RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

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休日に全力で生きるOLの日記(笑)

メイド・イン・ジャパン南部鉄器 -伝統から現代まで、400年の歴史-

2014-01-31 21:30:00 | 美術
見てきました

パナソニック汐留ミュージアム

会期は2014年1月11日から2014年3月23日。

欲しい欲しい欲しい。
南部鉄器。
欲ーしーいーよぉぉぉぉぉ。

Sadaharu AOKIでお茶すると南部鉄器で出てくるよね。
あれ、自宅でもしたいよぉぉぉぉぉ。

と、南部鉄器に憧れていた私にはたまらない展示が開催です。
チラシの派手なピンク色が目を惹きます。
日本橋三越で売ってるの見たことある!!
こんなに欲しくて、買えない値段じゃないのになぜ買わないんだろう。。
持って帰るの重くて大変だからかな。。笑

さて、現在世間は密かに(!?)南部鉄器ブームです。
きっかけは、フランスやベルギーのハイセンスなティーサロンに、海外輸出用の南部鉄器のカラフルなティーポットが選ばれたこと。
各工房からは新しい感性による作品が次々と誕生。
また、南部鉄器に魅了されたデザイナーからの提案も人気作を生んでいます。
日本を代表するプロダクトデザイナー柳宗理による南部鉄器のキッチンツールなど、そういった人にも注目されていた、ということもきっかけの一つとなるでしょう。

南部鉄器についてですが、現在の岩手県北部を治めていた藩主南部家が、17世紀半ば、街づくりや文化振興に努めるなかで、鋳物師や釜師を京都などから招き、仏具や兵具はもとより茶の湯釜をつくらせたのが興り。
次第に各大名への贈り物として重宝され、特産品となりました。
1975年には国の「伝統的工芸品」の指定も受けています。
伝統を守りながら、新しい可能性を模索し評価される"Made in JAPAN"の南部鉄器。
今回は、選りすぐりの名品が並ぶ展示です。

《第1部 南部鉄器の歴史 その発展と逆境》
南部鉄器の「南部」は盛岡藩主南部氏に由来します。
歴代藩主の庇護のもとに育まれました。
明治時代には第一回内国博覧会(1877年)、米国シカゴ万博博覧会(1893年)など国内外で紹介されるほど。
1930年代にはドイツの建築家ブルーノ・タウトが8代小泉仁左衛門の≪亀甲形鉄瓶≫を著書(『日本文化私観』)のなかで賞賛。
そんな南部鉄器の江戸時代から明治、大正、そして昭和まで、時代を追って展示されています。

四代小泉仁左衛門 清光「老松釜(盛岡市指定有形文化財)」
盛岡・光照寺の寺宝。
松葉の地文に松の実の蓋。
現存する最も古い南部鉄器だそう。
そうはいっても状態もよく、時代を感じさせません。

有坂富右衛門「大瓢釜」
「夕顔釜」ともいうそうです。
撮はくちなしの実のかたちで鐶はひょうたん。
粗い肌で「侘び」といったものがよく出ています。

「月に時鳥文南部形鉄瓶」
表には時鳥。
裏に月。
夏の情景の古典的題材です。
時鳥の顔がちょっと怖いかな。。

「鉉(つかみ立もっこ鉉、袋座付立張鉉、袋座付鉉、つかみ竹鉉、つかみ透鉉、はめ込み袋もっこ鉉)」
鉄瓶の鉉は専門の職人によって作られるそうで、現在は唯一の工房が担っているそうです。
展示されているのは6種類。
それぞれに名前がついていて、竹のようすだったりと様々で素敵です。
こういったものも鉄瓶に風情を与えているんですね。

「牡丹文南部鉄瓶」
全体に牡丹唐草文様がぎっしり。
華やかです。
牡丹は桜に次いで好まれた花。
桜とは少し違った艶やかさがまたいいのかもしれません。

藤田源蔵 孝保「鏡肌富士形鉄瓶」
展示されているものの中でも目立ちます。
これだけ表面がつるつるなのです。
だから「鏡肌」
形も富士山の形です。
「磨き鉄瓶」というのだそう。

藤田萬蔵 孝保「波に鯉文富士形鉄瓶」
ここまでの展示で、全ての鉄瓶が注ぎ口が右に展示されていました。
右利きの人が鉉を右手で持った時、注ぎ口が左に向きます。
その際、対面にいるお客様に対する側が表なのだそうです。
ので、表を展示するときは右に注ぎ口がくることになります。
この作品は左側に注ぎ口がついています。
つまり裏に華やかな模様が施されているのです。
波間を踊り飛ぶ鯉。
躍動感あります。

三代高橋萬治 萬次郎「雷文平丸形鉄瓶」
施されているのは吉祥の文様である雷文。
胴回りと口周りに施されています。
鉉は縄編みを2本擦り合わせた「むく鉉」というもの。
とてもおしゃれです。

簗田吉右衛門「手鞠文丸形鉄瓶」
丸っこくてかわいらしいこちらは鉄瓶全体で手毬を表現しています。
糸を巻いたような文様が繊細でとても美しい作品。

「第一回国勢調査記念品鉄瓶」
1921(大正10)年、第一回国勢調査が行われた際、記念品に南部鉄器が選ばれました。
注文数は25,000個!!
職人達は大忙しだったそうです。。
日本地図が施されています。

金澤専治 鶴齋「編笠形鉄瓶」
編み笠をかたどったもので、網目の表現が素晴らしいのです。
作者は1930年のリエージュ万国博覧会で金賞を受賞しているとのことで、そのデザインや技術の高さは折り紙つき。

十三代鈴木盛久 繁吉「姥口蜻蛉釜」
姥口とは歯の抜けた老婆のこと。
口の周囲が高く、縁が肩より落ち込んでいる形状のことを指すそうです。
こういった形はなかったので、なかなか新鮮。
また、蜻蛉が可愛らしいのです。

《第2部 南部鉄器の模索・挑戦といま》
時代は戦後へ。
あらたなるデザインに活路を見出して復興した各工房の南部鉄器が並んでいます。
ここはヤバイです。
メモを見返しても
「ほしい」
「オシャレ。ほしい」
「ほしい、ほしい、ほしいー」
なんだ、これ。。。
とにかく欲しいものだらけなのです。

宮昌太郎「鉄瓶 十字星」
欲しい。笑
この人の作品はとにかく素敵です。
大量生産の生型鋳物にデザインを与えた人。
モダンでスタイリッシュ。
メモを見返すと「欲しい」とか「かっこいい」といった言葉ばかり。笑
オーナメントは部屋に飾りたいし、灰皿も使わないけど小物入れにしたい。
この鉄瓶は伝統技法に十文字の意匠を施したもの。
そのかわいらしさと幻想的なようすは「銀河鉄道の夜」を連想させます。

宮伸穂「格子鍋敷き」
いやぁぁぁ。
おしゃれ。
欲しい。笑
シンプルは美しきこと、と実感させてくれます。
こういったものを日常生活で使ったら心豊かに過ごせそう。

宮伸穂/ヨーガン・レール「テープカッター」
これが一番欲しいかもしれない。
会社で机に置いておきたい。
シンプルなのにこんなにかっこいいなんて反則です。
デザインの美しさと鉄の美しさに惚れ惚れしてしまいます。

岩清水久生「焼肌磨き仕上げ卵形鉄瓶(こけし形撮)」
現代的なフォルムの作品で知られる「空間鋳造」
この作品はすっきりとしていながら丸いフォルムが優しさを与えています。
岩清水氏は環境デザイン事務所勤務を経て岩鋳へ入社。
その後、工房「空間鋳造」を設立しています。
鉄瓶は「焼肌磨き」という技法で、滑らかな肌が魅力的。

米澤進「八稜線鉄瓶」
虎山工房「牡丹文南部形鉄瓶」
虎山工房「霰文尾垂形鉄瓶」
木型の改良により多角形の鉄瓶を開発した「虎山工房」から。
古典的に見えるのですが、目新しさも感じます。
多角形というのもその理由かな。
文様も美しく、、でも文様なくても形の美しさが秀逸です。

岩鋳「急須 曳船」
110年の伝統を守りつつ、海外に南部鉄器を広めた岩鋳。
カラフルで可愛らしい作品が並んでいます。
舟が引かれていくようすをモチーフにしたという形はすっきりと美しい。
ニューヨーク近代美術館に収蔵され、館内のカフェでも使われているそうです。
中はホーローで直接火にかけることはせず、ポットとして使うそう。
口には茶漉しもついているそうです。

アンシャンテ・ジャポン(製造:岩鋳)「カラーポット KIKU」
今回のチラシにも使われている、色も鮮やかで美しい作品。
フランス紅茶の輸入販売の会社、アンシャンテ・ジャポンが企画販売する商品。
製造は岩鋳です。
鉄に樹脂で着色しているそうですが、この技術に3年掛かったそうです。。。
逆輸入され、日本でも購入できます。
欲しい!!!!!

十五代鈴木盛久 熊谷志衣子「櫛目丸形鉄瓶」
初の女性釜師だそうです。
先代の死去に伴い、十五代となりました。
櫛目が美しいこの作品。
鉄に柔らかさを感じます。

鈴木成郎「四方釜《路》」
十五代鈴木盛久 熊谷志衣子の次男さん。
東京藝術大学卒業後、グラフィックデザインやイラストレーションの仕事の後、工房入り。
この作品、立法体で脇には階段が巡らされたちょっと変わった作品。
だからこそ好き。
不思議な空気を漂わせています。

佐々木和夫「透尾垂釜」
平たい底面を持つ革新的なユニバーサルシリーズを制作する「薫山工房」から。
竹葉の透かし模様が美しい。
鎧付は松の実です。

小笠原陸兆「すきやき鍋」
現代の生活空間にも合うシンプルでモダンな作品で知られる「小笠原陸兆」
このすき焼き鍋、、欲しいです。
シンプルで美しい。
これで食べたら絶対とってもおいしいと思う。

《第3部 現代の生活における南部鉄器》
ここはある意味、一番パナソニックらしい展示です。
ショールームのよう。
クリエイターが手がけた南部鉄器のコーディネートが並んでいます。
美しく生活に溶け込んだ南部鉄器。
ますます欲しくなります。

まずは柳宗理のコーナー。
柳宗理が2003年に発表した南部鉄器のキッチンウエアに、家具やテーブルウエアをコーディネイト。
現代家庭を再現した空間に並べられた南部鉄器がおしゃれです。

続いて、内田繁氏による茶室≪行庵≫。
1993年は茶会が終わると折り畳まれてしまえる茶室というコンセプトで制作されたそう。
木のフレームに竹や和紙で構成されています。
奥には南部鉄器の茶釜が。
素敵な空間です。

カラフルな南部鉄器のポットが並べられた空間はフランスのティー・サロンをイメージしたもの。
南部鉄器っておしゃれだな。。
日本にあっても海外にあっても馴染んでいます。

最後に料理スタイリストの堀井和子氏によるテーブルコーディネイト。
岩手や秋田などで制作された漆器、ガラス工芸、型染めなど、東北の工芸品と南部鉄器が並べられています。
電球素敵です。
さすがパナソニック。
そして壁にはルオーの作品がかけられています。
パナソニック汐留ミュージアム所蔵のものでもちろん本物です。
落ち着いた雰囲気もいいです。
なんて素敵な空間なんだ!!

また、H25年のNHK大河ドラマ『八重の桜』の主人公役・綾瀬はるかさんが盛岡市の南部鉄器の鈴木盛久工房を訪れた際の写真も展示されています。
NHKの東日本大震災プロジェクト「ただいま、東北❤」の一環として放映されたものだそう。

といった感じでとてもおしゃれで楽しい展示でした。
欲しい欲しい欲しいー!!!
という気持ちがとまりません。
伝統の品が時代に即して伝統を守りつつも進化していく。
南部鉄器の作家さんたちの心意気も素敵です



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