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五輪の名場面に名文句

2018-02-28 07:00:00 | 編集手帳

2月17日 編集手帳

 

 「世界中の青空を、
 全部東京に持ってきてしまったような」。
1964年の東京五輪開会式。
NHKの北出清五郎アナウンサーの実況は今も語り継がれている。

記憶に新しいところではアテネ五輪の体操団体だろう。
冨田洋之選手が金メダルをたぐり寄せる着地を決めようかという瞬間に、
「伸身の新月面が描く放物線は、
 栄光への架け橋だ!」。
NHKの刈屋富士雄さんである。

名場面に名文句はつきものなのだろう。
だが過去の名実況は修辞的な表現ばかりかというと、
そうでもない。
一つに長野五輪スキージャンプがある。

「立て、立て、立て、
 立ってくれ、
 立ったー」。
同じくNHKの工藤三郎さんは、
着地に不安のあった原田雅彦選手が滑空している間、
お茶の間の人々の思いを代弁するかのように声を張りあげた。

きのうは、
どちらかといえば普段はいかめしい顔で座っている人の多いわが職場でも拍手が起こった。
羽生結弦選手がショートの演技を終えたそのときである。
きょうはこの日本でどれほどたくさんの目が平昌の氷上に釘づけになるだろう。
永遠に忘れがたい名文句が生まれることを祈ろう。

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