独特の見解で生物多様性について語る福岡氏は生き物の関係についても非常に独特(悪く言えば過去の遺物)な見方をします。たとえば新聞記事でこのようなことを言っています。
>福岡:私は子供のころから昆虫が好きで、チョウを自分の手で育てていました。そのころに気づいたことがあります.例えば、アゲハチョウの幼虫は、ミカンやサンショウの葉しか食べません。一方、アゲハチョウにたいへん近い種のキアゲハの幼虫は、パセリやニンジンの葉しか食べません.いずれも、どんなにおなかがすいても、決められた食べ物以外は決して食べないのです。
このように、あらゆる生物は自分が食べる食べ物の種類を厳しく限定しています.これは生物が生存する場所、あるいは発する声の周波数にも当てはまります。ほかの種の領域を侵さないように自分の分際を守る。そして、ほかの種との無益な争いを避ける。それが生物多様性を支える厳格な基本原理です。
ナショナルジオグラフィックでもこのように話しています。
>生物というのは自分の食べ物を非常に限定しています。しかし、栄養素としてみれば、アゲハチョウの幼虫はミカンの葉でないとダメなことは何もないのです。どんな植物であっても食べて消化すれば、たんぱく質、アミノ酸、脂質、そしてビタミンはそれらから摂取できるわけです。しかしアゲハチョウはどんなにお腹が空いていてもキアゲハが食べるパセリを食べない。幼虫はみかんの葉が無ければ餓死して死んでしまいます。
この蝶と食草の関係は福岡氏のお気にいりなようですね。じゃ、この幻想破壊してみよっか。
まず、基本的な事実から述べますと、植物は食べられることを防ぐために葉や根にアルカロイド系などの毒物を持っています。わかりやすい例でいえばトリカブトが代表例ですし、身近なところではジャガイモがソラニンという物質を含んでいます。葉や根を食べられるのは成長や生死にかかわりますから、よほどのメリットでもない限りそういうことは植物としては避けたいわけです。そのために棘や各種毒物で自衛します。
これは蝶と食草の関係についてもあてはまります。植物側は葉を食べられたら生きていけないので葉に毒物を持って葉を食べるやつらを排除しようとします。それに対し食べる側の蝶もその毒物を解毒するような酵素を進化させて対応します。そして植物もさらに防御を多様化、強化して、それに応じて蝶も対抗していって・・・という流れになります。これを「軍拡競争」といいます。この結果、蝶は自分の食草しか食べられないスペシャリストになりました。
このように蝶の場合は特定の解毒に特化したが故に汎用性を持っていません。自分の食草以外のものは植物の毒によって食べられない。無理に食べたら最悪死にます。たとえ死ななくても成長が阻害されたりしますので、同種内での競争に勝って子孫を残すのに不利です。
福岡氏の場合は栄養だけに着目して植物の防御戦略についてまったく考察していません。だから、ああいう分を守っているとか素人丸出しのことが言えるわけです。進化は慈善事業じゃないですよ?
追記2/20 ここではあたかも目的を持って進化したかのように書いていますが、実際の進化は無目的で計画性のないものです。
>福岡:私は子供のころから昆虫が好きで、チョウを自分の手で育てていました。そのころに気づいたことがあります.例えば、アゲハチョウの幼虫は、ミカンやサンショウの葉しか食べません。一方、アゲハチョウにたいへん近い種のキアゲハの幼虫は、パセリやニンジンの葉しか食べません.いずれも、どんなにおなかがすいても、決められた食べ物以外は決して食べないのです。
このように、あらゆる生物は自分が食べる食べ物の種類を厳しく限定しています.これは生物が生存する場所、あるいは発する声の周波数にも当てはまります。ほかの種の領域を侵さないように自分の分際を守る。そして、ほかの種との無益な争いを避ける。それが生物多様性を支える厳格な基本原理です。
ナショナルジオグラフィックでもこのように話しています。
>生物というのは自分の食べ物を非常に限定しています。しかし、栄養素としてみれば、アゲハチョウの幼虫はミカンの葉でないとダメなことは何もないのです。どんな植物であっても食べて消化すれば、たんぱく質、アミノ酸、脂質、そしてビタミンはそれらから摂取できるわけです。しかしアゲハチョウはどんなにお腹が空いていてもキアゲハが食べるパセリを食べない。幼虫はみかんの葉が無ければ餓死して死んでしまいます。
この蝶と食草の関係は福岡氏のお気にいりなようですね。じゃ、この幻想破壊してみよっか。
まず、基本的な事実から述べますと、植物は食べられることを防ぐために葉や根にアルカロイド系などの毒物を持っています。わかりやすい例でいえばトリカブトが代表例ですし、身近なところではジャガイモがソラニンという物質を含んでいます。葉や根を食べられるのは成長や生死にかかわりますから、よほどのメリットでもない限りそういうことは植物としては避けたいわけです。そのために棘や各種毒物で自衛します。
これは蝶と食草の関係についてもあてはまります。植物側は葉を食べられたら生きていけないので葉に毒物を持って葉を食べるやつらを排除しようとします。それに対し食べる側の蝶もその毒物を解毒するような酵素を進化させて対応します。そして植物もさらに防御を多様化、強化して、それに応じて蝶も対抗していって・・・という流れになります。これを「軍拡競争」といいます。この結果、蝶は自分の食草しか食べられないスペシャリストになりました。
このように蝶の場合は特定の解毒に特化したが故に汎用性を持っていません。自分の食草以外のものは植物の毒によって食べられない。無理に食べたら最悪死にます。たとえ死ななくても成長が阻害されたりしますので、同種内での競争に勝って子孫を残すのに不利です。
福岡氏の場合は栄養だけに着目して植物の防御戦略についてまったく考察していません。だから、ああいう分を守っているとか素人丸出しのことが言えるわけです。進化は慈善事業じゃないですよ?
追記2/20 ここではあたかも目的を持って進化したかのように書いていますが、実際の進化は無目的で計画性のないものです。
再考していただき、ありがとうございました。
また機会がございましたら、よろしくお願いいたします。
まわりの人とも相談しましたが、やはりこのお話は私には荷が勝ちすぎるので辞退させていただきます。お誘いありがとうございました。
メッセージありがとうございます。
私自身、福岡伸一さんは結構好きで、書かれている文章を読んで特に疑問を持ったことはありませんでした。
でも、こちらのブログ記事を読ませていただいて、「ああ、そうか、違っている部分もあるんだ」と知ることができました。
※とても分かりやすく、論理的に説明されていたので、納得できました。
福岡さん批判ということではなく、本当はこうなんだよ、ということを読んでくださった方が知ることは大切なことだと思い、再度依頼させていただきました。
再考していただけるということ、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
もし可能であれば、こちらの記事を元に、修正をしていただいて、ご寄稿いただけませんでしょうか。
ぜひ再度ご検討いただけますよう、お願いいたします。
もし可能でしたら、以下のメールフォームからメッセージをいただけますと、助かります。
http://getnews.jp/mail
よろしくお願いいたします。
返信ありがとうございます。
とても残念ですが、了解いたしました。
また機会がございましたら、よろしくお願いいたします。
私どもは、『ガジェット通信』というウェブ媒体を運営しております。
http://getnews.jp/
こちらの記事を、『ガジェット通信』に寄稿という形で掲載させていただきたいのですがいかがでしょうか。
掲載の際には、導入の文章の追加と、表記統一などのために若干の修正をさせていただく場合がございます。
また、元記事へのリンクは貼らせていただきます。
ご検討をお願いいたします。
ある種の野菜にはある種の虫が群がる理由に合点がいきました。
お名前を間違える不手際をしました。申し訳ありません。
参考文献は「保全生態学入門」です。ここの4章の1を参考にしています。
>それを食べた蝶の幼虫なりが、たまたま毒素に耐性を持ちそれに特化した。という認識でよろしいですか?
だいたいそれであってると思いますよ。
人間の場合は加熱などの調理で対応しているはずですが、それでもトリカブトなどのように対応しきれないものもあります。
全ての植物はなんらかの毒物を持っており、それを食べた蝶の幼虫なりが、たまたま毒素に耐性を持ちそれに特化した。という認識でよろしいですか?
また、どうして人間はさまざまな毒素のある植物を食べられるのでしょうか?