見てきました
出光美術館
会期は2014年4月5日から2014年6月8日。
会期が2つに分かれています。
前期は4月5日から5月6日。
後期は5月9日から6月8日。
前期を見てきました。
「日本の美・発見」というテーマで、館蔵品のうち日本美術を選び、紹介する展示。
そのシリーズの9回目です。
今回は、出光美術館の日本絵画コレクションの内、鎌倉時代から江戸時代までのもっとも充実したジャンルの名品が一堂に会しています。
絵巻物から水墨画、やまと絵屏風、近世初期風俗画に寛文美人図、浮世絵。
さらに文人画、琳派、狩野派と等伯、出光美術館ではお馴染みの仙までと幅広い。
詳しくは章ごと書いていきます。
《第1章:絵巻 -アニメ映画の源流》
中国よりもたらされた"巻物"という形式。
ここに物語などをあらわし、日本独自の絵巻物ができました。
「橘直幹申文絵巻」
平安時代の文章博士、橘直幹が民部大輔の職に欠員ができたので、これを兼任しようと自ら作文した申文を小野道風に清書してもらい、朝廷に提出。
ですが、天皇の機嫌を損ねてしまった、というお話。
え??どこで機嫌損ねたの??
自分で書いてなくて人に書かせたところ??と色々疑問が出てくるのですが…。
天皇の機嫌を損ねたその一文。
名文として知られ、後に、内裏が炎上した際、天皇がその申文を搬出したかをわざわざ尋ねたのだそう。
うーん、なんとも。
いい話なのかな…。
絵巻には直幹邸の前の様子が描かれています。
よろずやには調理済みの食べ物が売られているなど、お惣菜屋さん的なものが見られます。
その時代を知る上でもおもしろい!!
人々が笑顔でいきいきと描かれています。
「長谷寺縁起絵巻」
色鮮やか!!
仏像の台座になるべき金剛宝石座を掘り出す場面。
嵐の中作業をしているのですが、風神雷神らしきものも描かれています。
風を袋から送り出す風神、太鼓叩く雷様など。
面白いです。
《第2章:仏画 -畏れと救いのかたち》
仏教における重要な教えなどを描く絵画は、さまざまな時代の要請を受けて描かれました。
ここでは極楽を描いたもの、地獄を描いたもの、それぞれが展示されています。
詫磨栄賀「山越阿弥陀図」
山並みの向こうから往生者を極楽へ導く阿弥陀如来。
色がとてもきれいで、また光輪を背にした姿が本当に輝いているかのようで眩しいぐらいです。
「六道・十王図」
6幅の大きな作品。
六道とは地獄道、餓鬼道、畜生道、阿修羅道、人道、天道。
十王は秦広王、初江王、宋帝王、五官王、閻魔王、変成王、泰山王、平等王、都市王、五道輪転王。
冥界で亡者の罪業を断罪する王たちです。
人が亡くなりお迎えがくる場面から描かれています。
冥界には不思議な生き物がいて、人は吊るされたり、溺れていたり。。。
かなり恐ろしく迫力ある作品。
《第3章:室町時代水墨画 -禅の精神の表現が芸術へ》
禅の精神の表現として、禅林で描かれた高い精神性を表現した水墨画。
それはだんだんと楽しみへと変わり、水墨画が芸術へと変わっていきました。
「山水図」
山の麗に湖水の景色。
遠くはぼやけ幻想的。
能阿弥「四季花鳥図屏風」
4曲1双の屏風。
松、蓮花、竹、鳥、花。。。
牧谿の影響を受けているそうですが、のどかな理想郷が美しく描かれています。
《第4章:室町時代やまと絵屏風 -美麗なる屏風の世界》
室町時代は、従来雪舟画に代表されるように水墨画の時代と評されてきました。
しかし近年の調査研究の結果、水墨画とは対照的な装飾的芸術であるやまと絵の屏風が相次いで確認されたそうです。
「月次風俗図扇面」
金泥がたっぷり使われ華やかな作品。
月の風俗が扇面に描かれているのですが、橋の上で宴会をする人や、弓の競技会らしきものなどがありました。
いきいきとしています。
「日月四季花鳥図屏風」
6曲1双の屏風。
右隻は柳と満開の桜。つがいの雉と5羽のひな。
左隻は水辺で松と楓。萩やすすきが風にゆれ、鹿が描かれています。
金箔が貼られていたそうですが、だいぶ(というかほぼ)剥落しています。
この屏風、枠は螺鈿細工がなされ、とても美しい。
《第5章:近世初期風俗画 -日常に潜む人生の機微を描く》
16世紀、長く戦乱の続いた時代がようやく終わります。
京都の町が落ち着くと、自由で日常を描いた作品が生まれます。
「江戸名所図屏風」
8曲1双の屏風。
江戸の主要な部分を描いています。
そしてそこに暮らす人々も描かれています。
鮮やかな色彩て活気のある世界が描かれていてついつい夢中で見てしまいます。
人いっぱいの日本橋、本丸のある江戸城、歌舞伎座などなど。
芸術作品でもありますが、江戸の人々の生活していたという資料でもあります。
「南蛮屏風」
大きく描かれた船。
派手な服の色、模様。
長身で非現実的なプロポーション。
南蛮船が来た時の衝撃が伝わってきます。
「洛中洛外図屏風」
6曲1双の屏風。
右隻には、大きく伏見城。上賀茂神社にいたる東山一帯の春夏。
左隻には、鞍馬、嵐山の秋冬。
作品の中でしか見れない伏見城。
かなり大きく描かれていますので本当に大きく目立つ建物だったのでしょう。
「世界地図・万国人物図屏風」
6曲1双の屏風。
世界地図と世界の人々が描かれています。
地図部分はかなり正確。
そして民族衣装の男女。
日本人はもちろんインディアンなども描かれています。
そんな遠いところの情報も手に入れられていたことが驚き。
《第6章:寛文美人図と初期浮世絵 -洗練されゆく人間美》
風俗画の中の女性たちは、寛文年間になると一画面に一人の女性を描くようになっていきます。
こういった作品は浮世絵の美人画へつながっていきます。
「若衆図」
書冊や刀を手にした、役者の舞台下での素顔とのこと。
少年趣味からこうした作品が描かれたそう。
すっきりとしていて美しいです。
懐月堂安度「立姿美人図」
「く」の字のようなくねっとした不自然なポーズの女性。
女性の立ち姿はこのころから増えていくことになります。
菱川師宣「遊里風俗図」
雪の積もった景色、雪をつかみ投げ合っている様子は現代でも見られますね。
遊里の座敷では男女がまったり過ごしています。
三味線をひいたり、踊ったり飲んだり。。
なんだろ、、江戸時代の人っていつ働いているのかな。笑
《第7章:黄金期の浮世絵 -妖艶な人間美》
浮世絵は喜多川歌麿、勝川春章、葛飾北斎などの絵師の登場によって、いよいよ黄金期を迎えます。
ここで展示されているのは肉筆浮世絵。
肉筆浮世絵は版画とは異なり、絵師が一枚一枚を絵筆を持って描いたもの。
勝川春章「桜下三美人図」
桜の木の下でくつろぐ3人の美女。
淡い桜の色も美しいのですが、3人の着物の色、文様。
背景の小川のほとりに咲く草花。
すべてが丁寧に描かれています。
春らしい温かさのある作品です。
《第8章:文人画 -自娯という独特の美しさ》
18世紀になると、知識人たちが自由な絵画制作をはじめます。
基本的にはアマチュアで自分の楽しみのために描きます。
ここではそういった自由に描いた作品が展示されています。
田能村竹田「梅花書屋図」
長年の友、頼山陽の死をきっかけに描いたもの。
梅林の中、友を訪ねる場面。
こまやかな筆遣いで描かれています。
描かれている人物は笑っているようにも見えました。
絵の中で友と再会していたのかな。
渡辺崋山「猫図」
バッタとそれを狙っているネコが描かれています。
緊張感漂う作品。
《第9章:琳派 -色とかたちの極致》
モチーフの形、配色の妙、奇抜な構図…。
装飾的な琳派の代表的な作品たちです。
伝 俵屋宗達「月に秋草図屏風」
6曲1双の屏風です。
金箔地にすすき、桔梗、萩。
銀色の大きな半月が輝きます。
華やかで美しい秋の夜です。
酒井抱一「風神雷神図屏風」
2曲1双の作品。
宗達の描いた後、光琳が描き、さらにその後、抱一が描いたこの題材。
其一も描いていますね。
色鮮やか。
ぱっと明るく感じます。
《第10章:狩野派と長谷川等伯 -正統な美vs 斬新な美》
16世紀後半から19世紀にかけて。
画壇の中心にいたのは狩野派でした。
強固な絵画理念と確かな表現力、そして美。
それに対し長谷川等伯は、狩野派には真似の出来ないユニークな発想によって斬新で瑞々しい美をあらわしました。
狩野松栄・秀頼他「扇面貼交屏風」
6曲1双の屏風です。
扇面を張り付けた屏風です。
扇には花鳥や山水、風俗など様々なものが描かれています。
また、開いていない扇や半開きのものも貼られていておもしろい。
そこにも描かれています。
華やかです。
長谷川等伯「松に鴉・柳に白鷺図屏風」
6曲1双の屏風です。
右隻は母鳥の下、餌を待つかのような雛。にぎやかでかわいらしい。
左隻は二羽の白鷺。こちらは凛とした印象。
白色と黒色の対比で鳥が表現されています。
さて、この作品、当初は雪舟の作とされていたそう。
左隻の左端、等伯の印が削り取られ"備陽雪舟筆"と書かれていたそうです。
江戸時代、雪舟の作品は大人気。
ですが、作品数が少ないため、そうそう世に出回りません。
そこで"雪舟筆"が増えたのだそう。。笑
近年、人気の高まっている等伯ですが、その等伯でもこんなことになっているんですね。
《第11章:仙の画 -未完了の表現》
最後は仙。
江戸時代後半の禅僧。
出光美術館の展示ではおなじみです。
ユーモアあふれる作品ですが、見るものにその意味を考えさせようとする仙の工夫が込められています。
仙「花見画賛」
花の下で宴会をし、楽しそうな人々を描いたもの。
そして
"吉野でも 花の下より 鼻の下"
との言葉が添えられています。
以上になります。
様々なジャンルから盛りだくさんの内容。
時間はたっぷりとったほうがいいかと思います。
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出光美術館
会期は2014年4月5日から2014年6月8日。
会期が2つに分かれています。
前期は4月5日から5月6日。
後期は5月9日から6月8日。
前期を見てきました。
「日本の美・発見」というテーマで、館蔵品のうち日本美術を選び、紹介する展示。
そのシリーズの9回目です。
今回は、出光美術館の日本絵画コレクションの内、鎌倉時代から江戸時代までのもっとも充実したジャンルの名品が一堂に会しています。
絵巻物から水墨画、やまと絵屏風、近世初期風俗画に寛文美人図、浮世絵。
さらに文人画、琳派、狩野派と等伯、出光美術館ではお馴染みの仙までと幅広い。
詳しくは章ごと書いていきます。
《第1章:絵巻 -アニメ映画の源流》
中国よりもたらされた"巻物"という形式。
ここに物語などをあらわし、日本独自の絵巻物ができました。
「橘直幹申文絵巻」
平安時代の文章博士、橘直幹が民部大輔の職に欠員ができたので、これを兼任しようと自ら作文した申文を小野道風に清書してもらい、朝廷に提出。
ですが、天皇の機嫌を損ねてしまった、というお話。
え??どこで機嫌損ねたの??
自分で書いてなくて人に書かせたところ??と色々疑問が出てくるのですが…。
天皇の機嫌を損ねたその一文。
名文として知られ、後に、内裏が炎上した際、天皇がその申文を搬出したかをわざわざ尋ねたのだそう。
うーん、なんとも。
いい話なのかな…。
絵巻には直幹邸の前の様子が描かれています。
よろずやには調理済みの食べ物が売られているなど、お惣菜屋さん的なものが見られます。
その時代を知る上でもおもしろい!!
人々が笑顔でいきいきと描かれています。
「長谷寺縁起絵巻」
色鮮やか!!
仏像の台座になるべき金剛宝石座を掘り出す場面。
嵐の中作業をしているのですが、風神雷神らしきものも描かれています。
風を袋から送り出す風神、太鼓叩く雷様など。
面白いです。
《第2章:仏画 -畏れと救いのかたち》
仏教における重要な教えなどを描く絵画は、さまざまな時代の要請を受けて描かれました。
ここでは極楽を描いたもの、地獄を描いたもの、それぞれが展示されています。
詫磨栄賀「山越阿弥陀図」
山並みの向こうから往生者を極楽へ導く阿弥陀如来。
色がとてもきれいで、また光輪を背にした姿が本当に輝いているかのようで眩しいぐらいです。
「六道・十王図」
6幅の大きな作品。
六道とは地獄道、餓鬼道、畜生道、阿修羅道、人道、天道。
十王は秦広王、初江王、宋帝王、五官王、閻魔王、変成王、泰山王、平等王、都市王、五道輪転王。
冥界で亡者の罪業を断罪する王たちです。
人が亡くなりお迎えがくる場面から描かれています。
冥界には不思議な生き物がいて、人は吊るされたり、溺れていたり。。。
かなり恐ろしく迫力ある作品。
《第3章:室町時代水墨画 -禅の精神の表現が芸術へ》
禅の精神の表現として、禅林で描かれた高い精神性を表現した水墨画。
それはだんだんと楽しみへと変わり、水墨画が芸術へと変わっていきました。
「山水図」
山の麗に湖水の景色。
遠くはぼやけ幻想的。
能阿弥「四季花鳥図屏風」
4曲1双の屏風。
松、蓮花、竹、鳥、花。。。
牧谿の影響を受けているそうですが、のどかな理想郷が美しく描かれています。
《第4章:室町時代やまと絵屏風 -美麗なる屏風の世界》
室町時代は、従来雪舟画に代表されるように水墨画の時代と評されてきました。
しかし近年の調査研究の結果、水墨画とは対照的な装飾的芸術であるやまと絵の屏風が相次いで確認されたそうです。
「月次風俗図扇面」
金泥がたっぷり使われ華やかな作品。
月の風俗が扇面に描かれているのですが、橋の上で宴会をする人や、弓の競技会らしきものなどがありました。
いきいきとしています。
「日月四季花鳥図屏風」
6曲1双の屏風。
右隻は柳と満開の桜。つがいの雉と5羽のひな。
左隻は水辺で松と楓。萩やすすきが風にゆれ、鹿が描かれています。
金箔が貼られていたそうですが、だいぶ(というかほぼ)剥落しています。
この屏風、枠は螺鈿細工がなされ、とても美しい。
《第5章:近世初期風俗画 -日常に潜む人生の機微を描く》
16世紀、長く戦乱の続いた時代がようやく終わります。
京都の町が落ち着くと、自由で日常を描いた作品が生まれます。
「江戸名所図屏風」
8曲1双の屏風。
江戸の主要な部分を描いています。
そしてそこに暮らす人々も描かれています。
鮮やかな色彩て活気のある世界が描かれていてついつい夢中で見てしまいます。
人いっぱいの日本橋、本丸のある江戸城、歌舞伎座などなど。
芸術作品でもありますが、江戸の人々の生活していたという資料でもあります。
「南蛮屏風」
大きく描かれた船。
派手な服の色、模様。
長身で非現実的なプロポーション。
南蛮船が来た時の衝撃が伝わってきます。
「洛中洛外図屏風」
6曲1双の屏風。
右隻には、大きく伏見城。上賀茂神社にいたる東山一帯の春夏。
左隻には、鞍馬、嵐山の秋冬。
作品の中でしか見れない伏見城。
かなり大きく描かれていますので本当に大きく目立つ建物だったのでしょう。
「世界地図・万国人物図屏風」
6曲1双の屏風。
世界地図と世界の人々が描かれています。
地図部分はかなり正確。
そして民族衣装の男女。
日本人はもちろんインディアンなども描かれています。
そんな遠いところの情報も手に入れられていたことが驚き。
《第6章:寛文美人図と初期浮世絵 -洗練されゆく人間美》
風俗画の中の女性たちは、寛文年間になると一画面に一人の女性を描くようになっていきます。
こういった作品は浮世絵の美人画へつながっていきます。
「若衆図」
書冊や刀を手にした、役者の舞台下での素顔とのこと。
少年趣味からこうした作品が描かれたそう。
すっきりとしていて美しいです。
懐月堂安度「立姿美人図」
「く」の字のようなくねっとした不自然なポーズの女性。
女性の立ち姿はこのころから増えていくことになります。
菱川師宣「遊里風俗図」
雪の積もった景色、雪をつかみ投げ合っている様子は現代でも見られますね。
遊里の座敷では男女がまったり過ごしています。
三味線をひいたり、踊ったり飲んだり。。
なんだろ、、江戸時代の人っていつ働いているのかな。笑
《第7章:黄金期の浮世絵 -妖艶な人間美》
浮世絵は喜多川歌麿、勝川春章、葛飾北斎などの絵師の登場によって、いよいよ黄金期を迎えます。
ここで展示されているのは肉筆浮世絵。
肉筆浮世絵は版画とは異なり、絵師が一枚一枚を絵筆を持って描いたもの。
勝川春章「桜下三美人図」
桜の木の下でくつろぐ3人の美女。
淡い桜の色も美しいのですが、3人の着物の色、文様。
背景の小川のほとりに咲く草花。
すべてが丁寧に描かれています。
春らしい温かさのある作品です。
《第8章:文人画 -自娯という独特の美しさ》
18世紀になると、知識人たちが自由な絵画制作をはじめます。
基本的にはアマチュアで自分の楽しみのために描きます。
ここではそういった自由に描いた作品が展示されています。
田能村竹田「梅花書屋図」
長年の友、頼山陽の死をきっかけに描いたもの。
梅林の中、友を訪ねる場面。
こまやかな筆遣いで描かれています。
描かれている人物は笑っているようにも見えました。
絵の中で友と再会していたのかな。
渡辺崋山「猫図」
バッタとそれを狙っているネコが描かれています。
緊張感漂う作品。
《第9章:琳派 -色とかたちの極致》
モチーフの形、配色の妙、奇抜な構図…。
装飾的な琳派の代表的な作品たちです。
伝 俵屋宗達「月に秋草図屏風」
6曲1双の屏風です。
金箔地にすすき、桔梗、萩。
銀色の大きな半月が輝きます。
華やかで美しい秋の夜です。
酒井抱一「風神雷神図屏風」
2曲1双の作品。
宗達の描いた後、光琳が描き、さらにその後、抱一が描いたこの題材。
其一も描いていますね。
色鮮やか。
ぱっと明るく感じます。
《第10章:狩野派と長谷川等伯 -正統な美vs 斬新な美》
16世紀後半から19世紀にかけて。
画壇の中心にいたのは狩野派でした。
強固な絵画理念と確かな表現力、そして美。
それに対し長谷川等伯は、狩野派には真似の出来ないユニークな発想によって斬新で瑞々しい美をあらわしました。
狩野松栄・秀頼他「扇面貼交屏風」
6曲1双の屏風です。
扇面を張り付けた屏風です。
扇には花鳥や山水、風俗など様々なものが描かれています。
また、開いていない扇や半開きのものも貼られていておもしろい。
そこにも描かれています。
華やかです。
長谷川等伯「松に鴉・柳に白鷺図屏風」
6曲1双の屏風です。
右隻は母鳥の下、餌を待つかのような雛。にぎやかでかわいらしい。
左隻は二羽の白鷺。こちらは凛とした印象。
白色と黒色の対比で鳥が表現されています。
さて、この作品、当初は雪舟の作とされていたそう。
左隻の左端、等伯の印が削り取られ"備陽雪舟筆"と書かれていたそうです。
江戸時代、雪舟の作品は大人気。
ですが、作品数が少ないため、そうそう世に出回りません。
そこで"雪舟筆"が増えたのだそう。。笑
近年、人気の高まっている等伯ですが、その等伯でもこんなことになっているんですね。
《第11章:仙の画 -未完了の表現》
最後は仙。
江戸時代後半の禅僧。
出光美術館の展示ではおなじみです。
ユーモアあふれる作品ですが、見るものにその意味を考えさせようとする仙の工夫が込められています。
仙「花見画賛」
花の下で宴会をし、楽しそうな人々を描いたもの。
そして
"吉野でも 花の下より 鼻の下"
との言葉が添えられています。
以上になります。
様々なジャンルから盛りだくさんの内容。
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