RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

お菓子好き。F1好き。
美術館行くの大好き。
買い物も大好き。
休日に全力で生きるOLの日記(笑)

メイド・イン・ジャパン南部鉄器 -伝統から現代まで、400年の歴史-

2014-01-31 21:30:00 | 美術
見てきました

パナソニック汐留ミュージアム

会期は2014年1月11日から2014年3月23日。

欲しい欲しい欲しい。
南部鉄器。
欲ーしーいーよぉぉぉぉぉ。

Sadaharu AOKIでお茶すると南部鉄器で出てくるよね。
あれ、自宅でもしたいよぉぉぉぉぉ。

と、南部鉄器に憧れていた私にはたまらない展示が開催です。
チラシの派手なピンク色が目を惹きます。
日本橋三越で売ってるの見たことある!!
こんなに欲しくて、買えない値段じゃないのになぜ買わないんだろう。。
持って帰るの重くて大変だからかな。。笑

さて、現在世間は密かに(!?)南部鉄器ブームです。
きっかけは、フランスやベルギーのハイセンスなティーサロンに、海外輸出用の南部鉄器のカラフルなティーポットが選ばれたこと。
各工房からは新しい感性による作品が次々と誕生。
また、南部鉄器に魅了されたデザイナーからの提案も人気作を生んでいます。
日本を代表するプロダクトデザイナー柳宗理による南部鉄器のキッチンツールなど、そういった人にも注目されていた、ということもきっかけの一つとなるでしょう。

南部鉄器についてですが、現在の岩手県北部を治めていた藩主南部家が、17世紀半ば、街づくりや文化振興に努めるなかで、鋳物師や釜師を京都などから招き、仏具や兵具はもとより茶の湯釜をつくらせたのが興り。
次第に各大名への贈り物として重宝され、特産品となりました。
1975年には国の「伝統的工芸品」の指定も受けています。
伝統を守りながら、新しい可能性を模索し評価される"Made in JAPAN"の南部鉄器。
今回は、選りすぐりの名品が並ぶ展示です。

《第1部 南部鉄器の歴史 その発展と逆境》
南部鉄器の「南部」は盛岡藩主南部氏に由来します。
歴代藩主の庇護のもとに育まれました。
明治時代には第一回内国博覧会(1877年)、米国シカゴ万博博覧会(1893年)など国内外で紹介されるほど。
1930年代にはドイツの建築家ブルーノ・タウトが8代小泉仁左衛門の≪亀甲形鉄瓶≫を著書(『日本文化私観』)のなかで賞賛。
そんな南部鉄器の江戸時代から明治、大正、そして昭和まで、時代を追って展示されています。

四代小泉仁左衛門 清光「老松釜(盛岡市指定有形文化財)」
盛岡・光照寺の寺宝。
松葉の地文に松の実の蓋。
現存する最も古い南部鉄器だそう。
そうはいっても状態もよく、時代を感じさせません。

有坂富右衛門「大瓢釜」
「夕顔釜」ともいうそうです。
撮はくちなしの実のかたちで鐶はひょうたん。
粗い肌で「侘び」といったものがよく出ています。

「月に時鳥文南部形鉄瓶」
表には時鳥。
裏に月。
夏の情景の古典的題材です。
時鳥の顔がちょっと怖いかな。。

「鉉(つかみ立もっこ鉉、袋座付立張鉉、袋座付鉉、つかみ竹鉉、つかみ透鉉、はめ込み袋もっこ鉉)」
鉄瓶の鉉は専門の職人によって作られるそうで、現在は唯一の工房が担っているそうです。
展示されているのは6種類。
それぞれに名前がついていて、竹のようすだったりと様々で素敵です。
こういったものも鉄瓶に風情を与えているんですね。

「牡丹文南部鉄瓶」
全体に牡丹唐草文様がぎっしり。
華やかです。
牡丹は桜に次いで好まれた花。
桜とは少し違った艶やかさがまたいいのかもしれません。

藤田源蔵 孝保「鏡肌富士形鉄瓶」
展示されているものの中でも目立ちます。
これだけ表面がつるつるなのです。
だから「鏡肌」
形も富士山の形です。
「磨き鉄瓶」というのだそう。

藤田萬蔵 孝保「波に鯉文富士形鉄瓶」
ここまでの展示で、全ての鉄瓶が注ぎ口が右に展示されていました。
右利きの人が鉉を右手で持った時、注ぎ口が左に向きます。
その際、対面にいるお客様に対する側が表なのだそうです。
ので、表を展示するときは右に注ぎ口がくることになります。
この作品は左側に注ぎ口がついています。
つまり裏に華やかな模様が施されているのです。
波間を踊り飛ぶ鯉。
躍動感あります。

三代高橋萬治 萬次郎「雷文平丸形鉄瓶」
施されているのは吉祥の文様である雷文。
胴回りと口周りに施されています。
鉉は縄編みを2本擦り合わせた「むく鉉」というもの。
とてもおしゃれです。

簗田吉右衛門「手鞠文丸形鉄瓶」
丸っこくてかわいらしいこちらは鉄瓶全体で手毬を表現しています。
糸を巻いたような文様が繊細でとても美しい作品。

「第一回国勢調査記念品鉄瓶」
1921(大正10)年、第一回国勢調査が行われた際、記念品に南部鉄器が選ばれました。
注文数は25,000個!!
職人達は大忙しだったそうです。。
日本地図が施されています。

金澤専治 鶴齋「編笠形鉄瓶」
編み笠をかたどったもので、網目の表現が素晴らしいのです。
作者は1930年のリエージュ万国博覧会で金賞を受賞しているとのことで、そのデザインや技術の高さは折り紙つき。

十三代鈴木盛久 繁吉「姥口蜻蛉釜」
姥口とは歯の抜けた老婆のこと。
口の周囲が高く、縁が肩より落ち込んでいる形状のことを指すそうです。
こういった形はなかったので、なかなか新鮮。
また、蜻蛉が可愛らしいのです。

《第2部 南部鉄器の模索・挑戦といま》
時代は戦後へ。
あらたなるデザインに活路を見出して復興した各工房の南部鉄器が並んでいます。
ここはヤバイです。
メモを見返しても
「ほしい」
「オシャレ。ほしい」
「ほしい、ほしい、ほしいー」
なんだ、これ。。。
とにかく欲しいものだらけなのです。

宮昌太郎「鉄瓶 十字星」
欲しい。笑
この人の作品はとにかく素敵です。
大量生産の生型鋳物にデザインを与えた人。
モダンでスタイリッシュ。
メモを見返すと「欲しい」とか「かっこいい」といった言葉ばかり。笑
オーナメントは部屋に飾りたいし、灰皿も使わないけど小物入れにしたい。
この鉄瓶は伝統技法に十文字の意匠を施したもの。
そのかわいらしさと幻想的なようすは「銀河鉄道の夜」を連想させます。

宮伸穂「格子鍋敷き」
いやぁぁぁ。
おしゃれ。
欲しい。笑
シンプルは美しきこと、と実感させてくれます。
こういったものを日常生活で使ったら心豊かに過ごせそう。

宮伸穂/ヨーガン・レール「テープカッター」
これが一番欲しいかもしれない。
会社で机に置いておきたい。
シンプルなのにこんなにかっこいいなんて反則です。
デザインの美しさと鉄の美しさに惚れ惚れしてしまいます。

岩清水久生「焼肌磨き仕上げ卵形鉄瓶(こけし形撮)」
現代的なフォルムの作品で知られる「空間鋳造」
この作品はすっきりとしていながら丸いフォルムが優しさを与えています。
岩清水氏は環境デザイン事務所勤務を経て岩鋳へ入社。
その後、工房「空間鋳造」を設立しています。
鉄瓶は「焼肌磨き」という技法で、滑らかな肌が魅力的。

米澤進「八稜線鉄瓶」
虎山工房「牡丹文南部形鉄瓶」
虎山工房「霰文尾垂形鉄瓶」
木型の改良により多角形の鉄瓶を開発した「虎山工房」から。
古典的に見えるのですが、目新しさも感じます。
多角形というのもその理由かな。
文様も美しく、、でも文様なくても形の美しさが秀逸です。

岩鋳「急須 曳船」
110年の伝統を守りつつ、海外に南部鉄器を広めた岩鋳。
カラフルで可愛らしい作品が並んでいます。
舟が引かれていくようすをモチーフにしたという形はすっきりと美しい。
ニューヨーク近代美術館に収蔵され、館内のカフェでも使われているそうです。
中はホーローで直接火にかけることはせず、ポットとして使うそう。
口には茶漉しもついているそうです。

アンシャンテ・ジャポン(製造:岩鋳)「カラーポット KIKU」
今回のチラシにも使われている、色も鮮やかで美しい作品。
フランス紅茶の輸入販売の会社、アンシャンテ・ジャポンが企画販売する商品。
製造は岩鋳です。
鉄に樹脂で着色しているそうですが、この技術に3年掛かったそうです。。。
逆輸入され、日本でも購入できます。
欲しい!!!!!

十五代鈴木盛久 熊谷志衣子「櫛目丸形鉄瓶」
初の女性釜師だそうです。
先代の死去に伴い、十五代となりました。
櫛目が美しいこの作品。
鉄に柔らかさを感じます。

鈴木成郎「四方釜《路》」
十五代鈴木盛久 熊谷志衣子の次男さん。
東京藝術大学卒業後、グラフィックデザインやイラストレーションの仕事の後、工房入り。
この作品、立法体で脇には階段が巡らされたちょっと変わった作品。
だからこそ好き。
不思議な空気を漂わせています。

佐々木和夫「透尾垂釜」
平たい底面を持つ革新的なユニバーサルシリーズを制作する「薫山工房」から。
竹葉の透かし模様が美しい。
鎧付は松の実です。

小笠原陸兆「すきやき鍋」
現代の生活空間にも合うシンプルでモダンな作品で知られる「小笠原陸兆」
このすき焼き鍋、、欲しいです。
シンプルで美しい。
これで食べたら絶対とってもおいしいと思う。

《第3部 現代の生活における南部鉄器》
ここはある意味、一番パナソニックらしい展示です。
ショールームのよう。
クリエイターが手がけた南部鉄器のコーディネートが並んでいます。
美しく生活に溶け込んだ南部鉄器。
ますます欲しくなります。

まずは柳宗理のコーナー。
柳宗理が2003年に発表した南部鉄器のキッチンウエアに、家具やテーブルウエアをコーディネイト。
現代家庭を再現した空間に並べられた南部鉄器がおしゃれです。

続いて、内田繁氏による茶室≪行庵≫。
1993年は茶会が終わると折り畳まれてしまえる茶室というコンセプトで制作されたそう。
木のフレームに竹や和紙で構成されています。
奥には南部鉄器の茶釜が。
素敵な空間です。

カラフルな南部鉄器のポットが並べられた空間はフランスのティー・サロンをイメージしたもの。
南部鉄器っておしゃれだな。。
日本にあっても海外にあっても馴染んでいます。

最後に料理スタイリストの堀井和子氏によるテーブルコーディネイト。
岩手や秋田などで制作された漆器、ガラス工芸、型染めなど、東北の工芸品と南部鉄器が並べられています。
電球素敵です。
さすがパナソニック。
そして壁にはルオーの作品がかけられています。
パナソニック汐留ミュージアム所蔵のものでもちろん本物です。
落ち着いた雰囲気もいいです。
なんて素敵な空間なんだ!!

また、H25年のNHK大河ドラマ『八重の桜』の主人公役・綾瀬はるかさんが盛岡市の南部鉄器の鈴木盛久工房を訪れた際の写真も展示されています。
NHKの東日本大震災プロジェクト「ただいま、東北❤」の一環として放映されたものだそう。

といった感じでとてもおしゃれで楽しい展示でした。
欲しい欲しい欲しいー!!!
という気持ちがとまりません。
伝統の品が時代に即して伝統を守りつつも進化していく。
南部鉄器の作家さんたちの心意気も素敵です



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没後50年・大回顧 板谷波山の夢みたもの ―〈至福〉の近代日本陶芸

2014-01-30 21:30:00 | 美術
見てきました

出光美術館

会期は2014年1月7日から2014年3月23日。

今回は板谷波山(1872-1963)
近代日本を代表する陶芸家です。
激動の時代を生き、比類なく美しい、精妙な陶芸を残しました。
出光コレクションは日本最大の板谷波山コレクション。
約280件を所蔵しているそうですが、今回は厳選された代表作約180件の展示となります。

東京美術学校(今の東京藝術大学)の彫刻科で学んだ波山。
1つ上には観山、2つ上には大観がいました。
明治時代末期から大正時代にかけて頭角を表します。
彫刻の技を生かした「薄肉彫」で文様を精緻に浮彫し、そのうえに色を与え、きらめく釉薬をかけた「彩磁」や、光を柔らかく包む艶消し釉をかけた「葆光彩(ほうこうさい)」など、独創的な陶芸世界をつくりあげました。 
その功績は高く讃えられ、昭和9(1934)年に帝室技芸員に任命され、昭和28(1953)年には陶芸家として初の文化勲章を受章します。
昭和35(1960)年には重要無形文化財、いわゆる人間国宝の候補となりますがこれを辞退。
伝統の技法に与えられる指定に対し、自らの制作は芸術的創造である、ということがその理由。
日本の陶芸は縄文時代から、と考えると長い歴史を持ちますが、瀬戸焼、美濃焼、伊賀焼などの茶器、朝鮮半島の影響を受けて始まった伊万里焼、鍋島焼の磁器など、芸術的に高い評価を得ている作品さえも、ほとんどが無名の陶工によるもの。
野々村仁清のように個人名の残る陶工もいますが、芸術家としての「陶芸家」が登場するのは近世になってから。
波山は正規の美術教育を受けた「芸術家としての陶芸家」としてはもっとも初期の人となります。
陶芸家の社会的地位を高め、日本近代陶芸の発達を促した先覚者とされています。

《序章 <波山>誕生 -生命主義の時代と夢見る力》
波山芸術の〈原型〉
それは明治時代末期から大正時代に誕生しました。
ここでは初期の代表作が並んでいました。

1「彩磁アマリリス文花瓶」
美しく輝く白に赤紫の花が妖艶に咲き広がる作品。
艶やかな表に対し、裏は2つのつぼみのみとシンプル。
残された空間も余韻を漂わせ雰囲気がありとても素敵です。

2「彩磁桔梗文水差」
丸く優しいフォルムに優しい色の作品。
蓮の花が立ち上がり広がりながら薄紫の花を包んでいきます。
花の美しさ、輝きが溢れんばかりかのよう。
とにかく美しい。

3「葆光彩磁鸚鵡唐草彫篏模様花瓶」
濃い青がベースの大きな壷。
そこに鸚鵡と薄紅色の花がぎっしりと。
鳥は歌い、花は踊る、、そんな印象を与える作品です。

5「葆光彩磁葡萄文香爐」
6「彩磁葡萄文香爐」
これが素晴らしいのです。
5は光を包むといった意味の葆光彩(ほこうさい)。
6はきらめく光沢の彩磁。
どちらも白磁がしずくとなり垂れたかのような足がついています。
なめらかで美しい。
そして、どちらも形、施されている花はそっくりなのですが、まったく見え方が違います。
5は霞がかかったかのような景色で幻想的。
6はラメでも入っているかのゆな輝き。
どちらがいいか。。
どちらも素敵すぎて選べません。

《第1章 <眼>と<手> -陶芸を彫る、陶芸を染める》
波山の代表的な技法の一つ、〈薄肉彫(うすにくぼり)〉
これは、文様を浮彫するといったもの。
この彫刻文が、文様に"光"など様々なものをもたらします。
ここでは初期の作品から薄肉彫に至るまでの作品が展示されています。

7「彩磁牡丹文花瓶」
美術学校卒業後、石川県工業学校赴任時代の作。
釉薬の下に柔らかな筆遣いで花と蝶が描かれています。
といってもかなり見にくい。。
状態があんまりよろしくないのかな。。
ただ、色の鮮やかさは伺えます。
このころはまだ薄肉彫ではなく、筆で描いています。

9「彩磁紅葉雀文カップ」
初期には経済的理由から食器も手がけていた波山。
このコップは白くスリムなもの。
筆で紅葉に止まる雀が描かれています。
シンプルながら情緒感じる作品です。

11「葆光彩梅花文瓢形花瓶」
どっぷりとした形の壷。
濃い青に薄い青で梅を筆の面を使い描いたもの。
最も古い葆光彩の作品の一つです。
この作品は琳派的要素が高いのですが、波山は琳派や狩野派を模写し、それらは初期の作品に見られるそう。

12「れんげ草一輪生」
白地に描かれているのは赤紫の儚げな蓮華草。
淡い色合いが優しく、手元に置いておきたい可愛らしさのある作品です。

14「葆光彩磁波千鳥文壺」
青地に描かれるのは波と竹。
空飛ぶ千鳥。
日本画的情緒のある作品です。

19「彩磁蕪小花瓶」
丸く膨らんだ蕪をモチーフにしたもの。
上部はうすく赤みが差し、根もあり、本物そっくり。
こうゆうアイデアは楽しくていいですね。
つややかな丸みもかわいらしい。
このあたりから彫刻的造形となっていきます。

20「彩磁玉葱形花瓶」
波山はアール・ヌーヴォー様式の西洋陶芸を研究していたそうですが、この作品は今回の展示品のなかで一番強くその色が出ていたと思います。
形はたまねぎですが、緑、ピンク、白の交じり合った色彩が不思議な景色を作り出しています。
ガラスの光沢も美しいのですが、たまねぎの皮がめくれ翻る様子まで表現されているところに波山の技術と心を感じます。

16「鉄釉帆立貝水指」17「蝶貝名刺皿」
どちらも貝をモチーフとしたもの。
16は大きな帆立貝が包み込むかのような作品。
17は大きな貝の形をしたお皿。
17は貝に揺らめく海草も施されています。
アール・ヌーヴォーでは貝などはよく使われている印象。
これもその影響でしょうか。
神秘的な雰囲気があります。

21「八ツ手葉花瓶」
このあたりから薄肉彫になっていきます。
こちらはそれでもまだ彫刻的。

23「彩磁八ツ手葉鉢」
幻想的な色彩が目を引く作品。
器は葆光彩によって表現された、淡い光につつまれています。
21よりも大胆です。

25「棕櫚葉彫文花瓶」
大きな壷です。
色彩はなく、白一色。
そこを覆いつくさんばかりの棕櫚の葉。
葉の隙間には雷文が入れられ空白はありません。
彫りだけで葉の重なりを表現した作品。
技術の高さを見せられました。

24「葆光彩磁瑞花鳳凰紋様花瓶」
青い唐草文に覆われた壷に、えんじ色の羽根が美しい鳳凰が掘り出された作品。
細かいところまで掘り出されています。
色も細工も美しい。

28「唐花文花瓶(工程品)」
制作途中のもの。
彩色し、釉薬をかけ、焼成する前のものです。
完成品ではそこまで彫りの深さが分かりませんでしたが、けっこう深めに彫られています。
これがあの美しい景色を生み出すんですね。

《第2章 波山の夢みたものⅠ -色彩と白、そして光》
白、青、紅、黒、茶。
ここには様々な色の作品が並んでいました。
波山が色彩や光の表現を研究したようすがわかる作品が並べられています。

序章と1章でだいぶ時間をかけてしまった感じがします。
メモが簡潔になっていきました。笑

39「紫金磁葡萄文花瓶」
釉薬がとろりとかかった作品。
とても厚く、ぶどうの彫りも見え隠れしているほど。

41「鋼耀磁唐花文花瓶」
赤銅色です。
つや消し釉がかけられ、まるで金属のよう。
陶器とは思えない色と風合いです。

50「窯変磁花瓶」
リンゴみたいな色をしています。
丸みを帯びた部分が真っ赤なところ、底と首が白くなっているところが。
スタイリッシュです。

57「青磁鎬文鳳耳花瓶」
青磁です。
中国青磁の古典を土台とし、本歌にはない連弁や彫文が。
古典に対し、波山なりの解釈をつけた、とのこと。
すっきりとした青磁の美しさが際立つ作品です。

59「青磁蓮花口耳付花瓶」
これも57と同じく。
すっきりと美しいフォルムに花が開いたかのような口。
素敵です。

70「白磁紫陽花彫篏紋様花瓶」
ここからは白磁が続きます。
波山は白磁に「氷華磁(ひょうかじ)」「葆光白磁(ほこうはくじ)」「凝霜磁(ぎょうそうじ)」など、白のちがいを呼びわける美しい名をつけていました。
そしてその名を自然のものからとる優しさを感じます。
この作品につけられた名前は「白磁」のみ。
輝くような白さです。
薄肉彫ですが、花が一番高くなるようにされています。
そして、一番濃い。
華やかさがより際立ちます。

73「葡萄文水差」
こちらは「氷華磁」
字の如く氷のような白。
少し青みがあります。
私が見たところでは流氷のような氷かな。
冷たい海にある氷。
彫りがくっきりと見えます。

85「蛋殻磁香爐」
こちらは乳白色の「蛋殻磁」
赤紫色の貫入が入ります。
淡い色彩で優しい印象です。

91「凝霜磁鯉耳水差」
こちらは「凝霜磁」
その名の通り、霜をイメージした白。
薄肉彫の彫線の周りに釉が青灰色に溜まり、それが細かい凝りとなって霜のように見えることから。
美しいです。
全てが。

98「葆光白磁牡丹文花瓶」
上にのみ文様が入れられ、下はすっきりとしています。
清らかな美しさです。

102「葆光彩磁紅禽唐草小花瓶」
これは素晴らしいです。
唐草と小花に囲まれ鳥が施されているのですが、鳥が下から光を受けているかのようになっています。
そして鳥の見つめる先も白い空間。
そこから光と奥行きを感じます。
小さい器から大きな世界が広がっていました。

《第3章 波山の夢みたものⅡ -鉱物・天体・植物・動物》
波山の意匠は、同時代の芸術や科学がもたらした新しい美と共に育ちました。
ここでは鉱物などへの美的感心が見て取れる作品が並んでいます。

さて。
ここで大変なこと気付きました。
"あと50分で閉館時間!!!!!"
14時半ごろから入ってたのに。。
のんびりしすぎたー!!!!!
ここから急いで見たため、メモはさらに簡潔になっていきます。。。

104「曜変磁鶴首花瓶」
不思議な色彩です。
なんと表現したらいいのか。。
そこには六角形の意匠が。
これは結晶だそう。
科学の美を取り入れた珍しい作品です。

106「朝陽磁鶴首花瓶」
まさに、朝。
赤から黄色、紫、青、、、だんだんと変化していく色は空模様。
橙色と紺色の窯変に金の星。
宇宙的な美しさです。

109「曜変天目茶椀 銘 天の川」
110「天目茶椀 銘 黎明」
111「曜変天目茶椀 銘 星月夜」
この3点も天体をイメージしたもの。
まさに星の如く、天目が輝いています。
銘もすばらしい。

121「彩磁笹文花瓶」
淡いブルーグリーンに笹を大胆に配した作品。
勢いを感じる作品です。

124「笹水指」
こちらも笹。
ですが、121とは違い静かな印象です。
葉の付け根や小さな笹の葉にはうすい桃色が施され、細部まで美しい。

130「葆光彩磁草花文花瓶」
施されているのはチューリップ。
珍しい印象です。
たおやかな花は淡い色彩で弱さを感じつつも、自立し、美しさをみせています。

131「葆光彩磁牡丹文様花瓶」
葆光彩白磁に赤紫色で牡丹。
柔らかく踊るような牡丹と唐草が印象的です。

143「彩磁紫陽花香爐」
ピンクと紫の紫陽花の花が美しい作品。
優しく輝くような色彩です。

145「彩磁印旬亜文花瓶」
鹿、水牛、鳥、、、
切り絵のように施された動物たち。
白磁に緑と変わっています。
エキゾチックというか民族的な印象です。

147「葆光彩磁磁呉洲模様鉢」
見つめあう2羽の鳥、2羽のウサギ、2匹の魚。
花は淡い紅色、外側は白く溶け込むようです。
童話の世界を表現したかのような可愛らしい作品。

《第4章 あふれる、夢の痕跡 -図案と写生》
ここでは図案やスケッチが並べられていました。
何度も書き直したあとなどが見られます。
また、展示品にあったもののスケッチも。
美しい世界を作り出すための苦悩が見えました。

《終章 至福の陶芸》
時代が変化しても、変わらぬ姿勢で美しいもの無垢なものを夢見続けた波山。
それらは見るものを至福の世界に連れて行きます。
ここではまさに今までの集大成といった作品が並んでいました。

167「淡黄磁扶桑延壽文花瓶」
大きく花開く芙蓉。
柔らかく揺れるつぼみと2匹の犬。
全体的に暖かい印象の作品です。

171「葆光彩磁桃文花瓶」
やわらかな光の桃。
葉と枝は絡むようにし、模様を作り上げています。

181「天目茶碗 銘 命乞い」
赤から黄色へ、夕闇の空色のグラデーションが美しい作品。
目を引くのは銘、命乞い。
波山は小さなキズも許さず、窯出しの際にキズのあるものは全て壊していたそうです。
これもキズがあり、波山は壊そうとしたのですが、出光佐三がその美しさを惜しみ頼み込んで貰いうけたのだそう。
だから「命乞い」
壊されなくて良かった。

184、185「椿文茶碗」
これは亡くなった年に作られた作品。
いわば91歳での絶作です。
まさにこれから花開こうかという大きなつぼみ。
なんというか、、希望に満ち溢れた作品です。

時間ぎりぎり。。。
というか、むりやり見たよ。
美術館では時間配分がかなり重要だね!!!!!
最後、展示室には他の方が1人しか残っていませんでした。
あぁ、、なんかもったいないことしてしまった。。。
というか、こんなに鑑賞に時間かかると思わなかった。
じっくりじっくり見てしまいました。
「波山の前に波山無く、波山のあとに波山なし」と中島誠之助は言ったそうです。
なんと的を射る言葉。
いや、波山のあとに波山を越える人を見たいものですが。。。
初期から晩年までを網羅する今回の展示。
戦争や震災を乗り越え、91歳で亡くなるまで。
ひたすら美しいものを求めた波山。
理解しやすく、見やすい展示でした。
楽しかったです。
ファンになりました。
美しく清らかな世界は、どれだけ見ても飽きません。



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チョコ断ち

2014-01-29 21:30:00 | 食べ物
もうすぐバレンタインらしいですね。
私は興味ありませんが。。。

。。。

めっちゃ興味あるよ~。
買いに行きたいよ~。
チョコレートー!!!!!

今年は買わないのです。
あ、ゼロってわけではない。
人にあげる分など最小限で済ますのです。

お金貯めたいのです。
旅行資金。
ここでチョコを我慢するとウン万円という、かなりの額が生まれるのです。
会社で仕事中に食べていたお菓子も節約中。。
コンビニで買わずにスーパーで買ったものを持って行ったり。
そもそも買わないようにしている。
家になぜかお菓子が大量にあるからそれを持参。

今年はサロン・デュ・ショコラに行きませんでした。
ここ数年で初めてだ。。
いつも会社休んで行ってたのに。笑

あぁぁぁ。。
チョコレートー!!!!!
この時期しか買えないものがあるのに。。

2月14日にネットで購入したものが届くんだ。
楽しみなんだ。
自分のは4つとあとはプレゼント。
え、自分に4つ買ってるって!??
毎年、ウン十個買ってた身としては。。。
頑張ったよ……、我慢した………。

母親から送られた荷物にチョコレート入っていました。

お母さん、ありがとう。
この1粒を噛み締めるよ。。
節分のお菓子も入っていました。
368円。笑
値段付いてるよ!!
親子だから気にしないけど。。
これ全力で投げて貧乏神でも追っ払うよ!!!!!


あとはいも子とこぶ太郎が大量に。笑

ついでに言うと、、私、お米送って欲しかったよ。。笑



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TIMEQUAKES 時のかさなり

2014-01-28 21:30:00 | 美術
見てきました

CHANEL NEXUS HALL

会期は2014年1月17日から2014年2月9日。

今回は、パリを拠点に活動するアーティスト、サビーヌ ピガールによる連作「TIMEQUAKES 時のかさなり」
日本で初めての一般公開です。
この連作、2011年3月の東日本大震災の際にピガールが経験した混乱からスタートしたもの。
彼女は有楽町で震災に遭遇したそう。
ですが、震災が直接的に表現されているわけではありませんでした。
会場は黒を基調とした重厚感ある空間となっています。
作品は写真です。
が、少し変わっている。
15世紀から17世紀の宮廷肖像画に現代の肖像写真を組み合わせているもの。
そして背景は東京の夜景。
展示は大きめの作品が19点、小さな作品が26点の展示です。

どこかで見たことある。。
ダ・ヴィンチにラファエロ、ホルヴァイン、ファン・エイク。。
ルネサンス期の巨匠たちの肖像。
それを現代を生きるモデルが古典の衣装を着、演じ。
現代の東京の揺れる夜景の前にいる。

過去と現代と。
折り重なったときがそこにはありました。
不思議な感覚です。



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日本のデザインミュージアム実現にむけて展

2014-01-27 21:30:00 | 美術
見てきました

21_21 DESING SIGHT

会期は2013年10月25日から2014年2月9日。

今回は「日本のデザインミュージアム実現にむけて展」
21_21 DESING SIGHT
日常的なできごとやものごとに改めて目を向け、デザインの視点からさまざまな発信、提案を行っていく場として誕生した場所。
そもそもは、日本におけるデザインミュージアムの必要性を感じていたデザイナーの三宅一生がきっかけとなっています。
三宅は、1980年代からイサムノグチ、田中一光、倉俣史朗、安藤忠雄などのクリエイターとその重要性について語りあってきました。
実現に向かったのは2003年の三宅一生の新聞への寄稿「造ろうデザインミュージアム」
多くの賛同者からの協力を得て、2007年3月、東京ミッドタウンに21_21 DESIGN SIGHTが誕生。
今回の展示の名前はまさに原点にもなるのでは。
今回はこれまでに開催された展覧会が紹介され、そこからデザインの今後の可能性を探っていく展示となっています。
撮影可能でしたので、写真とともにご紹介します。



これまでに開催された23の展覧会が4つに分けて紹介されています。

《個の創造力の深化を示す〈デザイン/アート/スピリット〉の系=CREATING》



2011年「倉俣史朗とエットレ・ソットサス」


2012年「田中一光とデザインの前後左右」





2009年「U-Tsu-Wa/うつわ ― ルーシー・リィー、ジェニファー・リー、エルンスト・ガンペール」


《デザインを駆動させる〈素材/技術/革新〉の系=MAKING》


2008年「セカンド・ネイチャー」


2010年「REALITY LAB ― 再生・再創造」


2009年「骨」


《身近な題材から世界を捉える〈モノ/コト/仕組み〉の系=FINDING》


2007年「water」


2010年「ポスト・フォッシル:未来のデザイン発掘」


《地域を世界につなぐ〈東北/祈り/ユーモア〉の系=LINKING》


2012年「テマヒマ展 〈東北の食と住〉」


あぁ、あれ見たなぁ。。懐かしい。
と浸れる展示でした。
でも、、、
「日本のデザインミュージアム実現にむけて」の実感がない。。。
今までの展示を並べて、「こんな取り組みをしているんだ」っていうのは分かるけど。
これまでの展示を1つでも見たことある人なら懐かしさで楽しめるかもしれませんが、見たことない人は「こんな展示をやっていたんだ」程度になってしまうかも。
私は2011年あたりから、ほぼすべての展示を見ているんだなぁと振り返っていました。笑
その前はポツポツとしか。。
まだまだですね。


2007年に開館して今年で7年目。
これから先の展示に期待です。



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ネイル

2014-01-26 21:30:00 | ネイル
変えました。

前回行ってから約5週間以上経っています。
いつもなら3~4週間で浮いてきたり取れてしまうのに、今回、1本もそうゆうことがなかった!!!
びっくりです。
いつもは
「取れてきたからネイル行こう」
だったのに
「爪伸びてきたからネイル行こう」
になりました。

ラメ入りの白で深いフレンチ。
境目からゴールドを散らしてもらい、薬指と親指にストーン。
シンプル~。


白メインってあんまりやったことないかも。
新鮮です。



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KIZASHI -友禅の斬新、漆芸の大胆-

2014-01-25 21:30:00 | 美術
見てきました

POLA MUSEUM ANNEX

会期は2014年1月10日から2014年2月2日。

今回は友禅染の石井亨氏と、漆の岩田俊彦氏による展示です。
これが、友禅なのか、漆なのか、と驚く作品が並んでいました。
写真撮ってきたので、それとともにご紹介します。





展示風景です。
まず目に付くのは色の鮮やかさ、でしょうか。
これが友禅かと、漆かと驚くばかり。


石井亨「富士山」


石井亨「吉原風景模様」


石井亨「立花模様」
これはかなり好きです。


岩田俊彦「キクニカタツムリ」
こんなかたちができるんですね。


岩田俊彦「マツ」
デザイン性が高くておしゃれ。


石井亨「コンビニ院フリーズ堂」
なかなか洒落がきいていて面白い。


石井亨「地球船都市号」
色彩の鮮やかさといい、描かれているものといい、これが一番好きかな。。
LINEの背景、これにしています。笑


岩田俊彦「ナミニドクロ」
漆とは似つかわないドクロ。
でもかっこいい!!


岩田俊彦「アオイ」
こちらもデザイン性高くいい。
部屋に飾りたい。

友禅や漆を今までの"用の美"ではなく、新しいアートへと変化させていく。
伝統技法に新しい可能性を感じました。



とてもおもしろい展示でしたが、行ったときには私しかいませんでした。。
貸し切り~!!と思いつつもなんか寂しい。。
仕事後なんだけど、昼間ならいるのかな。。。
おすすめです。



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木島櫻谷 -京都日本画の俊英-

2014-01-24 21:30:00 | 美術
見てきました

泉屋博古館分館

会期は2014年1月11日から2014年2月16日。

チラシからして惹かれます。
美しい日本画の世界が見れるのだろうと期待して行ってきました。

木島櫻谷(1877-1938)
今年が没後75年。
明治から昭和の京都画壇の第一人者とされました。
いち早く才能を開花させましたが、50歳頃からは画壇と距離をとるように。
郊外の自邸で書物に過去まれだ生活の中、制作していきます。
今回は各時期の代表作とともに、公益財団法人櫻谷文庫の未公開資料なども合わせて、その画業を振り返る展示となっています。

「奔馬図」
まず最初に目に付く作品。
墨の濃淡をうまく使い分け描かれたもの。
少ない筆数で走り抜けていく馬は躍動感あります。
27、8歳の作品。
午年に相応しい作品です。

《青年期 - 一気阿成の筆裁き》
幼いころから絵が好きだった櫻谷は16歳で父の知己であった今尾景年の門をたたきます。
景年は四条円山派の流れを汲み、花鳥画、山水画を得意としました。
櫻谷は歴史画を入塾前から志し、師風を忠実になぞる当時の風潮に飽き足らず、写生に出かけることが多かったそう。
ですが、師の景年は見守ったそうです。
理解のある師だったんですね。
そして櫻谷は20歳過ぎから頭角を表していきます。

「剣の舞」
太平記の逸話から着想を得た作品。
譲良親王と鎌倉幕府軍との戦で吉野城陥落前、最後の宴の場面です。
押し寄せた幕府軍に搦手から攻められた譲良親王は、もはやこれまでと観念。
自害を覚悟します。
最後の宴を開く譲良親王と兵士達。
譲良親王は刺さった矢を抜くことなく、酒を飲みます。
手前では血の付いた刀をに敵将の首を刺し、踊る兵士。
背景には散り始めた桜。
太平記ではこの場面は正月の16日となっていますから、桜が咲くこと、ましてや散ることはないのですが。
舞台が桜の名所の吉野山ということと、滅び行く者たちの運命を演出しているのかな。。
胸に迫る作品ですが、なんと24歳のときの作品。
この表現力の高さにびっくりです。

「咆哮」
六曲一双の屏風です。
左隻には逃げる鹿。
右隻には3頭の虎。
鹿は我先にと必死に逃げる様子に躍動感があります。
虎は太い筆で形作り、そこに毛を描きこんでいます。
素早く勢いを感じる筆使いで、虎の力強い声が聞こえてきそう。

「一夜の夢」
櫻谷には"桃村"の号で画家を志していた弟がいました。
が、23歳で夭折。
これは、病中の桃村の草稿をもとに描かれたもの。
武田勝頼一族の滅亡の場面のようです。
勝頼が居城に放火し逃亡する場面。
描かれているのは女性たち。
なぎなたを持ち立つのは北条夫人かと。
その周りには泣く女性たち。
右上からは煙が迫り、緊迫した様子が伝わってきます。

「寒月」
今回のチラシにも使われ、私も一番見たかった作品。
六曲一双の屏風です。
第6回の文展に出品され2等賞となりました。
私はたまらなく好きなのですが、これを酷評した人物がいました。

木島櫻谷氏は去年沢山の鹿を並べて二等賞を取った人である。
あの鹿は色といい眼付といい、今思い出しても気持ち悪くなる鹿である。
今年の「寒月」も不愉快な点に於いては決してあの鹿に劣るまいと思う。
屏風に月と竹と夫から狐だかなんだかの動物が一匹いる。
其月は寒いでしょうと云っている。
竹は夜でしょうと云っている。
所が動物はいえ昼間ですと答えている。
兎に角屏風にするよりも写真屋の背景にした方が適当な絵である。

なんて酷いことを言うんだろう。
さぞかし立派な作品を作るのでしょう。

夏目漱石です。

昨年、藝術大学大学美術館で「夏目漱石の美術世界展」で漱石の描いた作品を見たけれど。。。
"あんた、そんなこと言えるんかーい!!!!!"
となります。笑

描かれているのは雪の積もった竹林。
一匹、ぽつんと歩く狐。
モノクロの世界に月明かりが沁みます。
右隻は竹林と月。
左隻は竹林を歩く狐と左側はかすみの中。
まっすぐな竹にバランスよく配された広葉樹。
狐の毛並みや足跡までも丁寧に描かれ、静けさ漂う作品。

漱石としては西洋画のような写実的な表現を日本画に持ち込んだことが気に食わなかったそう。
そして「写真屋の背景」という評価になったのでしょう。
西洋画的写実を取り入れることにより、日本画らしさが欠如したことが気になったと。
当時の漱石は、絵でも書でも作為や企みが感じられるものを嫌悪する傾向がみられ、それがたまたま櫻谷の作品となってしまった。
しかし、日本画の世界としては、その10年程前に洋行から帰った竹内栖鳳が西洋画の技法を取り入れた作品を発表。
櫻谷は時代の変化に適応しただけの気がします。

私は好きです。
目当たらしさが気に食わなかったのか分かりませんが、今、見てもかっこいい作品かと思います。

《壮年期 - 写生画の新境地》
大正2年以降、文展の審査員も務めた櫻谷。
自らの画塾のみならず、京都市立絵画専門学校でも教えるようになります。

「老杉杜鵑」
墨で描かれた世界。
木に止まり、月夜に鳴く杜鵑。
木の描き方は大胆ですが鳥は詳細まで丁寧に描かれています。
上部は霞み、静寂を感じます。

「月下老狸」
櫻谷は"狸の櫻谷"と呼ばれるほど、狸の作品を描いたそうです。
晩秋の茂みからひょこっと顔を出したふわふわの狸。
とぼけた表情が可愛らしい。
空にはするどい三日月。
なんだか和む作品です。

「行路難」
二曲一双の屏風。
櫻谷には珍しい当世都市風俗を描いたもの。
右隻は木の柵と生い茂る柳。
これは唐詩「行路難五音」で「門前の柳」というつかの間の繁栄を意とするもの。
左隻は道端で荷を降ろして休む疲れきった親子。
この疲れきった表情からはつかの間の繁栄さえも感じられません。。
ピンク色のコスモスが頼りなげに風に揺れているのが印象的です。

「葡萄栗鼠」
画面を覆いつくさんばかりのぶどうの葉。
ふわふわのリスは顔料を重ね塗りして質感を描き分けています。
ぶどうもリスも増えていくということで子孫繁栄の吉祥画とのこと。
淡い色使いと構図がこれまで見てきたものとは少し違い、新鮮な印象です。

「画三昧」
質素な着物に袴の老人が描かれてます。
目の前にある画架を眺め、のけぞっています。
その傍らには山水画の巻物。
「三昧」は禅的観念で"雑念を取り払い、没入することで真の姿が捉えられる"というもの。
この姿は櫻谷で、自画像的なものになるのでしょう。

「峡中の秋」
甲州西部、昇仙峡の様子。
32歳のときに写生旅行で訪問しているそうです。
"胸中の山水"を描いたものでそのとき57歳。最後の帝展出品作。
山間を流れる川、霞かかる山頂。
色づく木々。
静かな作品です。

「青竹詩画賛」
自作の七言絶句。
一時的な虚名にこだわらず、草庵暮らしが一番。
毎日香を焚き、古人の書を眺めている。
といった内容。
そして描かれた2本の竹。
シンプルながら心打つものです。

《四季の金屏風 - 住友家のための屏風》
展示室2へ。
ここには住友家のために描かれた屏風が展示されていました。

「雪中梅花」
住友家のために描かれた四季連作屏風の冬。
金地に雪の積もる梅の大木。
つぼみの紅梅が雪の隙間から見え美しい。
雪の白も眩しく、冬なのに明るい印象の作品。

「柳桜図」
右には芽吹きの柳。
左には満開の桜。
桜が猛烈に降り注いでいます。
色彩も明るく生い茂る様子が春らしい作品です。

「燕子花図」
金地に燕子花。
琳派っぽい。
というか、琳派です。。
華やかです。

「菊花図」
満開の白い菊。
ところどころに赤い菊が見られますが、それもいい感じのアクセントに。
右上から左下へと咲き誇っています。

「白羽二重地金銀彩梅樹模様打掛」
孫娘もも子のための婚礼衣装。
身に付けたときのバランスなども考え、櫻谷がデザインしたもの。
白地に金の梅が描かれた華やかなもの。
とっても素敵です。
孫娘をかなり可愛がっていたそうですが、実際に着用されたのは櫻谷没後9年経ってから。
そして、この打掛、昨年、60数年ぶりに見つかったそう。
この春には玄孫の方が晴れの日に着用されるとか。
素晴らしい話です。
そしてこのようなものが伝えられていることがうらやましい。

以上になります。
とっても楽しい展示でした。
作品は素晴らしいし、早くから画壇で活躍していたのに、現在の知名度の低さに納得いかない気も。
もっとたくさんの人が知って、展示が開催されたら嬉しいな。
おすすめです。



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大倉コレクションの精華3 -工芸品物語 美と技が語るもの-

2014-01-23 21:30:00 | 美術
見てきました

大倉集古館

会期は2014年1月2日から2014年3月30日。

大倉コレクションの選りすぐりの作品を紹介する「大倉コレクションの精華」も3回目。
(今までのものはこちら→
大倉コレクションの精華1 -中世・近世の絵画-
大倉コレクションの精華2 -近代日本画名品選-」)
今回は工芸品。

「鶴松文様染付花瓶」
白磁に染付で鶴と松と"寿千年"という言葉。
これは大倉喜八郎の長寿祝いではないかとのこと。
喜八郎が大倉邸内に美術館を設け、文化財を公開することをし始めたことを記念するために制作したとか。
めでたいもの尽くしです。

「長生殿蒔絵手箱」
全面に扇の意匠が施された作品。
紐や金具なども扇の形に仕立てたものが使用されています。
細かなところまで揃えて美しく、というところに日本人の美的感覚を感じます。

「能装束 紫地扇面藤紫垣模様長絹」
これは女役が舞うときに上着として用いるもの。
とっても美しい。
紫の地に金糸で扇が施され、白い藤の花が咲いています。
優美な印象です。

「色絵短冊文対香炉」
京焼風の絵付けが施されている香炉。
短冊に菊、四弁花、牡丹などが柔らかい色調で彩っています。
蓋まで美しい作品。

「御家流十組香三十種」
香道の流派、御家法に伝わる組香です。
"古十種"、"中十種"、"新十種"に分けたもの。
惣包みは内の香の名称をイメージさせる美しい絵に飾られています。
その中にはそれぞれの組香に必要な香木が入っているそうです。
富士山、流鏑馬、桜など季節を感じる絵となっていました。

赤塚自得「乾漆飾壺」
丸く美しいフォルムの壺。
こういったの、初めて見ました。
麻布を漆で塗り重ねて形を作るという技法。
乾漆を素地として表面に金粉を用い、赤銅に近い風合い、とのこと。
上部にある花紋蒔絵がシンプルな美しさ。

「平家納経 経箱・経巻」
美しさに定評のある平家納経ですが、こちらは完璧な形で模写した絵巻及び経箱。
手がけたのは古筆、古名画の模写模造の名手、田中親美。
この人が手がけたものを何度も見ていますが、本当に惚れ惚れする仕事っぷりです。
これは大正9年から約5年、当初の技法で完成させたもの。
大倉喜七郎をはじめ、財界人の賛助を得て実現しました。
紙という危弱な材を介する日本美の歴史的名宝を名匠の手で永遠に残そうとした大事業。
その輝きは今も健在。
これからも良い状態で残っていって欲しいと思います。

「籬に葡萄図」
六曲一双の屏風で画面の上下を金と緑で塗り分けるというなんとも大胆な構図。
金地には金雲と金の葡萄。
緑地には緑の籬。
溶け込むような不思議な色彩。
葡萄はぷっくりと膨らみ立体的に見えますが、これは下地に胡粉を盛り上げた上に金を施してあるそう。

狩野探幽「紅白牡丹図」
二幅。
左に白い牡丹。
右に赤い牡丹。
上部には余白がたっぷりとられています。
咲き誇る花をただシンプルに描いた、でも優美さ漂う美しい作品です。

といった感じです。
のんびりたっぷり見てこれました。
名もなき作家の作品が多かったのですが、それでも漂う雰囲気は素晴らしい。
上品な作品が多く、楽しめます。


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ランチ

2014-01-22 21:30:00 | 食べ物
舞台「DANCE TO THE ONE」を見に行った日、母親とランチしました。
行ったのは恵比寿のビストロシロ。
大好きなお店です
頻繁には行かないけど。。

2500円のランチです。

まずはにんじんのムース。
オマール海老って言ってたかな。
だしがすごく効いてます。


前菜はサーモンとホタテとアボカドのタルタル。

メインのお魚はスズキ。
やわらかくってほろほろです。


デザートは林檎のコンポートにヨーグルトのアイス
おいしぃぃぃぃぃぃ!!!!!
コーヒーか紅茶が選べますが、私は紅茶。
小さなレモンマドレーヌも出てきました。

はぁぁぁぁ。
大満足のランチです
おすすめですが、混雑するので予約したほうがいいかと思います。



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