RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

お菓子好き。F1好き。
美術館行くの大好き。
買い物も大好き。
休日に全力で生きるOLの日記(笑)

唯、美味

2014-02-28 21:30:00 | ミュージアムショップのお菓子たち
食べ物に何を求めるか。。
栄養、見た目、、そして味。
ただただ、美味しさを追求しても、見た目が美しくないものはいやだなぁ。。

「ザ・ビューティフル展(その1)(その2)」のミュージアムショップで購入しました。
紅茶とチョコレートです。
紅茶はRING TONS社のもの。
EXTRA FRESHです。
パッケージはウィリアム・モリスの「ひなぎく」
680円。

チョコレートは「Montezuma's」
日本ではネットでしか買えないところです。
元弁護士のヘレン&サイモン・パティンソン夫妻がチョコレートの起業家に転身。
2000年に設立されました。
フェアトレードのカカオを使用したオーガニックチョコレートです。

プディングバーというシリーズのもので、プディングはイギリスでデザートの意味。
言葉の響きからプリンを連想しますが、プリンだけではないのです。
「本日のデザート」を「本日のプディング」のように使うそう。
他にも味がありましたが、私が選んだのは「イートン・メス」
590円。
イートン・メスはイギリスでいちごの季節に人気のプディング。
イチゴにメレンゲとホイップクリームを混ぜて食べるデザートです。
それをイメージし、エクアドル産カカオを使用したダークチョコレートにホワイトチョコレートとドライストロベリーとメレンゲを入れているそう

パッケージもかわいい

紅茶と一緒に楽しみたいと思います



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ザ・ビューティフル 英国の唯美主義1860-1900 (その2)

2014-02-27 21:30:00 | 美術
見てきました

三菱一号館美術館

会期は2014年1月30日から2014年5月6日。

今回、唯美主義を取り扱った日本で初の展覧会。
ロンドン、パリ、サンフランシスコと巡回した「カルト・オブ・ビューティ展」を再構成したものです。
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館所蔵作品を中心に、油彩画、家具工芸品をはじめとする約140点の展示。
長~くなるので、2回に分けて書いていきます。
今日はその2です。
(その1はこちら→「ザ・ビューティフル 英国の唯美主義1860-1900 (その1)」)
今回、展示されていた順に書いています。
出品目録と順番が違ったり、また、目録に書いてある項目と展示されていたところが違う点もあります。

《Whistler and Godwin:ホイッスラーとゴドウィン》
日本美術の影響を強く受けた画家ホイッスラーと、同じく、日本の影響を受けた建築家ゴドウィンの交流がここでは展示されています。

エドワード・ウィリアム・ゴドウィン「サイド・テーブル」
シンプルなテーブルです。
これはゴドウィンの最高傑作の1つ。
軽くて実用的なため、模倣され普及していったそう。

エドワード・ウィリアム・ゴドウィン「飾り戸棚(フォーシーズンズ・キャビネット)」
普通の戸棚ともっとも違う点は棚の中ほどの扉のデザイン。
釣鐘型の窓に格子となっています。
そしてそこには4つの絵。
これらは、北斎漫画から倣ったものだそう。

ジェイムズ・マクニール・ホイッスラー「ノクターン:黒と金 -輪転花火」
暗い暗い背景の中、打ち上げられた回転花火の火の粉を描いています。
これまで展示されてきた作品とは違い、抽象的です。
同じテーマで描かれたノクターンという6作品のうちの1点。
この「ノクターン」たちですが、1877年にグローヴナー・ギャラリーに出品されます。
これを批評家のジョン・ラスキンが酷評。
"公衆の眼前に絵具の壷を投げつけたようなものだ"と。
それに怒ったホイッスラーは名誉毀損でラスキンを訴えます。
ホイッスラーは訴訟に勝ちはしたものの、得た賠償額はわずか1ファージング。(4分の1ペニー)
裁判費用の足しにもならず、多額の訴訟費用を支払うためにできたばかりの自宅を売却するはめになりました。
なお、ラスキンもダメージを受け敗訴&オックスフォード大学美術講座教授を辞することとなりました。。

《Whistler's Etchings:ホイッスラーのエッチング》
ホイッスラーは独自のテイストで19世紀のオリジナル版画の地位を向上させました。
が、実際はラスキンとの訴訟で失った金銭を稼ぐために制作したものだったそう。。
ここではそれらの作品が展示されています。

ジェイムズ・マクニール・ホイッスラー「ノクターン -パターシー地区からみたテムズ川」
霧に包まれたテムズ川。
川には人影、奥には建物と光が見えます。
幻想的です。

ジェイムズ・マクニール・ホイッスラー「戸口」
古めかしい建物の戸口からこちらを見ている人が見えます。
手前には川。
なんだか不思議の世界をのぞいているかのよう。

ジェイムズ・マクニール・ホイッスラー「サン・ビアッジョ」
ヴェニスの景色を描いた作品たちのうちの一つ。
アーチをくぐるゴンドラや古めかしい景色がどことなく神話の世界のようでもあります。

ジェイムズ・マクニール・ホイッスラー「刺繍の施されたカーテン」
細密です。
窓のカーテンの刺繍の草花模様までしっかりと見えます。
ホイッスラーの版画全体にいえることですが、そこから物語が続くような、そんな印象。

《House Beautiful:ハウス・ビューティフル》
唯美主義は絵画芸術としてだけではなく、応用芸術として室内装飾などを含み"ハウス・ビューティフル"といった日常生活にも美を取り入れるという概念を生み出します。
こうした中で唯美主義芸術家の自宅は唯美主義の装飾で彩られ"芸術の殿堂"と呼ばれるようになります。
これらは事などを通じて、上流・中流階級の強い共感と憧れの的となり、人々の芸術への考え方や家の中を変えていきました。

アンナ・アルマ=タデマ「「タウンゼンド・ハウス」応接間、1885年9月10日」
ローレンス・アルマ=タデマの自宅兼アトリエを描いたもの。
艶やかな床、ペルシア産の絹織物、天井から吊るされた鳥かご。。
すべてが美しい。
水彩で描かれているのですが、色も濃厚でびっくり。
さらにこれを描いたのが、17歳の娘、アンナだということにもびっくり。

アーサー・シルヴァー「応接間のデザイン」
アーサー・シルヴァーはさまざまなデザインを手がけ、商業的工房の先駆けとなりました。
ここに描かれている部屋にはうちわや鶴の絵らしきものが見えるなど、日本文化の影響が見えました。

《Art Manufactures;Aesthetic Designers and Commercial Enterprise:「美術産業製品」-唯美主義のデザイナーと営利企業》
唯美主義が定着していくにつれ、どのように製品を作るかということが問題になっていきます。
手工業と量産の両立をいかになりたたせるか、が課題となりました。

ブルース・ジェイムズ・タルバート「壁紙「ひまわり」デザイン」
装飾的に並べられたひまわりがおしゃれで素敵です。
少ない色彩で大小さまざまなひまわりが咲き誇っています。

ウォルター・クレイン「太陽模様の壁紙(部分)」
くねくねしています。
淡い緑と淡い黄色が使われ、おしゃれで可愛らしい印象に。

ウィリアム・ド・モーガン「壺」
鳥の描かれた青い色でまとめた壺。
鳥はくじゃく、かなぁ。。
足が長いので違う気もするのですが。

エドワード・バーン=ジョーンズとジョン・ヘンリー・ダール「タペストリ「ポモーナ」」
バーン=ジョーンズが下絵を手がけたタペストリ。
伝統にのっとって手織りで作ったため、高額商品だったそう。
花の咲き乱れる場所で果物を持った女性が立っています。
古代的です。

ジョージ・C・ヘイテ「布地「コウモリ」」
こうもりと桔梗と菊、かなぁ。
これらが並んで模様を成しています。
金糸で美しい。

ルイス・フォアマン・デイ「布地「ナルキッソス」」
深い緑色の中に水仙がリズミカルに配置された布地。
名前はもちろんギリシャ神話のナルキッソスのお話からですね。
確かに見とれる美しさ。

ルイス・フォアマン・デイ「掛時計」
黒檀調の木材に彩色したもの。
月をモチーフとしていて神話の世界のような幻想的なものとなっています。

エドワード・バーン=ジョーンズ「刺繍作品《弓を持ち鳩の群れの下で子供たちに囲まれて立つアモル》下絵」
画題はダンテ「神曲」から。
赤い翼を広げたアモルが子供たちに囲まれています。
下絵だからか全体的に粗い気がします。

《Oscar Wild, the Aesthetic Movement and Satire:オスカー・ワイルド、唯美主義運動と諷刺》
アイルランド出身の詩人で作家のオスカー・ワイルド。
19世紀末において欠かすことのできない人です。
その生き方は唯美主義と共鳴し、一時代のアイコンとまでなりました。
が、男色の罪に問われ収監。
出獄後は失意から回復せず、人気も回復せず。
そのまま亡くなりました。
それは唯美主義の落日に大きな影響を与えました。
私は彼の"自分らしくあれ。ほかの人の席はすでに埋まっているのだから"という言葉が好きです。
ここは唯美主義に対する風刺画などがありました。

《'Book Beautiful':美しい書物(ブック・ビューティフル)》
唯美主義は絵画、家具などだけではありません。
本でさえも美しくしようとしていきます。

マックス・ビアボーム「オーブリー・ビアズリーの諷刺画」
頭が大きくおかっぱでするどい顎。
細身で鼻の大きな人だったそうですが。。
諷刺画とはいえ、、悪意を感じます。笑

《Decadence of Aestheticism:唯美主義におけるデカダンス》
ここでは先ほど諷刺されたビアズリーの素描などが展示されています。

オーブリー・ビアズリー「クライマックス -サロメ」
美しい。
有名ですが。
サロメがヨカナーンの首を手に入れて口づけする、その場面。
首から滴り落ちる血が池を作り、そこから花が咲く。
なんとも不気味で幻想的。
25歳の若さで亡くなったことが残念でなりません。。

チャールズ・リケッツ「オイディプスとスフィンクス」
緻密で構図も素晴らしい作品。
旅人に謎かけをして、間違えれば殺してしまうスフィンクス。
そんな妖しさが溢れています。

シメオン・ソロモン「月と眠り」
星が輝く中、眠る人を見つめる擬人化された月。
月って女の人で表現されることが多いのに、これは中性的というか、男性みたいにも見えます。
眠る人も男性。
ソロモンは同性愛でつかまったこともあるとか。
うん、、まさかね。

《Glorious Sunset:Late Aesthetic Painting and 'New Sculpture':輝かしい落日-唯美主義後期の絵画と「ニュー・スカルプチャー」》
最後です。
唯美主義の終わり。。
時代の寵児だったワイルドとともに終わったように見えた唯美主義ですが、世紀末デカダンスにつながるものを残しながら終わりを迎えました。

フレデリック・エヴァンス「階段の海」
写真です。
階段を下から撮ったもの。
緩やかなカーブを描き続いていく階段は別世界に行けるよう。
美しいです。

ジョージ・フレデリック・ワッツ「内奥の世界の住人」
この作品は心の中を描いたものだそうで幻想的。
額に星を付け、背に翼のある女性が頬に手をついて考え込んでいます。
ひざには矢とトランペット。
翼は良心、矢は見せかけを突きぬけ、トランペットは世界に向けて真実を宣言するもの、だそう。
心の奥底って難しい。。

アルバート・ムーア「真夏」
今回のチラシにも使われている作品。
オレンジ色の服を身にまとい、椅子に座り眠っているかのように目を瞑る女性。
椅子はマリーゴールドの花が飾られています。
両脇には扇子を持ち、風を送る女性。
その眠りを妨げないように、と守っているかのよう。
夏のけだるさと静けさが同居しています。
"唯、美しく"
なんて美しいんだろう。
息を呑むほど、、しばしその前から離れられません。

以上になります。
とてもとてもおもしろいものでした。
唯美主義について色々知れる、また作品の見れる数少ない機会です。
まだまだ会期がありますから、その美しい世界をぜひ体感していただきたいなと思います。



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ザ・ビューティフル 英国の唯美主義1860-1900 (その1)

2014-02-26 21:30:00 | 美術
見てきました

三菱一号館美術館

会期は2014年1月30日から2014年5月6日。

いや~。
このチラシがまず素晴らしい。
ずっとずっと、待っていました!!
ようこそ日本へ!!
唯美主義を取り扱った日本で初の展覧会です。

では、唯美主義とは。
時は19世紀半ばのイギリス。
さまざまな様式と芸術理論が乱立していました。
若手芸術家のあいたでは古い慣習や堅苦しい約束事から離れて「新たな美」を見出したいという欲求が沸き起こります。
それまでの物語的な要素を重視せず、視覚的な美しさを追求したものです。
これはやがて日用品のデザイン改良運動と一体化。
一般家庭の室内をも美しく刷新しました。

背景としてはヴィクトリア女王の治世(1837-1901)、英国は黄金期を迎え、産業革命を経て、海外植民地を有するなどしていました。
それらは中産階級の台頭をもたらし、消費社会を変貌させていきます。
そうした中で人々にも変化が。
経済的にゆたかになり購買力が上がります。
心のゆとりの増大が人々の暮らしを変え、新たなスタイルの絵画や工芸を生み出す源泉となりました。
1800年代半ばに、同じくイギリスでラファエル前派が生まれましたが、この頃に当たります。
ラファエル前派は短期間に収束しましたが、美を追求する唯美主義へともつながっていきます。

今回の展示は、ロンドン、パリ、サンフランシスコと巡回した「カルト・オブ・ビューティ展」を再構成したもの。
日本初の唯美主義展です。
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館所蔵作品を中心に、油彩画、家具工芸品をはじめとする約140点の展示です。
長~くなるので、2回に分けて書いていきます。
今日はその1です。

《Introduction:序》
新たな美を見出したいという欲求はデザインの改革へとつながります。
「アート・ファニチャー」の誕生です。

ウィリアム・ド・モーガン「大皿」
かなり大きなお皿です。
描かれているのは花に囲まれた孔雀。
孔雀は唯美主義で使われたモチーフで美を表しているのだそう。
ほかにひまわりとユリがよく使われたそうで、それぞれ男性と女性を象徴しています。
ぎっしり描かれているのですが、淡い色調でまとめられています。

トマス・ジェキル「柵の部品」
庭用の柵です。
ひまわりがモチーフ。
ひまわりを好んだそうです。
花びら1枚1枚力強くしっかりとしています。
これはおしゃれだな~。

《'Art Workmen':「美術職人集団」》
唯美主義は芸術的だけではなく、日常生活のすべての美の変革を目指しました。
象徴的なのが、モリス・マーシャル・フォークナー商会。
ウィリアム・モリス、ロセッティ、バーン=ジョーンズらが1861年に共同で設立。
室内を彩りました。

ウィリアム・モリス「壁紙「ひなぎく」」
黄色と赤と白の花がリズミカルに配置されています。
かわいい。

ダンケ・ゲイブリエル・ロセッティ「ボルジア家の人々」
アレクサンデル6世たちが悪そうな顔をしています。
無邪気に踊る子供たちとは対照的です。
テーブルの上にワインの入ったグラスがありますが、毒は混入済みってとこでしょうか。
不穏な空気が漂います。

エドワード・バーン=ジョーンズ「ヘスペリデスの園」
色彩がとても美しい作品。
板に浅浮彫したもの。
パトロンのサー・ジョージ・ルイスのために制作されました。
地上の楽園がモチーフで女性が2人。
1人は竪琴を弾き、1人は器を持っています。
青い色が印象的です。
モリスの染めた厚手の青いリネンの壁掛けと調和するように作られたそうで、そちらも見てみたかった~。

《Search for a New Beauty:新たな美を求めて》
唯美主義では伝統的な物語や逸話由来の主題を意図的に避けていました。
そして"気分"といった抽象的な感覚に重きを置きます。
フォルムと色彩の美を讃える絵画の可能性を探っていました。

フレデリック・サンズ「誇り高きメイジー」
油彩のためのスケッチだそうです。
女性が髪を触っている様子。
ミレイやロセッティに影響を受けましたが、ロセッティには盗作で告訴されるほどだったそう。
確かに雰囲気が似ています。
が、鉛筆でここまで表現できるのはすごい。

エドワード・バーン=ジョーンズ「眠る侍女の頭部習作 -連作「薔薇の部屋(いばら姫)」より」
目をつむった女性の頭部のみの習作。
とても美しい。

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ「愛の杯」
赤い服が印象的。
ハート型が刻まれた金の杯と持つ女性。
つややかな赤毛も美しい。
こちらを見つめる表情は複雑そう。。
背景の壁の模様や置かれているお皿などまで丁寧に描かれています。

フレデリック・レイトン「パヴォニア」
白い肌、艶やかな黒髪。
振り返りながらなんとも妖艶な視線をこちらに向けています。
後ろにある孔雀の羽根も印象的。
孔雀は美の象徴。
つまり画家にとってこの女性こそが美だったのでしょう。

ジョージ・フレデリック・ワッツ「孔雀の羽根を手にする習作」
上半身裸の女性が寝そべっています。
なんだかけだるそう。
孔雀の羽根を手にしています。
こちらも美、ということでしょう。
人それぞれですが、それぞれ美しい。

《Attack:The'Fleshly School'Controversy:攻撃-「詩の肉体派」論争》
唯美主義の芸術家たちは性的な表現をためらいませんでした。
先ほどのワッツの作品もしかり。
ですが、そのことが破廉恥、不道徳などと当時の保守的な人々に非難されます。
やり玉に挙げられたのが、ロセッティやスウィンバーンの詩集。
世間の敵意に満ちた反応にロセッティは病んでしまったそう。
その詩集も展示されています。

《Long Ago and Far Away Ⅰ Japonism:遠い過去、遥かなる場所Ⅰ ジャポニズム》
当初、風変わりで面白い対象とされていた日本文化。
しかし、芸術家たちはここにかつてない美を見出します。
日本の品が英国で初めて大量に紹介されたのは1862年の第2回ロンドン万博。
ここで日本への関心が高まり、作品に影響を与えるようになります。
ここではその影響を受けた絵画のほか、工芸品も展示されていました。
また会場のひとつとなったサウスケンジントン美術館(現ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館)が万博の際に購入したものが展示されていました。

「装飾用植木鉢」
江戸時代の大きな陶器です。
とにかく青が美しい。
文様は白で鶴と亀が描かれています。
このコントラストも美しい。
こんな作品を作り出す国、、確かにこれは興味が湧きます。

30R.W.マーティン&ブラザーズ「壺」
黒にユリが施されています。
その色彩や構図はジャポニズム、といった印象ですが、モチーフのユリは唯美主義でよく使われるもの。
その影響を感じます。
こちらもはっきりした色彩が美しい。

《Long Ago and Far Away Ⅱ Classical Ideals:遠い過去、遥かなる場所Ⅱ 古代文化という理想》
彼らが夢中になったのはジャポニズムだけではありません。
古代文化の神秘性にも見せられ、そこを源泉に作品が生み出されていきます。

ローレンス・アルマ=タデマ「目に見えている結末」
描かれているのは階段を上がってくる男性と階段の物陰に隠れて男性を見ている女性。
男性は女性にプロポーズをしようと向かっているところなのです。
それを待つ女性ってとこかな。
タイトルの「目に見えている結末」
それはもちろんハッピーエンド。
なんだか微笑ましい作品。

アルバート・ムーア「黄色いマーガレット」
古代ギリシャ風な作品。
ソファに座る女性は黄色いローブを身にまとい優美な印象。
全体的に色彩は淡く、ソファや壁紙の模様も丁寧に描かれています。

アルバート・ムーア「花」
縦に長いです。
描かれている女性は淡いピンク色の古代風の衣装。
まさしく花のようです。
背景も桜のようでジャポニズムの影響が見て取れます。
ムーアは仲のよかったホイッスラーからジャポニズムの影響を受けたそう。

ジョゼフ・S・ワイアンとアルフレッド・B・ワイアン、ローレンス・アルマ=タデマのデザイン「腕輪」
女性の上腕部にはめることを想定して作られたもの。
とぐろを巻く蛇のデザインとなっています。
先が3つに分かれていて、それぞれ違った形の蛇の頭部になっています。
こうゆう、ちょっと変わったデザイン、大好き。

フレデリック・サンズ「メディア」
古代ギリシャ神話の魔女です。
恋敵を破滅させるために呪文を唱えているところです。
その表情、動きはものすごく迫ってくるものがあります。
テーブルの上には呪いに使うものなのかカエルや貝。
背景は金色で船が描かれたり鶴っぽい生き物がいたり。
ジャポニズムの影響でしょうか。

エドワード・バーン=ジョーンズ「ブローチ」
こういったデザインもしていたんですね。
木にとまる孔雀がモチーフのとてもかわいらしい作品です。
これまでの宝飾品というと宝石などの素材の高価さを競っていました。
ですが、これは木には七宝、孔雀の体はサンゴ、羽根はトルコ石、と決して高価なものではありません。
こういったものをもっと身近にするために、デザインで質を高めるということを試みたそう。
欲しいです。

《Aesthetic Movement and the Grosvenor Gallery:唯美主義運動とグローヴナー・ギャラリー》
1877年にオープンしたグローヴナー・ギャラリー。
唯美主義の画家たちの作品発表の場となりました。

ジョージ・フレデリック・ワッツ「愛と死」
愛と死の概念を絵画化したもの。
大きな死を愛の象徴の天使が食い止めようとしている場面。
死を見上げる強い目が印象的。
縦に長く大きな作品のため、鑑賞しているこちら側も死を見上げるようなかたちです。
ドラマチック。

トマス・アームストロング「干し草の野」
こちらは特別出展作品。
作者はバルビゾン派にも参加していたとのことで確かにその雰囲気はあります。
干し草を作っている女性たちが描かれているのですが、農婦のような服装ではなく、ギリシャ風の服を着ているところが不思議です。
鍬を担いでいるのに服がギリシャ風。。
そんな不思議な景色も好みなのですが。笑

《'Beautiful People'and the Aesthetic Portrait:「美しい人々(上流人士)」と唯美主義の肖像画》
唯美主義を支えたのは、実際に生活でその作品を使った人たち。
かつてのような貴族だけではなく、産業資本家などの新たな層がパトロンとなりました。
ここではそういった人々を描いた作品が展示されています。

フレデリック・レイトン「母と子(さくらんぼ)」
なんてなんて可愛らしくて微笑ましい作品なんだ!!
ペルシャ絨毯の上に寝転び、肘で頭を支える母親。
その口元にさくらんぼを運ぶのはしゃがんでいる娘。
さくらんぼの入った籠を抱えている様子がかわいすぎる!!
この作品、今回のかわいい作品NO.1です。
背景には鶴の描かれた屏風が見えます。

ウィリアム・ブレイク・リッチモンド「ルーク・アイオニディーズ夫人」
赤いドレスを身にまとい、ソファに腰掛ける女性。
背景の壁は日本の刺繍となっています。
こうした新興の資本家たちは肖像画のモデルとなっただけではなく、生活にも唯美主義を取り入れていました。
そういった傾向も描かれている調度品から分かります。

エドワード・バーン=ジョーンズ「室内履きのデザイン」
バーン=ジョーンズ、こういったものも手がけていたんですね。
室内履きをそれぞれ上から、横から、下からのデザインが描かれています
唯美主義をどのように生活に取り入れていったかが垣間見える作品です。

以上がその1になります。
興味深い作品が多く鑑賞には時間を要します。
明日はその2.
まだまだおもしろい作品たちが続くのです。



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有元利夫展

2014-02-25 21:30:00 | 美術
見てきました

小川美術館

会期は2014年2月24日から2014年3月8日。

今年もまた、この季節がやってきました。
2月24日。
有元の命日です。
岩絵具を使い描かれた作品は、風化したような絵肌。
静寂漂う世界。
私の大好きな画家です。
1年に1度だけ。
今年も会いに行ってきました。



館内は有元作曲の音楽が流れ、タイトルさえも表示されない状態で展示されています。
そう、毎年見る絵。
「あ、あの絵は昨年はあそこの壁にあったな~」
なんて思い出すのですが、タイトルを覚えている作品って少ない。。
でもさ、それがいいんだ。
タイトル気にせず、好きな作品をずーっと見続ける空間。
気付いたらあっという間。

毎年のことですが。
展示を見終えたあとの感慨深さは他の展示には感じられません。
なんだか清々しいような、寂しいような。
毎年同じような展示ですが、何度見ても心にきます。
ありがとう。
今年も素晴らしい作品に囲まれ、素晴らしい時間を過ごせました。


また来年。



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愛せよコスメ! ~message from KISS ME~

2014-02-24 21:30:00 | 美術
見てきました

伊勢半紅ミュージアム

会期は2014年1月25日から2014年3月30日。

カラフルでかわいらしいチラシが目をひいたこの展示。
久しぶりに伊勢半まで行ってきました!!
以前に行ったのは2011年かな。。
かすかな記憶を頼りに「あれ、こんなに歩いたっけ??」と不安になりつつ無事到着。
私以外にも女性が3人、展示を見ていたことに驚きです。(失礼。。)
前回、人がいなかったので。。
そう、今回は女性が見に行きたくなるかわいらしくって化粧品の歴史も学べちゃう展示となっていました。

さて、伊勢半。
以前の記事にも書いたかな。
文政八年創業以来180年余り。
唯一、現在でも紅を作り続けている会社です。
"紅なんて普段使わないし、ちょっと知らないかな。。"
そうか。。
ドラッグストアでも見かけるのだよ、あの顔を。
エリザベート姫子。
ヒロインメイクやキスミーも伊勢半のブランドです。
ここで「あ、お世話になっております。」の人がかなり増えたでしょう。笑

今回の展示は「キスミー」がメインとなります。
「キスミー」は6代目の伊勢屋半右衛門である澤田亀之助氏が一代で築き上げたブランドだそうで、70年を超える歴史を持つのです。
改廃激しい化粧品のブランドとしては「日本で最も古いのでは」とのこと。
今回の展示はまず、昭和20年代から現代までのキスミーの口紅が展示されています。
伊勢半は紅屋さんですから。
近代になると西洋風の化粧品製造に着手、特に国産口紅の開発に情熱は注がれます。
江戸時代では器に入っていた紅。
それをスティック状にして発売したものが「艶蝶(つやちょう)棒紅」
キスミー誕生よりも前に、キスミーなどが根付きやすい土壌を作り上げます。
しかしここで大きな出来事が。
戦争です。
その打撃は大きく、口紅どころではない世の中。
それでもあきらめない伊勢半は物資のない時代にも高価であろうといい原料を集めます。
"いつか豊かになったとき、粗悪品は淘汰されていくから。本物だけは残るから。"
あぁ、なんかさ、こういった人がいるから。。
戦後の物がないときでも、信念や希望を持ってものづくりに励んだ人がいるから。
技術、ものづくりの面で日本は世界に出ていけたんだな、、とちょっと思ったり。。

1945年に製造再開、1947年にヒット商品「キスミー特殊口紅」が。
食料不足の時代に「唇に栄養を与える」とした広告が消費者の心をとらえたそう。
マーケティングも重要ですね。
口紅が軌道に乗ってくると、多品種化していきます。

1949年に発売の「キスミー特殊香水」
これは超音波を使い短時間で熟成させる技術を使ったもの。
日本で初めて導入したのは、もちろんキスミーです。
現在も社歴の中で「伊勢半を代表する商品」に位置づけられているそう。

ファッションやメイクの流行とキスミー化粧品が年表形式で表示されたパネルは読みごたえあります。
また「リップクリーム」は、キスミーが作った和製英語だそうです。

そうそう、忘れてはいけないのが今では当たり前になった、台紙付き商品について。
台紙付き商品、とは台紙にプラスチックのパックで売られているもの。
リップクリームとかですね。
あれを初めて行ったのはキスミー。
それまで日本では化粧品は百貨店で買うものでした。
しかし社長がアメリカへ行ったとき。
スーパーの一角で化粧品が売られているのを見て思ったのです。
「もっと気軽に手にとれるように!!」
食料品を買う場所というイメージの強いスーパーで、いつもの買い物のように気軽に購入できるようにしたのがキスミーだったんです。
すごいぞ。

また販売促進のキャンペーンも面白いものばかり。
10万円のネグリジェプレゼント、とか嬉しいのかよくわからない企画も面白いのですが、私が応募したいのは昭和33年の企画。
"身長分の5000円プレゼント"
身長160cmの人には5000円札160枚プレゼント、とのこと。
私の身長は163.5cmなので。。
四捨五入していいよね!!??
164×¥5,000=¥820,000
応募したい!!!!!

おもしろいエピソードとしては日焼け止めに表示されるSPF値。
SPFとはSun Protection Factorのことで紫外線防御指数とも言います。
UVB波をどのくらい遮断できるかの指標で「SPF30」とか数字がそのあとにきます。
もちろんこの数字が大きい方が、より強い効果が得られるわけです。
そうなると始まります、数字を大きくする競争が。
各メーカーとも数字をあげるため、研究し新製品を世に送り出します。
平成11年には100を超えますが、同時に法律で50以上の表示が禁止となりました。
そういえば、昔は大きい数字を見た記憶があるよ。。
SPF50を超える能力が有意に認められる場合はSPF50+と表記することになりました。
なるほど。。
ここに競争はあっけなく終結です。。

"あしたは、もっと美しく"
伊勢半の願いです。
そうでありたい。
いつもそう思いますが。
その気持ちを応援してくれるのがこういった化粧品メーカー。
いいものを作る努力、時代に合わせた変化。
これって商品は化粧品だけどほかのものに当てはめて考えたら男性が見てもおもしろいのではないでしょうか。
そういった意味でも、ただの化粧品の歴史だけではない、とても心に残る展示でした。

そうそう、キスミーのヒット商品。
"シャインリップ"
1970年に日本初のツヤ出し用リップとして登場し、年間1500万本をも売り上げた恐ろしい商品。
この人気の4色の復刻版が限定で発売されます。
伊勢半で購入可能です。
シャインリップ、シャインピンク、シャインレッド、シャインワインで各630円。
廃番になって以降も「どこかで買えませんか」と根強い人気のあった商品です。
パッケージもレトロでかわいい。
ぜひぜひ1本欲しいですな



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Traces of Disappearance

2014-02-23 21:30:00 | 美術
見てきました

エスパス ルイ・ヴィトン東京

会期は2014年1月18日から2014年4月13日。

今回は「Traces of Disappearance(消失の痕跡)」展
テーマは"保存と腐朽"、"永遠性の希求と儚さ"など、相反する要素が共存する"両価性"
儚くも美しい、、一過性ほテーマにしたもの。

畠山直哉、カスパー・コーヴィッツ(Kasper Kovitz)、アンヌ&パトリック・ポワリエ(Anne and Patrick Poirier)、袁廣鳴(ユェン・グァンミン)の4組が多種多様なモチーフや物質、媒体を用いてこの概念を表現しています。

今回も写真撮ってきましたのでご紹介します。
仕事後に行ったらほぼ貸切で。
スタッフの方が丁寧に作品について解説してくださったので、その話も踏まえて書けたら、と思います。
うん、見ているときは納得して聞いていたんだけど、いざ書こうとすると結構忘れてるね。。。

まずはこちら。

Anne and Patrick Poirier「De Natura Rerum(物の本質について)」
うすーい和紙に葉脈。
見にくいかな。。
これはかなり好きです。

そしてその先。
ビックリです。

Anne and Patrick Poirier「The Soul of the World(世界の魂)」
円錐の中に飛び交うのは白い鳩。
本物です。
12羽いるそうです。

くるっぽー、くるっぽーとめっちゃ鳴いてます。
聞いたところ、鳴いたり求愛したり。
喧嘩したりもしているのだそう。
羽でパシパシやってるそうです。
かわいい。

卵も何個かあるそうです。
って、感心している場合じゃない!!
表参道の、Louis Vuittonの、7階に鳩がいるなんて誰が思うでしょうか。。。


円錐の周りには様々な単語が。
この作品は人間の頭の中、を表現したものだそうで、この単語を飛び交う鳩が運んでいると見立てているそう。

鳥は人間の魂の中に去来する色々なものを表現しています。
そして鳥は、弱くて儚いもの。
また今回は白い鳩ですが、作家の希望で白い鳩だそう。
白い鳩は平和のイメージでもありますから。


Kasper Kovitz「The Sheer Size of It(その大きさたるや)」
とっても大きな作品。
近づくとほのかに漂う甘い香り。


この作品、グミで出来ているのです。
日の光があたりだんだん溶けていきどのような作品になるのか。
作家自身も完成を見たことがないという作品です。
作家は過去にもラズベリーを使った作品を発表したり、消失していくものを使うことが多いのだそう。
この作品のテーマは「楽園」
今回グミを使用したことは天国や楽園の甘い誘惑という意味しているとのこと。
逆にたくさん食べ過ぎると体によくない。
両面性を含んだ素材です。
私は仕事後なので夜でしたが、昼間は太陽の光が当たって(夜は照明を当てているとのこと)もっと甘い香りがするそうです。

また4月あたりに行って、どのくらい溶けたか、変化を見に行きたいと思います。


畠山直哉「Mont Ventoux(ヴァントゥ山)」
写真です。
今回の作品は穏やかなイメージで、テーマは崇高さとのこと。


清らかな印象です。
雪もこうして写真で見る分にはいいんだけどな。。


袁廣鳴「Disappearing Landscape - Reason to be a Leaf(消滅する風景 - 葉である理由)」
台湾のアーティストです。
葉っぱの不思議な美。

以上です。
とても楽しめる展示でした。
のんびり出来て解説も聞けて至れり尽くせりです。笑
おすすめ。


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ネイル

2014-02-22 21:30:00 | ネイル
変えました
2色を組み合わせてストーンのせて。

このピンク色がかなり私好みの色。
ストーンもちょっと豪華な感じにしました。


ネイルが綺麗になるといいですなぁ。。



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宝箱 -齋藤陽道 写真展

2014-02-21 21:30:00 | 美術
見てきました

ワタリウム美術館

会期は2013年11月30日から2014年3月16日。

さて今回は写真家、齋藤陽道さんの初めての大掛かりな展覧会。
1983年生まれ、現在30歳という若手です。
写真に取り組んだのは2008年ごろから。
2010年に写真新世紀の優秀賞を受賞、独自の世界観を発展させている方です。
今回は写真プリント160点、プロジェクターによるスライドショーで200余点の写真を展示してあります。

順路は2階→3階→4階となっています。
2階にはぎっしりと写真が。

ぐっときたのは3階。
テーマは≪無音集団≫

楽器を演奏する人が、写されているのです。
音が聞こえないのに楽器。。
でもとても楽しそうでみんな笑っているのです。

今回、展示されている壁に写真とともに言葉がいくつか綴られていました。
ここにあったのはこの言葉。

"音楽は永遠の片思い
さびしいけどずっと想っていられる"

音が聞こえなくても音が聞こえる人以上に、別の何かを持っている気がします。
うまく言えないけど。
作品はけっこう遠くから撮っているものが多いのですが、なぜか近くに感じます。
ぼやっとしているようで、はっきり見えて。
なんだそれ、矛盾じゃん。と思うけども。
思うけど、そんな印象。
現実を見つめていますが、優しくて純粋に向き合ってる印象。
眩しいのです。

なんだかふわっと温かくなる、そんな展示でした。



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ハイレッド・センター:直接行動の軌跡

2014-02-20 21:30:00 | 美術
見てきました

渋谷区立松濤美術館

会期は2014年2月11日から2014年3月23日。

「ハイレッド・センター」

高松次郎、赤瀬川原平、中西夏之。
3人の若き芸術家は、「ハイレッド・センター」を結成しました。
三人の姓の頭文字の英訳
高松のHi
赤瀬川のRed
中西のCenter
これを並べた名称「ハイレッド・センター(Hi-Red Center)」
匿名の行動により平穏な日常のなかに「芸術」を持ち込むことで、退屈な日常を「撹拌」しようと試みたのです。
今回の展覧会は、ハイレッド・センター結成50周年を記念したもの。
その「直接行動」を記録した写真や資料を中心に、主要な構成員でもある高松次郎、赤瀬川原平、中西夏之のオブジェや絵画などの作品群をプラス。
ハイレッド・センターの活動を多角的に紹介するものとなっています。 

ハイレッド・センターは先ほど書いたように、高松次郎、赤瀬川原平、中西夏之の3人の名からきているものではありますが、メンバはけっこう流動的。
活動ごとに変化していました。
真っ赤な「!」マークが目印です。
(今回のチラシにも大きく使われています)

まず起こしたのは≪山手線フェスティバル(通称:山手線事件)≫
1962年10月18日。
これには赤瀬川は参加していません。
山手線の車内で顔にドーランを塗ったり、その不気味な姿のまま「コンパクト・オブジェ」と呼ばれるポリエステル製の卵形のものに懐中電灯で光を当てたり。
駅で縄をずるずる引きずったり。。
今ならSNSで拡散されるのでしょうか。。
Chim↑Pomあたりがやってくれそうな感じですね。笑
これの何が芸術なのか、そういったことを問いかけ、活動は始まります。
今回、こういった「直接行動」の記録が展示されています。
この山手線フェスティバルもそのときの写真やコンパクト・オブジェなどが会場に展示されています。

1963年9月7日に行われたものが、≪第5次ミキサー計画≫
新宿・第一画廊での「ハイレッド・センター」を名乗った最初のイベントです。
結成披露です。
岡本太郎がテープカットを行い、作品に座る写真が展示されています。
笑顔が多くて楽しそう。

1964年1月26-27日に行われたものが≪シェルタープラン≫
帝国ホテルの一室で行われたこの行動。
招待状を持った観客の、上下左右からの全身撮影や全身の採寸を行いました。
オノ・ヨーコ、足立正生、横尾忠則らの写真が展示されています。
なんだか、、驚き。

1964年10月16日≪首都圏清掃整理促進運動≫
メンバー全員が白衣にマスク姿。
腕には「!」の腕章。
通行人のなんだあれ、の視線の中で行われたのは銀座の清掃活動。
もうすぐ東京オリンピックだし。
その前にきれいな首都を作らねば、、、ということでしょうが。。
銀座の一部のマンホールやアスファルトなどを雑巾や薬品で不必要なまでに清潔に磨き上げました。
これ、2020年の東京オリンピックに向けてどうでしょう。
HRC、再び!
とかで。。
というより若手が、、Chim↑Pomあたりが。。。
(行動派はなんでもChim↑Pomという、乏しい知識。。泣)
腕の腕章は「↑」マークでお願いします。

さて、おまけでついてきたようなものですが。
1965年≪千円札裁判≫
1963年に印刷所で「千円札を印刷」して芸術作品を作ったことにともない、行われた裁判です。
赤瀬川が「オブジェとしての紙幣」に興味をいだき、千円札をルーペで詳細に観察し、自筆で丹念に、原寸の200倍の大きさに拡大模写した作品を制作。
1963年3月の読売アンデパンダン展で発表します。
が、ここからおもしろく(というのは失礼か。)なっていくのです。
当時起きていた"史上最高の芸術的ニセ札"という「チ-37号事件」(こちらは未解決事件)
これにつながる容疑者として警察の取り調べを受けます。
赤瀬川もその事件を創作のきっかけとし、また捜査当局も当初はそれとの関連を考え捜査を開始したというもの。
が、担当の警察官からは「不起訴になるだろう」といわれたそう。
というのも、赤瀬川が制作したのは「オモテ面だけの1色印刷」
「ニセ札」ではないことは捜査当局側でもすぐに明らかになったから。
しかし、ここで朝日新聞がやらかします。
1963年1月27日に、“自称・前衛芸術家、赤瀬川原平”が「チ-37号事件」につながる悪質な容疑者であると、誇大に報道するのです。
年が変わり翌1964年、検察庁の捜査が再開。
1965年11月に通貨及証券模造取締法違反に問われて起訴され裁判となりました。
これは「貨幣、政府発行紙幣、銀行紙幣、国債証券及び地方債券に紛らわしきものを製造し又は販売することを得ず」という内容であり、捜査当局は赤瀬川の作品が「紙幣に対する社会的信頼を損なうおそれがある」として、起訴しました。
ニセ札を作った場合は「通貨偽(変)造・同行使罪」だそう。
さて、ここから。
裁判所が美術館になるのです。
赤瀬川はあくまで、"千円札のニセモノ"ではなく、"千円札の模型"として作品を製造したことを主張。
また"千円札の模型"が芸術だという理解がない裁判官に向けてアピールするため、高松次郎、中西夏之らが弁護人として「ハイレッド・センター」の活動について法廷で説明。
関係者の前衛芸術作品も裁判所内で多数陳列されるという歴史に残る出来事に。
その時の資料も展示されています。
東京地方裁判所地下倉庫の押収品の写真に今回展示されている作品たちも見えるのです。
ハイレッド・センターの最後の大きな出来事。

資料や写真がメインの展示です。
しかたない。
ここで、直接行動はなかなかできないもの。
でも写真のなかでいきいきとしていた芸術作品たちは飾られていると光を失ったかのよう。
歴史の1ページを身近に感じられる、とても興味深い展示でした。



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1億円の壷

2014-02-19 21:30:00 | 美術
「美術館で展示中の1億円の壷が割られる」
という衝撃的なニュースが仕事中の私をひきつけました!!

現場はアメリカのマイアミ。
「ペレス・アート・ミュージアム・マイアミ(P�・rez Art Museum Miami)」
破壊されたのは中国出身の現代アーティスト、艾未未(アイ・ウェイウェイ、Ai Weiwei)の「Coloured Vases(色塗られた壺たち)」の一部を構成していたもの。

アイ・ウェイウェイ!!
森美術館で見た展示、おもしろかった~。
またやってくれないかな。。
そしてその壊された作品、そのときも展示されていたハズ。。

壊された壷は中国の漢王朝時代(紀元前206年-紀元後220年)に作られたとされ、艾氏によって鮮やかな塗装が施されていたもの。
作品の価値は100万ドル(約1億200万円)とされているそう。
あ、あの壷、、そんなに価値があったのかー!!!!!

この、来館者によって破壊されたということに対し、「よくあることなので気にしない」と述べたとか。
よくあるのか、、、てか、それは中国で、、ですかね。。。

壺を割ったのはドミニカ共和国出身の自称画家マキシモ・カミネロ容疑者。
作品の16の壷のうち1つを警備員の前で地面に落として割ったそう。
作品の後ろには艾氏が壺を落として割る写真3枚が展示されているそうで、それに触発されたと話しているそう。
またこの美術館で外国人の作品ばかりが展示されていることに抗議する目的もあったとされるそうですが、壷にまさか100万ドルもの価値があるとはしらなかったそうです。
うん、、だよね。

「率直に言って、ホーム・デポ(ホームセンター大手)の店舗で売っているような普通の壺だと思っていた」
うん、ですよね。。笑

でもこれってどうなるの??
どんな罪でどれだけの罰になるのか。。

しかも芸術家(自称)が芸術作品を破壊するって行為。。
ハプニングアートの一つとでもしたかったのかな。。。
今後が気になる話題です。。



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