1月20日 経済フロントライン
ごはんにかけて食べるために作られたシチュー。
去年夏の販売開始からわずか4か月で400万個以上売り上げるヒット商品になった。
・カレー ハヤシに続き簡単レパートリーが増えた
・シチューにはパン派 でもこれならごはんでいける
・これを考えた人 リスペクト
大手食品メーカーでこのシチューの開発を指揮した宮戸洋之さん。
開発のきっかけはシチューの売り上げの減少だった。
調査会社を通じてアンケートを行なったが原因は分からなかった。
(ハウス食品 食品事業2部 宮戸洋之部長)
「お客さんの食べる頻度が減っているところまではマーケティングデータでつかむことができたが
なぜ減っているのかわからないままだった。」
宮戸さんが頼ったのは
ネットを通じて消費者の隠れたニーズを知らべるベンチャー企業だった。
この会社が運営するサイト。
顧客の企業から受けた依頼に基づき
一般の人たちが気楽に投稿できるよう“お題”を出す。
たとえば
新婚さんの料理にまつわるあるあるエピソード。
そのときどんな商品やサービスがあったら助かる?
これは食材を宅配する会社の依頼に基づき作った“お題”である。
シチューの売れない原因をさぐるために設定された“お題”は
シチューにまつわる「モヤモヤ」を大募集!
いったいどんな「モヤモヤ」でどうすれば解決できる?
この“お題”に応えた人がいる。
主婦の堂瀬麻紀子さんである。
このサイトのファンでこれまで16の“お題”に投稿してきた。
シチューについてのモヤモヤを書き込んだのは
手間の割にはメインになってくれない・・・
しかも
ご飯との相性ももうひとつ・・・
なので
それならカレーを作ろう!になっちゃう
(堂瀬麻紀子さん)
「主婦としては短い時間の中でごはんを作っていろいろするので
シチューだともう1品なにか作らないといけなくなる。
同じ売り場に並んでいるんですけどカレーの箱を取ってしまう感じです。」
この投稿をきっかけに別の人たちが次々と書き込んだ。
・「シチュー=ご飯と合う」という文化を作ってはどうでしょうか?
・カレーライスみたくシチューライスがあっても良い気がします。
まるで井戸端会議のようにすすむ書き込み。
サイトにアイデアを書き込んでも報酬はないが引き込まれるという。
(堂瀬麻紀子さん)
「いろんな人が身近な商品について話しているのを見たら
ついつい私も口を挟みたくなるというか
こんな意見もあるよと言いたくなるのがちょっと楽しい。」
調査を依頼した食品メーカーではサイト上の議論にヒントを得て新商品を開発。
ごはんにかけて食べやすいように味を濃くしてとろみを出したところヒット商品になった。
(ハウス食品 食品事業2部 宮戸洋之部長)
「シチューをご飯にかける人がいることは分かっていましたけど
それが我々の課題の本質だと思っていなかった。
これが本質的な問題だったんだなということで
戦略にの置き換えて商品を発売した。」
一般の人たちが井戸端会議風に参加できる感覚がウケて
このサイトの会員は今や2万人を超えている。
(サイト運営会社ブラポ 坂田直樹CEO)
「企業の会議室で担当者が商品開発をしているというより
会議室のドアが開いていて全国の生活者がふらっとオンライン上で入ってくる。
生活者が企画者になって企業の商品開発に参加できることが一番大きな特徴。」
サイトを利用する企業も増えている。
コンビニ大手もその1つである。
激しい販売競争が続くなか新しいタイプの店舗を開発できないかと利用することにした。
“お題”は
あなたがコンビニに感じてるちょっとした気持ちと
こんなお店だったらいいなって?
品揃えに対する意見が大き家と思いきや
・1回5分100円で携帯電話が充電できたら使いたい
・傘を貸してもらえたら嬉しいなぁ
「多分キーワードになっているのが買いに行く場所じゃなくて
借りるとかシェアするみたいな
なにかしらのサービスなんでしょうね。」
「“物売り”だけではなくて
日々の生活の中であったら便利だとかそういうサービスだったりとか。」
このコンビニ大手では今後“お題”を追加し店舗開発のヒントに貸したいと考えている。
(ローソン 商品戦略部 荒井淳司部長)
「お客様との距離がこの取り組みは近いと思っている。
商品開発面だったりお店を作るということに関しても
いろいろな領域で取り組みは生かせるので
コンビニに染まり過ぎている僕たちからすると
新しい情報もたくさんあって新鮮な意見がありました。」