ならなしとり

外来生物問題を主に扱います。ときどきその他のことも。このブログでは基本的に名無しさんは相手にしませんのであしからず。

これはおかしいよ熊森協会2 節子それアイディアちゃうネタや

2009-12-31 12:52:50 | 熊森
 熊森批判シリーズ第2回をお送りします。以下は熊森がいかに林業について知らないか端的に示しています。

>「クマはぎを防ぐには、下のほうの枝打ちをしなかったらいいんですよ。こんな簡単な知恵も出さず、全国で林業家が、クマは林業に被害を与えるとして殺している。」元福井県庁の職員だった鋸谷さんにはアイディアがいっぱい。

しょっぱなから無知が飛び出してきてびっくりしました。枝打ちをしなかったら節ができて高値で売れる材木にならないでしょうが。いったいこの人はどこの部署に勤めていたんでしょう。森林関係でないのは確かです。少しでも林業をかじったことがあるならこんな解決策はでてこないですね。まさにアイディアいっぱい。まったく役に立たないものばかりですがw)
熊森さんそれアイディアちゃうネタや。

・・・・・・と、ここまでは12月中旬に仕上がっていました。しかし、当ブログと同じく熊森批判をしている泉ヶ岳さんの調べによると件の元職員は林業関係ではそれなりに有名らしく、山形県のHPでその間伐方法が紹介されています。その作業手順に上記の発言と矛盾する手順があります。

>⑦ 鋸谷式間伐では、「年輪が粗くなるのを防ぐ」ためにも、枝打ちを間伐と同シーズンにセットで実施してください。必須の作業となりますので、注意してください。枝打高は、原則として「枯れ枝」は全部打ち、「生き枝」は樹高の2分の1を目安に枝打をしますが、地上12mを上限とします。(特にヒノキは樹高の2分の1以上高く打つと木が枯れる恐れがあります。スギでも樹高の6割が限度です。)

熊森では下の枝打ちはしないと言い、山形県では枝打ちが必須と言っていますがいったいどちらが本音なのでしょう。熊森か山形県のどちらかが間違えているのか。熊森について言ってしまえば文脈を無視して恣意的に取り上げたという可能性もありますが。
 どうにも熊森にかかわる専門家というのはその経歴が胡散臭い人が多いです。たとえば昆虫と森林生態学を研究している主原憲司氏はサイニィでの検索結果は0、ツキノワグマ研究の第一人者と持ち上げられている宮澤正義氏は10年ほどまえの文献が一つあるのみ、曲がりなりにも研究者といえそうなのは四元忠博氏と門崎允昭氏くらいです。そのうちの一人門崎允昭氏にしても多分に不見識なのは前回指摘したとおりです。在野でも優秀な方はおられますが、それならどうしてあんな現実と乖離したアイディアが出てくるのかわかりません。どうにも熊森の顧問というのは張子の虎感が否めません。次回は彼らの学問的背景である現代生態学について取り上げたいです。

追記12/31
今年一年当ブログを見ていただきありがとうございました。このブログが1週間に2,3回という更新頻度で来れたのは皆様に見ていただいてもらえているというモチベーションがあったからです。来年も当ブログをよろしくお願いします。よいお年を。
追記2
ちなみにはてなではsalmoのid使ってます。どうぞお見知りおきを。

最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お世話になりました (どらねこ)
2009-12-31 14:21:47
本年はお世話になりました。
いつの間にか、はてブを初めていらっしゃったみたいで・・・最初誰か分かりませんでしたから、「この人馴れ馴れしいな」なんて思ってしまいました。

いよいよ熊森シリーズも佳境ですね。お正月ですので、お餅をいっぱい食べて意欲を高めて下さいね。(く、くだらない)
では、来年もどうぞよろしくおねがいします。
返信する
すみません (梨(管理人))
2009-12-31 14:45:55
>いつの間にか、はてブを初めていらっしゃったみたいで・・・最初誰か分かりませんでしたから、「この人馴れ馴れしいな」なんて思ってしまいました

すみません。もっとちゃんと告知しておくべきでした。一応記事は書いておいたんですけどね。
http://blog.goo.ne.jp/micropterusandsalmo/e/a6de0acacd4b36b44fc274851bb4b75e

>いよいよ熊森シリーズも佳境ですね。

いや~終わるのかどうか不安ですよ。なにせ掘れば掘るほどアラが出てくるもので。
返信する
Unknown (どらねこ)
2009-12-31 14:52:34
うわっ、見逃してました。アセアセ
ゴメンなさいです。
返信する
言い忘れてた (梨(管理人))
2009-12-31 14:54:46
今年はみつどんさんやどらねこさんのおかげで少し見識が広がった気がします。来年もよろしくお願いします。
返信する
大変お世話になりました (mt_izumi_1172)
2009-12-31 15:06:30
外来生物には特に疎く、自分の中でも考えが整理できていませんので、とても参考にさせていただきました。

いやあ、枝打ちしなければ良い、というのとは全く正反対の海外文献もあることを紹介した際、
http://blogs.yahoo.co.jp/mt_izumi_1172/51464386.html
「枝打ちされていない木の被害がある」ことがわかりますので、樹種や環境、ツキノワグマかアメリカクロクマかの違いはあれど、この「現場主義者」さんの思い込みは崩壊していますね。

私が知る限り、まっとうな団体や研究者は多いですが、日本熊森協会についてまずほとんど触れていないというのは、何か理由があるわけで、逆に関わっている人を見ると、偏見でも先入観でもなく、???な人だけですね。

門崎允昭さんという方も、それなりに実績はあるようですが、このテの人にありがちな思い込みと井の中の蛙ぶりを感じさせます。

まあ、本来私は他人の主張を批判するのは疲れるので関わらないようにする事なかれ主義ですが、あまりに社会的に悪影響が大きいので、批判してみました。
言い尽した感もあるので、来年はもうちょっと楽しい話題を取り上げるブログにできればいいな、と思うのですが、見逃せない妄言をまた書くんだろうな、あの集団のことですから。。。

来年も、よろしくお願い申し上げます。
返信する
来年もよろしくお願いします (梨(管理人))
2009-12-31 15:27:33
こちらこそ自分とは異なる批判や見解を知ることができて勉強になりました。

>逆に関わっている人を見ると、偏見でも先入観でもなく、???な人だけですね。

熊森のリンクをたどっていったら恐ろしいものを見る羽目になりました。ニセ科学の中でもよく知られた波動です。こちらも記事にします。

>まあ、本来私は他人の主張を批判するのは疲れるので関わらないようにする事なかれ主義ですが、あまりに社会的に悪影響が大きいので、批判してみました。

僕も似たようなものです。熊森がこんなに戯言を言わなければもっと遺伝的多様性についての記事とか書きたいんですけどね。こいつらに関わったせいで書き逃したネタもいくつかあります。
返信する
今年もよろしくお願いします。 (みつどん)
2010-01-02 08:00:44
明けましておめでとうございます。
昨年は、コチラこそ大いに勉強させて頂きました。

さて。私は林業の専門家じゃないですが(木材は準専門家、くらいにはなってないといけないんだけど……)、必要に迫られて間伐と林業に関して調べた事があります。
鋸谷式間伐自体に関しては、評価出来るほどの専門知識を有してませんが、これは人工林、ぶっちゃけると放置林向けの間伐法のようですね。下側の枝を残す「間伐法」でないのは確かです。
枝があると仰るとおり節が出来ますが、それ以前にそもそも真っ直ぐ育ちません。幹も太くなりませんし。
だいたい、密植された人工林で下側の枝を残したりしたら、間伐材等を運び出したり伐採・枝打ち作業に邪魔で仕方ないでしょうに。下生えの育成にも悪影響を与えるような……。曲がりなりにも林業で喰ってた人がそれを知らないはずはないですね。熊森の恣意的引用の疑いが濃いと個人的には思っております。
それと、これは言及先のお話でコチラのエントリーには直接関わりないのですが(ゴメンなさい)、巻枯らしについてはリスクベネフィットの問題かも知れません。現況、日本の林業は間伐するのも一苦労、切り出したところで処分に困るという状況なので、多少危険でもやらないよりかはやった方が良い、とか。
返信する
こちらこそよろしくお願いします (梨(管理人))
2010-01-02 12:48:32
 あけましておめでとうございます。

>これは人工林、ぶっちゃけると放置林向けの間伐法のようですね。下側の枝を残す「間伐法」でないのは確かです

ほうほう、なるほど。

>それと、これは言及先のお話でコチラのエントリーには直接関わりないのですが(ゴメンなさい)、巻枯らしについてはリスクベネフィットの問題かも知れません。現況、日本の林業は間伐するのも一苦労、切り出したところで処分に困るという状況なので、多少危険でもやらないよりかはやった方が良い、とか。

僕も多少は林業について勉強したことはありますが改めて勉強になります。ありがとうございました。
返信する