RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

お菓子好き。F1好き。
美術館行くの大好き。
買い物も大好き。
休日に全力で生きるOLの日記(笑)

こどもだってうまいんだもん 飲んだらこう言っちゃうよ~

2014-05-31 21:30:00 | ミュージアムショップのお菓子たち
Qoo~

ってずいぶん懐かしいな……笑

ミュージアムショップで買ってきました
こども展コラボのお菓子です。

あめやえいたろうコラボの板あめ 羽一衣
540円
有平糖を一枚一枚板状にしたあめ。
衣のように軽く、羽のように儚い口どけ。
とのこと。


味は5種類。
爽やかな「ミント」
こだわりイチゴを使用した「ストロベリー」
さっぱりした酸味の「ヨーグルト」
ほろ苦さのある「キャラメル」
こども展先行発売の「ピーチソーダ」

もう一つは"親子で楽しむティータイム"をテーマにお茶の専門店「ルピシア」がこども展のためにブレンドしたオリジナルフレーバーティー。
こちらはおとな用とこども用とありまして。
私はこども用を購入しました。

アンファン:スリーズ(デカフェ)
ティーバッグ5個入り、スーパープチ缶マグネット付
918円
さくらんぼをイメージした甘酸っぱい香りを特殊な技術でカフェインを抜いた紅茶にブレンド。
カフェイン抜きがこどもです。
茶葉には赤いあられ、白と緑の金平糖もトッピングされています。
見た目もかわいく楽しい。

なおおとな用はオレンジピールやドライアップル、マリーゴールドなどをトッピングして見た目にも華やか。
"元気なこども"時代をイメージしたブレンドだそう。

これを飲んだらおとなもこどもも「クー」っていうこと間違いなし!!??



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こども展 名画にみるこどもと画家の絆 (その3)

2014-05-30 21:30:00 | 美術
見てきました

森アーツセンターギャラリー

会期は2014年4月19日から2014年6月29日。

「子ども」をテーマとした本展。
モネ、ルノワール、ルソー、マティス、ピカソなど錚々たる画家48人が描いた作品で、約3分の2は日本初公開。
今回、3回に分けて書いています。
序章から第2章までを「その1
第3章から第4章までを「その2
第5章から第6章までを「その3」
今日は「その3」です。

トップの写真は会場入り口にありました。
レゴ認定プロビルダーの三井淳平さんがレゴブロックで作成した「人形を抱く少女」。
アンリ・ルソーの「人形を抱く少女」がモデルです。
なかなか強烈。笑

《第5章 フォーヴィスムとキュビズム》
フォーヴィスムとキュビズムは20世紀初頭の前衛運動。
それまでの描き方を根底から覆し、美術のあり方に革命的な変革を起こしましたが、肖像においてモデルに"似ている"ということはあまり意味を持たなくなってしまいます。
絵画において写実的であることが意味を持たなくなった時代です。
ここではフォーヴィスムのマティスやドラン、キュビズムのピカソやその愛人、フランソワーズ・ジローなどの作品が展示されています。

エリー・ラスコー「幼いジュルメーヌの肖像」
黒目の大きな幼い子。
その表情はちょっと怒っているようにも見えます。
全体的に灰褐色のキュビズム的な色彩です。

ビラト「ハビエレテの肖像」
肖像ですが、目とかにキュビズム的構成の見える作品。
ビラトはピカソの妹の息子でピカソの甥にあたります。
ここに描かれているハビエレテも後に画家となります。

グザヴィエ「ヌマとボール」
シンプルな線とシンプルな色で描かれた作品。
裸の赤ちゃんが床に這いつくばっています。
視線の先には赤いボール。
興味を示した日常を描いています。
私はこの作品、とても好き。
その作品を描いたグザヴィエ。
先ほどのビラトの作品に描かれていた少年、ハビエレテです。
ハビエレテの成人してからのアーティスト名がグザヴィエ。
彼は絵画のほか、陶芸や映画監督などもしていたのだそう。

パブロ・ピカソ「ポーランドの衣装を着たクロード」
椅子に腰かけ、真正面を向いた顔。
表情だけリアルです。
体は簡素化し、というかこけしのような感じ。
衣装はかわいらしい。
人形見たいです。

パブロ・ピカソ「パロマ」
ピカソは子どもを描かせても古今最大の画家でありました。
ピカソと子どもをテーマにした本が出版されたり、展覧会が開催されたのもピカソならでは。
ピカソは2回結婚しますが、そのほかにも愛人がいたことは有名な話。
先ほどのクロードとこのパロマの母親はフランソワーズ・ジローという画家です。
結婚はしておらず、愛人、ということです。
独身時代や青の時代、バラ色の時代には社会の底辺に生きる貧しい子どもたちをしばしば描いています。
1921年にパウロが生まれてからは子どもの絵はもっぱら我が子。
この絵のモデル、パロマは1949年生まれ。
この年はパリで国際平和医会議が開かれた年で、ピカソはそのポスターデザインを手がけました。
平和のシンボルとして鳩を描いたそう。
その年に生まれた娘の名前をパロマ(スペイン語で鳩)にしたことも関係しているでしょう。
まっすぐに正面を向いてこちらを見る目は力強さを感じます。
色彩もカラフルで元気な印象を与えます。
この娘は後にジュエリーデザイナーとなりティファニー社と仕事をしています。

パブロ・ピカソ「母と子どもたち」
フランソワーズ・ジローと2人の子どもが描かれています。
暗い色の中に明るい色が効いていて童話の世界のような印象。
優しい作品ですが、この年にフランソワーズ・ジローは子どもを連れて出ていくのです。

このあとにはピカソが作った紙製のおもちゃもありました。
ピカソが子どもを大事にしていたことが伺えます。

フランソワーズ・ジロー「ボール遊びをするクロードとパロマ」
ピカソの愛人でクロードとパロマの母親です。
フランソワーズ・ジローも独自のキュビズムで子どもたちを描いています。
緑の中でボールを投げて遊ぶ子どもたち。
パロマのスカートがふわりとひるがえり、軽やかな印象です。

フランソワーズ・ジロー「リベルテ(自由)」
亡くなった詩人ポール・エリュアールに捧げたもの。
エリュアールの最も有名な詩のタイトルが「Liberté(自由)」
クロードが黒板に"Liberté"と書き、それを母とパロマが見つめています。
強い色彩ですが構図や配色などとてもしっかりしています。

ピカソと結ばれた女性は、知られているだけでも7人。
フランソワーズ・ジローは6番目の愛人です。
ピカソを捨てた唯一の女性と言われています。
出会ったのは1943年。
フランソワーズ・ジローはソルボンヌ大学の法科に籍を置く学生でした。
そしてそのとき、南仏在住の女友達と一緒に初めての展示会を開いていました。
そこのレストランで隣のテーブルにいたのがピカソと恋人の写真家ドラ・マール。
ピカソは隣の会話に興味を持ち、女性2人が画家志望だと知ると、彼らを自分のアトリエに招待。
ここから交友が始まるのですが、最初は付かず離れず。
フランソワーズに魅了されたピカソは彼女に詩人ジャン・コクトーや画家のマチスらを紹介。
彼女をモデルに作品を作るなど積極的。
そして1946年。
"私の年齢だと元気がなくなる日は遠くない。だから私が君にとって少しでも意味があるなら、今、一緒に暮らしてほしい"
ここから40歳の年の差を超えて同棲が始まるのです。
そしてクロードとパロマが誕生。
ピカソと家庭らしい家庭を営んだという点でも唯一の女性でした。
が彼女は、ピカソの身勝手で威圧的な性格に辟易。
別れ話になると、「私に発見された恩を返せ」と激怒し、ついには「私のような男を捨てる女はいない」とまで言ったとか。
それでも1953年、ピカソの元を去り、パリに戻ります。
すでに前年、個展を開いて好評を得ていた彼女は、それを心の支えに自立への道を歩み始めたのです。
そして2年後、同世代の画家リュック・シモンと結婚。
これはピカソに衝撃を与えたようです。
ピカソは逆上し、画商とギャラリーに彼女との仕事を継続しないよう圧力をかけてきたのです。
……じいさん、、大人げないよ…………。
まぁ、ピカソもすぐに次の愛人ジャクリーヌ・ロックを見つけるのです。
彼女とは1961年に結婚。
ですが、この結婚は、フランソワーズに対する意趣返しとされています。
というのも当時フランソワーズはクロードとパロマの認知を得る努力をしていました。
ピカソはフランソワーズに「結婚を解消すれば、入籍してあげてもいい」と誘いかけたのです。
これに乗ってフランソワーズが相手と協議離婚すると、ピカソは既にジャクリーヌと結婚。
……なんちゅうじいさんや………。
で、圧力をかけたものの、彼女の抽象画は注目され、活躍の場はイギリス、そしてアメリカにも。
そして1964年、文芸評論家カールトン・レークと共著で『LIFE with PICASSO』を米国で出版。
ピカソの芸術と人を書いたこの本はミリオンセラーになり、フランス語でも翻訳の話が出ます。
ピカソはそれを阻止しようと訴訟を起こしましたが、3審とも敗訴。
ピカソは「お前が勝った」と、フランソワーズに電話で言ったそう。
これが2人の最後の会話。
その後は、小児まひワクチンの開発者として知られる米人医学者ジョナス・ソークと再婚。
カリフォルニアに移住し、現在に至っています。
アメリカ各地を飛び回り、欧州でも回顧展開催。
2010年には日本でも回顧展が開催されました。
ここまで来ると、ピカソがどうとか関係ない、実力ですね。
美貌と知性と才能と、強い意志をもった女性。
"私の世界から踏み出してみろ、砂漠へ行くぞ"と引き止めたピカソ。
"だったらそこで生きてみせる"と言い返したフランソワーズ・ジロー。
どちらも自分の強い世界を築き上げました。

ピカソが嫌いになりそうなエピソードですね。笑

アンリ・マティス「ピエール・マティスの肖像」
アンリ・マティスの次男、ピエールがモデルです。
素早く描かれてた肖像画。
ちょっとふてくされたような表情をしているのは遊んでいるところを中断させられてモデルをしているからだそう。
ピエールは頭に赤い帽子のようなものを被っていますが、アメリカの先住民の羽飾りだそう。
なお、ピエールは画商になりました。
バルテュスの作品を最初にアメリカで展示公開した人物です。
バルテュス展には彼の大人になってからの肖像が展示されていました。
(記事はこちら→「バルテュス展(その1)」)

アンドレ・ドラン「画家の姪」
アンドレ・ドランはマティスと並ぶフォーヴィスムの創始者で指導者的立場でした。
モデルは画家の姪で良き助手でもあった姪のジュヌヴィエーヌ。
椅子の背もたれに手をかけ、片足をあげてポーズをとっています。
手には赤い花。
椅子の上には果物の入ったカゴ。
ドランといえば強い色彩が特徴的ですが、この絵では穏やかな色彩です。
古典風の画風に回帰した頃の作品だそう。
ドランのアトリエを訪れる画家の中でも、キュビズムのジョルジュ・ブラックとは終生の友となったそう。
またバルテュスも通っていましたそうで、バルテュスはドランの肖像画も描いています。

アンドレ・ドラン「画家の息子」
先ほどは姪を描いた作品ですが、今回は息子。
まっすぐこちらを見つめています。
ドランは子どもが60歳までおらず、この子はお気に入りのモデルとの間にできた待望の子。
やっぱり自分の子どもはかわいらしいのでしょうか。
慈しむ様子が伝わってきます。

《第6章 20世紀のレアリスト》
20世紀は抽象芸術の時代ともされましたが、その振り戻しとしての具象、あるいはレアリスムの動きも活発でした。
ここでのレアリストとは20世紀における具象の流れを指します。
今まで出てきた美術運動とは関係なく活躍したエコール・ド・パリの画家たちや女流画家のレンピッカ、また新しく独創的な世界を作り上げた画家たちの
作品が展示されています。

タマラ・ド・レンピッカ「初めて聖体を拝領する娘」
1920年、パリで脚光を浴びたアール・デコの女性画家。
美人で奔放で激しい気性でプライドの高い女性でした。
……関わりたくない人って感じですが。。。
描かれているのは白い服をまとった娘、キゼット。
両手を合わせ、天を仰ぎ見るかのようなポーズ。
ドラマチックな印象でさすがレンピッカといった感じです。
自分の美貌が大好きだったレンピッカですが、自画像よりも多く描いたのが娘のキゼット。
こういった情報からレンピッカは娘を愛していたんだな、と思いがちですが。
娘キゼットの世話をしていたのはレンピッカの母。
娘のことをかえりみることはほとんどなかったそう。
レンピッカが画家になる決意をしたのは娘の誕生後。家計を立て直すため。
生まれ持った才能と、成功しなければいけないという強い意志で短期間で上達。
たちまちサロンに出展したり、雑誌の表紙を飾ったりするようになりました。
そして1927年。
フランスのボルドー国際美術賞の金賞を受賞。
これは生まれて初めてとった大きな賞。
受賞作品は「バルコニーのキゼット」
つまり娘を描いた作品。
仕事にあけくれ、社交界などで華やかな日々を送るレンピッカ。
娘ともほとんど会わず、仲もそこまでよくなかったようですが、描き続けたのは罪滅ぼしなのか、名声のためなのか。
娘キゼットのことをかえりみないレンピッカに怒ったレンピッカの母はレンピッカのデザイナー帽子を燃やし、娘のキゼットは帽子が灰になるのをじっと見ていた、というエピソードもあるほどです。
それでも娘のキゼットは「女性として奔放だったが、私にとってはいつも母だった」との言葉を残しているのだそう。
親子のことはその親子にしか分からないですけどね。
この作品もそれらを踏まえてみると複雑です。
レンピッカの作品は2009年にBunkamuraでまとめてみています。
(美しき挑発『レンピッカ展 - 本能に生きた伝説の画家 -』)
その時の図録もあったので読み返してみよう……

キスリング「オランダ娘」
うつろな目が印象的なキスリング。
彼も多くの子どもを描いています。
これは民族衣装がかわいらしい女の子。
どことなく漂うメランコリーな雰囲気も素敵です。

ジュル・パスキン「花束を持つ少女」
全体的にぼやけたような夢の中のような印象。
白いソファに座る薄紫の服を着た女の子。
少しふてくされたようにも見えますが、優しい色使いが印象的です。

ジュル・パスキン「白いリボンの少女」
こちらは水色の服に右手に花束。
上から見下ろす構図となっています
こちらもぼんやりとした印象で触れたら消えてしまいそうな、幻想性があります。

ジュール=アルフレッド・ギース「母と子」
モデルは妻のマリーと娘のイヴォンヌ。
裸の子を抱える様子が描かれています。
背景なども含め、聖母子像のようです。

コンスタン・ル・ブルトン「赤いチョッキを着た娘、あるいは赤いチョッキを着たマルティーヌ」
椅子に座り、こちらを見る女の子。
かわいい。
手には花を持ちポーズを決めています。
暗い背景に白い服が目立ちます。

コンスタン・ル・ブルトン「シャボン玉」
椅子に座りテーブルに肘をついてシャボン玉を吹いています。
色調も暗く、その寂しげな横顔がちょっと気になります。

アルベール・ブライトゥー=サラ「ヨーヨーの肖像(芸術家の甥)」
アルベール・ブライトゥー=サラはチュニジア人でアカデミー・ジュリアンで学んだ肖像画家。
モデルは画家の甥のジョゼ。(愛称ヨーヨー)
フルーツを手にしこちらを見つめています。
後ろにはガラスの器に果物がいっぱい。
色彩が美しく、また子どもも顔立ちきれいでかわいらしい。
ですが1944年、アウシュビッツで亡くなりました。
この画家は甥も含め、家族の大半をアウシュビッツで失い、画風をマニエリスム風からポスト印象派へと変えていきました。
かなり切ない……。

オーギュスタン・ルーアール「天使に囲まれた子ども」
第3章で出てきたジュリー・マネ「オーギュスタンの肖像」
ここで描かれていた少年は後に画家になりこの作品を描きました。
大きな翼をもった3人の天使が寝ている子どもを見守っています。
優しい色使いで幻想的です。

オーギュスタン・ルーアール「眠るジャン=マリー、あるいは眠る子ども第1番」
顔半分布団にが埋もれている子ども。
ぐっすり寝ています。
可愛らしい。
ルーアールは子どもの顔にランプをかざして描いたそうです。
そして娘ジャン・マリーの最も古い記憶は、寝ていた自分をのぞき込む父の真剣な表情だったそう。
微笑ましいエピソードです。

ダヴード・エンダディアン「ヤシャール=アザールの肖像」
イラン人画家でイランで学んだのち、パリ国立美術学校で学びました。
モデルは5歳の我が子で室内で民族衣装を着て、おもちゃを手にし、ペルシャ絨毯の上に立っています。
向いは窓で明るい光が降り注いでいます。
室内はシンプルですが、すっきりときれい。
子どもの黒髪が美しく、今までとは違った新鮮な印象です。

ダヴード・エンダディアン「ネガールの肖像」
横向きに座る黒髪の娘。
後ろから射しこむ光が美しい。
17世紀オランダの室内画のよう。
モデルとなったネガールによると、いい光の射す日には父に呼ばれ、モデルをしていたそうです。
今回、この画家の作品を初めて見ましたが、とても嬉しい発見でした。

レオナール・フジタ「少女とギターを持つ少年」
フジタの作品はこの日本展で新たに加えられたもの。
フジタは乳白色の裸婦などで人気を博しましたが、子どもも重要な画題でした。
描かれているのは兄弟でしょうか。
少年と少女が並んで腰掛け、少年がギターを抱えています。

レオナール・フジタ「フランスの48の富」
子供をモチーフとしたタイル状の連作。
フランスの富を代表する48のものを子どもたちが表現しています。
帽子、シャンパン、エッフェル塔……
美術館でモナ・リザに扮しているものもありました。
これらが富の象徴なんですね。
2013年にBunkamuraで開催された「レオナール・フジタ展」で「小さな職人たち」が展示されていましたが、それに通じるものがあります。

レオナール・フジタ「機械化の時代」
フジタには自身の子どもはいませんでしたが、"私の絵の子どもが私の息子なり娘也で一番愛したい子どもだ"と語っていたそうです。
また子どもが好きだったそうで、晩年、学校帰りの子どもたちと話すことを楽しみにしていたそう。
壁などの身の回りは、子供たちの絵でいっぱいに彩られていました。
この作品は子どもたちが機械仕掛けのおもちゃを手に遊んでいる様子が描かれています。
この先の機械化の時代を子どもたちに託す願いが込められているかのようです。

以上になります。
3つに分けて書いていきましたがとても面白く、素晴らしい展示でした。
子どもだった時代がない人なんていません。
それぞれの画家の思い思いの子どもが描かれていて楽しく鑑賞できました。
当時の世相なども見れる点も興味深いです。
気づけば閉館時間。
最後の客となってしまいました……



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こども展 名画にみるこどもと画家の絆 (その2)

2014-05-29 21:30:00 | 美術
見てきました

森アーツセンターギャラリー

会期は2014年4月19日から2014年6月29日。

「子ども」をテーマとした本展。
モネ、ルノワール、ルソー、マティス、ピカソなど錚々たる画家48人が描いた作品で、約3分の2は日本初公開。
今回、3回に分けて書いています。
序章から第2章までを「その1
第3章から第4章までを「その2」
第5章から第6章までを「その3」
今日は「その2」です。

《第3章 印象派》
ここではモネ、ルノワールなどのおなじみの画家たちの作品が展示されています。
多くは画家自身の子どもです。
ここで特筆すべきは6作品のモデルとなっているジュリー・マネ。
母親は女流画家のベルト・モリゾ。
父親はエドゥアール・マネの弟で画家のウジェーヌ・マネ。
芸術的な環境で育ち、自身も画家となりました。

クロード・モネ「ジャン・モネの肖像」「玉房付の帽子を被ったミシェル・モネの肖像」「青いセーターを着たミシェル・モネ」
素早いタッチで描かれたモネの子どもたち。
モネの人物・肖像画は他人からの注文によるものは少なく、大半が家族の肖像だそう。
いずれも小品で売ったりする意志のない、私的なもの。
この3つ、だんだん、タッチが粗くなってきていました。笑

ピエール=オーギュスト・ルノワール「遊ぶクロード・ルノワール」
小さな人形で遊ぶ子どもの横顔が描かれています。
妻アリーヌとの間に3児をもうけますが、ルノワールは子どもたちの成長記録でもつけるようにその肖像を繰り返し描きました。
そしてもっとも多くモデルを務めたのがこのクロードでした。

ピエール=オーギュスト・ルノワール「道化姿のクロード・ルノワール」
ふたたびクロードです。
道化師の衣装を着て描かれています。
体の部分が丸く膨らんだオレンジ色の服。
クロードは後に、この衣装がいやだったこと、このモデルをしたことで半日学校を休めてうれしかったこと、などを話しているそう。
モデルさんも大変ですね。

ピエール=オーギュスト・ルノワール「ジャン・ルノワールの肖像」
後に映画監督となる次男のジャンが描かれています。
が、髪は肩までの長さ、白いリボンをつけて、ピンク色の服。
女の子みたい……
医療が未発達だった当時、男子が産まれると、ある一定の年齢(7-9歳頃)までは女の子のように育てた、というのはよく聞きます。
当時は無事に成人を迎える確率はわずか50%。
悪魔は男の子の魂を奪っていくとの迷信もあり、一般的に女の子の方が元気との認識がありました。
その影響かな、と思いきや、ルノワールは頭を守るために伸ばしたままにしていたのだそう。
どちらにせよ、子どもの健やかな成長を願う親心ですね。
なお、三兄弟の長男ピエールは俳優、次男ジャンは映画監督、三男クロードは陶芸家なんだとか。
芸術一家です。

ベルト・モリゾ「庭のウジェーヌ・マネとその娘」
モリゾの旦那さん、ウジェーヌ・マネと娘のジュリーがモリゾらしい素早いタッチで描かれています。
光いっぱいの緑の庭で5歳の娘と彼女をスケッチする父の微笑ましい情景。
モリゾは娘のジュリーを繰り返し繰り返し描きました。
その作品からもモリゾの親としての温かな視線が伝わってきます。

ベルト・モリゾ「犬を抱く娘」
椅子に座りこちらに背を向けている娘ジュリー。
その膝の上にのった白い犬がこちらを見ています。
つぶらな瞳がかわいい。
柔らかな光も作品を優しく見せています。

ピエール・オーギュスト・ルノワール「ジュリー・マネの肖像、あるいは猫を抱く子ども」
今回のチラシやポスターにも使われている作品。
モリゾが親しいルノワールに依頼して描いてもらったもの。
母のモリゾは美しく、他の画家のモデルをしていたことでも有名ですが、このジュリーを見ていると、美貌も母から引き継いだようです。
優しい笑みでこちらを向いているジュリー。
ジュリーの膝の上の猫もこの上なく幸せそうな表情です。
この時8歳。
ルノワールの温かい色彩もあって、とても幸せで美しい日常といった印象です。

ベルト・モリゾ「猫を抱く娘(ルノワールによる)」
上のルノワールが描いた作品を母親のモリゾが写した版画。
とても気に入っていたそうです。
こちらもとても柔らかく優しい印象です。

1893年、ウジェーヌ・マネが亡くなると、モリゾは一晩にして白髪になったそうです。
そしてわずか2年後。
1895年にモリゾもインフルエンザで亡くなります。
このときジュリーは16歳。
ルノワールと詩人のマラルメがジュリーの後見人になりました。

ジュリー・マネ「オーギュスタンの肖像」
モリゾの娘、ジュリーが名付け親となった甥オーギュスタン・ルーアールを描いた作品。
少し首をかしげてこちらを見ています。
この甥ものちに画家となります。

エルネスト・ルーアール「書斎のジュリー」
夫のエルネスト・ルーアールが描いたジュリー。
ドガの紹介で知り合い結婚した2人。
エルネストの父がドガの親友で、その縁でエルネストはドガの唯一の弟子となりました。
この「こども展」で展示されている中で「こども」ではない年齢の作品です。
手を頭にやり、ペンを握るジュリー。
窓から差し込む光がとても優しい。
なんだか、こうやってジュリーの小さいころからの作品を見ていたため、
"大きくなったねぇ"という親戚のような思いが。笑
なお、マネの代表作「すみれの花束をつけたベルト・モリゾ」
ジュリーの母のモリゾがモデルとなった作品です。
この作品をジュリーは生涯大切にし、自宅の居間に飾っていたのだそう。
なお、三菱一号館美術館の開館第1弾の展示「マネとモダン・パリ」(2010年)の目玉として来日していました。
写真
懐かしい……

《第4章 ポスト印象派とナビ派》
さて、時代が進んでポスト印象派へ。
ポスト印象派の画家というと、セザンヌ、ゴーギャン、ゴッホあたりが出てきます。
が、ゴッホは生涯独身で子どもはなし。
ゴーギャンは妻と子どもと別居状態となったため、自身の子どもを描いた作品は少ないのです。
一方でセザンヌは一人息子と妻の肖像を多く描きます。
またナビ派の中でも"アンチミスト(親密派)"を取り上げ、親しみやすい日常を描いた作品が展示されています。

エミール・ベルナール「帽子を被った少年の肖像」
ポスト印象派の画家。
描かれているのは椅子に座った少年。
体を傾け、視線は下に。
少し疲れたかのような印象を受けます。。

ポール・セザンヌ「芸術家の息子の肖像」
注文による肖像画は少なかったセザンヌ。
そのため肖像画のモデルは妻か息子がほとんど。
この作品で描かれている息子は無表情な感じでこちらを見ています。
青味の入った色彩もまた、無表情な印象を強くしています。
息子が9歳のときの作品。

ピエール・ボナール「子どもと猫」
食卓に向かう女の子が猫を膝にのせ撫でています。
その後ろにも猫が一匹。
テーブルの上にはフルーツの載った皿とナイフと水差し。
女の子の表情は真面目というか、無表情というべきか。
画面左から差し込む光が全体を照らしています。

エドゥアール・ヴュイヤール「ジェヌヴィエーヌ・ベルネーム・ド・ヴィレール」
1点を見つめる女の子。
椅子に腰かけ、足を組み、膝の上にノートを載せています。
じっと考えている様子です。
室内には様々な美術品があり、暖炉の上に飾られています。
茶系でまとめられ、落ち着いた印象です。

モーリス・ドニ「海辺の更衣室」
ドニは2回の結婚で10人近い子どもの父親となります。
子煩悩としてしられ、作品にも子どもたちがたくさん登場しています。
ここには男の子と女の子。
海辺の更衣室に入ってこようとする2人。
海辺の明るさが眩しい。
そして2人ともとてもかわいらしい。

モーリス・ドニ「ボクシング」
幼い兄弟が芝の上でふざけてボクシングをしている様子です。
そのポーズもかわいらしい。
思わず笑みのこぼれる、微笑ましい日常です。

モーリス・ドニ「トランペットを吹くアコ」
トランペットというより、ラッパ、ですね。
頬を膨らませている幼い子。
末っ子のフランソワ・ドニで通称アコ。
いたずらっ子のような笑みを浮かべているところもかわいらしい。
服の模様が装飾的で、ドニっぽさを感じました。

モーリス・ドニ「リザール号に乗ったドミニック」
船に乗った少年。
ドミニックは海が好きだったそうで80歳を過ぎてもなお、海に出ていたのだそう。
下から仰ぎ見る構図で描かれています。
風が吹き爽やか。
海の青と空の青も美しく、日差しも感じられる作品です。

以上が3章と4章になります。
ふう、、、
メモの字もそろそろ読み取りにくくなってきました。笑
そして。
迫りくる閉館時間!!(またかよっ!?)
次の「その3」が最後。
第5章と6章になります。



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こども展 名画にみるこどもと画家の絆 (その1)

2014-05-28 21:30:00 | 美術
見てきました

森アーツセンターギャラリー

会期は2014年4月19日から2014年6月29日。

今回は「子ども」がテーマ。
絵や彫刻のモデルとしての子どもは古代ギリシャ、ローマの美術に登場しています。
ただし、愛の神ヴィーナスと関連づけられ、翼をつけたエロスやキューピッドとして登場することがほとんどで一般市民の子どもが登場することは稀でした。
中世キリスト教美術で描かれる子どもといえば幼いキリスト。
マリアとともに聖母子像として描かれました。
ルネサンスの画家たちはこれに父親ヨセフを加え"聖家族"として描きます。
これらは近代の母子像、家族像の理想とも原点ともなりました。
キリスト教的な"聖なる母子像、家族"から一般の家族像への転換は18世紀に入ってから。
バロック時代は子どもは"小さな大人"、"未完成の大人"との見方でしたが、子どもには大人とは違う独自の世界がある、どんな大人になるかはどんな子どもであるかにかかってくるという考え方が広まります。
ルソーの教育論"エミール"などもこの流れで書かれ、子どもの養育、教育などが盛んに議論されるようになりました。
またフランス革命後の市民社会の出現もあり、美術における子どもの露出度は高まっていきました。
今回の展示作品は19世紀初めから20世紀末までの約200年。
モネ、ルノワール、ルソー、マティス、ピカソなど錚々たる画家48人が描いた作品です。
ルネサンスやバロック時代の子どもの絵は貴族や富裕層の注文によるものでした。
しかし今回の出品作は作家自身の子どもを描いたものが多いのです。
画料はもらわず、自由な視点で描いた作品となります。
画家はどのような視点で子どもを見ていたのか、また時代をとらえていたのか、そういったものを見て行く展示となります。
パリのオランジュリー美術館で開催され約20万人を動員した美術展「Les enfants modeles(モデルとなった子どもたち)」で紹介された作品を、時代別・流派別に整理し、日本向けに再構成したもの。
オランジェリー、オルセーほかルーヴルなどはもちろん、画家の遺族が保管していたプライベートコレクションなどからの出品で約3分の2は日本初公開です。

今回、3回に分けて書いていきます。
序章から第2章までを「その1」
第3章から第4章までを「その2」
第5章から第6章までを「その3」
今日は「その1」です。

《序章》
ここでは新古典主義からロマン主義の時代…19世紀前半に相当する時代の作品が展示されています。
1789年のフランス革命でアンシャン・レジーム(旧体制)が崩壊。
『自由、平等、博愛』のスローガンのもと、共和主義的な社会体制に向かい始めた時代の新しい子どものイメージです。
市民階級の台頭とともに子どもは「子ども王様(アンファン・ロワ)」となり、家族の中心となっていきました。

ルイ=レオポルド・ボワイー「私の小さな兵士たち」
ボワイーはパリの市民生活を題材に描き、人気を博した画家。
描かれているのは兵隊に扮した3人の子どもたち。
一番上の兄が下の兄弟たちのポーズを直している様子が微笑ましい。
3兄弟の左端には犬もポーズを決めています。
作品は単色のいわゆるグリザイル。
濃淡の表現がとても自然で、その技術の高さが際立ちます。

ルイ=アントワーヌ・バリー「芸術家の娘の肖像」
バリーはロマン派を代表する動物彫刻家。
絵画でも活躍し、この作品は自分の娘を描きました。
振り返るようなポーズでこちらを見る女性。
背景は戸外で暗い雲が気になります。
この作品の数年後、娘は25歳で亡くなってしまったそう。
なんだか悲しい。。。

ジャン=バティスト・カミーユ・コロー「座るイタリアの少年」
コロー!!!!!
コローと言えばバルビゾンの風景を光いっぱいに描いた作品が浮かびますが、人物を描いたものも残しています。
2008年に国立西洋美術館のコロー展で"コローのモナリザ"ともいわれる「真珠の女」を見たことは今もはっきり覚えています。
あれ、すごくすごく美しかった。
さて、この作品に描かれているのはコロー最初のイタリア旅行で出会った少年。
コローの人物画の多くは晩年に描かれているのでこれは初期の貴重な作となります。
暗い色調の中、トランクに腰掛けています。
自然な表情でくつろいだようにも見えます。
コローはほかにも子どもを描きましたが、生涯独身で自分の子どもはいませんでした。

クロード=マリー・デュビュッフ「ポール・デュビュッフの肖像」「ネリー・ビュネルの肖像」
楕円形の額にはいった子どもの肖像。
身だしなみもきれいで、育ちのいい子ども、という雰囲気がぷんぷんです。
男の子、ポールのほうは椅子に手をかけてポージング。
大人顔負けです。
栗色の髪の柔らかさの質感がすごいです。
女の子、ネリーのほうは白いドレスに花を持って立っています。
その表情はちょっとおしゃまな印象です。

《第1章 家族》
家族・家庭が社会の"核"、"細胞"的な存在となり、子どもの存在意義も高まったのはフランス革命後から。
フランス革命による社会的構造の抜本的な改革と、その後のナポレオン法典の整備などは、市民的な家族、家庭の創出に貢献しました。
革命以前の絵の中の家族の大半は貴族や富裕層の注文によるもの。
彼らの下にあった「第三階級」(市民階級)が描かれることは稀でした。
ここでは子ども・家族の存在意義が高まって来た頃の作品が展示されています。

ウジェーヌ・カリエール「病気の子ども」
19世紀に広く見られた子どもの夭逝。
赤ちゃんを抱く母とそれを見つめる兄弟が描かれています。
部屋の壁にはよく見ると子どもの写真(絵画かな?)も飾られています。
愛されている、心配されていることがひしひしと伝わってきます。
この作品、画面全体に白いもやがかかったように描かれています。。
この画風は"カリエールの霧"と呼ばれているそうで、この作品で霞みがかったスタイルを確立しました。
カリエールにとって初の国家買い上げとなった作品でもあります。

サー・ローレンス・アルマ=タデマ「ダルーとその妻と娘」
縦長の画面に母親、その下に娘が描かれています。
笑顔がとても素敵です。
父親は母親の後ろからひょっこり顔を出している感じ。
家庭内が垣間見える微笑ましい作品。
なんだろ、、大きな作品とかでもないし、すごく目立つ作品でもない。
技法がどうとか色彩がどうとかではなく、その仲よさそうな雰囲気に惹かれました。

クロード=マリー・デュビュッフ「デュビュッフ一家、1820年」
息子のエドゥアールを真ん中に、本を読んでいる家庭教師、画家の妹夫婦、画家の母、そして画家の妻と画家が描かています。
息子を囲むかたちになっていて、まさにその時代の家族のかたちを表現しています。
子どもは黒い奇妙な帽子を被っていますが、これは乳児期にありがちな事故を防ぐため、詰め物をした帽子なんだそう。

ギヨーム・デュビュッフ「ボーシャン伯爵夫人とその子どもたち」
母と子ども2人が描かれていますが、とても華やか。
きれいなドレスを着て、豪華な調度品のある部屋の中で描かれています。
依頼品のように思えます。

ギヨーム・デュビュッフは「デュビュッフ一家」を描いたクロード=マリー・デュビュッフの孫。
デュビュッフ一族はクロード=マリー・デュビュッフをはじめ、代々画家を輩出しました。
フランス展の企画立案者でオランジェリー美術館元館長のエマニュエル・ブレオン氏も末裔なのだとか。
すごい一族です。

アルフレッド・ロール「故郷を後に」
荒野を歩く親子。
母親は子どもを抱きかかえ、顔を覗き込んでいます。
父親は暗い表情でうつむいて歩いています。
タイトルとこの様子からして、故郷をやむを得ない理由で離れることになったのでしょう。
荒野の景色とともにさみしい作品です。

モーリス・ドニ「夕方に塔の傍らで」
野に立つ塔に人々が集まっている情景。
一番手前に描かれている帽子の男性がドニ自身。
後ろで赤ちゃんを抱いているのが2度目の結婚相手とその子ども。
亡くなった先妻との子どもたちは塔の周りに描かれています。
優しい色の空が不思議な温かい空気を漂わせています。

ジョルジュ・アルディッティ「家族の肖像」
画家と子どもたちが食卓を囲む様子が描かれています。
画家本人はこちらに背を向けています。
子どもたちは最初の結婚相手と2番目の結婚相手の子どもたち。
一瞬、時がとまったような、どことなくぎこちない感じがするのはそのせいでしょうか。

《第2章 模範的な子どもたち》
ここでは1880年代から第一次世界大戦が始まる1914年ごろまでの、パリを中心とする華やかなベル・エポック(良き時代)時代の作品が展示されています。
今回の「こども展」の出発点となったフランスでの企画展「モデルとなった子どもたち」
この「モデル」は絵のモデルという意味と、"モデル・ケース"の「モデル」のような典型的・模範的という2つの意味を持たせています。
近代以降、我が子を描いた絵が急増するのは、身近なモデルであるということだけでなく、成長過程を目に見える形で記録したいという親の思いもあるのでしょう。
この時期は子どもの肖像の、ひとつの黄金時代となりました。
富裕な良家の市民層の子どもたちも多く描かれましたが、その一方で学校や寄宿舎といった子どもの教育にかかわる「現場」なども描かれています。
ドキュメント(記録)としての価値もある作品も生まれてきました。

ギヨーム・デュビュッフ「ガブリエル・デュビュッフの肖像」
ギヨーム21歳のときの作品。
モデルのガブリエルは、父、エドゥアール(第1章:クロード=マリー・デュビュッフ「デュビュッフ一家、1820年」に描かれていた子ども)の異母兄弟ポールの娘です。
白いフリルの付いた青い服に、赤い帽子。
水彩で描かれ爽やかな透明感のある作品。

ウジェーヌ・カリエール「グラスを持つ子ども」
立派な襟の服を着た男の子がグラスを盆に載せて持っています。
全体的に暗い色彩で描かれ、これもちょっと霞みがかったように描かれています。

アルベール・ベナール「夏の朝、あるいは日向での読書」
本を開いて見ている子ども。
逆光が本を反射して子どもの顔を照らしています。
背景の自然からも夏の日差しを感じられます。

アンリ・ルソー「人形を抱く子ども」
今回のチラシやポスターにも使われている作品。
ルソーが子どもを単独で描いた作品は4点ほど。
素朴派といわれたルソーが身近な子どもという題材を数点しか描かなかったことは意外です。
ルソーは最初の結婚で7人の子どもを授かりますが、うち、6人が20歳を迎えずに亡くなってしまいました。
この作品は青空と草原を背景に赤に白い水玉模様のワンピースを着た金髪の女の子。
その表情は険しく子どもとは思えません。
首がなく頭が直接胴体に乗っていたり、椅子もないのに座っているかのような体制だったりと突っ込みどころは満載。
さすがルソーな作品です。

レイモン・レヴィ=ストロース「子どものクロード・レヴィ=ストロース、あるいは木馬の三輪車にまたがる子どものクロード・レヴィ=ストロース」
レヴィ=ストロースは証券取引所勤務ののち画家となりました。
描いたのは自身の子ども。
木馬の三輪車にまたがる子ども。
4歳とは思えないほど、その表情はりりしくて聡明といった感じ。
画家の1人息子、クロードはのちに20世紀を代表する思想家・社会人類学者となりました。
そういった人は小さいころから違うのでしょうか。
この肖像画でもその将来が予見されているかのようです。

シャルル・ブラン「ジェルメーヌ・ピショの肖像」
かわいい。
栗色の髪に青いリボン。
青と白の服を着て、胸元に鳩を抱きかかえまっすぐにこちらを見ています。
モデルは画家の友人で印刷業者の末娘。
1991年にはこの作品を南米のユニセフ協会がポストカードにしました。
とにかくかわいい。

ウジェーヌ・デュレンヌ「身だしなみ」
描かれているのは画家の娘、マルチダ、7歳。
鏡を覗き込むその仕草がたまらなくかわいらしい。
落ち着いた色彩でセンスのよい室内も素敵です。

アンリ・ジュール・ジャン・ジョフロワ「教室にて、子どもたちの学習」
子どもの教育などを主題とする絵は教育先進国であった17世紀のオランダあたりから目立ち始めます。
その影響からかフランスでもシャルダンなど18世紀の画家たちも描いています。
しかしその多くは家庭教師などの私的な教育で公的なものではありませんでした。
フランス・ドイツなどで義務教育が普及したのは19世紀後半。
この作品はそういった時代の流れを映しています。
教室での子どもたちの様子が生き生きと描かれています。
おしゃべりする子、鉛筆で遊ぶ子、ぼんやりする子、必死に書いている子……
その音までも聞こえてきそう。
同年代の画家がブルジョワを描いたのに対し、庶民の子どもを温かく描いた画家です。

ベルナール・ブーテ・ド・モンヴェル「ヌムールの寄宿舎」
制服を着た子どもたちが2列で街路樹の並ぶ道を歩いています。
1人の子どもだけを描いた肖像画ではなく、複数の普通の子どもの日常を描いた作品。
落ち着いた色彩やその質感が好きです。

アンリ・デティエンヌ「娘、あるいはS嬢の肖像」
かわいくってスタイルのいい女の子が描かれています。
モデルは画家の娘、シュザンヌ。
椅子の背もたれに手を掛け、足をクロスして立っています。
赤いワンピースに小さな顔。
こんなにかわいかったら私も描くよ!!笑
その笑顔も大人びた印象を与えています。

シャルル・リュシアン・レアンドル「画家の姪、マドレーヌ・ルモワーヌの肖像(14ヶ月)」
シャルル・リュシアン・レアンドルはフランス世紀末の代表的な諷刺画家。
自身は生涯独身でしたが、母と妹、その子どもたちに愛情を注いだのだそう。
この作品はそのタイトルの通りですが、14ヶ月のかわいらしい赤ちゃんがパステルで描かれています。
ふわふわした衣装に優しい色使い。
画家の大切に思う気持ちが伝わってくるようです。

ポール・マテイ「室内の子どもと女性」
少しさみしげな表情でこちらを見ているのは画家の息子、ジャック。
奥に描かれている女性は母親なんでしょうか。
作業しているようにも見えるから家政婦さんとかかなぁ。
この息子は後に父と同じ画家で、美術史家になりました。

以上が2章まで。
ほぼ全ての作品書いてます……笑
よくメモしてきたなぁ、と自分に感心。
明日は第3章の印象派と第4章のポスト印象派・ナビ派。
人気のある画家の作品たちになります。



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2014-05-27 21:30:00 | 日常
先週末実家に帰りました。
友達に会って、買い物して、おいしいもの食べてとまぁ、なかなか楽しくやってきました。

で、母親が。
「うちの花見た??」
「すごくきれいなのに、(家族は)誰も見ない!!」
というので私が見て、撮影しておきました。笑

いつも美術とお菓子の写真なのでたまにはその花の写真でも。


たしかにきれいになっていました。


これ、本物はすごかった!!


植木屋さん一押し。
鉢植えを持ってきてくれるそう。
"盗まれたら困るから"と後ろの方に置かれたのですが、母親が前にひっぱり出してきていました。
意味ない……
植木屋さん曰く、"花泥棒は多い"とか。
特にシャクナゲなんかは目立つし華やかなため、さっと持って行かれてしまうとか……
まぁ、花泥棒ってそれこそ古典的、、という言い方もおかしいけど、昔からあるじゃないですか。
でもねぇ。。。
残念な世の中ですなぁ。。。
そして実家はセキュリティーサービスを導入した模様。
私は解除するまで家に入れない、、というね。笑


これは色が好き。







色彩華やかでした。



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非日常からの呼び声 平野啓一郎が選ぶ西洋美術の名品

2014-05-26 21:30:00 | 美術
見てきました

国立西洋美術館

会期は2014年4月8日から2014年6月15日。

今回は作家の平野啓一郎氏がキュレーターとして企画された展示です。
平野氏はデビュー作である1998年の"日蝕"以来、西洋文化に対する深い造詣を踏まえた作品を発表してきたとのこと。
「非日常からの呼び声」という、平野氏自身が選んだテーマのもとに展示が構成されています。
非日常の光景・世界を平野氏の解説と一緒に見ていく展示です。

ジャック・カロ展」の最後にありました。
メモはほとんど取らずにさらっと見てきたので、各章と気に入った作品をつらつらと書いていくだけの簡単な記事になります。
チラシに使われているのはハンマースホイの作品。
ハンマースホイ大好きな私はこの作品に会いに行ってきました。

《1.幻視》
マックス・クリンガー「連作〈手袋〉より: 行為」
描かれている人物の不思議な行動が気になります。
斜めに立っている婦人、落ちたものを拾うかのような行動をとる男性。
3人で肩組んでいる人々。
足元を見るとスケートを履いています。
このポーズと謎のスケート、ちょっと不安になる作品です。

ギュスターヴ・モロー「聖なる象(ペリ)」
色彩の美しさが目を惹く作品。
不思議で幻想的な雰囲気がよく出ています。

オディロン・ルドン「アポロンの二輪馬車」
暴れる馬と手綱を引く神。
これはアポロン、でしょうか…。
力強さを感じます、馬に。

《2.妄想》
マルカントニオ・ライモンディ /アゴスティーノ・ヴェネツィアーノ(本名アゴスティーノ・デイ・ムージ)
「魔女の集会(ストレゴッツォ)」
奇妙な生き物が大集合している作品。
異界の光景です。
ルネサンス期でも奇抜な主題の版画として有名な作品。
えぇ、変わっていて大好きです。笑

アルブレヒト・デューラー「メレンコリアⅠ」
やっぱりデューラーさんはやばいっす。
さすがと言わざるを得ません。
その描写力、表現力。
細部まで綿密に構成されています。

フランシスコ・デ・ゴヤ「連作〈妄〉より:飛翔法」
背中に大きな羽らしきものを付けた不気味な生き物。
暗い背景を飛ぶというより浮かび上がっているような印象。
見ようによっては鳥人間コンテストで無茶する人みたいにも…笑
"えっ!?これで飛ぶ気かよ??"みたいなやつね。

《3.死》
アルブレヒト・デューラー「騎士と死と悪魔」
さすがデューラーさん、(以下略。)
馬に乗った騎士と悪魔と死の怪物が描かれている作品。
騎士は背筋を伸ばして堂々たる様子。
その隣で死の怪物が、砂時計を持ち騎士に見せています。
これは残りの時間でしょうか。
それにしても騎士の堂々たる態度と表情の険しさには勝てそうもありません。

ステーファノ・デッラ・ベッラ「連作〈死〉より:子どもを運ぶ死」
擬人化された死が子どもを抱きかかえ走っています。
子どもは泣き、怖れているようです。
死が子どもを誘拐しているような図。
死という概念が分からない子どもが死ぬとき、というのは親や周りの人間から引き離されるときと同じような感情なのでしょうか。

ウジェーヌ・ドラクロワ「墓に運ばれるキリスト」
深い穴にキリストの亡骸を運ぶ人たち。
上から射す光が劇的な印象を与えます。

《4.エロティシズム》
ベルナルド・カヴァッリーノ「ヘラクレスとオンファレ」
描かれているのはギリシャ神話の勇者ヘラクレスと王女オンファレ。
ヘラクレスが訳あって、女王オンファレの奴隷となり、女性の仕事である糸紡ぎをさせられています。
そのヘラクレスを見るオンファレの目がね、もう、すごい。
そしてソファに座ってクッションを踏んでいる足とかね、その態度。
女王様って感じ。
靴のデザインかわいい。
あんなの、実際に欲しいなぁ。

ギュスターヴ・モロー「牢獄のサロメ」
薄暗い建物の中、サロメの足元にあるのは、ヨハネの首を載せる盆。
そして左奥では、首を斬られる直前のヨハネの姿。
なんとも恐ろしい瞬間。
サロメのすっとした美しさとその表情の怖さが不気味です。

ティツィアーノ・ヴェチェッリオと工房「洗礼者聖ヨハネの首を持つサロメ」
こちらもサロメ。
しかも、ちゃんと生首を持っています。
サロメとは、新約聖書に登場する踊り子。
ヘロデ王の前で優雅な舞踏を披露した褒美として、彼女が求めたのが"洗礼者ヨハネの首"
が、こちらのサロメはだいぶふくよか。
踊ったらたぷんたぷんという音が聞こえてきそうなほど……。
ちょっと嫌そうな表情が気になったのですが、調べたら"洗礼者ヨハネの首"を求めたのは母親ヘロディアの指示とのこと。
無理やり持たせて"はいチーズ"といった感じに見えてきました。。

《5.彼方への眼差し》
オノレ・ドーミエ「マグダラのマリア」
この題材の作品はいくつも見ていますが、このマグダラのマリアはその祈りに必死さをとても感じます。
服を着ておらず、必死に祈るその表情。
ぽろりと涙がこぼれる、、といった感じではありません。
体を大きくのけぞらせ、空を見つめる姿は悲壮感漂います。

オーギュスト・ロダン「説教する洗礼者聖ヨハネ」
ロダン、初期の大作。
全裸です。
解説には
"……尻は非常に形がよくセクシー。"
どれどれ……、確かに。
思わず触りたくなる。
当たり前ですが、美術品に触ることは絶対にダメです!!
美術品じゃなくて生身の人間でも痴漢です!!

《6.非日常の宿り》
バルトロメオ・モンターニャ(帰属)「城の見える風景」
円形の大きな作品。
城の見える風景とのことですが、城は見えず。
手前に大きな岩があり、なんだか簡素な景色です。
遠近法がちょっとおかしいのかな。。
視点がなかなか合わず不思議な作品でした。

ロドルフ・ブレダン「善きサマリア人」
"善きサマリア人"もよく見かける画題です。
サマリア人がけがをした人を助けている場面ですが、緻密に描かれた背景の森などはよく見ると鳥や猿などが描かれています。

ヴィルヘルム・ハンマースホイ「ピアノを弾く妻イーダのいる室内」
一番見たかった作品。
だって、ハンマースホイ大好きだから。
久しぶり~。
扉が開いていて、奥にいて背中を向けているのが奥さんのイーダ。
手前にはテーブルとその上に灰皿。
この作品で焦点の合っているのは灰皿。
タイトルにもあるのに、奥さんはぼけているのです。
そして灰皿の載っているテーブルは脚をよく見るとバランスがおかしい。
少しずつの不自然さが奇妙な空気を生み出しています。
いやー大好き。
久しぶりにハンマースホイ展の図録を見たくなりました。

以上になります。
変わった作品が多くてとても楽しいです。
私好み。
おすすめ!!



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ジャック・カロ リアリズムと奇想の劇場

2014-05-25 21:30:00 | 美術
見てきました

国立西洋美術館

会期は2014年4月18日から2014年6月15日。

ジャック・カロ(1592-1635)
バロック期に活動したロレーヌ地方出身の版画家。
若いころはイタリアに滞在し、メディチ家の宮廷き版画家に抜擢されます。
1621年の帰郷後も、ロレーヌの宮廷や貴族たち、聖職者たちのためのみならず、周辺諸国の貴顕たちの注文にも応えて制作を行うなど、キャリアを築きました。
わずか40数年の生涯ですが、残した作品の数は1400以上。
華やかな王宮生活と並んで兵士や道化、酔っ払いやジプシー、乞食などを題材にした作品も多く残しました。
また宗教や戦争なども題材とし、現実と想像力が交錯した独自の世界を生み出しました。
国立西洋美術館では約400点ものコレクションを所蔵しているそうです。
今回はそこから約220点。
初期から晩年に至る作品を年代と主題を切り口に展示してあります。

展示は
《1.ローマ、そしてフィレンツェへ》
《2.メディチ家の版画家》
《3.アウトサイダーたち》
《4.ロレーヌの宮廷》
《5.宗教》
《6.戦争》
《7.風景》
の7つで構成されていました。
年代順とカロの大きなテーマである宗教や戦争などについて取り上げています。
今回、メモを取らなかったため、簡単にいくつかの作品について書いていきます。

ミシェル・ラスヌ「ジャック・カロの肖像」
まずはカロの肖像がお出迎え。
おどけているような感じです。
友達にいたら明るくて楽しそうだけど、時々うざい、、みたいな感じ。

《1.ローマ、そしてフィレンツェへ》
まずは初期の作品。
カロは1592年、ロレーヌ公国の首都ナンシーで生まれ、1608年にはローマへ赴き、版画家のフィリップ・トマサンの弟子になります。
そこでエングレーヴィングの技法を学び、知人の誘いを受けフィレンツェへ。

「サン・ロレンツォ教会の内部装飾『スペイン王妃マルゲリータ・ダウストリアの葬送の書』より」
エッチングの初期作品。
フィレンツェで描かれたもの。
教会の内部のアーチなど柔らかく細い線で描かれています。
今回の展示、ルーペの貸し出しがあります。
もう、ルーペで見ると別世界。
これで細かいところまでじっくり見てきました。

《2.メディチ家の版画家》
1614年、カロはメディチ家の庇護を受け、宮廷附きの版画家となります。
「連作<メディチ家のフェルディナンド1世の生涯>」など、前トスカーナ大公フェルディナンド1世の生涯を描いた作品や、フィレンツェの様子を描いたものがいっぱいです。

「二人のザンニ」
奇妙な恰好、ポーズで向かいあう、2人の人物が描かれています。
ザンニとは、即興的仮面喜劇(コメディア・デラルテ)の従者役だそう。
手前にこのザンニを描き、奥には細かく背景が描かれています。

「インプルネータの市」
これがすごい、とにかくすごい。
フィレンツェの南にある小さな村、インプルネータ。
市の賑わいを描いたもの。
もう、登場人物がすごく多い。
小さな人々がぎっしり描き込まれています。
なんと1000人以上の人、45頭の馬に67頭のロバ、137匹の犬……
数えた人、お疲れ様です。。。
見世物小屋のようなものや飲食店らしきもの、ダンスを楽しむ人々などかなりおもしろい。

《3.アウトサイダーたち》
カロはアウトサイダーたち…社会の底辺にいる人たちも題材として扱いました。
ゴッボという、背が低かったり背の曲がった人や乞食や老人など様々な人を描いています。

「連作<小さな道化たち>」
小人です。
デフォルメされていて、ディズニーを思い起こさせました。
こういった人たちは見世物として生計を立てていることが多いためか、ちょっと変わった格好だったり、ヴァイオリンを弾いていたりしています。
ちょっとファンタジー。

「連作<乞食>」
なんかすごい。。
松葉杖をつく帽子を被った乞食、とか、ロザリオを持つ女乞食、とか。
病気の乞食、盲目の乞食とその仲間、ものを食べる乞食……
こんなに描くことあるんだ、、といった印象。
当時のヨーロッパでは乞食は同情の対象ではなかったようで、このような作品が作られたのも好奇心、とのこと。
なんだか色々すごい。

《4.ロレーヌの宮廷》
カロは、1621年トスカーナ大公コジモ2世・デ・メディチの死後、庇護を失い、故郷ロレーヌに戻りました。
ロレーヌ公に登用はされますが、宮廷のポストを得ることはできず。
宮廷の庭園や祝祭の様子を描き、それを貴族へ献呈していたそう。

「ナンシーの宮殿の庭園」
広々とした庭園で人々はそれぞれ思い思いの行動をしています。
植木などもきれいに剪定され、美しい人工的な景色を作っています。

「連作<槍試合>」
宮廷で行われていた槍試合の様子をあらわしたもの。
かなり変わっていておもしろいのですが、中でも「ド・ヴロンクール殿、ティヨン殿、マリモン殿の入場」は目立つ。
貴族が奇妙な魚の"山車"に乗っているのですが、魚がしゃちほこのように反り返っています。
そしてこの魚、イルカとのこと……
仮装パレードかと思います。。

《5.宗教》
カロが生涯にわたってもっとも多く製作したのは宗教が主題のもの。
17世紀前半は宗教改革やカトリック教会内部の対抗宗教改革運動が盛んだった時期になります。

「聖セバスティアヌスの殉教」
中央にいて四方から矢を受ける聖人。
空には矢が飛び交っています。
周りにはたくさんの見物人。
なんたが祭りのような異様な人数の多さです。

「日本二十三聖人の殉教」
こんな題材で日本的なものに出会うとは。
1597年豊臣秀吉によるキリスト教の弾圧で処刑されたカトリック信者たち。
正確には26人ですが、依頼人がナンシーのフランチェスコ修道院だったため、フランチェスコ会の宣教師と信徒の23名だけが描かれています。
日本人の殉教がヨーロッパでも知られていたんですね……
貼り付けにされた人がずらりと描かれているのはなんだか異様。
そして、なんといってもきになるのが、あまりにも日本的ではない、ということ。
日本の風俗が知られていないため仕方のないことですが、どこか別の世界のようです。

「聖アントニウスの誘惑(第2作)」
最晩年の大作です。
"聖アントニウスの誘惑"は数々の画家が描いた主題。
魔物や悪魔と戦う聖アントニウスが描かれています。
ぎっしり描き込まれた画面は迫力満点です。

《6.戦争》
カロの作品で有名なものが、「連作<戦争の悲惨>」
三十年戦争に取材したもので、戦争により起きた出来事が表現されています。

「連作<戦争の悲惨(大)「絞首刑」>」
真ん中に大きな木がありそこから何かが無数にぶら下がっています。
それは全部人。
衝撃的です。
カロは戦争を扱った作品を描きましたが、反戦思想からというわけではないようです。
今よりももっと戦争や死が日常だったこの時代。
ただそこにある現実を描いた作品なのです。

《7.風景》
最後は風景画。
作品数は少ないのですが、こちらも緻密に描かれています。

「連作<パリの景観>「ポン・ヌフの見える光景」」
完成したばかりのポン・ヌフを描いています。
奥にはノートルダム大聖堂も。
こちらも人がいっぱいです。

まさにリアリズムと奇想。
当時の社会や芸術的潮流も見え、とても興味深く面白い展示でした。



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モンゴメリと花子の赤毛のアン展 ~カナダと日本をつないだ運命の一冊~

2014-05-23 21:30:00 | 美術
見てきました

日本橋三越

会期は2014年5月21日から2014年6月2日。

カナダのプリンスエドワード島を舞台に少女アンの成長を描いた小説『赤毛のアン』
母国カナダでも人気ですが、日本も負けず劣らずファンの多い国だそう。
斯く言う私も好きでした。
高校生のときは友達と「いつかプリンスエドワード島へ行こう!!」って言っていたぐらいに。
小中高と読書好きだった私は色々な本を読んでいましたが、大学入ったらめっきり読まなくなりそのまま…。
「赤毛のアン」以外にも「オズの魔法使い」「秘密の花園」「不思議の国のアリス」
こういった話が小さいころから大好きでした。
アリスは「鏡の国…」も読んだな。。
ミヒャエル・エンデも好きだった。
「モモ」とか「果てしない物語」
「果てしない物語」は図書館で借りてきたー。
すっごく厚いんだよね。
重くて持ち運びが大変だった記憶が。
他にも小さいころは「地球大辞典」的なものが大好きで恐竜とか天体が気になっていたし、中学時代には古典が好きだったし。
今思うといろいろなものをさらっとでもいいから読んだり調べたりしておくことが、今、美術を見るようになって生きている気がします。
こういったもの、もう一度読みたいけど、最近読書から離れているからあのころのようにスラスラ読めるかなぁ。。

さて、今回は"ルーシー・モード・モンゴメリ"と"村岡花子"という2人の女性を紹介する展示です。
ルーシー・モード・モンゴメリは作家としての職業婦人、母、牧師の妻としてたくましく人生を生きたカナダ人作家。
村岡花子は明治、大正、昭和の激動の時代に命がけで「アン」を翻訳した女性。
現在NHKで放送中の朝の連続テレビ小説では村岡花子の生涯を描いた「花子とアン」が放送中。
そして今年は日加修好85周年。
それを記念し、この2人の女性の生涯や作家活動、直筆原稿や遺品を紹介する展示となっています。

すっっっっごく混んでいました。
先に進めないほど。。
そして、おばさん(おばあさん!?)たちヒドイ。。。
混んでいても自分が見たかったら人をぐいぐい押すし、見えないって騒いでるし。。
日本橋三越に来る人はもっと上品な人たちなんじゃないの??
ここは本当に日本橋三越かと。。。
がっかりです。
混雑がすごいので入場制限かけたほうがいいのかもしれません。

というわけで、あんまりしっかり見ていません。

ミス・ショーのサインの入った「Anne of Green Gables原書」
またルーシー・モード・モンゴメリの「直筆原稿用紙」
村岡花子の「直筆日本語訳原稿」
三笠書房出版の「赤毛のアン 初版本」
かなり貴重なものが展示されています。

ルーシー・モード・モンゴメリの新婚旅行の写真、書斎を再現したもの、スクラップブックなどその生活や人となりを知れるものも。
「赤毛のアン」日本語訳出版にあたってのタイトルが決まるまでのエピソードなどもおもしろい。
しっかり見ることはできませんでしたが、かなり細かく紹介されています。

現在NHKで放送中の朝の連続テレビ小説では村岡花子の生涯を描いた「花子とアン」が放送中。
見ていない私でも満足でとても興味深い展示でした。



見ている方はきっとこれからの放送が深く楽しめるのでは。
期間が短いため、お早めに。




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木梨憲武展×20years INSPIRATIONー瞬間の好奇心

2014-05-22 21:30:00 | 美術
見てきました

上野の森美術館

会期は2014年5月20日から2014年6月8日。

今回はとんねるずの木梨憲武さんの個展です。
絵を本格的に描き始めるきっかけとなったのは、1994年に放送されたバラエティ番組。
その番組の中で画家に扮し、"憲太郎画伯"がパリで風景画を描くという内容。
その後も制作を続けこれまでに個展を7回開催。
今回は制作を始めた1994年ごろの作品から最新作まで約20年の間に制作された絵画を中心にドローイング、オブジェ、映像など、約300点の作品の展示です。

えっと、大混雑でした。
そのためさっと見てきたのみ。
基本的には鮮やかな色彩のものが多かったです。

「月の木」「color night」「お手月」
あたりはすごく好みです。
あと、ちょっとパウル・クレーぽい感じが見られます。
またドローイングは必見かな。
世界の美しい景色が描かれています。

最後には、東日本大震災後に思いを込めて描いた「太陽」と全国から送られて来た「みんなの太陽」が展示されています。
ここには募金箱が。
サンドウィッチマンが被災者を支援するために開設した「東北魂義援金」に寄付する予定だそう。
すごく素敵でいい取り組みだと思う。

大きな作品から小さな作品まで。
それぞれがかなり違う方向で面白い展示でした。
会期短く終盤はもっと混雑が予想されるので、気になるかたはお早めに。



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