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上の空

2018-02-14 07:00:00 | 編集手帳

1月30日 編集手帳

 

 『源氏物語』に解釈を間違えやすい和歌がある。
<はかなくてうはの空にぞ消えぬべき風にただよふ春のあは雪>

新婚ほやほやの女三の宮があまり顔を見せない夫・光源氏に返した歌だが、
ここでいう<うはの空(上の空)>は、
単に「空の上、中空」を意味する。
心細いからといって、
ぼんやりしているさまを詠んだ歌ではないらしい。

ただ、
あす31日の夜は古語も現代語も、
両方ありかもしれない。
皆既月食である。
空の高みで演じられるおごそかな天体ショーに、
世間の憂さや騒動を忘れてぼんやりするのもよろしかろう。

と、
読者の皆様には申し上げるものの、
コラムを書く身には引きずる事件がある。
仮想通貨の取引会社がハッカーに侵入され、
顧客の資産を流出させたという。
いったい何が失われたのか? 
取引会社は資産を盗まれたにもかかわらず、
顧客に相応の返済ができると主張している。

分かる人が分かる一方で、
ちんぷんかんぷんの人も多かろう。
後者の小欄には経営者がぼんやりして、
上の空だったことはかろうじて分かった。
不正アクセスへの当たり前の防御を甚だしく怠っていたとか。




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