の支持者であったが今回の一せい地方選挙での
共産党の政策に疑問を持って15通の「意見書」を送付 。

全く無視されたことで共産党の本質が判ったような気がして、このサイトを立ち上げた。


共産党に欠けているのは、現代社会における民主主義の成熟に取り残され、
開かれた国民政党に脱皮できていないことだ。

このサイトで、国民政党としての共産党のあり方を問い続けたい。

http://egalite65.com/99_blank045.html
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共産党を憎む元党員って、ほぼこのパターンだ。

個人的ないざこざを誇張して、党そのものに問題があると攻撃する。

では、まともなことを言っているかといえば、
むしろ除名されても仕方ないほど右翼的な言説を述べている


ある意味、彼らのおかげで私は共産党を信頼しているようなものだ(笑)


もちろん私にも、外交問題などで共産党と相反する考えを持っている。
特にウクライナ問題にかけては、厳しく追及している。

だが、それを理由に党そのものの壊滅を願ったりはしない。

反対政党が共産党しか存在せず、また、雇用安定・社会福祉拡充という
最も力を入れるべき改革に関する同党の主張内容に同意できるからだ。



そんなエガリテ氏だが、慰安婦については思いっきり勘違いした主張をしている。


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蚊帳の外におかれ、ほっかむりする共産党(従軍慰安婦問題)

吉田清治証言を真実と捉え、それを元にした記事を書いた朝日新聞は、
他のマスコミから集中砲火に会い、ついに社長が記者会見してお詫びするまで追い込まれた。
(9月11日)

これに対して、同じように吉田清治証言を取り上げ、
従軍慰安婦問題を報道してきた赤旗は沈黙を守っている。

朝日は攻撃されているが、赤旗は攻撃されていないのだから
(誰も相手にしてくれない)、ここはほっかむりして逃げ切ろうという戦術に見える。

http://egalite65.com/99_blank183.html
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結論から述べると、共産党は慰安婦問題について沈黙していない。

前衛10月号で既に笠井亮氏が小論文を投稿している。



前衛は2カ月前には、10月号の場合、8月末には既に書店に売られている。

エガリテ氏が
単に前衛を買って読んでいないだけなのだ。



その証拠に、こういう文章が見られる。

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「共産党」は「従軍慰安婦」とは呼ばず、
日本軍「慰安婦」あるいは「慰安婦」と呼んでいる。

 まず最初にお断りしておかなければならないことは、
共産党は基本的に「従軍慰安婦」という言葉を使っていない。

日本軍「慰安婦」あるいは「慰安婦」という言葉を使っている。
この「志位論文」の見出しも「日本軍『慰安婦』問題の真実」である。

例えばこの問題の第一人者吉見義明氏の岩波新書の題名は「従軍慰安婦」である。

なぜ共産党は「従軍慰安婦」という言葉を使わないのか、
この点については良くわからないが、「慰安婦」とは何かの定義に関連していると思われる。


http://egalite65.com/99_blank182.html

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笠井氏は慰安婦問題については、カッコ付きで「慰安婦」と呼ばれていたが、
国際社会では「性奴隷」と呼ばれていると述べている。


その通りで、国際社会ではSex Slaveあるいは日本軍「慰安婦」と呼ばれている。
笠井氏は、あくまで国際社会での呼称をそのまま採用したにすぎない。


韓国では、いわゆる慰安婦をどう呼ぶかで論争があった。
従軍記者や従軍看護婦のように本人の意思で参加したかのような
ニュアンスがする「従軍」は望ましくないと言われた。

同時に「慰安婦」という言葉も男性視点のものであり、
実態を捉えたものではないと激しく批判された。

そうした議論を重ねた後で、便宜的に日本軍「慰安婦」
あるいは性奴隷と呼ぶことが一般化されたのである。


つまり、エガリテ氏は慰安婦問題について無知だとここで告白している


もちろん、ここまで詳しい事情を一般市民が知る必要はないと思う。
だが、朴裕河を賛美するのなら話は別だ。


朴氏は元日本軍「慰安婦」9人に名誉毀損で告訴された人物で、
慰安婦問題に熟知している人間なら誰しも反対しているアジア女性基金の賛同者である。


同氏の著作、『帝国の慰安婦』は、かなり問題のある本で、
同書の主張を列挙すると、次のようになる。

(1)朝鮮人・台湾人「慰安婦」は中国やインドネシアなど占領地の「慰安婦」とは異なる

(2)朝鮮人慰安婦と日本軍の関係が基本的には同志的な関係だった


この点については次のサイトで批判がされている。

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朴の挙げる証言は、いずれも日本軍兵士や日本人業者が語った、
日本人「慰安婦」についての証言であり、そもそも朝鮮人「慰安婦」は全く登場しない。

兵士や業者という「利用者」「管理者」の視線からなされたことを
踏まえた史料の検証をおこなわずに、これらを日本人「慰安婦」の実態、
しかも「意識」を示す証言として用いることは問題であろう。

この日本人「慰安婦」の発言自体、一般化しうるものなのかも確かではない。

しかも、それをただちに「帝国の慰安婦」であったから
「基本的な関係は同じ」として、朝鮮人「慰安婦」に
あてはめるに至っては完くの飛躍というほかない。


(中略)


日本軍と「同志的な関係」にあった、「同志意識があった」という表現は
証言や小説には登場しない朴の言葉であり、解釈である。

言うまでもないことだが、ある個人が日本兵の思い出を語ることと、
「朝鮮人慰安婦」と日本軍が「同志的な関係」にあったという解釈の間には、
はるか遠い距離がある。証言の固有性があまりに軽視されているのだ。

http://kscykscy.exblog.jp/22813455/

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言うまでもなく、朴氏の主張は、現在、日本政府と闘っている
日本軍「慰安婦」達の運動を無視することで成り立っている。




同氏を絶賛するエガリテ氏も同様の姿勢で、
現在進行形で闘争している被害者のことなど見えていないかのようだ。


加えて、エガリテ氏は吉田証言を異常に重要視している。

「韓国民が、従軍慰安婦が20万人という認識も、
 強制連行(ひとさらい)と思っているのも、すべての根源は吉田証言にある。」
 と述べているが、これは違う。


以下は慰安婦を専門とした資料館のサイトの説明文。

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海外にいた日本軍人の数は太平洋戦争中は200から300数十万人です。

軍人数十人に「慰安婦」が一人の割合で配分されたようですが、
何年も「慰安婦」にされていた女性もいれば、
比較的短期間で入れ替わっている場合もあります。

日本や朝鮮から連れて行かれた場合は、帰国するチャンスがほとんどなかったので、
病気などで死亡したり捨てられたりしないかぎり
比較的長い間「慰安婦」にさせられていますが、現地女性の場合、かなり短期間です。

仮に軍人300万人として、100人に1人の「慰安婦」がいて、
太平洋戦争中の交代が1.5(半分入れ替わる)と仮定すると4.5万人になります。

これはかなり少なすぎる見積もりです。

軍人30人に1人として、交代を2(全員が一度入れ替わる)とすると20万人となります。

30人に1人はかなり多めの見積もりです。

こうした推計から数万人から20万人の間ではなかったかという推定が可能です。

http://wam-peace.org/ianfu-mondai/qa/#q05
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また、エガリテ氏は強制連行を「人さらい」と勝手に断定した上で、
韓国ではそういうことはなかったと主張している。だが、これも間違いだ。



研究者間では、動員を指して強制性と呼んでいる。
もちろん、慰安婦になってこいとは言わない。

どこそこの工場で働けと言われて現地へ向かうわけである。
その後、工場ではなく、慰安所へ送られたケースは多々ある。


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<朝鮮や台湾から集める場合>


よくみられるのは、

(1)中国などの戦場に派遣された現地軍が、
その指揮下の各部隊に慰安所をつくるようにと指令を出す
→現地軍が選んだ民間の業者が朝鮮、台湾に送られる
業者がそれぞれの地域の警察や憲兵の協力をえて集める、というケースです。



~(中略)~


朝鮮総督府が女性集めに関与した例としては、次の関東軍司令部の証言があります。


1941年7月から行われた関東軍特種演習は、対ソ連戦準備のための
日本陸軍始まって以来の大規模な兵力動員でしたが、
ここに朝鮮人「慰安婦」が大量に動員されました。


これを企画した関東軍司令部参謀の原善四郎は
「必要慰安婦の数は二万人”とはじきだし」、朝鮮総督府総務局に行き依頼しましたが、
「実際に集まったのは八千人ぐらい」と述べています。

原の部下で実務を担当した村上貞夫は「三千人位」と証言しています。

いずれにせよ大量の朝鮮人女性が、
関東軍の指示と朝鮮総督府のルートという
行政的な強制力によって、「慰安婦」として
中国東北に動員されたことになります。


台湾でも台湾総督府が女性集めに関わったことが公文書で明らかになっています。


~(中略)~
また、暴力的な拉致がなかったわけではありません。


朴玉仙さんの証言では、日本人男性2人に捕まえられ中国と
旧ソ連の国境地帯・穆稜の慰安所に送り込まれました。

それ以外には、女子勤労挺身隊として日本の不二越(富山県)に入れられたが
逃亡して日本軍に捕まり「慰安婦」にさせられた姜徳景さん、
飲み屋に売られた時に朝鮮人男性二名に捕まり中国の延吉にある
航空部隊の東飛行場に連れて行かれた李玉善さんなどのケースがあります。

また、植民地台湾や朝鮮には日本が公娼制度を持ち込んでいたので、
その下で売春をした女性から「慰安婦」になったケースも推測されます。

http://wam-peace.org/ianfu-mondai/qa/#q05

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同氏は吉田証言がクマラスワミ報告書の内容を決定づけたように主張する。


------------------------------------------------------------------
さらに見逃せないのは、国連で1996年1月から2月にかけて
国連人権委員会に報告された「女性への暴力特別報告」
クマラスワミ報告(クマラスワミほうこく)で吉田証言を
引用した日本政府に対する勧告文が決議されている。

さらに2007年のアメリカ合衆国下院決議案」(アメリカ合衆国下院121号決議)
「慰安婦に対する日本政府の謝罪を求める「従軍慰安婦問題の対日謝罪要求決議」とも言われる。

これらの決議は国連決議がもとになっており、そこには吉田証言がやはり根底にある。

http://egalite65.com/99_blank184.html

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http://space.geocities.jp/japanwarres/center/library/cwara.HTM

しかし、↑のサイトで全訳されている報告書で吉田証言が占める箇所は
微々たるもので、しかも信ぴょう性はあまりないことが併記されている。

強制連行の決め手となったのは、慰安婦の証言である。


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一層おおくの女性が必要になった場合には、
日本軍は暴力やむきだしの武力、狩り出しに訴えた。

そのうちには娘の誘拐を阻止しようとした家族の殺害が含まれていた。

国家総動員法が強化されたことで、これらの手段をとることは容易になった。

この法律は1938年に公布されたが、
1942年までは朝鮮人の強制徴集に適用されなかった。

おおくの軍「慰安婦」たちの証言は、
徴集に際して広範に暴力と強制が用いられたことを証明している。


さらに戦時中におこなわれた狩り出しの実行者であった吉田清治は、
著書のなかで、国家総動員法の一部として労務報国会のもとで自ら奴隷狩に加わり、
その他の朝鮮人とともに1000人もの女性たちを「慰安婦」任務のために獲得したと告白している。


~(中略)~

40.特別報告者は東京の歴史家、千葉大学の秦郁彦博士が
「慰安婦」問題にかんする幾つかの研究、とくに済州島での
「慰安婦」の状況について書いた吉田清治の著書に反論したことを指摘しておく。

~(中略)~

41.特別報告者はまた東京の歴史家、中央大学の吉見義明教授にも会った。

彼は特別報告者に日本の皇軍の文書のコピーを提供した。

それは朝鮮人「慰安婦」の徴集にたいする命令や規定が日本軍当局により、
あるいは当局が知っていて実行されたことを裏付けるものであった。
吉見教授はまた原文書の詳細な分析を示したが、
それは師団や連隊の後方参謀や副官が派遣軍から指示をうけ、
憲兵を使って占領地の村長や地方の有力者に命じ、
軍事的性奴隷として使役する地域の女性を徴集するのが普通であったとするものであった。

http://space.geocities.jp/japanwarres/center/library/cwara.HTM
---------------------------------------------------------------

つまり、エガリテ氏は
あくまでサブの資料である吉田証言を根拠に
メインの慰安婦の証言を全否定しているのである。


加えて、吉田氏が見せたように、慰安婦の収集方法は
動員であり、それは拒否権のないものであったことを無視している。


氏にとって、人さらい以外は強制連行ではないことになっているので、
慰安婦に対する被害者や共産党の言葉は虚構に映るのだ。


慰安婦の故キム・ハクスン女史をキム・ハンスクと誤記するあたり、
どうも彼にとって慰安婦問題は共産党バッシングのネタでしかないのではないか?



極めつけは彼の結論部のコメントだ。


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共産党の今回の主張は、河野談話を守ることを最優先させながらも、
未だに20万人の従軍慰安婦や、強制連行(ひとさらい)あるいは
「ナチスの蛮行にも準ずべき重大な人権侵害」と叫び、
韓国側に媚を売る姿勢を貫いている

共産党はこれを加害者側の「正義」だと思っていると思われるが、
これは誤った「正義」であり、韓国側の間違ったメッセージを送り、
朴大統領が、韓国民のためになさなければならない軌道修正を遅らせるだけであり、
この共産党の「正義」や「配慮」は、
韓国を1000年の恨みから立ち直れない国家にしてしまう

大切なことは前向きの思考であり
法的に決着すべきことは法的に決着し、
道義的に決着しなければならないことは道義的に決着することである。

http://egalite65.com/99_blank184.html


従軍慰安婦問題を、日本の軍国主義糾弾や、
現在の軍国主義化反対の闘争に利用するためにことさら
この問題を取り上げ闘うのではなく、まず韓国との友好を第一に考え、
慰安婦の方々の訴えをよく聞き、それにあった対応を行い、
この問題の早期決着を図ることが重要である。


「従軍慰安婦」問題を「日本軍の『慰安婦』」とか、
ただ単に「慰安婦」と呼ぶ共産党の姿勢の中に、
「従軍慰安婦」問題を先に挙げたオランダ人に対する
強姦行為などとゴチャ混ぜにし、問題の複雑化を意識的に
図ろうとしているように見える。

http://egalite65.com/99_blank183.html
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当の慰安婦本人が、日本の軍国主義を糾弾していることなど眼中にないようだ。


エガリテ氏のこういう見解は、右翼を喜ばせるだけで、
ナヌムの家で暮らす被害者たちには何の得にもならないばかりか害である。


こういう方が共産党を正すというのは、かなり面白いジョークだ。
仮に共産党が正されたら、それは右傾化した政党に他ならないだろう。

珍妙な中国批判をする反共左翼

2014-11-20 19:10:51 | 反共左翼
「日本共産党、最近おかしくないですか?」というサイトがある。

正直、紹介するまでもないサイトなのだが、
中国批判の論調が色んな意味で凄いので、突っ込みを入れようと思う。


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中国は昨年来、東シナ海で独自の防空識別権を設定し、
南シナ海ではベトナム沖での石油探索作業を強めている。海洋進出の動きを強めている。

これも既存の国際秩序や国際法に挑戦するような行動だ。

習近平中国国家主席はオバマ米大統領に「新型大国関係」の構築を提唱している。
対等な大国として渡り合いたいという自尊心も背景にあるのだろう。

しかし、派遣を争うような姿勢は「新型」とはほど遠い。
米中だけで世界を仕切ろうとするG2論が通用しないことも自覚すべきだ。と書いている。

これこそが「米中首脳会談のキモ」である。

習近平主席は「二大国関係」という言葉を共同記者会見で9回も連呼した。

中国の狙いは、「太平洋は中米両国の発展を収められるほど大きい」などと発言して、
この地域の利権を中国と米国で分け合おうと呼びかけている。



(中略)

この中国の「あたらしいタイプの大国関係」に反対することは重要であり、
共産党は、尖閣列島は日本のものだと声を上げているが、
それよりも重大なのはこの中国とアメリカで太平洋を分割統治していくことが
現実の問題となれば、尖閣列島などは完全に中国の支配下に置かれる。

反対すべきは、「二大国関係」という中国の国家戦略である。
米中首脳会談ではこれが中心的論議となり、
中国はアメリカにこれを認めさせようと必死にしがみついている。

アメリカは今のところそれを認めていないが、
今後中国がさらに台頭すれば、アメリカもこれを受け入れるかも知れない

http://egalite65.com/99_blank186.html
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これまでの記事でも述べたが、中国は現在、アジア諸国との対話を密にし、
東アジア一帯に一つのNATOに対抗する政治経済圏を確立しようとしている。

そのさい、強力なパートナーとして想定しているのはロシアであり、
米国ではない。つまり、アジアをアメリカと分割統治する意図はない。

あくまで、中米は互いに仮想敵国なのである。
今回の対談は、その緊張の緩和を目的としたものでもあった。


次の記事をご覧いただきたい。

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両訪問、両会談で、中国側は
「太平洋には中米両国を収めるに十分な広さがある」と繰り返し強調。

米側は「平和で、繁栄、安定し、国際的にさらに大きな役割を
発揮する中国を歓迎し、支持する」と繰り返し強調した。

双方が相手国に対して
このような姿勢を繰り返し表明したのは、
互いの戦略への疑念や懸念を減らすためだ。


中米両大国間には「信頼赤字」が存在するとよく言われる。



近年両国のパワーバランスが変化していることから、
双方は相手国の戦略の意図に対して高度に敏感になり、
自国は十分に合理的だと思う行為でも、相手国からは「居丈高」なもので、
自国に対する牽制、排斥だと受け止められてきた。


中国側が提唱した新型の大国関係の構築という考えに対してすらも、
米側はためらいを見せた。中米首脳会談がこれほど多くの合意と成果を上げられたことで、
両国間に基本的相互信頼があることがはっきりと示された。

だが、互いの戦略に対する疑念の解消にはほど遠い。

http://j.people.com.cn/n/2014/1114/c94474-8809177.html
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この中米会談では、具体的に以下の合意がされた。


1・ビザ発給要件の相互緩和(人材の交流)

2・BIT交渉の加速(投資の活性化)

3・気候変動声明の発表(環境対策)

4・逃亡犯逮捕・不法取得資産没収協力を展開(犯罪対策)



要するに、両国間での経済・環境問題・犯罪への協力体制を宣言したのである

どこをどう読めば、アジアを米中で支配しようとする宣言になるのだろうか?
確かに外交問題にも言及しているが、それはチベットや台湾に対する双方の
見解の違いを認め合いましょうといったもので、尖閣などは話にすら挙がっていない。


この共産党の批判者、中国を危険視した挙句、次のようにコメントしている。

「「大国」とは何かその定義はむつかしいが、少なくとも大国は
  世界の模範となるような国家作りを行う必要がある。
  
  小笠原諸島に見られる200隻を超える中国漁船の赤珊瑚を狙った
  違法操業を阻止できないような国は大国と呼ぶことはできない。
  
  大国には模範となる物がなければならない。

  一党独裁で言論の自由もなく、民主主義が定着していない。
  国の富の多くを共産党の幹部が不当に詐取するような国には、大国という称号には値しない」

右翼サイトの記事でもコピペしたのだろうか?


中国は確かに過度な近代化で格差が拡大しているが、
その場合、不当に搾取しているのは新興財閥であって、党ではない。


また、中国にも選挙制度は存在し、それを否定して
実力行使に走ったのが「雨傘革命」であり、ウィグル地区でのテロだった。
民主主義を否定して、暴力に依存しているのはどちらなのやら。


13億の人口を抱えているこの国では、当然ながら外交や経済政策に対する論争もある。
それは向こうの人間が書いた本の翻訳書を読むとよくわかる。

『さぁ、資本論を読んでみよう』や『中国外交の新思考』などを読めばわかる。


日本で天皇批判や北朝鮮バッシング、領土問題への批判がタブー視されているように、
中国にも批判できないことがある。だが、それをもって欧米より劣っているとは言えない。


ちなみに、アメリカとカナダ、オーストラリアは
中国の汚職官僚の逃亡先として筆頭に挙がる国であり、
今回の会談は中国の政治改革のためにも必要なものだった。


氏が批判している中国国内の汚職について、
すでに改革の動きは見えているのだ。それが失敗するかどうかは別として、
停滞社会のように決めつけて、国内における変化を無視すべきではない。

香港の占拠事件(雨傘革命)について

2014-11-10 23:24:31 | 反共左翼
加藤哲郎氏は政治学者としての職業的責務は十分果たしている方だと思う。
実際、彼のホームページを読むと遊ぶ暇なく研究に勤しんでいること、
世界中を飛び回って他の学者と交流し、知見を深めていることは明瞭だ。


だが、政治学者としての社会的責務を考えると、
これはむしろ害悪の部類であって、彼のような人間が逆に
好意的に受け入れられているあたりに、日本の社会運動の致命的な欠陥が伺える。




世界史的観点から見れば、ユーラシアは常にヨーロッパにとって異境であり、
アフリカと同様に侵略と収奪の対象となってきた。中国も例外ではない。


重要なのは、この帝国・植民地主義が現在も維持されているということ、
ロシアと中国のような大国に対しての列強からの圧力は未だにあることだ。



その典型例として、ウクライナ問題と香港の「民主化」運動が挙げられる。


------------------------------------------------------------
香港の不法な「セントラル(中環)占拠」を米国メディアは注視し、
米国の一部勢力は「セントラル占拠」を必死に煽り立ててもいる。


外国メディアの報道によると、早くも数か月前には
全米民主主義基金(NED)幹部が「セントラル占拠」の重要人物と会い、
「セントラル占拠」について話し合った。

この幹部とは、アジアおよび西アジア・北アフリカ地域問題担当のルイザ・グリーブ副会長だ。
彼女と「チベット独立」「東トルキスタン」「民主化運動」勢力との結びつきに関する報道は、
長年よく見られ、近年も「アラブの春」や他の地域の「色の革命」関連のシンポジウムなどを
主催したり、これに参加したりしている。

もちろん米国は、他の反中勢力を操っていることを認めないのと同様、
「セントラル占拠」を操っていることも認めない。

彼らは「民主主義、自由、人権」といった価値観を用いて、自らの行動の正当性を主張する。


http://j.people.com.cn/n/2014/1010/c94474-8792813.html

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要するに、香港の占拠は何カ月も前に、
アメリカの人権団体の幹部が現地の市民団体と共同して計画したものだった。


もちろん、その内容が確かなものであれば、別に非難されるものでもない。
欧米、日本と同様、中国もまた完全な民主社会には到達していないのだから。


だが、この運動は実際には中国を欧米化させようとする試みであり、
その改革者たちの言葉を聞く限り、かなり問題があるものだと思われる。


-----------------------------------------------------
"香港の民主主義がなぜ重要なのか"と題する対話は一時間にわたり、
NEDの地域副理事長ルイサ・グレーブと共に、指導部の二人は、
"オキュパイ・セントラル"運動の性格、狙い、要求と論点を皆説明した。

特にイギリス支配の下で元特別行政区政務司司長だったアンソン・チャンは、
完璧なイギリス・アクセントで、問題は、中国が1990年代末、香港引き渡しの際、
イギリスと結んだ"協定"を明らかに撤回しつつあることだと繰り返し主張した。


リーは、聴衆メンバーと共に、
香港の役割は中国本土、香港の欧米スタイルの機構、
法律と権益で染まらせることだ
と繰り返し述べた。


リーはまた特にワシントンに、香港におけるアメリカ権益の擁護に、
必ず全力で取り組み続ける
よう繰り返し訴えている。

~中略~

自治と自決を求め、北京の介入を非難する民主化運動が
外国権益から資金供給され、計画自体、外国資本によって
作られているというのは全く度し難い意図的なごまかしだ。




民主主義というものは、実際、自治と自決を想定している。


もしアメリカ国務省が、"オキュパイ・セントラル"の背後にいる政治家や
抗議行動指導者と共謀し、資金援助し、支配しているのであれば、
香港の人々は、何も統治せず、決定していない。


ワシントンとウオール街がそうしているのだ。
マーティン・リーと協力者のアンソン・チャンは、
北京が香港で政策を押しつけていると文句を言いながら、
香港統治を指示する外国権益代表だらけの部屋に、二人して座っているのだ。

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-87d2.html
(「自決~ごまかしだ」の部分は、読みやすいように意味が変わらない程度に修正した)
------------------------------------------------------------------


アメリカとイギリスの権益を第一とする運動。

これが香港で行われた民主主義だった。




もともと、香港は1997年にようやくイギリスから返還された都市であり、
イギリスのスコットランドのように武力によって併合させられた土地ではない。

(ちなみに、イギリスはアイルランド・スコットランドの独立には猛反対している)

欧米式のスタイルと言えば聞こえが良いが、要するに
植民地時代の外国勢の政治的経済的利権を取り戻すために、
中国政府からパワーを奪うのが今回の運動の目的だったと言えよう。


そういう意味では、再占領化とか再植民地という言葉がしっくりくる。


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米側がどう否定しようとも、「セントラル占拠」問題に対する
米国の政府、NGO、メディアの処理手法および介入の程度は、
独立国家共同体、中東、北アフリカなどで近年起きた様々な
「色の革命」の背後にある米国の影を容易に連想させる。


米国は一部の国の「色の革命」を後押しすることに、疲れ知らずで熱中していると言える。
米国が「色の革命」を支持するのは、表面的には「民主主義、自由、人権」という
「普遍的価値」の実行であり、確かに少なからぬ米国人やNGOは
「生きとし生けるものを救う」「天賦の使命」が自らにあると厚く信じている。


だが「色の革命」の結末をよく見さえすれば、
本質的に米国は自らの戦略的利益に着眼し、これを利用して
好きでない、言うことを聞かない政権を転覆させてきたことに気づく。



米側の論理を用いて言うなら、「民主主義」的な国や政権は米国の利益に合致するのだ。


米国の中東全体の「民主化」計画は成功しておらず、
「アラブの春」にいたっては「アラブの冬」へと変わり、
ウクライナの「街頭政治」は国家の分裂と流血の衝突へと転じた。


こうした国々が経験したのは真の民主主義ではなく、動揺だ。

だが米国はこうした教訓を前に、見て見ぬふりをしている。

http://j.people.com.cn/n/2014/1010/c94474-8792813-2.html
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アメリカに限らず、侵略国が他の地方を支配するには、
まず現地の有力者を懐柔するところから始まる。



その後、民主化運動と称して、彼らを支援・誘導し、権力を収めさせた後、
自分たちに利益を流すよう取り計らってもらう。ある意味ウィンウィンの関係だ。


こういう面のほかに、 復旦大学の張維教授は

「『セントラル占拠』は香港に対する悪影響が次第に顕在化しており、
  香港の法治を損なっているし、香港の発展の助けにもならない」と指摘している。


実際、香港は現状でも強力な自治権を与えられていて、
その政治も法に則って行われている。法治主義が民主主義と考えれば、
今回のような無理矢理に自分たちの意見を通らせようとする運動は
全く民主的ではないし、ベクトルこそ違えど本質的にはテロと同じだ。


(実際、アメリカはアフガンやニカラグアなどで、
 現地のゲリラを支援・訓練してきた経緯がある)


さて、ここまで詳細にこの事件について考察を練ってきたが、
ここで加藤名誉教授のホームページを読んでみると、今回の占拠を
民主主義のほころびとしてみるのではなく、逆に肯定的に捉えているのがわかる。



----------------------------------------------------
そんな世界の中での、一抹の希望。スコットランド独立をめぐって、
過半数までは届かなかったが自決・自治の力を世界に示した、
イギリスでの住民投票の経験、そして、いま眼前で進む、
普通・平等・自由選挙への、香港市民の願いと運動。

前者は、スペインでのカタルーニャやバスクの住民投票へと飛び火し、
後者は、かつて四半世紀前の天安門前広場を想起させる、
「アンブレラ・レボルーション(雨傘革命)」へと展開しています。

福島や沖縄の人々は、身につまらせる思いで、注目していることでしょう。

自分たちの問題を自分たちで決めること、自分たちの代表は自分たちで選ぶこと。
これが、民主主義の原点です。

(2014年10月1日 http://members.jcom.home.ne.jp/katote/Living.html)

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もちろん、同氏は非常に多忙な方なので、
ろくに調べもしないで印象論でこう語ったのも仕方ないとは思う。


だが、「政治学」という最もこの種の政治的な運動に対して
批判の目を向け、その隠された問題点を暴露しなければならない
であろう学問のエキスパートが、自らが権威ある存在であることを
自覚せず(あるいは自覚して)、いい加減な言葉を述べるべきではない。


私がこうまで加藤教授を厳しく批判するのも、
実際に彼が政治学者として、数々の運動に参加し、その中で
共産党は原発推進派だとか、随分と意図的な虚偽を語っているからだ。
学者としては優秀だが、運動家としては、もはや詐欺師同然だろう。



戦後左翼の大きな問題として、反共主義が呪縛になっていることが挙げられる。
(裏返せば、西欧の価値観(特に民主主義)への異常な信頼とも言える)

北朝鮮や中国を欧米の視点からブッ叩く。
その結果、実は欧米の冷戦時以前からのお得意芸、
現地の人間を懐柔して、自らの利益を達成させる駒を作り、間接的に支配する
という決して見逃してはいけない行為に気付かないでしまう。


結果的に見れば、欧米の侵略を支持している。

忘れてもらっては困るのだが、日本が右傾化しているのは
右翼だけでなく、この手の無自覚な左翼の加担のせいでもある。



日本が右傾化から脱するには、反ヘイトスピーチだけでなく、
現在の左翼の劣化した理性に対してももの申していかなければならないだろう。