ならなしとり

外来生物問題を主に扱います。ときどきその他のことも。このブログでは基本的に名無しさんは相手にしませんのであしからず。

ジャガイモと進化

2010-02-23 20:08:39 | 進化生物学
 愛知県の小学校でジャガイモにより食中毒が起きました。詳細はここに詳しく書かれています。原因はジャガイモが持つソラニンという物質によるもののようです。
ちょうどよいというのはいささか不謹慎だけど、今回はこれをネタに進化についてひとつ語ってみたいと思います。一応進化のことをよく知らない人向けですが、若干専門用語多めでわかりづらいかもしれません。ご容赦を。わかりにくいところがあったらコメント欄にどうぞ。
 ジャガイモにはソラニンという物質がありますが、この物質は今回の食中毒からもわかるようにジャガイモを食べるものに不快感を与え、外敵に食べられにくくなる働きをしています。では、この形質はどのように発生し広まったのでしょう。べつにジャガイモが食べられたくないから自発的に発達させたわけではありません。
正確に言うとジャガイモの祖先に遺伝子の変化(突然変異)が起こり、それがたまたま外敵に食べられることを防ぐのに有利かつその費用対効果が良かったために同種内で子孫を残すのに有利になり(適応度の上昇)その遺伝子が年月をかけてジャガイモの集団内に固定(集団内のすべての個体が同じ遺伝子を持つ)したために全てのジャガイモがソラニンを持つようになりました。一応これが進化生物学でのジャガイモに毒があるのかという説明です。まぁヒトはそれを克服すべく品種改良などで対応しているわけですが。

……はぁ、疲れた。知らない人向けになるべく正確に書こうとするだけでかなり言葉を選ぶことになろうとは。こういうことを言って怖がらせるつもりはないのですが、進化生物学は理解するのにちょっとハードル高いですね。
正直なところ農学系の大学生でも「赤の女王仮説」を知らなかったりするので。これにしたってホントは血縁淘汰まで持ち出すべきなんだけどこっちに書ききるだけの技量がないので断念しました。一般向けの啓蒙書を多数書いている長谷川先生がどれだけすごいがよくわかりました。

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