RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

お菓子好き。F1好き。
美術館行くの大好き。
買い物も大好き。
休日に全力で生きるOLの日記(笑)

アンリ・ルソーから始まる 素朴派とアウトサイダーズの世界

2013-10-31 21:30:00 | 美術
見てきました

世田谷美術館

会期は2013年9月14日から2013年11月10日。

久しぶりに世田谷美術館行ってきました。
改装後初、かな。
相変わらず駅から遠いね……

世田谷美術館のコレクションってちょっと変わっている。
そんな印象があります。
万人受けする絵画ではなく、素朴派や美術教育を受けていない画家の作品や現代アートなど。
まぁ、ルソーは人気もあり"万人受けしない"作家ではありませんが。。
今回はその世田谷美術館が注目してきた素朴派とアウトサイダー・アートのコレクション展示です。
美術の専門教育を受けなかった画家たちが、どのような経緯で作品を作り出したのか、何が制作に向かわせたのか。
「余暇」「晩年」「放浪」「心の中」などのキーワードをもとに10コに分類され、関連する近現代の作品も合わせて約140点の展示です。

《1. 画家宣言―アンリ・ルソー》
パリの税関に22年間勤めながら独自の世界を描き出したルソー。
40歳から独学で描き始め、どんなに嘲笑されようと描くことをやめませんでした。
今回はそんな私も大好きなルソーの作品から始まります。

アンリ・ルソー「サン=ニコラ河岸から見たシテ島」
青い空に浮かぶ白い月。
シートのかかった荷物を見張る番人。
ルソーらしく大きさなどいろいろなところがおかしいのですが、それでも好き。
この作品は空が好き。
幻想的です。

アンリ・ルソー「フリュマンス・ビッシュの肖像」
広々とした野に立つ一人の男性。
ダリ風のヒゲを生やしたなかなかダンディな方。
ルソーは仲のいい人に肖像画を送るなどしましたが、この作品もそのように贈られたもの。
送った相手は思いを寄せていた女性。
ルソーはこの女性を2番目の妻に、と思っていたそうです。
で、この描かれている男性は女性の結婚相手。
??不倫……????
いえいえ。
ルソーはこの女性を思い贈り物攻撃としてこれをプレゼント。
この男性は亡くなってしまい、女性へと慰めの気持ちで送ったのだとか。
これは、、恋愛テクとして効果あるんでしょうか。。。

アンリ・ルソー「散歩(ビュット=ショーモン)」
パリ91区にある公園を描いたものだそう。
元は石の採掘場でしたがその後ゴミ捨て場になり、19世紀の都市開発で公園になりました。
エキゾチックな木々が並ぶ中、細い道がありその先には真っ暗な入り口。
これは人口の滝が流れ落ちる洞窟の入り口だそう。
パリで行きたいところが増えてしまったよ。。笑

《2.余暇に描く》
美術評論家のヴィルヘルム・ウーデによって第一次大戦後に"聖なる心の画家たち"という展示が開催されました。
ルソーほか4名の独学の画家達を紹介した展示です。
彼らの共通点は職業画家ではなかったこと。
ある程度年をとってから独学で描き始めています。

アンドレ・ボーシャン「地上の楽園」
森の中のようなところに全裸の男性と動物たちが描かれています。
赤いポピーのような花も咲きにぎやかなイメージ。
ボーシャンというと花瓶に溢れるほどの花を描いた作品が多いのですが、それは元々家業の造園に従事していたためでしょう。

カミーユ・ボンボワ「三人の盗人たち」
カミーユ・ボンボワは農場手伝いや道路工事、見世物のレスラーなどをしていました。
この作品には3人の女性が描かれています。
3人、女性、盗む……キャッツアイ!??
といきたいところですが。。
えっと、すんぐりむっくりな女性です、はい。
おばさん顔だし。。。
それぞれ赤、青、黒のミニワンピですが、なんとも。。
特に黒。手に折れた枝を手にして尻餅をついています。
その傍に散乱する果実。。
果物泥棒か……

ルイ・ ヴィヴァン「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」
郵便局員だったヴィヴァン。
数々の画家が描いたムーラン・ド・ラ・ギャレットが描かれています。
サイズやバランスはかなりおかしいですが、それでも引き込まれる不思議。
細かな線をいっぱい使って描いています。

オルネオーリ・メテルリ「楽師と猫」
オルネオーリ・メテルリは靴職人。
デザイナーとして国際コンクールの名誉審査員も務めたこともあるような人です。
芝居と音楽を愛し、チューバをやっていたそうですが、50歳で断念。
その後、絵を描きます。
サインのところには必ず婦人靴のシルエットも。
靴職人らしくていいですなぁ。
この作品にはトロンボーンを抱えた楽師と猫が静かな街の中にいる様子が描かれています。
バランスはおかしいし、ちょっと不思議な空間なのですが、ちょっと影とか秘密の感じがして好きです。

サー・ウィンストン・S・チャーチル「ループ・リヴァーの淵」
場面は森の中。
水の波紋が独特です。
緑が写り込んで鮮やか。
さて、このチャーチルさん。
イギリスの政治家。
知らない方はいない
第一時大戦の戦略ミスの責任をとり、引き篭もります。
それ以降、絵を描くことを趣味とし、どこに行くにも絵の具一式を持参していたとか。
政治思想からチャーチルに好感を持っていなかったピカソでさえも「チャーチルは画家を職業にしても、十分に食っていかれただろう」と評価していました。
作家としてもノーベル文学賞を受賞しています。

《3. 人生の夕映え》
ここでは引退後に描き始めた・作り始めた作家の作品が並んでいました。

エーリッヒ・ベデカー「カウボーイ」
炭鉱夫だったベデカー。
60歳の誕生日にもらった人形をきっかけに製作を始めます。
実物大の人形を約1000体も残しました。
これは木やコンクリート、金属などで作られたカウボーイ。
細長い顔、茶のテンガロンハット、切り株に腰をかけ、青い服を着たカウボーイ。
ディ〇ニーのヤツに似てる……
テンガロンハットの反り返った部分は金属の円盤をまげて使ったりと様々な工夫が見えました。

グランマ・モーゼス「川を渡っておばあちゃんの家へ」
モーゼスおばあちゃんと呼ばれ人気を誇るグランマ・モーゼス。
刺繍を趣味としていましたが、リウマチになったことをきっかけに絵を描きます。
75歳のときです。
その後はアメリカの農村の景色を絵本の世界のような可愛らしい色彩で描きました。
この作品も雪景色の中、橋を渡る人が描かれています。
描かれているいくつもの家はミニチュアのようでかわいらしい。

グランマ・フラン「とれたての野菜」
こちらもグランマです。
遠く離れた2歳の孫に手紙を書くために絵を描き始めます。
明るい色彩で農場とそこで働く、遊ぶ人々が描かれています。
男性は青い服、女性は赤い服。
にわとりに牛に野菜に。。
細かく描きこまれ、こちらも絵本の世界のよう。

塔本シスコ「秋の庭」
脳溢血のリハビリが絵筆を握ったきっかけ。
真ん中に描かれた薄は茎が青。
回りにはルソーが描くような緑色の濃い、熱帯の植物。
エキゾチックな印象を与えつつ、琳派の装飾性も感じられました。
おもしろい作品です。

《4. On the Street, On the Road ―道端と放浪の画家》
道端に座りながら描いた人。
放浪の中で目にした光景を描いた人。
ストリート・アーティスト、などなど少し境遇の変わった作家の作品が展示されていました。

ビル・トレイラー「人と犬のいる家」
奴隷の子として生まれます。
85歳で拾った鉛筆を使い描き始めました。
今回のチラシやポスターにも使われている作品です。
平面的な家の前に影絵のような犬。
屋根の上にはシルクハットの男性。
家の中では女性。
ともに指で上を指しています。
なんだろ、、不思議。

山下清「晩秋」
貼り絵とおにぎりでおなじみ(!?)、山下清。
ドラマでは旅先で制作していましたが、実際は旅から帰ってきてから制作していました。
この作品は木々が秋色に色づく里の景色。
空は大きな紙で貼られ、木々や家は小さな紙で制作されていました。

《5. 才能を見出されて―旧ユーゴスラヴィアの画家たち》
ユーゴスラビアは独自の国家を築く過程でイヴァン・ゲネラリッチという農民画家を発見します。
そして彼に続く素朴な画家たちは国民画家として国を代表するに至ったそう。
美術の世界などは国家動向を気にせず、ときにあえて逆らったりしますが、彼らの作品は国家の動向と結びつく傾向があったそうです。
今回、一番おもしろい発見だったのがここ。
旧ユーゴスラビアの文化ってまったく知りませんでした。

イヴァン・ゲネラリッチ「ダブル・ポートレート」
ガラス絵です。
そう、ここに展示されている作品はほぼガラス絵でした。
それがまたすごく綺麗なんです。
この作品は雪景色を背景に2人の男性が描かれているもの。
真ん中で区切られていて、真ん中は枯れ木に大きなきのこという秋の景色でした。

ミーヨ・コヴァチッチ「焼き物師」
とても幻想的です。
馬車の荷台に座る男性は何かを食べています。
茅葺屋根の絵本の中のような家が背景に立ち並び、不思議な空間となっていました。

イヴァン・ラツコヴィッチ「散在する村落」
描かれているのは冬の森。
枯れ木が立ち並ぶ中、中央に存在するのは木よりも大きな木製のテーブルのようなもの。
そこには青いクロスがかけられ、その上に家が立ち並んでいます。
端っこからは雪がおちるかのように家が落ちています。
そのテーブルの足元には大きな斧。
不思議な世界ですが、かなり好き。
マグリットとかが好きな人は好きなんじゃないかな。

イヴァン・ラツコヴィッチ「冬」
これは先程の作品と少し似ています。
冬の枯れ木の森。
空に写る飛ぶ鳥のシルエットが寂しげな冬を醸し出しています。
空のグラデーションがとっても綺麗。
空の色がたまらなく好きです。

イヴァン・ラブジン「神秘な光」
これも好き。
パステルカラーの空、そして雲。
空の真ん中に大きな穴があり、そこから雲がもくもくと連なって出てきています。
ピンクから青へ淡い色でグラデーション。
神秘的な雰囲気です。
明るい色だからか、穏やかな気持ちになる作品。

《6. 絵にして伝えたい―久永強》
カメラ店を営みクラシックカメラの修理の腕は一級品、な久永強。
あるとき、画家・香月泰男がシベリア抑留体験をもとに描いたシベリア・シリーズを見て衝撃を受けます。
「私のシベリアはこれではない。」
久永は、自らのシベリアを伝えるために描き始めました。

久永強「過ぎ去った50年の風景」
暗い暗い森の中。
1本だけ見える白樺の木。
この木だけ輝いて見えます。
希望だったりしたのかな、、とも。

久永強「レクイエム・その1」
シベリア抑留中はバーム鉄道建設の作業に携わっていたそうです。
そこでは1日のノルマが課せられ、昼間できないと夜も作業が続いたそう。
それは暗い暗い森の寒い寒い世界での出来事。
1日に300gの黒パンと雑穀のスープのみというひもじい食事で戦友は次々と亡くなっていったそう。
これはその友を埋葬する場面。
屍の着物は大切な物資。
死者から剥ぎ取るように指示されたそう。
極寒の地でのせめてものはなむけ、と思いつつも指示に背くわけにはいかない。
明日はわが身と思いつつ衣服を脱がせたそうです。
また衝撃的だったのが死体がバラバラになること。
あまりにも寒い地域のため、すぐに凍ってしまうそうです。
そのためぶつけたりすると折れたり割れたりしていまうのだとか。
そうならないように気をつけて埋葬するのもまた重労働だったそうです。
画面以上に重苦しい空気がそこには漂っていました。

久永強「鬼の現場監督」
1人のロシア人男性が描かれています。
顔の左半分は影になっていますが、見えている右半分からの印象は強烈。
青い目がじっとこちらを見つめています。
"私は忘れない。残忍な鬼の目を。"

久永強「東の国に渡る鳥」
空を見上げて鳥が見えたら。
翼が欲しい。帰りたい。
そんな気持ちが存分に伝わってくる作品。
ご飯が食べたい。母に会いたい。
そう言って亡くなった友の、そんな気持ちまで伝わってきます。
ここに展示されていたものはとても思いの詰まった作品でした。
素朴派とかそういったものではない。
伝えなければいけないという使命感に駆られての作品。

《7.シュルレアリスムに先駆けて》
ここはシュルレアリスム、、というか。
霊界や見えない世界など少し変わった作品が並んでいました。

モリス・ハーシュフィールド「母と子」
ポーランドに生まれたハーシュフィールド。
20歳前にアメリカに移住。
工場労働者として働き、数年後独立。
織物関係の世界で成功をおさめます。
しかし、健康を崩した1935年に仕事を辞めざるを得なくなります。
失望の淵で見つけたものが絵を描くことだったそう。
この作品も周囲に布織物の柄のようなものが細かく描き込まれています。

マッジ・ギル「"マイニナレスト"モーセ」
女性の顔がとにかくたくさん描かれています。
19歳で看護師となったマッジ・ギル。
38歳で守護霊と交霊します。
……んっ!??
そうゆうことですが。。
草間の作品にも女性の顔をたくさん描いたものがありますが、何か意味があるんだろうか。

草間彌生「ねぐらにかえる魂」
初期のコラージュ作品です。
夕暮れの森を飛ぶ鳥たち。
こちらを見るたくさんのフクロウ。
フクロウのあのらんらんとした目がだんだん水玉模様に見えてきました。。。

《8. アール・ブリュット》
アール・ブリュットとは「生の芸術」という意味。
主に、子どもや、正式な美術教育を受けずに発表する当てもないまま独自に作品を制作しつづけている人の芸術のことを指したりします。
ジャン・デュビュッフェは、生のままの芸術「アール・ブリュット」を提唱して戦後美術に大きな影響を与えました。

カレル・アペル「親猫・子猫」
らんらんと光る大きな目をした猫が3匹描かれています。
確かにこれは、、こどもの落書きか、、ととれます。
アウトサイダーアートとかアールブリュットとか難しいですね。。。

《9. 心の中をのぞいたら》
近代精神医学は20世紀初頭から、心に病を持つ人々の創作に注目してきました。
オーストリアの精神科医レオ・ナヴラティル博士は、患者の中に優れた芸術的才能をもつ人々を発見し、彼らが芸術家として生きる場所を作り出しました。
マリア・グギング国立神経科病院内にあった「グギング芸術家の家」活躍した作家の作品の展示です。

アドルフ・ヴェルフリ「ツィラー=タールの聖三位一体」
スイスの貧しい家庭に生まれたアドルフ。
両親に虐待されて育ち、成長すると農場労働者として働くように。
その後、軍隊に入り、精神病院へ。
精神病院への入院は三回も幼女相手に性犯罪をしたのが原因。
以後死ぬまで病院で生活します。
彼は自らを聖アドルフ巨大王国の王、聖アドルフ二世だと名乗りました。
29000ページ、45巻におよぶ聖アドルフとしての自伝も書いています。
エネルギッシュなんですね……
この作品も細かく細かく描かれていました。
上手いか下手か、芸術的センスは??と問われたら疑問ですが。。

ルイ・ステー「身振りをする6人」
建築家ル・コルビュジエの従兄弟です。
以前のル・コルビュジエの展示でその作品を見ましたが、この病院に入院していたんですね。。
指とインクで描かれた作品は躍動感ありました。

オスヴァルト・チルトナー「お辞儀をする人たち」
体がなく頭のしたから足が伸びている人たちが首を曲げています。
一定の感覚で描かれたその人たちの同じ行為は不思議です。

とても情報量の多い展示でした。
最後のほうは見ていて私も病んでくるんじゃないか、と思えてきましたが。。。
今回は職業画家ではない画家たちの作品。
描くことは自分を表現すること。
アートって普段の日常生活の中にあって身近なもの、と感じることができる展示でした。
とてもおすすめです。



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セキ美術館名品展 加山又造と近代絵画の巨匠たち

2013-10-30 21:30:00 | 美術
見てきました

ニューオータニ美術館

会期は2013年9月28日から2013年11月14日。

加山又造(1927-2004)
京都府生まれの日本画家です。
西陣織の図案家の子として生まれ、京都市立美術工芸学校(現京都市立銅駝美術工芸高等学校)、東京美術学校(現東京芸術大学)を卒業。
山本丘人に師事します。
戦後まもなく創立された美術団体・創造美術に西洋絵画の強い影響を感じさせる動物画を発表して注目を浴び、戦後の日本画に新しい風邪を吹き込みました。
今回はセキ美術館のコレクションから加山又造の作品を中心に日本画と洋画、約40点の展示です。

まずは日本画からでした。

加山又造「冬」
かなり小さい作品。
枯れ木の森の中、雪の積もった小道にふと立ち止まった小動物がこちらを見ています。
きつねとかテンかなぁ。。
冷たく寒い冬の雰囲気がとても出てきてます。

加山又造「飛ぶ黒い鳥」
金地に2羽の真っ黒なカラスが描かれています。
デフォルメされて描かれた姿はまるで骨のよう。
体は羽のみ、鋭いくちばしに細く伸びた脚。
悪魔の使いって言われても信じるような雰囲気です。

加山又造「白い道」
雪に覆われた山道です。
暗い空にはカラスの群れ。
その鳴き声が聞こえてきそうな臨場感です。
不安な感じです。

加山又造「夜桜」
闇夜に浮かぶ満開の桜。
そして傍らには篝火。
火の粉が飛び闇を明るくする様は幻想的です。

加山又造「凝」
加山又造は猫が大好きだったそうです。
青い眼のペルシャ猫が、飛んできた同じ色の蝶に気づき、じーっと見ています。
かわいらしい。

加山又造「冬山」
真っ青な空に、真っ白な山。
北アルプスです。
山肌から立ち上る雪煙もぼんやりと描かれています。
爽やかな冬、といった感じです。

横山操「暁富士」
真っ赤な富士山。
金泥の空の色といい、輝き眩しいです。
赤い富士山はまず黒で描いてから赤で一気に決めるそうです。
そして刷毛でぼかす、と。
厚く塗られた絵具のようすもあってか、力強さを感じます。

高山辰雄「朧」
霞がかったような森を、淡い月光が照らしています。
色彩も美しく、静かで神秘的です。

東山魁夷「静寂」
尾瀬の湿原が描かれています。
薄暗い空にぼんやりと描かれた湿原はこちらも幻想的で惹きこまれます。

横山大観「初夏竹林」
靄にかすむ竹林。
時間は絶対に朝だろうな。
すがすがしい空気の中、すーっと伸びた竹から生命力を感じます。
色の濃淡で大気や光の様子を表現していて、さすがだな~と。

上村松園「汐くみの図」
あぁ、美しい。
顔も着物も所作もすべて。
能の"松風"をもとにした舞踊「汐くみ」がテーマです。
在原行平との身分違いの恋が実ることのない海女の松風。
どこか寂しげで儚げで。

黒田清輝「プレハの村童」
ここから洋画です。
といっても洋画は展示数も少なかったため、そんなに書くものもありません。。
淡い色彩と荒めの筆致で描かれた男女の子供。
背景はのどかな田園風景です。
女の子のほうが年上なのかな。。
ませた印象があります。

展示は少なめですが見所はたくさん。
セキ美術館は愛媛県松山市の道後。
温泉からもすぐ近くの美術館。
行ってみたいなぁ~。



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京都土産

2013-10-29 21:30:00 | ミュージアムショップのお菓子たち
「京都展」のお土産です。


とらやの羊羹。
なんと京都限定商品!!


左から黒豆黄粉、夜の梅、白味噌。
黒豆黄粉と白味噌が京都限定。
なんてすばらしく私好みなんだろう。笑
京都限定とか普段変えないじゃないか。
夜の梅は東京でも購入できます。
だた、このパッケージは慶事用。
鶴と亀が描かれたおめでたいVer.です。

とらやは室町時代後期の京都で創業。
江戸時代の記録では「洛中洛外図屏風」にも描かれてた今日の名所にお菓子を納めていたそうです。
御所のほか、聖護院や大徳寺、幕末には二条城へも。
歴史がすごすぎです。。。

そうだ、(羊羹を買いに)京都へ行こう!!



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京都 洛中洛外図と障壁画の美

2013-10-28 21:30:00 | 美術
見てきました

東京国立博物館

会期は2013年10月8日から2013年12月1日。

今回は京都。
ってだいぶアバウトです。
タイトルに「洛中洛外図と障壁画の美」とあるように洛中洛外図と障壁画の展示です。
約20点とかなり少なめな展示です。

《第1部 都の姿 ―黄金の洛中洛外図》
洛中洛外図とは京都中心部と郊外の景観を上空から見下ろしたかのように描いたもの。
室町時代から描かれはじめ、江戸時代を通して数多く制作されました。
そのほとんどが屏風絵で、四季が巡るなか、御所をはじめ貴族や武家の御殿、名高い寺社、観光名所をとりあげて、そこに暮らす人々の生活を描き出した風俗画。
国宝、重要文化財に指定されている洛中洛外図7件すべてが展示されます。
(前期と後期で展示されている作品は違います。)

岩佐又兵衛「洛中洛外図屏風 舟木本」
6曲1双の屏風です。
滋賀県の医師、舟木氏が所有していたため、この名で呼ばれています。
南から見た京都の景観を、東から西へ連続的に展開させています。
右端には、豊臣秀吉が建てた方広寺大仏殿、左端には徳川家康が建造した二条城。
時代背景も分かります。
この作品にはなんと2,700人以上もの人が描かれているそうです。
方広寺大仏殿の大仏を見上げる人、
店先の商い、
三十三間堂の通し矢、
五条大橋で酔っ払っているのか両脇を抱えられて歩く人。。。
当時の庶民の様子までこれでもか、と描かれていました。

狩野永徳「洛中洛外図屏風 上杉本」
国宝です。
これは13代将軍足利義輝が狩野永徳に描かせたもの。
義輝が亡くなったのち、織田信長が手にし、上杉謙信に贈ったとされています。
左隻に足利将軍邸、右隻に御所を描く、室町時代の形式に拠っています。
現存する「洛中洛外図屏風」は100点ほどが知られているそうですが、これはその中でも最高峰とされているそうです。
確かに他の作品とは金泥の輝きが違います。
これはかなり鮮やかに輝いていました。
こちらにも約2,500人が描かれ、農作業をする人、鷹狩りの一行、紅葉狩りの人々が描かれていました。

《第2部 都の空間装飾 ―障壁画の美》
ここでは建物内部の障壁画が展示されていました。

1.王権の象徴 ―京都御所
京都御所は鎌倉時代中期から明治時代初頭まで歴代天皇が住んでいた宮殿。
御所には重要な儀式を行う紫宸殿、天皇の日常生活の場である常御殿、行事の場である清涼殿などがあります。
それらの室内を飾る襖絵などは同時の一流の絵師たちが描きました。

狩野孝信「賢聖障子絵」
寛永18(1641)年、仁和寺に下賜された紫宸殿に設えられていた現存最古の賢聖障子絵。
御所の正殿である紫宸殿は、即位など朝廷の重要な儀式を行う最も格式の高い場。
これは中国古代の賢人聖人32人が描かれていました。
力強くはっきりと描かれていました。

2.仏法の荘厳 ―龍安寺
続いては龍安寺。
龍安寺は室町時代に細川勝元が宝徳2(1450)年に創建した禅宗寺院。
まずは、幅約16mのスクリーンに4K画像で、ほぼ実物大の龍安寺石庭の四季が投影されていました。
枝垂桜の咲く春から、夏の雨降る様子、秋の紅葉、雪降る冬と移り変わる様子を縁側に座ったつもりで眺めることが出来ます。
4Kって本当にキレイだなー。。

「列子図襖」
列子は中国戦国時代の思想家で、風を操ることが出来たそうです。
金地に人物と岩などその場面が描かれています。
龍安寺の方丈は、寛政9(1797)年の火災で焼失したため、慶長2(1606)年に織田信包(信長の弟)によって建立された塔頭、西源院の方丈が移築されたもの。
室内を飾る襖絵は、狩野一門の手によるもので、桃山絵画の特徴が色濃くあらわれた力強い人物画を中心としたものだったそう。。
それらの襖絵は明治の廃仏毀釈の波に飲まれて、様々な人の手に渡り所在不明に。
これはフロリダのコレクターがハワイで購入したもので、1989年にメトロポリタン美術館へ寄贈したそう。
今回、初の里帰り公開だそうです。

3.公儀の威光 ―二条城
徳川将軍家の権力を誇る二条城。
二条城の黒書院一の間、二の間の襖絵、全69面と大広間四の間の襖絵が展示されています。
ここは当時の配置と同じように展示されていました。
ソファに座って眺めているとなんだか落ち着きつつも大名の気分(どんな気分!??)

狩野尚信「桜花雉子図 二の丸御殿 黒書院二の間(東側)」
雌雉と若雉が遊ぶ庭にゆるやかに流れる小川。
桜は満開で華やか。
桜の花は胡粉を使ってぷっくり盛り上がって描かれていました。
のどかで美しい日本の春です。
黒書院は小広間とも呼ばれ、将軍が執務を行う部屋として使われたところ。
また身分の高い公家や僧侶、御三家や親藩、譜代の大名たちとの謁見の場としても使われていました。
この場所で、徳川幕府最後の将軍、慶喜が近臣へ、大政奉還(慶応3年10月14日)前日に自らの決意を述べたといわれています。

狩野探幽「松鷹図 二の丸御殿 大広間 四の間(西側)」
金地の背景に滝、長押を突きぬけて天井まで届くほどの太い幹枝の松。
松にはするどい目をしたイヌワシが止まっています。
かなりの大きさです。
大広間四の間は武器庫として使われていた部屋だそうです。
将軍の武威を見せつけるためにこのような題材が描かれたそう。
確かに強そうです。

という感じです。
華やかな京を体現できます。
国宝の「洛中洛外図屏風 上杉本」は11月4日までの展示ですので、気になる方はお早めに。

そうだ、京都へ行こう!!



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クリスマス・イヴイヴイヴイヴ……

2013-10-27 20:30:00 | 食べ物
もうすぐクリスマスですね
都内百貨店ではクリスマスケーキの予約が始まりました
"今年は何を買おうかな~"
ってウキウキで眺めていたら
「今年、都内にいないんじゃない??」
と。。
そうだった、クリスマス前の3連休は都内にいないんだった。。
でも3連休ってクリスマス関係ないよね!?
クリスマス当日は都内にいるし。。。
クリスマスケーキの引渡しって24日か25日だよね!?
仕事後取りに行こうかな~

と色々今年のケーキについて考えながら、仕事後に渋谷の東急へ寄ったとき。
クリスマスケーキのイベントやっていました。
1日限定。
あ、この話、先週ぐらいの話です。
クリスマスケーキご予約会、オープニングイベントってことでパティシエの実演があったりしたそう。
で、その日は何店舗かケーキを販売していて、クリスマスケーキのミニVer.を売っていたりしたのです!!
買うしかない!!!!!笑

トップの可愛らしいケーキは《ローザブランカ表参道》
ここは表参道にあるゲストハウスだそうで、普段は販売はしていないそうです。
そこはウェディングパーティーの際、ケーキバイキングを用意してくれるそうで、今回はそのサイズでの販売
いい式場ですな、ケーキバイキング。笑


右側の2段になっているケーキは『プリメーラ クラッセ』
とってもかわいい!!
プレゼントみたいにリボンが捲かれているところ、ベリー系の色使いもいいな。
中はピンク色のスポンジ

これまたかわいい

左側は『恋するピンクショートケーキ』
生クリームのピンクのバラがかわいらしい。
中はピンクのスポンジでこれまたかわいい。

ブライダルのお店らしい華やかでかわいいケーキです

2つ買って、1,000円ちょっとだった気がします。
なお、クリスマスケーキのお値段は
『プリメーラ クラッセ』が¥15,750-
『恋するピンクショートケーキ』が¥3,675-
今回購入したものの大きいサイズがクリスマスケーキとして販売されます。
今日のサイズのほうがかわいくていいな
色々な種類食べられるしね。


こちらは《レストラン タテル ヨシノ》のケーキ。
左側のケーキが今年のクリスマスケーキ、『ビジュー ノエル』のミニVer.
キルシュ風味のマスカルポーネのムースに、組み合わされているのは、ほおずきのコンフィチュール。
ほおずきのコンフィチュールは初めて!!
酸味がとってもいい感じです

こちらのクリスマスケーキのお値段は¥4,515-
うん、小さいので色々食べたい。笑
右側のタルトは通常商品のようです。

それにしてもケーキっていい!!
ダンボーかわいい!!



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種田陽平による三谷幸喜映画の世界観-『清須会議』までの映画美術の軌跡、そして…

2013-10-26 21:30:00 | 美術
見てきました

上野の森美術館

会期は2013年10月12日から2013年11月17日。

『この秋、美術館が映画館になる』
そんなフレーズがチラシやポスターを彩るこの展示。
"あ、そうなんだ。でも映画見ないからな~。"
と私としてはスルーするか行くか迷っていたのです。
で、とある日。
仕事休んで1日美術館デー。(←おいっ)
"今日は上野を攻めるぞー!!!!!"
朝、9時半の開館と同時にトーハクから攻めていったのです。笑
トーハク見て、藝大見て、都美見て、、、
西洋は見てあるから、、、上野の森美術館も行っとくか~というノリ。

映画を見ない私。
三谷氏の作品も1つも見たことはありませんが、映画のセットや舞台裏を少しのぞいてきちゃいました。
あ、作品名ぐらいは知っているよ!!笑

さて。
日本のエンターテインメント界を代表するヒットメーカー・三谷幸喜氏。
その映画の魅了に舞台となるセットがあります。
豪華絢爛なホテル、美しくノスタルジックな街並み、荘厳で重厚な法廷…。
そのセットを手がけるのが、美術監督・種田陽平氏。
三谷監督作品の『THE有頂天ホテル』『ザ・マジックアワー』『ステキな金縛り』『清須会議』、舞台『ベッジ・パードン』の美術監督を務めています。
他には『フラガール』『悪人』『空気人形』『ヴィヨンの妻』などの日本映画。
クエンティン・タランティーノ、チャン・イーモウ、キアヌ・リーブスら海外の監督作品も手がけるすごい方。
2010年芸術選奨文部大臣賞、2011年に紫綬褒章を受けているのです。

「映画は建築だ」
種田氏の言葉。
この言葉の通り、『THE有頂天ホテル』、『ザ・マジックアワー』、『ステキな金縛り』で美しく壮大なセットを製作し、「リアルだけど、おとぎ話のような」三谷映画の世界を具現化してきました。
今回はそれらのセット製作のための資料や、実際に撮影に使われた装飾、小道具などなど。
セットがいかにして三谷映画を彩ったのかが紹介されています。

今回一部撮影可能でしたので撮ってきました!!
美しく驚きの世界を写真で少しご紹介します。

まずは「THE有頂天ホテル」
撮影で使われた小物やセットの図面などなかなかおもしろいものが展示されていました。
ホテルのアミニティといった細かいところまで丁寧に作りこまれていて、撮影終了後に使わないのがもったいないと思えてくるぐらい。

ホテルです。
パネルですが。。

そして次は「ザ・マジックアワー」
ここも使われた小物や図面。
あとセットが出来るまでの映像もありました。
これはなかなかおもしろい。
街のセットを作るという大掛かりなものでかなり見ごたえありました。

ここに立ったら違う世界に行けそう。

そして「ステキな金縛り」
重厚感あるセットとなっていました。

椅子も特注品だそうです。
ゴシップ的なスポーツ紙の小物もおもしろかった。

と、ここまでは過去の3作品。
1つの作品が1つの小さなシアターで展示されているようで可愛らしく見ているだけでも気分あがります。

続いては種田氏の海外の作品。
まずは「キル・ビル」
ユマ・サーマン演じるブライドとルーシー・リュー演じるオーレン石井が戦う青葉屋がメインで紹介されていました。
雪の庭園の雪をいかに表現するか、などなかなか見ていて面白い。
"一緒に仕事をするのが喜ばしい、偉大なアーティストの一人だ"
とタランティーノ監督の言葉が。

続いては台湾のウェイ・ダージョン監督「セデック・バレ」
3000m級の山に連れて行かれ、「ここに村を作りたい」と言った監督に「こうゆう風景を作り出すのが映画美術だ」と台北の更地にセットを作り出したそう。
台湾にベテランのスタッフがいなかったため、日本から大道具、美術部、装飾部など総勢15人が参加。
製作と同時に指導も行ったそうで、今後きっと素晴らしい作品を作り出すことでしょう。
見事に山中の村を再現し、映画を撮影。
"自在に時空をこえ、ファンタジーと現実の世界をこえて表現する彼の両手に敬意を表する"
とは監督の言葉。

続いてはチャン・イーモウ監督「ザ・フラワーズ・オブ・ウォー」
巨大な大聖堂など全てをセットで作った作品。
かなり大掛かりです。
チャン・イーモウ監督も全てセットでの撮影は初めてだったそうで、「よくやった。君の銅像をここに建ててもいい」と種田氏と笑いあったとか。
"才能があり、勤勉で、妥協をゆるさない。傑出した芸術家、種田。"とべた褒めです。

そしてキアヌ・リーブス監督「マン・オブ・タイチー」
キアヌが監督・主演のカンフー映画です。
ここでも素晴らしいセットを作り上げた種田氏。
再建前と再建後の2つの寺院はとくにキアヌ監督を感激させたそうで、その写真を額装しメッセージを入れ種田氏にプレゼント。
"デザイン、遂行能力、物語性のある美術。種田は偉大なアーティストだ。彼と仕事が出来て光栄だった。"
とのこと。
これもセットがなかなか凝っていて今まで見た中では一番デザイン性あるかも。

そして最後に、三谷幸喜監督最新作「清須会議」のセットです。
本能寺の変で織田信長が死んだ。
その後を継ぐのは誰か。
策略渦巻く中、開かれる清須会議。。。
時代劇なのです。
実際に使用した約2mの清須城の模型などがありました。

そしてここでも小道具や登場人物をイメージした部屋の模型とか。。
そしてここは日本画好きにはたまらない空間になっていました。
オープニングアニメーションは「洛中洛外図」などを参考にして描いたようですし、部屋の襖絵が狩野派チックだったり。
ちょっとこの映画見たいかも。
公開は11月2日から。

いつもとちょっと違ってちょっと不思議な展示。
でも映画を見ていない人間でも楽しめました。
そして。
「清須会議」見に行こうかな~ってちょっと思ってみた。笑



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上海博物館 中国絵画の至宝

2013-10-25 21:30:00 | 美術
見てきました

東京国立博物館 東洋館

会期は2013年10月1日から2013年11月24日。

東洋館リニューアルオープン記念の展示です。
室町から江戸時代の絵師が憧れた中国絵画。
今回、中国でも最大規模の収蔵を誇る上海博物館から、宋元から明清まで、約千年に渡る中国絵画を代表する名画が一堂に展示されています。
初公開や一級文物(中国の国宝)を含む約40点の展示です。

今まで見てきた室町や江戸の絵師の作品。
大元を辿れば中国絵画に行き着きます。
これは見なければ!!と行ってきました。

第1章 五代・北宋 ─中国山水画の完成─
今から900年ほど前の北宋時代。
中国ではそれまでの貴族に代わって、科挙に合格した士大夫(したいふ)と呼ばれる支配階級の中央官僚たちによる新しい社会づくりが始まりました。
それらの人々が自らの感情を表現するために作りだした新しい芸術が文人画。

「閘口盤車図巻」
これは人物描写などが「清明上河図」にも似た細密さ。
水引車が粉を挽き、役人が検査をし、袋詰め。
そして船に乗せ出荷、という様子が描かれています。
皇帝に社会の工業の発達を報告するために描かれたという説もあるとか。
はっきりした線で建物などもかなり正確に描かれています。

王�汞(おうしん)「煙江畳嶂図巻」
北宋文人画の代表作とのこと。
水面に浮かぶ2つの船。
山中の理想郷で遊ぶ人々。
この理想郷は水上に浮かび上がっているようにも見えます。
美しく幻想的な景色が描かれていました。

第2章 南宋 ─詩情と雅致─
1127年、金に攻められた北宋が南に逃れると、杭州に都が移り、南宋が建国されます。
風光明媚な西湖のほとりの新しい都では、北宋までの高い写実表現を継承しながらたくさんの宮廷画家が活躍し、詩情にあふれた魅力的な絵画が生み出されました。

馬麟「楼台夜月図頁」
うっすらとひかる月。
その明りのもとに浮かび上がる楼閣。
周りには白い花が咲いています。
月光と花の香りを表現したものだそうです。
詩情あふれる景色です。

第3章 元 ─文人画の精華─
元時代にモンゴル帝国が中国を支配。
それまで社会の中心であった漢人の士大夫たちは政治的に迫害され、その結果、内面の自由を追求する文人画に自らの心情を託すようになりました。

倪瓚(げいさん)「漁荘秋霽図軸」
小さな岩の塊のようなところにすーっと伸びる細い木、そして上部に描かれた山。
倪瓚(げいさん)は漂泊の人生だったそうです。
ちょっと寂しげな感じと不思議な雰囲気がします。

夏永「滕王閣図頁」
細かい。すごく細かい。
建物も木々もすべて。
絵が描かれている絹地の糸目と同じくらい細く緻密な線が描かれているのだそう。
巧みの技です。。

第4章 明 ─浙派と呉派─
やがて明が中国を統一。
中国を統一した明朝の首都・北京で宮廷画家として活躍したのが「浙派」。
浙派はその激しい筆法から「狂態邪学」と批判されるようになりますが、その急先鋒に立ったのが「呉派」の文人たち。
呉派は北京ではなく、江南の文化都市・蘇州を中心に、俗を嫌って清雅を求める生活を送っていたそうです。

李在「琴高乗鯉図軸」
李在は雪舟が中国に渡ったのちに師事した画家。
仙人が鯉に乗って現れ、それを見た人々が驚き、歓迎する様子が描かれています。
なんだかちょっぴり楽しそうです。

第5章 明末清初 ─正統と異端─
浙派と呉派の争いは呉派の勝利に終わります。
その後、近代に至るまで画壇の主流は呉派と、その画風を発展させた董其昌(とうきしょう)ら正統派とよばれる画家たちによって継承されていきました。 
が、明代末期になると、それら正統派に背を向けた異端の画家たちが現れます。
ここでは少し変わった作品が展示されていました。

呉彬「山陰道上図巻」
今まで見た作品の中で一番変わっています。
ぐるぐる渦巻くような景色。
建物はおもちゃのようだし、何より山や木々が奇怪です。
こんな山水図があるのか、、とびっくりさせられる作品。

うんじゅへい「花卉図冊」
あさがおや牡丹、菊や桃など色鮮やかで美しく描かれています。
これは誰が見ても美しいというような作品。
これは琳派の作品といわれても納得できそう。
日本画とのつながりを見れました。

展示数は少なくこじんまりとしていますが、展示品は驚きの連続。
素晴らしい作品が見れました。



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笑う浮世絵-戯画と国芳一門 (前期)

2013-10-24 21:30:00 | 美術
見てきました

太田記念美術館

会期は2013年10月1日から2013年11月26日。
会期が前期と後期に分かれています。
前期は10月1日から10月27日。
後期は11月1日から11月26日。
今回、前期を見てきました。

今回は「笑う」浮世絵。
チラシからして笑えます。
右はトウモロコシの擬人化されたものでしょう。
なんだかよく分からないけど、期待。笑

さて。
江戸の人々はお笑い大好き。
大流行の歌舞伎はもとより、落語や文芸など様々な分野で笑いが発達。
浮世絵でも、特に江戸後期には、歌川国芳を中心に奇抜なアイデアとユーモアに満ちた作品が描かれています。
擬人化したり様々なものを組み合わせたり。
素直に笑えるものはもちろん、脱力してしまうようなものまで。
様々な「笑い」が展示されています。

歌川国芳「蝦蟇手本ひやうきんぐら(三段目・四段目)」
忠臣蔵を蛙が演じています。
その名も「ひょうきんぐら」
二つ巴がおたまじゃくしになっているなど細かいところまでしっかり描かれています。

歌川広景「江戸名所道戯尽 十六 王子狐火」
狐の行列に一人人間が。
狐に騙され大笊に乗せられています。
先を歩く狐は担いだ竹の先にかぼちゃを揺らしています。
なんだかファンタジーの世界のようでかわいらしい。

歌川芳藤「兎の相撲」
そのままですが、兎が相撲をしています。
大きな土俵で3組の取組が描かれています。
行司も兎、観客も兎です。
明治6年に兎ブームがあったそうで、浮世絵もその流れにのり、兎が多く描かれたとか。

歌川芳藤「毛だものあきんどづくし」
擬人化された動物が商売をしています。
虎は竹の子を、鹿はもみじ焼きを、兎は月見団子を、とそれぞれ関連のあるものを売っていました。
かわいい。

歌川芳幾「マケロマケヌ 売買大合戦」
こちらは商品vs貨幣の戦争が描かれていました。
1861年に日独通商修好条約が結ばれ、そのことに対する不安だとか。
相場の混乱を風刺したものだそうです。

無款「分鳥」
大砲や鉄砲、刀や鎧などを組み合わせて描かれた鳥。
メカっぽくってかっこいい。
マンガあたりに出てきても普通におかしくない感じです。

歌川広重「新板 かげぼしづくし」
影絵遊びで作られるものたちが描かれています。
ここには主に手で出来るもの。
きつねだったりと小さいころやったことのあるものが描かれていました。

歌川芳艶「貧福両道 世界虎之巻」
頭が小判の小さな人間が窓から出て行ったり出産していたりとなかなか気持ち悪く面白い作品。
これは世の中の金の流れをたとえているようで、貧乏な人からは出て行き、金持ちには入っていくというもの。
背に羽の生えたお金の妖精(!?)らしきものもいて、おもしろいけど不気味です。

歌川芳虎「道外武者 御代の若餅」
全部で4人描かれています。
手前の二人はせっせと餅を付き、後ろの猿っぽい武将がこねています。
そしてさらに奥のでぷんとした武将がその餅を食べています。
かの有名な天下餅の絵です。
手前の2人は信長と光秀。
こねている猿は秀吉。
食べているのはもちろん家康。
これは検閲で気付かず販売されましたが、すぐに評判となり半日で没収となったそうです。
かなり貴重なものですね。。

といった感じで見てきました。
私は風刺画とか擬人化に弱いようです。
後期はポスターやチラシにもいるとうもろこしが大活躍(!?)のようなので楽しみです。



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国宝 興福寺仏頭展

2013-10-23 21:30:00 | 美術
見てきました

東京藝術大学大学美術館

会期は2013年9月3日から2013年11月24日。

奈良・興福寺の創建1300年を記念した「国宝 興福寺仏頭展」
興福寺といえば国宝の阿修羅像が有名ですが、それだけじゃない!!
現存する東金堂をテーマとし、興福寺の代表的な名宝である国宝「銅造仏頭」(白鳳時代)をはじめ、東金堂ゆかりの名品が展示されます。
興福寺は全国の国宝仏像彫刻のおよそ15%を所蔵する、まさに仏像の宝庫。
また平城京の時代から法相宗の教えを広め、絵画や書跡など宗派の名品を1300年もの間、数々の災害から守り今日に伝えてきました。
それらの中から「仏頭」の守護神として造られた国宝「木造十二神将立像」(鎌倉時代)、浮彫の最高傑作として有名な国宝「板彫十二神将像」(平安時代)の各12点、計24点が初めてそろって登場するほか、法相宗に関わる至宝も展示。
「仏頭」と同じ白鳳仏として、東京・調布の深大寺所蔵の重要文化財「銅造釈迦如来倚像」も特別陳列され、国宝25点、重要文化財31点など約70点の至宝が集う豪華な展示となっています。

《第1章 法相の教えと興福寺の絵画・書跡》
興福寺では、遣唐使を通じて日本にもたらされた法相宗の教義が、1300年の間、脈々と受け継がれてきました。
ここでは重要文化財「厨子入り木造弥勒菩薩半跏像」や、法相宗関連の書跡・絵画が展示されていました。


「厨子入り木造弥勒菩薩半跏像」
会場入って真正面にあるのがこちら。
仏様のことがわからなくても思わず「きれい」と声が漏れます。
保存状態もよく、顔立ちも衣服も美しいのです。
垂髻、宝冠、胸飾などの装身具の繊細な様は当時の職人の技に感服。

この奥には「厨子」があります。
黒漆の両開きの扉で、そこにはインド・中国・日本の法相、祖師、高僧が描かれています。
扉をしめるとぐるりと取り囲むようになっています。

そのあとは法相宗関連書跡。
う~ん、、これは難しいね。。。
と横目で見つつ。

「成唯識論 巻第一」
これは綺麗だったという理由のみ。笑
紺に金泥で書かれた巻物です。
この組み合わせは私の中では美しさ的に最強ですね。
(平家納経とか)
これが平安時代のものって信じられないくらい美しい。
こんなに状態のいいものってよほど大切に扱われてきたんだろうな、と思います。

「護法善神扉絵」
これまた状態がいいんです。。
六角厨子の両開き扉に描かれていたんじゃないかと思われるもの。
自分が分かるものは「閻魔王像」ぐらいしかないのですが。。

《第2章 国宝 板彫十二神将像の魅力》
ここには国宝「板彫十二神将像」が展示されていました、。
平安時代(11世紀)の作。
国宝に指定された十二神将像は全国で4件。
奈良・新薬師寺の塑像(奈良時代、但し指定は11体)、京都・広隆寺の木造(平安時代)。
そして興福寺の板彫十二神将像(平安時代)と木造十二神将立像(鎌倉時代)。
「木造十二神将立像」は第3章で展示されています。
今回、2組の十二神将がすべて揃うのですが、興福寺を出て、全て揃った展示は史上初めて。
かつては東金堂の薬師如来像の台座の周囲に配されていたともいわれていて、今回はそれを再現した形で展示されていました。

この十二神将像。
ヒノキの厚さ3センチの板を彫ったもの。
板とは思えないほど立体感があり、表情豊か。
3センチ以上の厚さを感じさせる構図は見事としか。
彩色は薄くなってしまい、一部に破損が見えるものもありましたが。
全体的にはとっても綺麗でいい状態。
迫力あるし、東京で素晴らしいもの見れたな~と感激。

《第3章 国宝 銅造仏頭と国宝 木造十二神将立像》
そんな気持ちのまま第3章の展示会場へ。
入ったらそこにならぶのは国宝「木造十二神将立像」
そして奥に、「銅造仏頭」
黒を基調とした部屋に浮かび上がるように展示された像の見事なこと。
部屋に入って深呼吸したくなるよ。笑
不満があるならライティングかな。。
影があんまり美しくない。
影まで美しく考えられたトーハクの仏像展示を見習って欲しい。
トーハクで仏像の影も美しいということを覚えてしまった私は影も気になる。笑

「木造十二神将立像」
これはヒノキの寄木造り。
12体とも武装しています。
かっこいい。
十二神将は薬師如来の眷属(従者)であり、それぞれが7,000の兵を率いる、いわば師団長だったそう。
そして十二神将にはそれぞれ十二支獣があてられています。
十二神将の頭にその動物がちょこんとついているのでそれを見るとわかるんですね。
堂々たる構えでかっこいい。

そして「銅造仏頭」
破損仏でありながら、異例ともいえる国宝指定を受けている仏像。
思ったよりもかなり大きくてびっくりしました。
頭部だけで総高98.3センチ。
うっすらと微笑んでいるような優しい表情は、まさに「白鳳の貴公子」
呼称が似合いすぎです。
破損仏でありながらも優れた造形性がひしひしと伝わってきます。
平安末期、興福寺の堂衆たちが飛鳥の山田寺から運びこんだ巨大な白鳳時代の仏像(現仏頭)は、東金堂の本尊、薬師如来として安置されました。
その仏像に起きた大事件が応永18(1411)年12月の落雷による東金堂火災。
この火災で東金堂は焼け、「仏頭」は運び出すことができないまま破損。
その後所在不明となりました。
再び発見されたのは昭和12(1937)年10月。
金堂の解体修理中に現本尊台座内にあるのが偶然発見されました。
「仏頭」は台座の中で木箱の上に乗せられ、本尊と同じ西向きに置かれてました。
その発見以来から今日まで「仏頭」と「木造十二神将立像」がそろって並べられることはありませんでした。
それが今回は、主従の600年ぶりの再会の場ともなっているのです。
すごいね、歴史すごい。
混乱を乗り越えても優しい微笑みの仏頭を見ているとなんだかすっきりした気分。

《第4章 特別陳列 深大寺釈迦如来倚像 -白鳳の微笑-》
ここには、東京・調布の深大寺が所蔵する、同じ白鳳時代の仏像である重要文化財「銅造釈迦如来倚像」が展示されていました。
流れるような衣文表現でとても美しい。
丸く張った頬や口をすぼめたように微笑むようすも美しく清らか。
小ぶりな作品ですがその美しさは完璧です。

という感じで見てきました。
当初は資料ばかりで「あ、これは書くことできないかもしれない」というぐらい興味が湧かなかったのですが。。
実物見るとテンションあがりますね。
特に第3章はおすすめです。
ここはとにかく清らかな空気が流れ美しい。
悠久のときを経て今尚微笑む仏像になんだか安堵の気持ちが。
奈良にはなかなか行けないけど……
そうだ、奈良に行こう!!



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2013-10-22 21:30:00 | 食べ物
大好き、Decadence du Chocolatのショートケーキ
以前にも書いたかな、、クリームがおいしいの
見た目も華やかで可愛らしい
好きって言ったら覚えていてくれて、お祝いにって
ケーキはいつも自分で買っていたから貰うとすっっっごく嬉しいね

上の花のチョコレートがちょっと食べにくいけど。
でも、このチョコレートもおいしい
2人で1個、余裕です。
1人で1個もいけちゃいます。



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